
基本情報技術者試験合格に向けた勉強にあたっては、過去問題を使った解答練習の繰り返しが非常に有効です。
出題傾向を把握し、頻出パターンに慣れておくと、試験本番で落ち着いて解答していくことができます。
特に科目A試験の対策では、過去問演習による高い学習効果が期待できます。
なぜ基本情報技術者試験対策では過去問の反復演習をやるべきなの?
現在は基本情報技術者試験の対策用に多くのテキストや参考書が流通しています。
一方で、最も多くの受験者に活用されている受験対策は、これまでに実施された基本情報技術者試験の過去問題です。
情報処理の基礎知識がある受験者でも、通常は過去問題の演習を何度も反復して、試験に臨みます。
他の資格試験と同様に、基本情報技術者試験でも、出題形式に慣れておくことが大切です。
本番の試験までには、本番と同じ形式で、過去問演習を複数回行っておくようにしましょう。
旧・午前試験で極めて有効だった過去問演習。科目A試験・科目B試験の対策法は?
午前試験と午後試験が実施されていた旧・試験制度の頃から、基本情報技術者試験の対策といえば過去問演習が有効な手段として知られています。
では、科目A試験、科目B試験の構成となった現在の試験では、どのように対策していくのがよいのでしょうか。
科目A試験は過去問題をたくさん解くことで余裕が生まれる
過去問題を解くことでつかめるのは、基本情報技術者試験の出題傾向だけではありません。
旧制度の午前試験では、過去問題とまったく同じ問題が出題されることも数多くありました。
新制度になって、名称が午前試験から科目A試験に変わり、若干出題形式に変更がありましたが、知っている問題が出題されることがあれば、試験が大幅に有利になるのは間違いないでしょう。
同じ問題は、当然答えも同じです。過去問題で学習した内容がしっかり身についていれば、確実に正解できます。
すぐに答えがわかるため、解答時間のペース配分にも余裕が生まれるでしょう。
旧・午前試験では全体の約40%で過去問と同様の問題が出題されていた
以下の表は、基本情報技術者試験の旧・午前試験で出題された問題のうち、過去問題からどのくらい出題されたかを集計したものです。
分野/問題数 | 過去問題から出題された数/% |
---|---|
テクノロジ系/50問 | 18問/36% |
マネジメント系/10問 | 4問/40% |
ストラテジ系/20問 | 12問/60% |
午前試験(全問)/80問 | 34問/43% |
分野によって、若干の差が生じていますが、全体でみると、約40%の割合で過去問題と同様の問題が出題されているのがわかります。
つまり、過去問題を確実に正解できるように学習を進めるだけでも、午前試験において、約4割の点数を得ることが可能だったということになります。
ただし、どの過去問題から出題されるかはわかりませんし、直近の過去問題から出題されることは少なかったようです。
同じ過去問題を繰り返し解くことで記憶が定着する
新制度の科目A試験でも、旧・午前試験に近い割合で出題されることと予想されますが、どのような出題でも対応できるよう、可能な限り多くの過去問を学習しておくことが重要と言えるでしょう。
過去問で学習する際のポイントは反復です。何度も同じ過去問題を解くことで記憶が定着します。
この学習で基本的な知識を身につけておくことは、科目A試験だけでなく、科目B試験(旧・午後試験)問題の理解を深めるためにも重要です。
過去問が存在しない科目B試験の対策方法は?
新制度とともに始まった科目B試験は過去問題が存在しないため、本番を想定した問題演習に使えるのは、試験実施団体であるIPA(情報処理推進機構)から公開されているサンプル問題しかありません。
ただ、出題形式が異なるとはいえ、アルゴリズムやプログラミング、情報セキュリティといった問題に慣れるために、旧制度の基本情報技術者試験の午後試験問題を学習に取り入れることは非常に有用な方法です。
また、科目B試験の出題範囲は、実務経験がない方、IT未経験の方の多くが苦手とする、アルゴリズムやプログラミング、情報セキュリティが中心です。
問題演習において、そもそも問題に出てくる内容の用語が理解できない場合は、まだ科目B試験対策に進む段階ではないのかもしれません。
科目B試験対策を行うには、まず科目A試験の内容をきちんと理解できるだけの知識が必要不可欠で、ベースとなるのは、ITの基礎的な知識です。
まずはテキストや参考書で基礎知識を養うことや、ITを利活用するすべての社会人を対象者としたITパスポートを取得してから基本情報技術者試験にチャレンジするというのも有効です。
過去問を徹底活用してもっと理解を深める勉強法
問題演習の繰り返しが進んできたら、ただ過去問題を解くだけでなく、語群に出現した関連用語をひとつひとつ調べて暗記をしたり、計算問題の誤った語群を分析して引っ掛け問題の傾向を知るといった、一歩進んだ勉強法にチャレンジしてみましょう。
こうした勉強法を身に着けることで、何度も繰り返し解いた過去問題からでも幅広い応用力を養うことができます。
過去問・サンプル問題はどこで手に入る?
