実務経験のない方が応用情報技術者試験に挑戦し、合格できるのかどうかを次の項目に沿って解説します。
応用情報技術者試験は基本情報技術者試験よりも上位ランクに位置付けられた試験で、両試験ともIT人材向けの資格ではあるものの、問われる内容は異なります。
基本情報技術者試験は四肢択一式で「基本的知識・技能」が問われる一方、応用情報技術者試験は四肢択一式と記述式の混合で、問われるのは「応用的知識・技能」です。
また、CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)という試験難易度の指標を比較すると、基本情報技術者試験はCCSFレベル2である一方、応用情報技術者試験はCCSFレベル3で、応用情報技術者試験のほうが難易度は高いとわかります。
難易度や試験の出題内容から、応用情報技術者試験は基本情報技術者試験より専門的な上位ランクの試験といえるでしょう。
応用情報技術者試験の近年の合格率は、下表のとおり23~27%を推移しています。
試験実施年度 | 合格率 |
2019年(令和元年)秋期 |
23.0% |
2020年(令和2年)秋期 |
23.5% |
2021年(令和3年)春期 |
24.0% |
2021年(令和3年)秋期 |
23.0% |
2022年(令和4年)春期 |
24.3% |
2022年(令和4年)秋期 |
26.2% |
2023年(令和5年)春期 |
27.2% |
応用情報技術者試験は受験資格が設定されていないため、IT初学者から実務経験者のエンジニアまで幅広い層が受験しており、受験者の知識レベルには幅があります。
とはいえ、受験者の4人に1人しか合格できないわけですから、応用情報技術者試験が難易度の高い試験であること自体は疑う余地もないでしょう。
応用情報技術者試験は基本情報技術者試験よりも1ランク上の試験であり、予備知識のないIT初学者が合格できるレベルではありません。
初心者の場合は、まずはITパスポートから学習すると良いでしょう。
情報処理技術者試験の入り口資格であるITパスポートの範囲を勉強すると、応用情報技術者試験に向けて基礎固めができます。
高レベルの試験に合格して知識やスキルをアピールしたいなら、ITエンジニアの登竜門といわれる基本情報技術者試験に挑戦し、そこからステップアップするというのも、1つの方法として良いでしょう。
現役ITエンジニアの多くが描いているキャリアパスは、就職時に基本情報技術者試験に合格して実務経験を積んだ後に、応用情報技術者試験やさらに上位の高度試験にチャレンジしてスキルアップしていくこと。
焦らず着実に基礎知識を習得しておくことは、難易度の高い試験へスムーズにステップアップするための足場作りでもあります。
ITの実務経験がない場合は、段階を踏んで応用情報技術者試験の合格を目指すようにしましょう。
インターネット上の体験記や口コミで「ITの実務経験がなくても合格できた」といった声を目にすることがあるかもしれませんが、これはそもそも、書いた人が有しているIT知識レベルが元々高かった可能性があります。
応用情報技術者試験は受験資格がないため、受験者の知識レベルに差があり、合格のハードルの高さは人によって異なります。
ネットの声を鵜呑みにせず、自分の現在の実力にあった勉強法と学習スケジュールを見つけて、無理のない試験合格を目指しましょう。
応用情報技術者試験に合格すると得られる3つのメリットを解説します。
難関試験の応用情報技術者試験に合格すると、高度な専門知識やスキルをもっていることを証明できます。
実務経験に並ぶ大きなアピール材料となるため、IT業界への就職や転職に有利に働きますし、試験合格のために努力することができた人材であることも、強調できるでしょう。
また、試験合格の肩書があると営業する上でプラスに働くため、雇用する企業が試験合格者を優先して採用する可能性があります。
資格手当の支給制度がある企業の場合、応用情報技術者試験の合格後に、申請すれば手当を受けられる可能性があり、うまくいけば年収アップにつながります。
また、企業によっては資格取得の奨励金として一時金を支給してくれるところもあるでしょう。
資格手当や奨励金制度がある会社に勤務しているなら、積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
実務経験をもちながら応用情報技術者試験に合格すると、自身のIT業界内での市場価値が向上するため、転職やキャリアアップに有利です。
難易度の高い試験合格は一定のスキルと知識をもつ証となるため、企業内でステップアップできたり、よりよい待遇の企業に転職できたりする可能性が高まります。
IT系の仕事に従事していて転職を考えているなら、試験合格で市場価値を高めてキャリアアップを図ることも検討してみてください。
