
幅広く専門的なIT知識が問われる応用情報技術者試験の試験勉強を効率的に行なうには、過去問題の活用が必要不可欠です。
特に午前試験では、過去に出題された問題や類似した傾向の問題が多く出題される傾向にあるため、過去問題をたくさん解いておくことで、有利に解答を進めることができるようになります。
この記事では、応用情報技術者試験の対策で過去問を効果的に活用する方法、何年分の過去問を解いておくべきか、過去問を使った問題練習のコツなどを解説していきます。
応用情報技術者試験ってどんな試験?
応用情報技術者試験とは、どのような試験なのでしょうか。
まずは応用情報技術者試験の受験対象者や試験日・試験時間、合格基準点などといった概要について解説します。
受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
基本情報技術者試験と高度試験の間に位置するIT国家試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験を経て、さらにワンランク上のエンジニアを目指す人向けの試験です。
合格者は高度IT人材としての方向性を確立し、システム開発やIT基盤構築などの局面で高いパフォーマンスが発揮できるとされています。
実際の試験では、以下の知識やスキルが求められます。
- 経営戦略・IT戦略の策定において経営者の方針を理解し、外部環境を正確にとらえて動向や事例を収集できる
- 経営戦略・IT戦略の評価において、モニタリング指標に基づいた差異分析などができる
- システムやサービスの提案討議で、提案書の一部を作成できる
- システムの企画・要件定義、アーキテクチャの設計において、要求を整理して適用すべき技術を調査できる
- 運用管理チーム、オペレーションチームなどのメンバーとして、サービス提供と安定稼働ができる
- プロジェクトマネージャの下でスコープ、予算、工程、品質などの管理ができる
- 情報システム、ネットワーク、データベース、組み込みシステムなどの設計・開発・運用・保守において、方針を理解し技術的問題を解決できる
春と秋の年2回実施。午前試験と午後試験で各60点以上が合格ライン
情報処理技術者試験は、試験の種類によって受験方式や実施時期が異なります。
応用情報技術者試験は、春期(4月)と秋期(10月)の年2回実施されます。
令和7年(2025年)春期は4月20日(日)、秋期は10月12日(日)の実施です。
応用情報技術者試験は、午前と午後の二部構成で実施されています。
試験時間と出題形式、問題数、合格基準点は以下のとおりです。
▼午前
試験時間:9:30~12:00(150分)
出題形式:多肢選択式(四肢択一)
出題数:80問
解答数:80問
合格基準点:60点
▼午後
試験時間:13:00~15:30(150分)
出題形式:記述式
出題数:11問
解答数:5問
合格基準点:60点
秋期試験の申込受付期間は、令和7年7月11日(金)10時~7月30日(水)17時までで、合格発表は12月下旬の予定です。
過去問の流用(使いまわし)で出題されることが多いって本当?
ここまでは、応用情報技術者試験の概要についてご紹介しました。
応用情報技術者試験の試験問題は、「過去問の流用(使いまわし)で出題されることが多い」と言われることがありますが、本当でしょうか。
ここからは、試験問題の出題内容について解説します。
とくに午前試験では過去問の流用・使いまわしや類似の出題が多い傾向
応用情報技術者試験に限らず、情報処理技術者試験全般に言えることですが、実際の試験では過去問に近い問題が出題される傾向があります。
特に多くの小問から構成される午前試験では、過去問をそのまま流用・使いまわした問題や、形式や内容がよく似た類似問題が繰り返し登場しています。
そのため、試験対策では過去問を使った繰り返しの問題練習が非常に有効です。
過去問を使えば、試験と同じ形式の問題に挑戦できるため、効率的に対策できるでしょう。
また、試験の出題傾向をつかむためにも、過去問は有効です。
複数年分の過去問に挑戦すれば、どの分野でどのような問題が出るのかといった、おおよその出題傾向もつかめます。
特に午前試験では、試験当日までにどれだけ多くの過去問を解いたかによって、結果が大きく左右されると言っても過言ではありません。
得点率を少しでも上げるためには、過去問対策が非常に重要であると言えます。
午後試験の対策法やコツも、過去問題で身につける
記述式の問題が出題される午後試験では、午前試験のように過去問題がそのまま流用されることはありません。
ただし、だからといって過去問対策が不要なわけではありません。
むしろ午後試験の問題も出題範囲とパターンはある程度決まっているため、過去問を繰り返し解くうちに、傾向やコツが見えてくるでしょう。
出題範囲の内容をやみくもに暗記しようとするよりも、過去問を使って出題傾向にそった勉強をしたほうが、効率的に合格レベルの知識が身につくはずです。
また過去問に挑戦すると、分野ごとの正答率がわかるため、自分の苦手分野を把握することもできます。
苦手が把握できれば、その分野に集中した対策もとれるようになります。
本番までに苦手な分野をつぶしておけば、本番で足を引っ張られる心配がなくなり、正答率も大きく上げられるでしょう。
このように午前試験ほど直接的なメリットが大きいとは言えませんが、午後試験対策でも過去問練習が中心になることには変わりありません。
応用情報技術者試験対策での過去問題の活用方法って?
ここまでは、応用情報技術者試験の試験問題における過去問の出題傾向についてご紹介しました。
ここからは、実際の試験対策における過去問の活用方法を解説します。
これから試験対策をする予定の人は参考にしてください。
基礎知識さえあれば、午前試験はほぼ過去問だけでも対応できる?
