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基本情報技術者試験の難易度は?科目B試験の擬似言語は難しい?

基本情報技術者試験の難易度は?科目Bの擬似言語は難しい?

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基本情報技術者試験の難易度は?

基本情報技術者の試験は、情報処理技術者の試験の中では基礎的なレベルにあたる「レベル2」です。

「基礎的なレベル」と聞くと簡単そうに聞こえますが、問われる知識はITパスポート試験よりも深く、合格するためには相応の勉強量が求められます。

そんな基本情報技術者の試験は、2023年度の4月から試験内容が以下のように大きく変わりました。

  • 通年試験化により、随時受験可能となった
  • プログラミング言語は擬似言語に統一された
  • 試験時間が短縮された
  • 選択問題がなくなり、全問回答必須になった
  • 「1問何点」という明確な採点基準はなくなった

「試験内容が変化したら、資格が取得しにくくなるのでは?」と心配する人もいるでしょう。

しかし、一年中試験を受けられるようになったため「合格するチャンスが増えた」と捉えるべきです。

この記事では、基本情報技術者試験制度の変更にともなう難易度の変化や勉強方法などを詳細に解説していくので、試験傾向をつかんで合格を目指しましょう。

試験の採点方式や出題範囲、合格基準点は?

具体的に試験のどのような部分が変更されたのかを解説します。

▼採点方式は素点方式からIRT方式に変更

まず大きく変化したのは、採点方式です。

今までは「1問何点」という、問題ごとに配点が決まった素点方式でしたが、IRT方式(Item Response Theory:項目応答理論)に変化しました。

IRT方式とは、解答結果に基づいて配点を算出する仕組みの採点方法です。

ちなみに、ITパスポート試験でも用いられている採点方式でもあります。

IRT方式は、問題の難易度に差があっても不公平が生じないように採点できるため、異なるテスト間でスコアを比較できるのがメリットです。

このIRT方式が採用されたことによって、試験の複数回実施や常時受験が可能となり、基本情報技術者合格のチャンスが広がりました。

▼出題範囲は、科目A試験が旧午前試験に準じる形、科目B試験が擬似言語と情報セキュリティの二分野

科目名称は以下のように変更しています。

  • 午前試験→科目A試験
  • 午後試験→科目B試験

基本的な知識を問う科目Aの試験は、旧午前試験に準じるような形で、出題範囲に大きな変更はありません。具体的な出題内容は以下のとおりです。

  • テクノロジ系(基礎理論・コンピュータシステム・技術要素・開発技術)
  • マネジメント系(プロジェクトマネジメント・サービスマネジメント)
  • ストラテジ系(企業と法務・経営戦略・システム戦略)

実務知識に近い科目Bの試験は「アルゴリズムとプログラミング」(擬似言語による出題)と「情報セキュリティ」の二分野中心の構成になりました。

想定される出題割合は「アルゴリズムとプログラミング」が8割程度、「情報セキュリティ」が2割程度です。

午後試験で実施されていたJavaやPythonなどの個別プログラミング言語による出題はなくなり、科目Bの試験では擬似言語による出題に統一されています。

また、今までの午後試験では選択問題があり、解きたい問題を選べましたが、変更後の科目B試験では全問を解答する形です。

▼合格基準点は科目A試験、B試験ともに1,000点満点中600点以上

基本情報技術者の合格基準は、科目A、Bの各試験ともに1,000点満点中600点以上を獲得することです。

仮に科目A試験で1,000点満点を獲得したとしても、試験Bが500点だった場合は不合格になってしまうので、両方の科目で基準点を満たす必要があります。

合格基準を満たすために、押さえておきたい出題形式の変更は以下のとおりです。

【午前試験と科目A試験の比較】

試験時間
出題数
解答数
満点
基準点
午前試験(旧試験) 150分 80問 80問 100点 60点
科目A試験(変更後) 90分 60問 60問 1,000点 600点


