公認会計士試験の難易度を徹底解説 合格率や年収なども紹介!

公認会計士は、医師や弁護士に並ぶ難関国家資格のひとつです。

令和6年(2024年)試験の合格率は7.4%と非常に低く、勉強時間も3,000時間以上が一般的であることからも難易度の高さが伺えます。

しかし、難関国家資格のなかでは珍しく、受験資格がありません。年齢や学歴に関係なく、誰でも資格取得を目指せるのは魅力的でしょう。

本記事では、公認会計士試験の難易度や合格率、公認会計士の魅力、勉強方法なども解説します。

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公認会計士試験の難易度の高さはどれくらい?

公認会計士試験は非常に難易度の高い試験として知られていますが、具体的にどれほど難しいのかイメージがつかない人も多いでしょう。

公認会計士試験の難易度について、さまざまな角度から解説しますので参考にしてみてください。

医師・弁護士と並ぶ難関資格

公認会計士は、弁護士・医師と並ぶ「三大国家資格」として知られています。(※弁護士・不動産鑑定士・公認会計士を三大国家資格というケースもあります)

三大国家資格と呼ばれる理由として、極めて高度な専門知識を求められる試験であり、合格までのハードルが高いことが挙げられます。

三大国家資格の保持者が各々の分野において重要な社会的責務を担っていることも、試験の難易度を高めている点と言えるでしょう。

たとえば、司法分野では弁護士が法律で人を守り、会計分野では公認会計士が企業活動の適正性を確保します。

三大国家資格の保持者は国家を支える資格と言っても過言ではなく、高い専門性と倫理観を求められるため、難易度も非常に高くなります。

平均勉強時間はおよそ3,000〜5,000時間

公認会計士試験の合格に必要な勉強時間の目安は、3,000〜5,000時間です。

金融庁の「公認会計士という職業の魅力」には、「試験に合格するには2年間で5,000時間が必要」との記載があります。

2年間で5,000時間を確保するのであれば、1日6時間以上の勉強時間を確保しなければなりません。

会社員の場合、毎日6時間の勉強を継続するのは簡単ではないため、帰宅後の時間や休みの日などの使い方を工夫して長期的な計画を立てる必要があります。

2010年に金融庁が実施した合格者アンケート調査結果によると、短答式試験合格までの平均勉強期間は2.3年で、3年以上かかっている人も少なくありません。

数年がかりで勉強し続けることは、体力的にも精神的にも負担が大きいため、公認会計士試験は難易度の高い資格だと言えます。

公認会計士試験の勉強時間については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。

学習科目の多さも難易度を上げている

公認会計士試験は、マークシート式の短答式試験と、記述式の論文式試験の2つに分かれています。

受験者は、短答式試験は4科目、論文式試験では5科目(うち1つは選択)の試験に挑まなければなりません。

1科目だけでも量が多く、複数科目を同時並行で勉強する必要があるので試験難易度が高くなっています。

金融庁が公表する「出題範囲の要旨について」を見てもわかるように、「財務会計論」だけでも23項目もあり、試験範囲の膨大さに納得できます。

公認会計士試験の合格率

公認会計士試験の難易度を客観的に判断するために、近年の合格率をまとめました。

試験全体を通した合格率に加えて、短答式試験と論文式試験のそれぞれの合格率もまとめているので、参考にしてみてください。

トータルの合格率

近年の公認会計士試験の合格率の推移は、以下の通りです。

試験年出願者数合格者数合格率
令和元(2019)12,532人1,337人10.7%
令和2(2020)13,231人1,335人10.1%
令和3(2021)14,192人1,360人9.6%
令和4(2022)18,789人1,456人7.7%
令和5(2023)20,317人1,544人7.6%
令和6(2024)21,573人1,603人7.4%
【参考】公認会計士・監査審査会「令和6年公認会計士試験 合格者調」