すでに基本情報技術者試験に合格していて、IT業界でITエンジニアとして働いている人など、一定の基礎知識が身についている人であれば、過去問の練習をひたすらこなしていくだけでも試験対策ができるでしょう。
ITエンジニアとして働いている人などは、仕事が忙しくて勉強時間も限られている場合が多いため、問題演習を中心とした効率よい勉強方法が合っているかと思います。
ただし応用情報技術者試験では、基本情報技術者試験では含まれていなかった新たな分野も出題範囲となっています。
そのため過去問で間違えたところやわからなかったところを復習するには、不明点をすぐに調べて確認できる環境を作っておくことが重要です。
なおスタディングのオンライン通信講座では、スマホやタブレットを使ってスキマ時間に問題を解いたり解説を確認したりといった試験対策ができます。
応用情報技術者試験、まずは5年分の過去問題をひたすら解いてみよう
応用情報技術者試験の勉強を始める際に最も効果的なのが、過去問題を活用した学習です。
特に午前試験は過去問の流用・使いまわしや類似問題が多いため、過去問演習をたくさんこなすことがそのまま得点力向上につながります。
まずは直近5年分の過去問題を繰り返し解き、間違えた箇所を徹底的に見直しましょう。
間違えた問題を放置せず、なぜ誤答したのかを理解することで、より理解を深められます。
すでに基本情報技術者試験に合格しているレベルの人であれば、この方法だけでも大幅な実力アップが期待できるでしょう。
演習を重ねる中で、自分が苦手とする分野や理解が浅いテーマが自然と浮き彫りになります。
浮き彫りになった弱点については、参考書や解説書を活用して重点的に学び直すのがおすすめです。
この「過去問演習+弱点補強」のサイクルを繰り返すことで、効率よく得点力を高められます。
試験本番でも安定した成果を発揮できるでしょう。
初受験の場合も、惜しまずにどんどん過去問題を解いていこう
応用情報技術者試験を初めて受ける人や、初心者で十分な知識が身についているかどうかの自信がない人も、時間の許す限り積極的に過去問を解いていきましょう。
講義やテキストなどである程度インプットができたと思ったら、なるべく早めに過去問を解いて、アウトプットをするのがおすすめです。
ひたすらインプットだけを続けるよりも、インプットをしたらすぐに問題を解いてアウトプットをしたほうが、確実に知識を定着させられます。
知識が浅いうちから過去問を消費してしまうのはもったいないと思うかもしれませんが、IPAは非常に多くの過去問を公開しています。
また午前試験の対策には、応用情報技術者試験の問題をもとに構成されている高度試験の午前I試験の過去問も活用が可能です。
応用情報技術者試験に合格するには、とにかくたくさんの過去問を解いてきちんと見直しをし、問題のパターンや出題傾向の理解を深めることが重要です。
過去問を使った午前試験対策のテクニック&注意点
Web検索などで情報を調べると、複数の参考ページや受験体験記で「直近の過去問と同じ問題は出題されない」という記述を目にすることがあります。
実際にIPAが公開している過去問題を確認すると、確かに「直近2回以内」、つまり「直近1年以内」に実施された試験からの問題がそのまま使いまわし(流用)されることはない、という傾向が見て取れます。
効率性を追求するために「直近1年以内の問題は過去問練習から除外する」という学習方針も、一つの合理的な考え方といえるでしょう。
一方で、応用情報技術者試験の本質は単に合格することだけが目的でなく、「高度な知識と応用力を備えたエンジニアであること」を客観的に証明してくれる試験です。
したがって、流用されにくい直近の過去問であっても、取り組む価値は十分にあります。
選り好みせず過去問題と向き合うことで、自分の苦手分野を把握したり、最新の出題傾向を確認したりすることにつながるのです。
過去問を活用して学習を行なう際には「効率的に合格点を取ることを重視するのか」「将来を見据えて幅広い知識を身につけることを優先するのか」という学習目的を意識することが重要です。
短期合格を目指すなら、1年以上前、かつ比較的新しい実施年度の過去問を繰り返し解くのがおすすめです。
一方で、基礎を固めながら着実に実力を伸ばしたいなら、直近の問題も含めて幅広く取り組むと良いでしょう。
過去問は何年分ある? PDFはどこで入手できるの?
応用情報技術者試験の過去問題は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の公式サイトにある過去問のページから入手できます。
各年度ごとに「過去問題(問題冊子・配点割合・解答例・採点講評)」がまとめられており、15年分以上の問題と解答例がPDFファイルとして公開されています。
利用する際の会員登録や申請は不要で、誰でも無料でダウンロードすることが可能です。
IPAの過去問は以下のページからダウンロードできます。
【参考】IPA「過去問題」
ただし、公式サイトに掲載されているのは問題と解答例までであり、詳細な解説は含まれていません。
解説を見ながら学習を進めたい場合は、オンライン講座を利用したり、市販の教材を購入したりするとよいでしょう。
応用情報技術者試験の過去問を収録した問題集は、複数の出版社から刊行されていて書店で入手することができ、費用はかかるものの、解説を読みながら理解を深められるというメリットがあります。
とはいえ、難関試験である応用情報技術者試験の解説は、本を読むだけではなかなか理解が追いつかない場面もあります。
そんなときは、わからないまま放置せず、動画などでよりわかりやすく解説されているオンライン講座の活用を検討しましょう。
まとめ
今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- 応用情報技術者試験は春と秋の年2回実施、午前と午後試験があり合格基準は各60点以上
- 小問形式の午前試験では過去問の流用や類似の出題が多いため過去問対策が有効
- 記述形式の午後試験でも過去問を繰り返し解けば出題傾向や解法のコツがつかめる
- すでに基礎知識がある人なら過去問を解くだけでも試験対策になる
- 初心者でも過去問を積極的に解いたほうが効率的に出題傾向や解き方を習得できる
- 過去問を活用する際は「効率的に合格点を取ることを重視するのか」「将来を見据えて幅広い知識を身につけることを優先するのか」という学習目的を意識する
- 過去問はIPAのサイトで15年分が無料でダウンロードできる
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