基本情報技術者試験とは?
IT業界で働く上で必要なIT知識習得を証明する国家試験
基本情報技術者は、IT分野の入り口資格とも言える資格です。社会人全般を対象とした、IT基礎知識を学ぶ「ITパスポート」とは異なり、”開発者の登竜門”の位置づけになります。
基本情報技術者試験の対象者像では、急速に進むDXを視野にいれた、”開発者”を含む、広い”デジタル人材”が対象となっています。
|IT を活用したサービス,製品,システム及びソフトウェアを
作る人材に必要な基本的知識・技能をもち,実践的な活用能力を身に付けた者
様々な企業がDX推進に取り組み、今まで以上にデジタル人材は需要が高まっているといえます。
そんな中で、基本情報技術者の資格は、”デジタル人材の登竜門”の位置づけとして、自身がデジタル人材として必要な知識や技能を有している証明となります。
未経験でIT業界への転職に臨む際など、取得していると経験の不足分をカバーでき、社会的な信用も得られるため、転職や就職には有用な資格であると言えます。
勉強時間はどのくらい必要?
勉強時間は、ベースとなる情報処理の知識がある人とない人で、大きく変わってきます。
今回は、知識がある場合とない場合の二つに分けて、目安となる勉強時間をご紹介します。
情報処理の知識がある場合
具体的には、情報系の学校出身や、IT業界で働いている方が当てはまります。
ベースとなる情報処理の知識がある場合、50時間程度の勉強時間でも基本情報技術者試験の合格は可能だと考えられています。
仮に1日2時間ほど勉強を確保できた場合、約1か月で達成できる勉強時間です。
特にIT用語やプログラミングに関して前提知識があると、試験での大きなアドバンテージになるでしょう。
ただし、ストラテジ系やマネジメント系の問題は情報処理の知識がある方でもなじみが薄い分野かもしれません。
また、事前知識がある受験者でも、専門的な仕事をしている場合、汎用的な基本情報技術者試験の内容をカバーできていない可能性があります。
過去問題を解いてみて理解不足を感じた場合は、テキストや参考書を読み返してみましょう。
問題に慣れていないと当日焦ってしまうこともあります。
知識がある場合でも、過去問やサンプル問題を反復して解く、模擬試験を受けて問題形式に慣れるといったことは非常に重要です。
情報処理の知識がない場合
具体的には、文系学校の出身や、IT業界以外で働いている方が当てはまります。
情報処理の知識がほとんどない方の場合、基本情報技術者試験の合格には200時間程度の勉強が必要といわれています。
1日2~3時間の勉強時間を確保できた場合、約2~3か月は必要となります。
IT系の知識が十分ではない方、自信がない方は、可能な限り余裕を持って勉強を始めることをおすすめします。
もともと情報系に興味を持っていなかった場合、半年以上の勉強が必要なケースもあります。
最初から基本情報技術者試験に挑戦するのはハードルが高い場合は、準備運動としてITパスポートを受験する方も多いようです。
ITパスポートで出題されるストラテジ系、マネジメント系の問題に関する知識は、基本情報技術者試験にも流用できます。
最初はテキストや参考書を読んでも理解が難しいため、用語の意味を調べながら読み進めることになります。
この作業を丁寧に行い、まず基礎知識を身につけることが、その後の勉強に大切です。
効率的な勉強をするためのポイント
理想は出題される問題に関する知識を網羅的に身につけておくことです。
しかし、あくまで合格が目的という場合は、効率的に勉強を進めましょう。
まず、事前知識の有無に関わらず、公開問題やサンプル問題を解くといった、問題演習は必須です。
特に科目A試験に関しては、多くの問題が過去の問題からそのまま流用されます。事前知識によっては、ひたすら過去問題を反復するだけで合格レベルに到達するかもしれません。
科目B試験に関しては、2023年4月から実施された試験のため、まだ過去問題は少ない状態です。とはいえ、試験実施団体であるIPA(情報処理推進機構)の公開問題やサンプル問題などを分析し、出題内容に慣れておくことで、当日に備えることができます。
科目A試験、科目B試験ともに1,000点満点中の600点以上で合格です。模擬試験などで80%以上の点数を獲得できていれば合格できるラインだと考えられています。ひとまずはこのラインを目指して勉強を進めてください。
とは言え、50時間や200時間といった時間の確保ができるのか、不安になった方もいるのではないでしょうか。
働きながら、家事をしながら、固まった時間を確保することはなかなか難しいと思います。
効率的な勉強をするためには、【スキマ時間】を活用することが有用です。
通勤時間や休憩時間などのスキマ時間での学習を続けることで、思いのほか多くの時間が学習に充てられることがあります。
可能な限り多くの問題を反復して学習して、時間を有効に利用しましょう。
勉強は余裕を持って計画的に!
