基本情報技術者試験の科目B試験対策を解説|旧午後試験との違いは?

基本情報技術者試験
科目B試験対策を解説
旧午後試験との違いは?

基本情報技術者試験の科目B試験は、科目A試験よりも難易度が高く、受験者にとって合格の壁となります。
また、旧・午後試験とも問題が異なるため、適切な対策が必要です。

この記事では科目B試験の内容や基本的な対策について解説します。
基本情報技術者試験の受験を検討されている方はぜひご一読ください。

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旧・午後試験から内容が大きく変わった、基本情報技術者試験の科目B試験

かつて「午前試験」「午後試験」という構成で実施されていた基本情報技術者試験。

その頃の午後試験とは、出題範囲や出題形式など大きく異なるものとなった科目B試験は、2023年4月の試験制度変更により導入されました。

ちなみに、かつての午後試験と現在の科目B試験の出題形式を比較すると、以下のようになります。

現在の基本情報技術者試験の出題形式

基本情報技術者試験の科目B試験は、かつて実施されていた午後試験とはまったく異なる試験です。

出題形式、出題内容ともに、完全にちがうものとして、対策にあたるのが良いでしょう。

具体的に比較すると、従来の午後試験は11問が出題される大問から5問を選んで解答する形式で、必須問題である「情報セキュリティ」「データ構造およびアルゴリズム」「ソフトウェア開発(プログラム言語)」の3問と、選択問題の2問を解答しました。

これに対して、現在の科目B試験の出題形式は、小問20問の全問必須解答に変更されています。

さらに出題範囲は、「アルゴリズムとプログラミング」「情報セキュリティ」の2つの分野を中心とした構成になりました。

科目B試験の内容

科目B試験の出題は小問形式で全20問、時間は100分となります。試験構成については以下の通りです。

問題数出題範囲 
16問プログラミング全般に関すること実装するプログラムの要求仕様(入出力,処理,データ構造,アルゴリズムほか)の把握,使用するプログラム言語の仕様に基づくプログラムの実装,既存のプログラムの解読及び変更,処理の流れや変数の変化の想定,プログラムのテスト,処理の誤りの特定(デバッグ)及び修正方法の検討 など注記 プログラム言語について,基本情報技術者試験では擬似言語を扱う。
プログラム処理の基本要素に関すること型,変数,配列,代入,算術演算,比較演算,論理演算,選択処理,繰返し処理,手続・関数の呼出し など
データ構造及びアルゴリズムに関すること再帰,スタック,キュー,木構造,グラフ,連結リスト,整列,文字列処理 など
プログラミングの諸分野への適用に関すること数理・データサイエンス・AI などの分野を題材としたプログラム など
4問情報セキュリティの確保に関すること情報セキュリティ要求事項の提示(物理的及び環境的セ キュリティ,技術的及び運用のセキュリティ),マルウェアからの保護,バックアップ,ロ グ取得及び監視,情報の転送における情報セキュリティの維持,脆弱性管理,利用者アクセ スの管理,運用状況の点検 など

合格基準は1,000点満点中600点以上であり、採点はIRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づく方式で行われます。

IRT方式とは、解答結果に基づいて配点を算出する仕組みになっています。

そのため、従来の試験のような、【1問何点】といった明確な採点基準は存在しません。

IRT方式を用いることで、異なるテスト間でスコアを比較することもでき、また、複数回実施・常時受験が可能となります。

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科目B試験が「難しい」と言われる理由って?

基本情報技術者試験の学習を進めるにあたり、科目A試験よりも科目B試験のほうが難しいと感じる人が多いようです。

試験制度変更前も、現在の科目A試験に相当する「午前試験」よりも「午後試験」に苦手意識を持つ受験者の声を耳にすることがありました。

その理由のひとつとしては、実務未経験者にとって大きな壁となる、アルゴリズムやプログラミングといった出題範囲の存在が挙げられます。

苦手とする方が多いアルゴリズムとプログラミング

令和4年下期試験までの基本情報技術者試験では、午後試験は大問11問から5問を選び解答する、選択式を採用していました。

科目B試験で出題される、アルゴリズム、プログラミング、情報セキュリティの分野については、選択式の際も必須回答とされていました。

しかし、もし苦手な分野があっても、選択した他の問題で得点をカバーすることができました。

一方、科目B試験では、小問20問全てに回答することが必要であり、また、苦手な分野がある場合は対策が必須となります。

実務経験がない方、IT未経験の方が挑戦する場合に、大きな壁として立ちはだかる分野がアルゴリズムとプログラミングです。

IT知識をただ暗記しているだけでは、合格することは難しい分野であると言えます。

科目B試験では、科目A試験対策で身につけたアルゴリズムやプログラミング、情報セキュリティに関する知識をベースとして、応用的な設問に回答することになります。

まずは科目A試験対策の知識をしっかりと身につけて、科目B試験の対策に取り組めるように基礎を固めておきましょう。

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科目B対策はかつての午後対策とおなじ勉強法でいいの?

現在の基本情報技術者試験における科目A試験は、従来の午前試験に準拠しているため、ある程度は同じ対策で対応できるところもあります。

では、出題形式や出題範囲が過去の午後試験とは大きく異なる科目B試験では、かつての午後試験の対策方法は通用するのでしょうか。

科目B試験になって出題範囲・出題傾向が変わったので、古い参考書や過去問は使えない

2023年4月からの科目B試験は、かつての午後試験とは出題範囲、出題傾向、さらには問題の形式大問から小問に変わっていたりと、あらゆる面で大きく異なる試験です。

プログラミングに関しても、かつての個別プログラミング言語による出題は廃止され、擬似言語へ統一されました。

もちろん、まったく共通点がないということもないのですが、わざわざ古い参考書や古い年代の過去問を使って勉強する理由はまったくないと言い切れるくらいには、かつての午後試験と科目B試験は別物の試験です。

これから勉強する人も、過去の基本情報技術者試験を多少知っているという人も、最新の傾向に即した現在の教材を活用したほうが効率的に学習をすることができ、結果的に合格への近道となります。

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試験制度変更前の基本情報技術者試験の過去問から旧・午後試験問題を使って勉強したいのだけど…?