令和元年や令和2年(2020年)は合格率が10%を超えていましたが、徐々に下がっています。

令和元年と令和6年の出願者数を比較すると約9,000人増えており、出願者数の増加に対して合格者数が増えていないため、合格率は下がっていると考えられます。

試験年出願者数合格者数合格率
令和元(2019)12,532人1,337人10.7%
令和2(2020)13,231人1,335人10.1%
令和3(2021)14,192人1,360人9.6%
令和4(2022)18,789人1,456人7.7%
令和5(2023)20,317人1,544人7.6%
令和6(2024)21,573人1,603人7.4%
【参考】公認会計士・監査審査会「令和6年公認会計士試験 合格者調」

短答式試験の合格率

近年公認会計士試験の短答式試験の合格率は、以下の通りです。

試験年受験者数合格者数合格率
令和元(2019)10,563人1,806人17.1%
令和2(2020)11,598人1,861人16.0%
令和3(2021)12,260人2,060人16.8%
令和4(2022)16,701人1,979人11.8%
令和5(2023)18,228人2,103人11.5%
令和6(2024)19,564人2,345人12.0%
【参考】公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」>各年の「公認会計士試験の合格発表の概要について」

短答式試験だけの合格率は、15%前後で推移しているとわかります。

トータルの合格率と同様に、出願者数の増加に対して合格者数が少ないため、令和4年(2022年)以降の合格率が下がっているのでしょう。

論文式試験の合格率

近年の公認会計士試験の論文式試験の合格率は、以下の通りです。

試験年受験者数合格者数合格率
令和元(2019)3,792人1,337人35.3%
令和2(2020)3,719人1,335人35.9%
令和3(2021)3,992人1,360人34.1%
令和4(2022)4,067人1,456人35.8%
令和5(2023)4,192人1,544人36.8%
令和6(2024)4,354人1,603人36.8%
【参考】公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」>各年の「公認会計士試験の合格発表の概要について」

論文式試験だけで見ると、合格率は35%程度であることがわかります。

科目免除により論文式試験だけを受験する人や複数回受験する人がいることから、受験者数に対して合格者数が高めになっていると考えられます。

年齢における合格者の割合

近年の公認会計士試験の合格者の年齢分布は、以下の通りです。

令和6令和5令和4令和3令和2
20歳未満18人23人21人12人7人
20歳以上25歳未満986人977人929人873人799人
25歳以上30歳未満418人356人337人297人299人
30歳以上35歳未満123人122人117人110人128人
35歳以上40歳未満42人38人26人44人44人
40歳以上45歳未満10人20人19人15人23人
45歳以上50歳未満2人5人5人6人18人
50歳以上55歳未満4人2人1人2人11人
55歳以上60歳未満0人0人1人0人4人
60歳以上65歳未満0人1人0人1人2人
65歳以上0人0人0人0人0人
合計1,603人1,544人1,456人1,360人1,335人
【参考】公認会計士・監査審査会「令和6年公認会計士試験 合格者調」

合格者の平均年齢は、24〜25歳であるとわかります。

また、公認会計士試験の合格者の平均年齢、最高齢、最年少は以下の通りです。

試験年平均年齢最高齢最年少
令和元(2019)25.2歳62歳18歳
令和2(2020)25.5歳61歳18歳
令和3(2021)24.5歳60歳19歳
令和4(2022)24.4歳58歳17歳
令和5(2023)24.5歳61歳18歳
令和6(2024)24.6歳54歳17歳
【参考】公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」>各年の「公認会計士試験の合格発表の概要について」

最高年齢や最低年齢からは、年齢に限らず合格できる可能性があると読み取れるでしょう。

日商簿記や税理士との比較

公認会計士と同系列の資格として、簿記資格や税理士資格が挙げられます。

それぞれの合格率を比較すると、公認会計士試験の難易度の高さが伺えるでしょう。

日商簿記1級試験の合格率は、以下の通りです。

試験年受験者数合格者数合格率
令和4年6月8,918人902人10.1%
令和5年6月9,295人1,164人12.5%
令和6年6月9,457人992人10.5%
【参考】日本商工会議所「商工会議所の検定試験|受験者データ」

