しかし、現在プログラマーとして仕事をしながら受験する人も多い試験であり、予備校に通うのが難しいケースもあります。今回は、応用情報技術者試験に独学で合格する秘訣や勉強方法、独学に向いている人と向いていない人の特徴などを解説します。
応用情報技術者試験は独学でも合格可能?
応用情報技術者試験、独学で受かりますか? | |
ポイントを押さえて正しい手順で対策をすれば、独学での合格も十分可能です! |
応用情報技術者試験は、以前は「ソフトウェア開発技術者試験」という名称でしたが、平成21年の新試験制度への移行にともない試験の名称変更が行われました。受験者数は毎年3~4万人、合格率は例年20~25%前後で推移しています。
試験難易度はやや高く、予備校などに通わなければ合格できないと考えている人も少なくありません。しかし、応用情報技術者試験を受ける人のなかには現在プログラマーやエンジニアとして仕事をしている人も多く、毎日通学するのは厳しいのが現状です。
予備校への通学がチャレンジへのハードルになっているのであれば、独学で勉強を始めてみてはいかがでしょうか。応用情報技術者試験は、ポイントを押さえて正しい手順で対策をすれば、独学での合格も十分可能です。独学で勉強する際に意識するべきポイントを3つご紹介します。
期限を決める
独学で勉強する場合は、まず期限を決めることが大切です。独学はスケジュールを自由に決められるメリットがある一方、勉強のペースが乱れやすい難点もあります。毎日コンスタントに勉強を続けるためには、まず「〇月●日の試験に合格する」と期限を決めましょう。
応用情報技術者試験は、例年4月の第3日曜日と10月の第3日曜日に実施されています。これをもとに受験予定の日程を確認し、期限を決めましょう。さらに、勉強の内容を細分化して、「△月▲日までにはこの分野、□月■日までにはこの分野を終わらせる」など、細かく予定を立てるのが理想です。
自分に適したインプット方法を理解する
勉強においてインプットは必要不可欠であり、応用情報技術者試験でもそれは変わりません。インプットに適した方法は人それぞれ異なるため、自分に合った勉強方法を見つけることが大切です。インプット方法は、主に以下の3つがあります。
- 目で見て覚える
- 耳で聞いて覚える
- 手で書いて覚える
目で見て覚えるのが得意な人は参考書を読み込む、耳で聞いて覚えるのが得意な人は参考書を声に出して読む、手で書いて覚えるのが得意な人は参考書をもとにノートを作るなど、自分がインプットしやすい方法を活用しましょう。
疑問点を残さない
勉強を続けていると、わからない部分や疑問点が出てきます。勉強中につまずいたときは、できるだけその場でテキストを確認し、疑問点を解消するよう心がけましょう。勉強は基本の積み重ねです。最初につまずいた部分を放置していると、後半で勉強する内容が理解できない可能性があります。それを防ぐためにも、疑問点はできるだけ早く解消し、知識の穴を作らないようにしましょう。
独学者が行っている勉強法、使用している教材
独学で受かる人は、どんな教材を使っているの? | |
「これ!」と決めた参考書1、2冊と、過去問を回しましょう! |
独学者のしてしまいがちな失敗のひとつが、教材や参考書に手をつけすぎてしまうことです。独学において使用する教材選びは重要ですが、あまり多くの教材を参考にすると、表現の差異や細かな点に気を取られて勉強が進まない可能性があります。応用情報技術者試験に臨む場合は、以下の教材を準備できれば十分です。
- 市販の参考書1、2冊
- 過去問5年分
参考書は、書店で実際に手に取り、読みやすい・理解しやすいと感じたものにしましょう。判断が難しいようであれば、定番と呼ばれる大手会社の参考書を選ぶのが無難です。
とくに重要なのが、過去問です。過去問は試験問題の傾向をつかむのに役立ちます。なかには、過去問を応用して出題される問題もあるため、最低でも5年分は用意しておくと安心です。
教材が準備できたら、試験に向けて勉強を開始します。こちらでは、独学者が実際に行っている勉強法をいくつかご紹介します。
午前と午後でそれぞれ対策をする
応用情報技術者試験では、午前中の問題と午後の問題で試験内容の傾向が変わります。そのため、午前と午後それぞれに応じた対策が欠かせません。午前問題と午後問題の試験の概要と対策のポイントを下記の表にまとめました。ぜひ参考にしてください。
試験の概要 | 対策のポイント | |
午前問題 | 全80問/マーク式/4択問題/150分 | 徹底的な過去問演習を繰り返す 単語の理解と暗記を自分に適したインプットの方法で行う 頻出略語は正確に覚える |
午後問題 | 11問のうち5問解答(必須問題1問)/記述式/150分 | 必須問題の「情報セキュリティ」について対策する 短期合格を狙う場合は4問に絞る 得意分野の科目を把握する |
