応用情報技術者試験の概要と試験の位置付け
応用情報技術者試験の概要と試験の位置付けを解説します。
- 応用情報技術者試験に合格すると身につくスキル
- 情報処理技術者試験のなかでの応用情報技術者試験の位置付け
応用情報技術者試験に合格すると身につくスキル
応用情報技術者試験とは、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が運営する情報処理技術者試験の区分のひとつで、システム開発やIT基盤の構築に役立つスキルを認定する国家試験です。
応用情報技術者試験の受験対象は、システムやソフトウェア、ITを活用したサービスや製品を開発するエンジニアです。
情報システムの技術的分野から企業の経営戦略分野まで幅広く出題される応用情報技術者試験。
その合格者に期待されるのは「企業のIT戦略の策定」「システムの設計や要件定義」といった業務を担う人材となることです。
試験勉強を通じてシステム開発や管理の専門知識が学べるのはもちろん、経営層の方針や企業の外部環境を理解するスキルを身につけることができるでしょう。
このように、高度なIT人材に必要な専門知識と幅広いスキルを習得できるのが、応用情報技術者試験のメリットです。
情報処理技術者試験のなかでの応用情報技術者試験の位置付け
応用情報技術者試験は、情報処理技術者試験の「IT技術者・開発者」向け試験区分に属し、同じ試験区分には下表のようなさまざまな試験があります。
▼IT技術者・開発者向けの情報処理技術者試験
問われる内容 | 試験 |
基本的知識・技能 | 基本情報技術者試験 |
応用的知識・技能 | 応用情報技術者試験 |
高度な知識・技能 | ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験 |
「基本の知識・技能」が問われる基本情報技術者試験は、エンジニアのスタートラインといえる試験であり、「高度な知識・技能」が問われる9つの試験は、専門知識をもつスペシャリストを認定する高難易度の試験です。
その2つのカテゴリーの中間に位置しているのが応用情報技術者試験で、試験問題では「応用的知識・技能」が問われます。
応用情報技術者試験合格者のIT業界における市場価値は?
応用情報技術者試験合格者のIT業界における市場価値を、次の3つのトピックに沿って解説します。
- IT業界での就職・転職では高く評価される応用情報技術者試験
- 業界内での認知が高い一方、IT資格・試験のなかでは難関の一角
- 応用情報技術者の転職では求人情報をよく確認しよう
IT業界での就職・転職では高く評価される応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は難易度が高いため、合格すればIT業界の就職・転職の場で高く評価されます。
前段で解説したとおり、応用情報技術者試験合格のためには、情報システムの技術的分野から経営戦略分野までの幅広い知識が必要です。
試験に合格すれば一定以上のスキルや専門知識をもつことを証明でき、客観的にスキルをアピールする材料となるでしょう。
応用情報技術者試験は自身のスキルアップにつながるだけでなく、就職・転職の場にも役立つため、IT業界で年収や待遇を向上させたい方におすすめです。
業界内での認知が高い一方、IT資格・試験のなかでは難関の一角
IT業界において応用情報技術者試験の知名度は高く、合格すれば一目置かれるほど広く認知されています。
そんな応用情報技術者試験の合格率は近年23~27%を推移しており、IT資格・試験のなかでも比較的難しい試験といえるでしょう。
必要な勉強時間は、「基本情報技術者試験」に合格するレベルの方でも200時間程度といわれており、合格を目指すなら綿密な学習計画を立てて取り組む必要があります。
応用情報技術者の転職では求人情報をよく確認しよう
応用情報技術者の合格後に転職活動をする場合は、求人情報を注意深く確認して、応募先の求める人材と自身のスキルがミスマッチにならないようにしましょう。
応用情報技術者試験の合格者の多くは、すでに実務経験があり、勉強も積んだエンジニアだと考えられます。
経験豊富なエンジニアでも、転職先でスキルを活かせなければ、年収が伸び悩んで再度転職を考えることになるかもしれません。
また、応用情報技術者試験で習得できるのは、特定分野に偏らない全般的なスキルです。
そのため、高度技術者が取り扱うような専門的業務に就く場合、研修などを受けてからでないと苦戦する可能性があります。
専門的なポジションに就く場合は、転職先に研修制度が整っているかどうか確認しておくとよいでしょう。
とはいえ、応用情報技術者試験の合格がIT業界の転職やキャリアアップに有利であることは間違いありません。
人材価値を高めたいなら応用情報技術者試験に挑戦し、合格後はミスマッチに注意しながら転職活動を行うようにしましょう。
応用情報技術者試験の試験内容は?