試験合格のための準備として、まずは自分の事前知識を把握し、必要な勉強時間を見積もりましょう。
知識が曖昧であったり、自信がない場合は、テキストの読み込みや科目A試験の対策に取り組みましょう。
科目B試験の対策は、基本的には科目A試験で身に着けた知識の応用となります。
そのため、何よりも基礎の知識を丁寧に身に着けることが重要です。
また、科目A試験、科目B試験ともに対策の時間はしっかりと確保しましょう。
前述しましたが、過去問題やサンプル問題は、科目A/B試験問わず複数回にわたって反復して解くことをおすすめします。
科目B試験と同じ形での公開問題・サンプル問題はまだ少ない状態ですが、過去に実施された午後試験の同じ分野の問題を解くことで、応用力を磨くことができるでしょう。
もし時間が余った場合は、自信がないと感じる知識を固める時間に使うのが賢明です。
そして一番重要なこととして、今回ご紹介した勉強時間を確保すれば、必ず基本情報技術者試験に合格するというわけではありません。
あくまで目安の勉強時間として理解してください。
自分の知識量から必要な勉強時間を割り出し、計画的に取り組むことが何よりも重要です。
事前知識がある場合も、必ず過去問題は数回解いて問題に慣れておくようにしましょう。
更なるステップアップを目指そう!
基本情報技術者の資格を取得し、情報処理技術のベースとなる知識と、学習する習慣を身に着けたあとは、是非次の上級資格へのステップアップを目指しましょう。
基本情報技術者は、情報処理技術者試験のスキルレベル2に相当します。
※(参考:情報処理推進機構https://www.ipa.go.jp/)
スキルレベル3
|応用情報技術者
応用情報技術者は、基本情報技術者試験合格後のステップアップの試験として認識されています。
出題範囲も基本情報技術者試験の延長線上の内容であり、基本情報技術者試験に合格していれば、現実的に挑戦可能な難易度です。
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験とは異なり、ペーパー方式で1日に午前試験・午後試験をこなします。
また、基本情報技術者試験にはなかった「記述式」の問題が午後試験で出題されます。
応用情報技術者は、合格率が毎年20%前後を推移しており、難関資格と言える資格です。
この資格を取得することで、業務レベルの知識を持っている証明になることは勿論、後述する高度情報処理技術者試験の午前Ⅰ試験や、弁理士試験(科目)、中小企業診断士(科目)などが決まった期間免除が受けられるなど、大きなメリットもあります。
スキルレベル4
|高度情報処理技術者
高度情報処理技術者は、情報処理技術者試験のなかでスキルレベル4に相当する上級資格です。
高度な専門知識と技能が問われる難易度の高い資格ではありますが、合格できれば、その分野を徹底的に極めたスペシャリストとして認められ、信頼と評価を得ることができます。
応用情報技術者試験の上位試験と位置付けられており、午前試験の一部は応用情報技術者試験の過去問題が出題されます。
応用情報技術者試験を取得していた方が挑戦はしやすいかもしれませんが、必ずしも取得が必要というわけではありません。
ベースとなる知識を固め、日々の計画を立てて継続した学習することが重要です。
高度情報処理技術者は、今後のキャリアアップを視野に入れ、IT知識をさらに究めたい方にはおすすめです。
【高度情報処理技術者】
・ITストラテジスト試験
・システムアーキテクト試験
・プロジェクトマネージャ試験
・ネットワークスペシャリスト試験
・データベーススペシャリスト試験
・エンベデッドシステムスペシャリスト試験
・ITサービスマネージャ試験
・システム監査技術者試験
【情報処理安全確保支援士】
・情報処理安全確保支援士試験
また、高度情報処理技術者試験/情報処理安全確保支援士試験は、下記の要件のいずれかをクリアすることで、午前試験の一部の免除を受けることができます。
- 応用情報技術者試験に合格
- いずれかの高度試験または支援士試験に合格
- いずれかの高度試験または支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る
なお、免除適用が受けられるのは合格後2年までとなっているため、利用を検討する際は、計画的に学習・受験をしましょう。
詳しくは下記の記事でも紹介しておりますので、是非ご覧ください。
基本情報技術者試験とのダブルライセンスで キャリアアップ! |