前述の通り、基本情報技術者試験の試験制度は2023年から大幅に変更されました。

そのため、2022年以前に午前試験・午後試験の形式で実施されていた旧試験と2023年以降の試験内容は、まったくの別物と言ってよいほど異なります。

特に旧午後試験と科目B試験には大きな違いがあります。2022年以前の旧午後試験では、長文問題や擬似言語ではないプログラミング言語を使った問題などが出題されていました。

現在の科目B試験とは出題傾向がまったく異なるため、旧午後試験の過去問を解いたところで、現在は出題されていない内容の対策をすることになってしまいます。

そのためこれから基本情報技術者試験の合格を目指すなら、旧午後試験の過去問を使った勉強はおすすめできません。

科目B試験は「過去問」「予想問題」ではなく「サンプル問題」「公開問題」のPDFを入手できる

試験実施団体であるIPA(情報処理推進機構)のWebサイトでは、基本情報技術者試験のサンプル問題がPDFファイルで公開されています。

このサンプル問題の使用に際しては、使用許諾や使用料は特に必要ないので、学習にあたっては積極的に利用するようにしましょう。

基本情報技術者の科目B試験は、試験実施前に掲載されたサンプル問題と試験実施後に掲載された公開問題が利用可能です。

それぞれの掲載問題は、問題と解説がそれぞれ用意されています。試験前の腕試しとして適切なタイミングで活用するようにしましょう。

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「サンプル問題」「公開問題」「参考書」を使った科目B試験の対策法

ここまで解説してきた通り、基本情報技術者試験は2023年に試験制度が大きく変わったため対策に使える問題の数が非常に少ない状態です。

そのため、どうやって試験対策をすればよいのか悩んでいる受験者も少なくありません。

現在の基本情報技術者試験の対策ですが、まず参考書やWeb教材を使って一通りの基礎知識を身につけましょう。その上でサンプル問題を解いてみるのがおすすめです。

なお問題を解いて間違えたところは、参考書などを念入りに見直すとよいでしょう。そのあと公開問題を一通り解いて、さらに間違えたところを見直します。

またサンプル問題や公開問題で少しでも意味のわからない単語などが出てきたら、放置せずすぐに調べて確認するのが重要です。

この繰り返しで、過去問が少なくても着実に知識を定着させられるでしょう。

公開問題が理解できない場合は科目A試験対策が不十分

前述の通り、科目B試験の学習に利用できる問題は、2025年9月現在、試験実施団体であるIPA(情報処理推進機構)から公開されている公開問題とサンプル問題しかありません。

ただ、同じ形式ではないとはいっても、過去の基本情報技術者試験の午後試験問題でアルゴリズムやプログラミング、情報セキュリティといった問題に慣れておくことは非常に有用な方法と言えるため、問題演習に取り入れておくことは必須です。

また、問題演習において、そもそも問題に出てくる内容の用語が理解できないといった場合は、科目B試験対策に進む段階ではないかもしれません。

前述していますが、科目B試験対策を行うためには、科目A試験を問題なく理解できる知識が必要です。

更に、科目A試験を理解するためには、ベースとなるITの基礎的な知識が求められます。テキストや参考書を通読し、基礎知識を養いましょう。

ITを利活用するすべての社会人を対象者としている、ITパスポートの取得をしてから臨むことも有効です。

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科目B試験対策のポイント

科目B試験対策というとアルゴリズムやプログラミングの習得ばかりに注視しがちです。

一方で、少々問題文が長くなる問題について、多くの参考書や解説サイトでは、「国語力」「読解力」が必要だと記載されています。

国語力が十分ではない場合、問題文の条件を正確に読み取れません。

問題文を誤解していると、当然ながら回答も見当違いなものになってしまいます。

また、実際の現場が想定されている問題では、自分の会社の常識を当てはめてしまう例もあります。

自社の常識はIT業界すべての常識とは限りません。違う立場から読解することも、科目B試験を通過するためには必要な心がけです。

こうした国語力や読解力自体は、小中学校で習うような基本的なものです。しかし、社会人になると抜け落ちてしまいがちかもしれません。

テキストや参考書を読みながら自分の国語力・読解力に疑問を感じる場合は、主述や論理関係をつかむための国語学習をおすすめします。

過去問題からの出題が多い科目A試験に対し、科目B試験の内容は独学だと予測が難しいでしょう。

科目B試験対策としては、基本的に科目A試験対策の知識を固め、国語力/読解力の向上で、得点を伸ばすことが重要です。

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まとめ

ここでは、基本情報技術者試験の科目B試験の内容と、勉強法や過去問題の入手方法などについて解説しました。

最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。

・「科目B試験」は旧・「午後試験」から内容が大きく変更された

・「科目B試験」のアルゴリズムやプログラミングといった出題範囲を苦手と感じる人が多い

・「科目B試験」のサンプル問題はIPAのWebサイトからPDFで入手できる

・「科目B試験」対策のポイントは、「国語力」や「読解力」

こうしたポイントを押さえ、最新の内容に対応した試験対策を行いたい場合はスタディング基本情報技術者試験講座がオススメです。

スキマ時間を活用した効率的な学習で、基本情報技術者試験の合格を目指しましょう。

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