応用情報技術者試験の出題形式や試験時間、2024年度の試験日程について解説します。
- 年2回実施、午前試験と午後試験で構成される試験
- 2024年(令和6年度)の試験日程
年2回実施、午前試験と午後試験で構成される試験
応用情報技術者試験は年2回の実施で、例年の実施時期は春期(4月第3日曜日)と秋期(10月第2日曜日)です。
試験は午前試験と午後試験で構成されており、概要は下表のとおりです。
▼午前試験
試験時間 | 9:30~12:00(150分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数 | 80問 |
解答数 | 80問全問解答 |
▼午後試験
試験時間 | 13:00~15:30(150分) |
出題形式 | 記述式 |
出題数 | 11問 |
解答数 | 11問中5問解答 |
【参考】応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
午前試験・午後試験それぞれが基準点以上の得点であれば合格で、合格基準点は両試験とも100点満点中60点です。
午前試験・午後試験のどちらか一方でも基準点を下回った場合は合格とならず、再度試験にチャレンジする必要があります。
2024年(令和6年度)の試験日程
応用情報技術者試験の2024年度(令和6年度)の春期・秋期試験スケジュールは、次のとおりです。
春期試験実施日 | 4月21日(日) |
秋期試験実施日 | 10月13日(日) |
【参考】スケジュール、手数料など | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
2024年度の春期試験の受験申込受付はすでに終了しており、受験票は4月2日(火)に発送予定です。
秋期試験は、例年7月中旬~8月上旬に受験申込を受け付けています。
実務経験なしのIT未経験者でも合格は目指せる?受験のメリットは?
応用情報処理技術者試験を受験するメリットは、合格すればIT業界への転職や就職に有利になる点です。
受験資格が設けられていないためIT実務経験がなくても受験可能で、実務経験がない方・経験の浅い方でも合格を目指せます。
2023年度(令和5年度)春期・秋期試験の統計情報を見ると、実務経験がない受験者でも一定数の合格者がいるとわかります。
IT実務経験 | 受験者数 | 合格率 |
経験なし |
197人 |
28.4% |
1年未満 |
3,799人 |
36.7% |
2年未満 |
3,217人 |
32.1% |
【参考】統計資料(令和5年度)| IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
2023年度(令和5年度)春期・秋期試験の全受験者は70,103人で、全体の合格率は25.0%です。
実務未経験者は全受験者のうちのごく少数ですが、合格率は平均値よりも高く、実務経験がなくても合格は十分に目指せるといえるでしょう。
応用情報処理技術者試験の合格は一定の知識をもつ証明となるため、履歴書に記載すれば企業の採用担当者に高く評価されます。
難易度は高いものの、試験に合格すれば、異業種からIT業界へ転職を考えている方には大きな武器となるでしょう。
まとめ
IT業界への転職に有利な応用技術者試験について解説しました。
最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。
- 応用情報技術者試験合格で身につくスキルは、高度なIT人材に必要な幅広い知識
- 応用情報技術者試験の合格はIT業界で高く評価されるため、就職・転職に有利
- 合格率は近年23~27%で、IT系の資格や試験のなかでも難関の試験
- 合格後に転職する場合、転職先とミスマッチが起こらないよう求人情報をよく確認することが重要
- 応用情報技術者試験は年2回の実施で、午前試験と午後試験で構成される試験
- 異業種からIT業界に転職を考えている方におすすめで、ITの実務経験がなくても受験可能
応用情報技術者試験に挑戦するなら、実務経験がなくても基礎からしっかり学べる「スタディング 応用情報技術者試験講座」がおすすめです。
スキマ時間を使って効率よく学習できるスタディングの講座で、試験合格を目指しましょう。