税理士試験の合格率は、以下の通りです。

試験年受験者数合格者数合格率
令和3年27,299人5,139人18.8%
令和4年28,853人5,626人19.5%
令和5年32,893人7,125人21.7%
【参考】国税庁「税理士試験 過去の試験結果等」を参考に作成

各試験の合格率は、10%以上と公認会計士試験よりも高いことがわかります。

これらのデータからも、同系列の試験のなかでも、公認会計士試験の難易度が高いと言えるでしょう。

公認会計士資格を取得すると、税理士登録も可能です。

また、税理士資格を保有している場合は、公認会計士試験の試験の一部免除を受けられます。

日商簿記1級や税理士試験に関する詳しい内容は以下の記事で解説しているので、あわせて読んでみてください。

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「公認会計士はやめとけ」という声

公認会計士は、難易度の高さと合格率の低さから「やめとけ」という声も少なくありません。

また、試験合格後すぐに公認会計士になれるわけではなく、3年以上の実務経験を経たあとに登録されます。

公認会計士として働くまでの期間が長いことも「やめとけ」と言われる要因と考えられます。

ただし、公認会計士はほかの国家資格と異なり受験資格がないため、学歴や年齢、性別に限らず挑戦しやすい点がメリットです。

「公認会計士はやめとけ」という声に関して、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。

公認会計士の3つの魅力

公認会計士の魅力は、以下の3つです。

  1. 高年収が期待できる
  2. 公認会計士だけの独占業務に携われる
  3. キャリアの幅が広がる

それぞれ詳しく解説します。

1.高年収が期待できる

公認会計士は、高年収を期待できる職業のひとつです。

令和6年賃金構造基本統計調査によると、公認会計士の平均年収は約856万円(※)とわかりました。

同調査による全職種の平均年収が約527万円なので、公認会計士の年収は非常に高いと言えます。

また、年齢別の年収を確認すると、30代後半で約800万円、50代前半では1,100万円を超えています。

さらに、大手企業に勤める会計士の平均年収は約1,044万円にも上ります。

早い人だと30代で年収1000万円に到達します。

働き方や経験年数、役職、会社規模によっては、年収1,000万円超えも十分にありえる仕事です。

公認会計士として働くことで得られる経済的な安定性と将来性は、公認会計士資格の魅力のひとつと言えるでしょう。

※本記事では、令和6年賃金構造基本統計調査における「公認会計士・税理士」の年収金額を公認会計士の年収としてご紹介しています。

【参考】
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査(第1表  年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)」
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計))」