【午後試験と科目B試験の比較】

試験時間
解答数
満点
基準点
午後試験(旧試験) 150分 大問 5問

※選択問題あり

100点 60点
科目B試験(変更後) 100分 小問 20問

※選択問題なし

1,000点 600点

科目A試験においては、試験時間・出題数・解答数が全て減っていることがわかります。

しかし、1問あたりの解答時間で考えると、旧午前試験では1問あたり1.875分の時間を使えたのに対し、科目A試験では1.5分となっており解答時間が減っています。

また、科目B試験においても試験時間が短くなっており、一問一問をスピーディーに解く力が求められることがわかります。

基本情報技術者試験の採点方法がIRT方式であるため、具体的に「何問正解できれば合格」とはいえませんが、模擬試験などで80%以上の点数を獲得できていれば合格できるラインでしょう。

基本情報技術者試験の合格率は?

令和4年度(2022年度)下期における基本情報技術者試験の合格率は34.8%でした。

受験者数45,618人のうち15,919人が合格した結果です。

過去の受験者数・合格者数・合格率の推移は以下のとおりです。

受験者数
合格者数
合格率
令和4年度下期試験


(2022年11月実施)

45,618人 15,919人 34.8%
令和4年度下期試験


(2022年10月実施)

9,882人 3,861人 39.0%
令和4年度上期試験


(2022年5月実施)

37,574人 14,399人 38.3%
令和4年度上期試験


(2022年4月実施)

8,449人 3,816人 45.1%
令和3年度下期試験


(2021年11月実施)

43,850人 17,033人 38.8%
令和3年度下期試験


(2021年10月実施)

8,981人 4,134人 46%
令和3年度上期試験


(2021年6月実施)

25,637人 10,087人 39.3%
令和3年度上期試験


(2021年5月実施)

6,871人 3,435人 49.9%

【参考】IPA情報処理推進機構「情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験(CBT方式)」

令和3年度(2021年度)からの合格率を平均すると、基本情報技術者試験の平均合格率は41.4%でした。

2023年変更後に難易度は変化する?

2023年度の基本情報技術者試験における制度変更によって、試験の難易度がどう変わるか、気になるところではないでしょうか。

まずは、試験の変更点を振り返ってみましょう。

大きな変更点としてまず挙げられるのは、試験時間が30~40%程度短縮された点です。

科目A試験は出題数・解答数ともに減少していますが、1問あたりに費やせる解答時間が減っています。

科目B試験は、1問あたりの出題がコンパクトになり、試験時間は減少しました。

変更前の試験制度と比較すると、問題をよりスピーディーに解く必要が出てきたことがわかります。

また、科目B試験の構成は「アルゴリズムとプログラミング」(擬似言語による出題)と「情報セキュリティ」の二分野が中心になりました。

午後試験で実施されていた個別プログラミング言語による出題はなくなり、擬似言語による出題に統一されています。

つまり、より普遍的・本質的なプログラミング的思考力が求められるようになったのです。

上記のような変更はありましたが、スキルレベルや対象者像は大きく変わったわけではありません。

得意分野で苦手分野をカバーする旧・午後試験のような得点の仕方はできませんが、しっかりと対策を行って臨めば、合格を掴み取ることができるでしょう。

科目B試験の擬似言語は難しい?

科目B試験の出題範囲が変更となりましたので、この点も解説します。

C、Java、Pythonなど個別プログラム言語の出題は廃止

C言語やJavaといった個別のプログラミング言語の出題が廃止され、擬似言語へ統一されました。

また変更前は、出題された大問 11問の問題の中から、必須選択である「情報セキュリティ」「データ構造及びアルゴリズム」「ソフトウェア開発」の3問と、選択した問題2問の計5問を解答する形式でした。