午前問題は、半数近くが過去問を流用したものが出題されています。流用した問題以外にも、過去問に類似した問題が出題されることもあるため、過去問の徹底的な演習が効果的です。
午後問題は記述式での解答が求められます。必須問題である情報セキュリティを除き、10問から4問を選択します。10問の試験科目については、以下の通りです。
- 経営戦略
- プログラミング
- システムアーキテクチャ
- ネットワーク
- データベース
- 組込みシステム開発
- 情報システム開発
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
- システム監査
全科目勉強できるのが理想ですが、短期合格を狙う場合は、得意分野4問+予備1、2問に絞るのがおすすめです。
基礎理論を飛ばすという方法もあり
初学者の人がつまずきやすいのが、多くのテキストで最初に記載されている「基礎理論」です。基礎理論はIT全般の仕組みを理解するうえで基礎となる理論で、試験に合格するためにはもちろん、今後プログラマーやエンジニアとして活躍するためにも欠かせません。
しかし、基礎理論は数学的な内容や抽象概念が多く、初学者や文系の人にはなかなかとっつきにくい内容になっています。基礎理論の段階でつまずいてしまい、その後の勉強に進めなかったという人も少なくありません。
基礎理論以降の内容には、ストラテジ系など初学者でも理解しやすいものが含まれています。基礎理論で長時間つまずいているのであれば、一旦飛ばして先を勉強し、ある程度理解が進んでから基礎理論を学習し直す方法もあります。
過去問をとにかく回す
前述の通り、応用情報技術者試験の午前問題では、半数以上が過去問を流用して出題されます。なかには問題文や選択肢がそのままの状態で再出題されるものもあるため、過去問をどの程度やり込めるかが重要です。また、過去問演習を繰り返し正解と照らし合わせることで、出題形式に慣れるだけでなく、午後問題の基礎的な能力も身につけられます。最低でも過去問5年分を繰り返し解きましょう。
過去問を解く際は、実際の試験時間を意識することも大切です。午前問題と午後問題の試験時間は、それぞれ150分ずつです。演習だからと時間を無視して問題を解き、たとえ全問正解しても200分かかってはあまり意味がありません。日ごろから150分で問題を解く癖をつけ、内容理解だけでなく時間感覚をつかむようにしましょう。
オンライン上で応用情報技術者試験の過去問を提供しているサイトもあります。最初から分厚い問題集に手を出しづらい場合は、そういったサイトを活用する方法も効果的です。
スキマ時間を活用して暗記に取り組む
応用情報技術者試験に合格するためには、細かな単語の暗記も必要不可欠です。ただ、仕事をしながら、学校に通いながら勉強する場合は、まとまった時間を取るが難しいケースもあります。ある程度時間を確保できた場合は、記述式の対策など時間のかかる問題に注力したいところです。
そこで、単語や略語の暗記は、通勤・通学時間などのスキマ時間を活用しましょう。トイレに単語の一覧表を貼っておき、トイレを使用するたびに単語をひとつ覚える方法もおすすめです。
合格までにかかる平均的な勉強時間
応用情報技術者試験は、難易度の高い試験のひとつです。そのため、「何時間以上勉強したら合格できる」というものはありません。毎日コツコツと勉強して、しっかりと対策を重ねることが大切です。
勉強時間の目安をあげると、IT関連の資格をもっていない初学者の場合、500時間以上の勉強が必要とされています。毎日2時間勉強する場合、8~9か月程度の期間が必要です。1年後の試験に照準を合わせたら、十分合格可能といえるでしょう。
基本情報技術者試験に合格している人の場合は、200時間程度勉強すれば合格が期待できます。毎日2時間勉強するケースでは、3~4か月程度の期間が必要です。4月と10月どちらの試験に照準を合わせるのか、スケジュールを決めてから勉強を始めましょう。
なお、これらの勉強時間は、あくまで目安です。自分の知識や学力に応じて、時間を多めに見積もっておくと安心です。
独学で勉強している人の割合
独学で勉強している人の割合は公表されていません。しかし、応用情報技術者試験は現役のプログラマーやエンジニア、大学生などが受ける試験です。毎日予備校に通うのが難しいケースもあるため、独学で合格を目指している人は一定数いると考えられます。実際、独学で合格した人の体験談をさまざまな場所で確認できます。忙しい人でも諦めずに、独学で勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
独学に向いている人の特徴
