IT系の国家試験である情報処理技術者試験において、スキルレベルでは基本情報技術者試験と高度区分のちょうど中間に位置しているのが、応用情報技術者試験です。
下位にあたる基本情報技術者試験との難易度の違いはどの程度なのか、また、上位レベルに位置する高度区分とのレベル差はどのくらいなのか、実施団体のIPAが公開しているスキルレベルをもとに整理してみましょう。
応用情報技術者試験のレベル的な位置付けは?
応用情報技術者試験は、どれくらいのレベルの試験として位置付けられているのでしょうか。
まずは、応用情報技術者試験のレベルや難易度などについて解説します。
受験を検討している方や、ほかの資格と比較をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
幅広い知識と応用力で「ワンランク上のエンジニア」を目指す
応用情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門となっている基本情報技術者試験を経て、さらにランクアップしたい人向けの試験です。
具体的には、以下の役割や業務に従事している人、またはこれらの業務に就くことを目指している人が対象となります。
- 組織や社会の課題に対し、ITを活用した戦略の立案、システムの企画・要件定義を行う
- システムの設計・開発、製品の最適な組み合わせによって、価値の高いシステムを構築する
- サービスを安定的に運用する
また実際の試験では、以下の知識やスキルが求められます。
- 経営戦略・IT戦略の策定において経営者の方針を理解し、外部環境を正確にとらえて動向や事例を収集できる
- 経営戦略・IT戦略の評価において、モニタリング指標に基づいた差異分析などができる
- システムやサービスの提案討議で、提案書の一部を作成できる
- システムの企画・要件定義、アーキテクチャの設計において、要求を整理して適用すべき技術を調査できる
- 運用管理チーム、オペレーションチームなどのメンバーとして、サービス提供と安定稼働ができる
- プロジェクトマネージャの下でスコープ、予算、工程、品質などの管理ができる
- 情報システム、ネットワーク、データベース、組み込みシステムなどの設計・開発・運用・保守において、方針を理解し技術的問題を解決できる
共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)ではレベル3に相当
情報処理技術者試験は、試験実施団体であるIPAが定めた共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)によってレベルが設定されています。
応用情報技術者試験は、スキルレベル3に相当します。
なお、より初心者向けとされている基本情報技術者試験はスキルレベル2です。
情報処理技術者試験の最高峰とされている高度区分の各試験は、スキルレベル4とされています。
応用情報技術者試験は、これらの中間に位置する試験です。
試験問題の難易度は、このスキルレベルに沿った設定となっています。
そのため応用情報技術者試験の難易度は、基本情報技術者試験よりは高く、高度区分の各試験よりは低いということになります。
合格率で見る、応用情報技術者試験の難易度
以下は、応用情報技術者試験の合格率をまとめた表です。
毎年おおむね20%台で推移しており、令和5年度の合格率は25.0%です。
実施年度 | 合格率 |
平成21年度 | 23.6% |
平成22年度 | 21.6% |
平成23年度 | 22.1% |
平成24年度 | 21.5% |
平成25年度 | 18.8% |
平成26年度 | 20.2% |
平成27年度 | 21.3% |
平成28年度 | 21.0% |
平成29年度 | 21.0% |
平成30年度 | 23.1% |
令和元年度 | 22.3% |
令和2年度 | 23.5% |
令和3年度 | 23.5% |
令和4年度 | 25.3% |
令和5年度 | 25.0% |
応用情報技術者試験に限った話ではありませんが、こうした合格率の低さを見るだけでも、相応に難易度が高いことがわかります。
基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の難易度を比較
前述の通り、応用情報技術者試験の合格率は、例年おおむね20%台です。
基本情報技術者試験の合格率が近年40%台で推移しているのと比較すると、大きな差があることがわかります。
また、基本情報技術者試験は、CBT方式で通年受験が可能です。
これに対して応用情報技術者試験は、春期と周期の年に2回しか受験ができないため、受験のしやすさという側面においても大きな違いがあります。
合格率や受験のハードルといった観点から比較すると、応用情報技術者試験は基本情報技術者試験と比べて難易度の高い試験であると言えるでしょう。
高度区分と応用情報技術者試験の難易度を比較
上位試験にあたる高度区分の各試験の合格率は、試験によって異なります。
ただ、おおむね10%台中盤あたりの試験が多い傾向にあります。
合格率だけを見ると、応用情報技術者試験と基本情報技術者試験を比較したときほどの大きな差はありません。
しかし高度試験の出題範囲は、試験ごとの専門分野により特化した、非常に高度な内容となっています。
また試験問題も、長文読解を含む、難解な出題形式の問題が多くなります。
受験者の得意分野によっても難易度は変わりますが、応用情報技術者試験と比べても、高度試験の難易度は非常に高いと言えるでしょう。
難関試験だが、受験資格の制限はなく誰でも受験できる
ここまで解説してきた通り、応用情報技術者試験は難易度の高い試験です。
しかし、受験資格や制限については特に設けられていません。
そのため、学歴や実務経験の年数などに関わらず、小中学生や高齢者などどのような人でも申し込みさえすれば受験することができます。
実際に令和5年度の統計資料で受験者のデータを見ると、10歳以下は6人、10代は合計2,832人となっています。
なお、70歳以上は合計19人となっています。
また学生の受験者は合計11,419人となっていますが、そのうち高校生は354人、小中学生は21人です。
社会人のうち、実務経験の年数は経験なしの受験生が197人、1年未満が3,799人となっています。
応用情報技術者試験は誰でも受験ができるため、このようにさまざまな経歴や年齢の人が挑戦をしています。
IT業界への就職を目指す大学生にもオススメの応用情報技術者試験
前述の通り、応用情報技術者試験には受験資格が特にないため、学生でも受験が可能です。
IT業界への就職を目指す大学生であれば、学生のうちに合格を目指すのもおすすめです。
ただし、応用情報技術者試験に合格するには、ITの幅広い基礎知識を習得しなければなりません。
IT初心者であれば、非常に多くの勉強時間が必要となります。
そのためまずは基本情報技術者試験に合格して、さらに応用情報技術者試験の合格を目指すといった、ステップバイステップ形式での学習スケジュールを組み立てていくとよいでしょう。
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まとめ
今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- 応用情報技術者試験は基本情報技術者試験を経てさらにランクアップしたい人向けの試験
- CCSFはレベル3で、難易度は基本情報技術者試験より高く高度区分の各試験より低い
- 合格率は毎年おおむね20%台で推移
- 難関試験ではあるが受験資格は特にないため誰でも受験できる
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