これが制度変更後の科目B試験では、出題された小問20問全てを解く形式になったのです。

20問のうち「アルゴリズムとプログラミング(擬似言語)」に関する出題が8割、「情報セキュリティ」に関する出題が2割です。

「アルゴリズムとプログラミング(擬似言語)」の攻略が、科目B試験の合格基準点を満たせるかどうかのカギを握っているといっても過言ではありません。

ちなみに、擬似言語の表記方法も変更になっています。

従来は「▲」や「■」を使用した独特な表現でしたが、変更後の科目B試験では「while」や「if」を用いた表現になりました。

普遍的・本質的なプログラミング的思考力が問われる

2023年の試験制度変更で、今まで特定の言語を選択できたプログラムの問題について、個別プログラム言語の出題が廃止され、擬似言語による出題に統一されました。

問題内容が擬似言語に統一されたことによって、特定の言語に精通している人にとっては、若干の解きにくさを感じる場合もあるかもしれません。

しかし、プログラミングの本質を理解できていれば解くことが可能でしょう。

試験内容が変更されたことによって、特定のプログラミング言語に偏らないような、普遍的で本質的な思考力が問われるようになったのです。

試験実施団体であるIPA(情報処理推進機構)のHPには、サンプル問題セットが掲載されています。

まずはそこから問題傾向をつかんでみるのもいいかもしれません。

【参考】IPA情報処理推進機構「情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について」

ITパスポートや応用情報技術者とのレベル比較

「基本情報技術者」の資格レベルは、情報処理技術者の試験の中では基礎的な水準である「レベル2」で、難易度は下から数えて2番目です。

このレベルは、他の情報処理技術者の資格と比べるとどのような位置づけなのでしょうか。

以下で詳しく解説していきます。

ITパスポート試験と基本情報技術者試験、どっちが難しい?

まず、大前提としてITパスポートは「IT利用者」の立場からスキルを問う資格です。

それに対して、基本情報技術者の試験で問われるのは、ITを活用した製品・サービス・ソフトウェアを「作る側」のスキルです。

よって、ITパスポートと基本情報技術者では求められる人材像が異なる点はあらかじめ理解しておきましょう。

それをふまえて難易度を比較していくと、ITパスポートの試験は情報処理技術者試験の中では「レベル1」に相当します。

基本情報技術者は「レベル2」に相当し、プログラミングやアルゴリズムの知識が要求されるため、ITパスポートよりも基本情報技術者のほうが難易度は高いとされています。

ITに関する知識が少ない場合、まずは「IT利用者」の立場から勉強できるITパスポートの資格取得で基礎固めをし、次に「作る側」のスキルを問う基本情報技術者の勉強をはじめるのもいいでしょう。

応用情報技術者試験は基本情報技術者試験より難しい?

応用情報技術者試験と基本情報技術者試験では、応用情報技術者試験のほうが難しい試験として位置づけられています。

応用情報技術者試験は情報処理技術者試験の中では「レベル3」に相当し「ワンランク上のITエンジニア」であるとされています。

応用情報技術者を取得すると、技術から管理、経営まで、幅広い知識と応用力を身に付けることが可能です。

システム開発やIT基盤構築などの場面で、多大な貢献ができるでしょう。

一方で、基本情報技術者は「レベル2」に相当し、ITエンジニアとしてのキャリアをスタートさせる際に取得することが推奨されています。

基本情報の勉強法、勉強時間は?独学でも合格できる?