独学には向き不向きがあります。独学に向いている人であれば、予備校に通わなくても十分勉強が可能です。こちらでは、独学に向いている人の特徴をご紹介します。
自己管理が得意
独学には自己管理が欠かせません。前述したスケジューリングはもちろん、疲れた日ややる気の起きない日でも自分を奮い立たせて、勉強机に向かう必要があります。「疲れているけど今日の分は終わらせておこう」「遊びに行く前に勉強しておこう」など、今やるべきことを後回しにしない人が独学には向いています。
自己管理能力を高めるためには、勉強を習慣化するのがおすすめです。たとえば、朝の通勤時間帯とお昼休みは単語の暗記、夜9時からは2時間記述式の勉強、その後は自由時間といった具合に、ある程度ルーチンワーク化できると毎日継続して勉強できます。
ひとりで集中して勉強できる
独学であっても、カフェやコワーキングスペースなどを活用して勉強している人も多いですが、仕事や学校に行きながら勉強する場合は毎日利用することは難しいでしょう。自室にこもってひとりで勉強する日もあるはずです。
独学は、他の人の目がない場所でも、ひとりで集中できる人が向いています。周りに人がいる環境でなければ集中できない、という人は予備校などに通うのが良いかもしれません。
スクールに通う時間がない
物理的に予備校に通う時間がない、という人も独学が適しています。応用情報技術者試験は、現在エンジニアやプログラマーとして活躍している人も受験する試験です。働きながら勉強を続ける場合、予備校に通う時間的余裕がないケースも珍しくありません。独学であれば、仕事終わりにカフェに寄って勉強したり、自宅に帰って夜遅くから勉強を開始したりできるためおすすめです。
わからない点や疑問点を調べるのが得意
勉強を進めていると、わからない点や疑問点が出てくるでしょう。独学で勉強する場合は先生や講師がいないため、自分で解答や理由を調べる必要があります。わからない点や疑問点について、自分でインターネットを使って調べたり、実際の合格者に尋ねたりできる人が独学に向いているといえます。
最初に選んだ参考書にすべての答えが載っているとは限りません。解答が載っていても、その理由が記載されていない場合もあります。疑問点を残さないためにも、参考書の不十分な点は自分で積極的に補っていきましょう。
完璧主義ではない
「完璧主義ではない」のも、独学で勉強する場合は重要な要素です。完璧主義の人はスケジュールを細かく設定し、少しでも予定が遅れると焦ってしまう傾向にあります。その結果、睡眠時間を削って勉強し、効率を下げるだけでなく体調を崩してしまう人も少なくありません。
独学で勉強する場合は、良い意味である程度大ざっぱな人が向いているといえます。スケジュールは余裕をもって目標を決め、今の生活でも無理のないペースで勉強を続けられるかが重要です。
独学に向いていない人の特徴
応用情報技術者試験は、独学でも十分合格可能な試験です。しかし、独学には向いている人と向いていない人がいるため、向いていない人が独学で勉強してもなかなか身につかない可能性があります。こちらでは、独学に向いていない人の特徴をご紹介します。以下の特徴に当てはまり、勉強方法に悩んでいる人は、独学ではない方法を試してみるのがおすすめです。
スケジュールを立てることが苦手
目標やスケジュールを立てるのが苦手、という人は独学には向いていません。応用情報技術者試験のように、一定の難易度がある試験にチャレンジする場合、目標や期間を決めて勉強しなければモチベーションを維持できなくなります。試験日から逆算していつまでに何を勉強するのかスケジュールを立てなければ、漫然と勉強してしまうでしょう。
自分でスケジュールを立てるのが難しい場合は、「○月●日の試験」を目標に授業が進む予備校のほうが適しています。プログラムも試験に間に合うようにスケジューリングされているため、自分で予定を立てる必要がありません。
とにかく効率良く勉強したい
とにかく効率良く勉強したい、という人にも独学はあまり適していません。予備校であれば目の前に先生や講師がいて質問できたり、おすすめの参考書を教えてもらえたりします。万人受けしやすい方法で勉強を進められるため、とにかく効率を重視して勉強したい人には予備校が良いでしょう。
ただし、スクールで勧められた参考書や担当講師との相性が良いとは限りません。少し苦労しながらでも、試行錯誤して自分に合った勉強方法や参考書を見つけたいという人には、独学がおすすめです。
予備校の雰囲気が好き
人が集まって授業を受け、休み時間には友達と授業内容の復習をしたり、問題を出し合ったりする、このような予備校特有の雰囲気が好きという方にも独学は向いていません。
独学での試験勉強は、基本的に孤独です。自分ひとりでコツコツと勉強を進める必要があり、同じ目標をもった仲間を探すのは簡単ではありません。ひとりでは集中して勉強ができないため、誰かと一緒にがんばりたいという人には予備校のほうが適しているでしょう。