2.公認会計士だけの独占業務に携われる

公認会計士の独占業務が「監査」であり、財務書類を監査し、内容が適正か否かを証明できる重要な仕事です。

監査業務は、大きく「法定監査」「法定監査以外の監査」「国際的な監査」に分けられます。

たとえば、法定監査では、以下のような監査業務に携わります。

  • 金融商品取引法に基づく監査
  • 信用金庫の監査
  • 独立行政法人の監査
  • 医療法人の監査 など

つまり、企業から医療関係、行政、学校法人など幅広い対象への監査を行うことが可能です。

財務情報の信ぴょう性を担保できる公認会計士は、国家的にも非常に重要な仕事と言えます。

3.キャリアの幅が広がる

公認会計士の仕事は、会計業務全般に携わることが可能で、会社経営において欠かせない存在としてキャリアの幅を大きく広げられます。

たとえば監査法人での監査業務だけでなく、税務や経営コンサルティング、M&Aアドバイザリーなど、多様な分野での活躍が可能です。

さらに、一般企業においては、資金調達時の会社監査やコーポレートガバナンスの支援、IR業務などに携わります。

公認会計士として活躍することで、企業の最高財務責任者や社外役員を任されることもあるでしょう。

公認会計士の知識とスキルは、ビジネスのさまざまな場面で求められるため、キャリアチェンジの際にも有利に働きます。

このように、公認会計士資格は「スペシャリスト」でありながら幅広い知識をもち、多様な業務に対応できる「ゼネラリスト」としても役立つ資格と言えます。

公認会計士を目指すための勉強方法

公認会計士を目指すための勉強方法は、以下の3つです。

  • 独学で勉強する
  • 専門学校に通う
  • 通信講座や学習アプリを活用する

各勉強法のメリットとデメリットに焦点を当て、詳しく解説します。

独学で勉強する

公認会計士を目指す方にとって、独学も勉強方法のひとつとなり得ます。

独学で勉強するメリットは、コストを最小限に抑え、自分のペースで自由に勉強できる点です。

仕事やプライベートの関係で、決まった時間に勉強するのが難しい人に向いているでしょう。

一方デメリットは、体系的に学ぶことが難しく、効率的な勉強が困難な点です。

公認会計士試験の対応範囲は膨大であるため、効率よく学ばなければなりません。

科目別に勉強する順番を決めたり、重点的に学ぶポイントを把握したりと、学習戦略が必要です。

また、長期間勉強する必要があるため、モチベーション維持も課題になるでしょう。

専門学校に通う

公認会計士試験合格に向けて効果的な勉強を行うのであれば、専門学校や通信講座がおすすめです。

専門学校に通うメリットは、テキストや講座カリキュラムが体系的に組み立てられており、効率よく勉強できる点です。

疑問点や不明点もすぐに質問して解決できるため、スムーズに勉強を進められます。

また、ほかの受講生もいるのでモチベーション維持がしやすい点もメリットでしょう。

一方、デメリットは、受講費用が高額であったり、受講や通学により時間が束縛されたりする点です。

会社員の場合は、仕事終わりや休みの日を活用する必要があり、専門学校が遠方にある場合には通学によって多くの時間を奪われてしまいます。

通信講座や学習アプリを活用する

通信講座や学習アプリの活用も、資格取得を目指す方におすすめの勉強方法です。

通信講座や学習アプリのメリットは、専門学校に通うよりもコストを抑えながら、体系的に組み立てられたテキストや講座カリキュラムで勉強できる点です。

また、通学の必要もなく、時間や場所を選ばずに効率よく勉強できます。

回数無制限でいつでも質問できる通信講座やアプリもあるので、不明点や疑問点の解消も問題ないでしょう。

一方デメリットは、基本的にひとりで勉強しなければならないため、モチベーションを維持する必要がある点です。

勉強方法に正解はありません。

専門学校の対面講義が合う人もいれば、通信講座で効率的に勉強を進めたい人もいます。

そのうえで、通信講座が気になっている人は、資格合格パートナー「スタディング」の活用がおすすめです。

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また、ひとりで勉強するうえでの懸念点になるモチベーション維持に関しても、自分や仲間の頑張りが目にみえる仕組みを搭載しており、やる気の持続に役立ちます。

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まとめ

公認会計士試験は、医師や弁護士と並ぶ難易度の高さで知られています。

平均勉強時間が3,000〜5,000時間で、学習科目の多さも公認会計士試験の難易度を高めている要因のひとつです。

また、近年の7%台であることからも難易度の高さが伺えます。

しかし、医師や弁護士、税理士のような難関国家資格と異なり、受験資格がありません。

年齢や学歴によって制限されないことを考えると、受験しやすい資格と言えるでしょう。

資格取得の難易度は高いですが、公認会計士になることで、高年収を狙えたりキャリアの幅が広がったりと、魅力的な面も多くあります。

本記事で紹介した勉強方法も参考にしながら、資格合格を目指してみてください。

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