基本情報技術者の試験は、2021年以降の合格率が約40%で、決して難易度が低い試験ではありません。

しかし、十分な勉強時間を確保し効果的な対策を行えば、独学でも十分に合格を目指せる試験です。

ここからは、過去問題や教材を活用した効果的な学習方法や、基本情報技術者の試験合格のために必要な勉強時間について解説していきます。

基本情報技術者の試験合格における具体的な方法や対策を知り、資格取得を目指しましょう。

基本情報技術者の資格を取得することで、ITエンジニアに必要な知識を広く習得できるので、IT系企業への就職や転職に有利です。

とりわけ、システムエンジニアやプログラマーの職種を目指している人は、勉強した知識をいかしやすいでしょう。

過去問題をたくさん解く勉強法が有効

基本情報技術者の試験合格のためには、過去問を繰り返し解く勉強方法が効果的です。

特に、かつての午前試験に相当する科目A試験の試験範囲はこれまでと同様なので、類似の問題が出題される割合が大きいです。

頻出の過去問題を繰り返し解けば、効率よく学習を進められるでしょう。

過去問題を使用してより効果的に学習を進めるために、まずは出題範囲に関する知識をインプットしておくのがおすすめです。

本などの教材で知識を身に付けた後に、過去問題で問題演習を行うという順番で勉強することで、効率よく正答率を上げられます。

科目B試験の勉強は、科目A試験の勉強がそのまま対策につながります。

科目B試験の構成は「アルゴリズムとプログラミング」(擬似言語による出題)と「情報セキュリティ」の二分野が中心です。

とりわけ情報セキュリティ分野に関しては、科目A試験をしっかりと対策しておくことで、大部分が対応できるようになるでしょう。

アルゴリズムとプログラミング分野に関しては、科目A試験よりもさらに深い内容を科目B試験で問われるので、重点的に対策を行う必要があります。

アルゴリズムとプログラミング分野からの出題が8割程度になるので、この分野を攻略できるかどうかが試験合格のポイントです。

科目B試験に関しては、2023年7月時点で一部の過去問のみ公開されています。その他、IPAが公開しているサンプル問題などを分析し、出題内容に慣れておくことで、当日に備えることが可能です。

サンプル問題は以下のリンクから確認できます。

【参考】IPA情報処理推進機構「情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について」

勉強時間は50時間~200時間を目安に

基本情報技術者の試験合格のために必要な勉強時間は、50時間から200時間ほどです。

ITに関する基本知識の有無で必要な勉強時間が異なります。

ITに関する基本的な知識がある場合、合計で50時間ほどの勉強時間でも、十分に合格を目指すことが可能です。

1日に1~2時間程度の勉強を1カ月継続すれば合格可能なので、ITに関する基本的な知識を持っていればかなり有利であることがわかります。

ITに関する基本的な知識が全くない場合、基本情報技術者試験に合格するためには200時間程度の勉強が必要です。

1日に2~3時間の勉強を、約2~3カ月続ければ合格できるでしょう。

ITに苦手意識を持っている場合は、余裕を持って勉強をはじめるのがおすすめです。

2023年の制度変更で、基本情報技術者の試験は通年化されましたが、それまでは年2回の実施でした。制度変更前の試験実施サイクルをもとに、勉強期間を「半年」に設定した場合は、1日に必要な勉強時間は1~2時間程度となり、比較的余裕をもって勉強できるでしょう。

ちなみに、ITに関する知識が少ない人が勉強を効率的に進めるためのポイントは、わからない専門用語はその都度調べるクセをつけることです。

専門用語の意味をあいまいなままにしておくと、勉強を進めた別の場所でも必ず苦労することになります。

「面倒」と感じても、わからない専門用語をその都度調べていくことが、実は効率の良い勉強方法なのです。

まとめ

基本情報技術者試験の難易度について解説してきました。ポイントをまとめると以下となります。

  • 基本情報技術者の試験は、情報処理技術者の試験の中では基礎的なレベルにあたる「レベル2」とされる。
  • 合格基準点は科目A試験、科目B試験ともに1,000点満点中600点以上。
  • 2021年~2022年までの合格率は約40%で、対策すれば独学でも十分に合格可能。
  • 2023年4月からは通年試験化により随時受験可能となり合格のチャンスが増加。

ITエンジニアをはじめとして、ITに関わる仕事に携わるのであれば基本情報技術者の資格を取得しておくといいでしょう。また、試験範囲の学習を進めることで、IT業界で働くための基礎知識を身につけることができるでしょう。

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