ただし、スクールに通う目的が勉強ではなく友達に会うことになると、大切な勉強時間が失われてしまいます。予備校に通う場合でも高い意識をもって勉強するのが大切です。
誘惑に勝てない
自宅で勉強していると、テレビやマンガ、スマートフォンなどさまざまな誘惑があります。独学で勉強する場合は、それらの誘惑に打ち勝つ必要がありますが、それが難しい人は予備校など誘惑の少ない場所で勉強するのが適しているでしょう。
自宅からすべての誘惑を取り除くのは簡単ではありません。独学者のなかには、自宅では一切勉強せず、必ずカフェやコワーキングスペースを利用するようにしている人もいます。ぜひ参考にしてください。
モチベーションが低い
応用情報技術者試験を受ける人のなかには、会社からの指示で仕方なく勉強する人のように、あまりモチベーションが高くないケースも考えられます。独学は自分の意思で勉強する必要があるため、モチベーションが低い状態で続けるのは簡単ではありません。
モチベーションの維持が難しい場合は、強制的に勉強しなければならない環境を作ることができる、予備校での学習がおすすめです。自分で厳しくスケジュール管理をしなくても、用意されたカリキュラムをこなすだけで勉強を進められます。
独学のデメリット
試験勉強に臨む場合、独学はひとつの手段ですが、万能の方法ではありません。こちらでは、独学のデメリットをご紹介します。
モチベーションの維持が難しい
独学者の多くがぶつかる壁のひとつが、モチベーションの維持です。最初はやる気に満ちあふれて勉強を始めた人でも、進めるうちにモチベーションが維持できなくなり、途中で挫折してしまうケースは珍しくありません。
スクールでの学習であれば、同じ目標をもった人が周りにいるため、モチベーションを高く保ちやすい傾向にあります。一方、独学の場合は周囲に同じ勉強をしている人がいないケースも多く、悩みや勉強方法の共有ができずモチベーション低下の要因になります。勉強するもしないも自分次第になるため、いかにセルフマネジメントをしてモチベーションを高く保つかが重要です。
勉強方法がわからない
ひと口に独学といっても勉強方法はさまざまであり、自分に適したものを見つける必要があります。やる気はあるのに勉強方法がわからず、いつの間にか時間が経っていた、というケースも珍しくありません。身の回りに勉強方法や手順について指南してくれる人がいれば理想的ですが、独学の場合は難しいでしょう。
身についているのがわかりづらい
予備校に通っている場合は、日々行われるチェックテストやクラス分けによって、現時点での自分の理解度を確認できます。それをもとに勉強方法を見直したり、苦手分野・得意分野を把握したりすることが可能です。
しかし、独学の場合は理解度を確認する機会が少なく、自分の勉強方法が合っているのか、知識が身についているのかがわかりづらくなってしまいます。予備校のなかには、外部の人でも受けられる模試を定期的に開催しているところもあるため、積極的に活用するのがおすすめです。
アウトプット先が少ない
独学では、アウトプット先が少ないのもデメリットです。予備校で学習している場合は、周囲の人との何気ない会話から気づきを得たり、自分から発信することで知識が深まったりします。
一方、独学ではアウトプットの機会が少ないため、覚えているつもりでもテストで答案に反映できないというケースも珍しくありません。独学で勉強する場合は、勉強した内容を家族や同僚に話すなど、アウトプット先を確保しておく必要があります。
独学のデメリットはオンライン講座で解消できる
独学には上記のようなデメリットがありますが、仕事や学校などで時間的余裕がなく、予備校に通うのが難しい人は少なくありません。そのような人におすすめなのが、オンライン講座です。オンライン講座は、お手持ちのスマートフォンやPC、タブレットなどで専任講師の授業を受けることができ、独学で感じたデメリットを解消できます。
動画講座で学ぶだけでなく、一問一答形式の問題集や出題傾向を分析した過去問などを提供してもらえる会社もあり、独学で不足しがちなアウトプットの機会も十分に確保できます。また、短期合格にできるように学習フローが設定されているため、スケジュール管理や学習計画を立てるのが苦手な人でも安心です。実際、オンライン講座受講者のなかから、多くの合格者が輩出されています。
現在仕事や学業で「時間がない」「やる気が起きない」「モチベーションが維持できない」などの悩みを抱えている場合は、まずオンライン講座を受講してみてはいかがでしょうか。効率的な学習で、合格への道が開けるはずです。
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