基本情報技術者試験を運営している情報処理推進機構(IPA)のホームページに、基本情報技術者試験の過去問題と解答がまとめられています。
平成31年度、令和元年度までの過去問題はIPAのサイトで公開中
基本情報技術者試験の過去問題は、平成31年度・令和元年度までの問題冊子、解答例、採点講評(午後試験)がIPAのWebサイトにて公開されており、自由にダウンロードして使用できます。
なお、令和2年度から令和4年度までの基本情報技術者試験の問題は非公開のため、問題、解答例等はここに掲載されていません。
【参考】情報処理推進機構「問題冊子・配点割合・解答例・採点講評」
科目A試験対策には古い年代の過去問題も利用できる
上記の過去問題は、現行の試験とは若干異なる点もあるかもしれませんが、科目A試験の対策用として、旧・午前試験の過去問題を使うことができます。
ただし、午後試験の過去問題については、今の試験制度における出題傾向・問題形式とはまったく異なり、現行の科目B試験とも異なる内容ですので、使えないと思ったほうがよいでしょう。
最近の出題傾向が反映された「公開問題」を活用しよう
試験制度の変更以降、CBT方式の通年実施となった基本情報技術者試験では、CBT方式の試験問題のうち、実際に出題した試験問題を「公開問題」として公開しています。
現在公開されている2023年度、2024年度の公開問題は、以下のリンクから入手可能です。
【参考】情報処理推進機構「問題冊子・解答例(2023年度、令和5年度)」
【参考】情報処理推進機構「問題冊子・解答例(2024年度、令和6年度)」
科目B試験のサンプル問題も解いてみよう
古い年度にさかのぼって過去問題の練習ができる科目A試験に対して、科目B試験は問題練習に使える問題数が少ないのが受験者にとっての悩みの種です。そんなときは、IPAが公開しているサンプル問題も解いてみるとよいでしょう。
【参考】基本情報技術者試験 科目B試験 サンプル問題(PDF)
IPAの過去問題・公開問題・サンプル問題以外で効果的な勉強法は?
CBT試験化されて令和2年以降分の過去問題が公開されなくなった基本情報技術者試験ですが、可能な限りたくさんの問題を解いてから試験に臨みたいもの。
Webサービスやスマートフォンのアプリなどを積極的に活用しましょう。
インターネット上の過去問クイズWebサービス
インターネットには、基本情報技術者試験の過去問クイズが利用できるWebサービスがあります。
分野指定やランダムでの出題も可能で、隙間時間にいつでも勉強ができるので、過去問の記憶を定着させるために役立ちます。
スマートフォンアプリで隙間時間に基本情報技術者試験対策
そして、通勤時間や仕事・学校の休み時間など、隙間時間での学習ではスマートフォンのアプリが便利です。
各OS用に、基本情報技術者試験の過去問題をまとめたアプリが提供されています。
苦手問題を記憶する機能など、学習に役立つ機能が搭載されていますので、こちらも効果的に利用してください。
まとめ
基本情報技術者試験の過去問を使った勉強について解説してきました。ポイントをまとめます。
- 過去問での対策は特に科目A(旧・午前試験)で有効
- 過去問はIPAの公式サイトで入手できる
- 過去問の対策ができるサービスもある
過去問題を有効活用することで、基本情報技術者試験の合格率が高まります。
人によっては、勉強は過去問題の反復だけで十分かもしれません。過去数年分の問題を抜かりなく反復して試験に臨みましょう。
過去問だけでなく、総合的に基本情報技術者試験の学習を進めたい方は、スタディング 基本情報技術者試験講座がおすすめです。
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