ここからは、実務経験なしで応用情報技術者試験に合格するためのプロセスについて、次のトピックに沿って順番に解説します。
実務経験がない状態から合格を目指す場合はどうしたらよいのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
IT関連の実務経験がない状態から応用情報技術者試験の合格を目指す場合、まずは自分の知識レベルを見極めることが重要です。
IT関連の予備知識がないと、応用情報技術者試験のテキストや過去問題を見ても内容を理解することは難しいでしょう。
知識レベルを測る目安となるのが「ITパスポート試験」の参考書やサンプル問題です。
ITパスポート試験とはIT分野の入門編に位置付けられる試験で、応用情報技術者試験の実施団体であるIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が通年試験を実施しています。
ITパスポート試験のテキストに目を通し、現時点の自分の知識がどの程度なのかを見極めましょう。
ITパスポート試験のサンプル問題を見てわからない箇所が多い場合は、応用情報技術者試験の前にITパスポート試験からチャレンジすることをおすすめします。
ITパスポート試験はITや情報セキュリティに関する基礎知識が問われる試験で、受験対象は「ITを利活用する全社会人」です。
応用情報技術者試験の受験対象は「IT技術者・開発者」であるため、出題範囲は開発者向けの専門的な分野ですが、ITパスポート試験は全社会人向けなので比較的やさしい内容といえるでしょう。
初学者がITパスポート試験に合格するためには約100~200時間の勉強が必要だといわれています。
ITパスポート試験を通じてIT分野の普遍的な基礎知識を身に付けておけば、その後の試験勉強がかなり楽になるはずです。
ITパスポート試験に合格している、または試験問題に解答できる知識がある場合は「基本情報技術者試験」から順にステップアップする方法もあります。
基本情報技術者試験は応用情報技術者試験と同じく「IT技術者・開発者」を受験対象とする試験で、ITエンジニアの登竜門といわれる試験です。
ITパスポート試験の勉強だけでは網羅できない、開発者に必要なプログラミングやアルゴリズムといった分野が試験勉強を通じて学べます。
基本情報技術者試験合格に必要な勉強時間は、IT初学者の場合は200時間程度といわれており、ITパスポート試験に合格している場合はもう少し短い勉強時間で合格を狙えるでしょう。
基本情報技術者試験に合格する知識があれば、200時間程度の勉強時間で応用情報技術者試験の合格が目指せます。
IT初学者の場合、この200時間にITパスポート試験と基本情報技術者試験の勉強時間を合わせると600時間になります。
しかし、各試験の内容を段階的に学習してきた方であれば、重複する出題範囲の勉強をスキップすることで、応用情報技術者試験の勉強時間をもう少し圧縮できるかもしれません。
また、基礎知識がしっかり身についているため、勉強時間の短縮に加えてスムーズな内容理解にもつながるでしょう。
応用情報技術者試験に挑戦する前に、基礎レベルの試験を受験しておくと結果的に時短につながります。
ITパスポート試験や基本情報技術者試験を前段階で受験するのは回り道だと感じるかもしれませんが、時間をかけて基礎を学べば知識が定着しやすくなります。
基礎知識を盤石にしてから応用情報技術者試験にチャレンジしたほうが、何度も失敗を繰り返すよりも早く合格できる可能性が高まるでしょう。
前段階の試験勉強は効率よく学習すれば基礎知識をスムーズに身に付けられるので、タイムパフォーマンスも高いといえます。
なお、スタディングでは応用情報技術者試験の講座以外に、ITパスポート試験や基本情報技術者試験といったIT関連の対策講座も充実しています。
効率よく学習できるので、キャリアアップやスキルアップ、就職や転職活動などで学習時間が捻出しにくい社会人におすすめです。
実務経験なしで応用技術者試験の合格を目指すプロセスや、試験合格のメリットを解説しました。
最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。
応用情報技術者試験に興味があるなら「スタディング 応用情報技術者試験講座」で学習するのがおすすめです。
スキマ時間を使ってスマホで効率よく学習できるスタディングの講座で、試験合格を目指しましょう。
ITパスポート試験や基本情報技術者試験の講座もあるので、自分の知識レベルに合わせた試験の対策講座を選んでみてください。
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