公認会計士を目指す人必見!論文式試験を突破する5つのポイント

公認会計士論文式試験に合格するためには、十分な準備が必要です。

しかし、これから受験する場合、試験内容や対策に対して不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、試験の概要や出題形式や模範解答の紹介、合格率などを詳しく解説しています。

合格するためのポイントや当日の注意事項も解説しているため、不安を解消したうえで試験に臨めるように準備しましょう。

公認会計士論文式試験とは?

公認会計士試験には「短答式試験」と「論文式試験」の2種類があり、論文式試験は公認会計士としての知識や応用力を測る最終試験です。

公認会計士の論文式試験を理解するために、3つの項目を確認しましょう。

  • 試験の概要と目的
  • 出題形式
  • 試験会場と日程

1つずつ解説します。

試験の概要と目的

公認会計士試験は、公認会計士を目指す人が十分な知識や応用能力を持ち合わせているか判断するために行われます。

なかでも論文式試験は、公認会計士に必要な専門知識の理解力に加えて、思考力や判断力、応用能力、論述力が備わっているかも評価されます。

論文式試験は、公認会計士に求められる高度な専門知識と、実践的な応用力が評価される最終試験として位置付けられているのです。

なお、論文式試験は短答式試験の合格者と免除者が受験でき、年に1回実施されます。

出題形式

公認会計士論文式試験は、記述問題や論述問題で構成されています。

出題科目は5科目あり、うち1科目は選択式です。

試験区分科目出題内容
短答式試験・論文式試験の共通科目会計学・財務会計論(簿記、財務諸表論など)
・管理会計論(原価計算など)
監査論・金融商品取引法や会社法に基づく監査制度
・監査基準・監査理論
企業法・会社法、商法、金融商品取引法・監査を受ける組織に関する法規
論文式試験のみ租税法・法人税法、所得税法、消費税法などの租税法各論
経営学(選択科目)・経営管理や財務管理の基礎理論
経済学(選択科目)・ミクロ経済学・マクロ経済学・その他経済理論
民法(選択科目)・民法典第1~3編がメイン・そのほか関連特別法を含む
統計学(選択科目)・記述統計・推測統計・金融工学の基礎理論

【参考】金融庁|令和7年公認会計士試験受験案内 P11

試験問題は具体的な企業事例を用いて出題されるケースが多く、受験者は事例分析と適切な解決策を示す能力が求められます。

知識だけでなく、実践的な分析力や論理的思考が不可欠です。

試験会場と日程

公認会計士論文式試験は、以下の主要都市や隣接する府県、公認会計士・監査審査会が指定する場所で実施されます。

  • 東京都
  • 大阪府
  • 北海道
  • 宮城県
  • 愛知県
  • 石川県
  • 広島県
  • 香川県
  • 熊本県
  • 福岡県
  • 沖縄県

会場は、試験日の1カ月ほど前に公認会計士・監査審査会の公式サイトにて公開されます。

令和6年(2024年)は、大学や専門学校、合同庁舎や国際会議場などで行われました。

試験に関する変更があった場合は、公認会計士・監査審査会の公式サイトやX(旧Twitter)でも最新情報が配信されるため、常にチェックしましょう。

試験日程は、例年8月の3日間にわたって行われるケースがほとんどですが、年によって異なる場合もあります。

公認会計士論文式試験の過去問と模範解答

公認会計士論文式試験の令和5年(2023年)、令和6年(2024年)の過去問と模範解答について解説します。

令和5年度(2023年)の過去問

はじめに、令和5年度(2023年)分の企業法から抜粋した問題を見てみましょう。

【出典】令和5年公認会計士試験論文式試験の試験問題及び答案用紙について(企業法 第1問より抜粋)

上記は、会社の承認なしに譲渡制限株式が譲渡された場合の法的効果を論じる問題です。

令和6年度(2024年)の過去問

次に、令和6年度(2024年)の監査論から問題を抜粋しました。

【出典】令和6年公認会計士試験論文式試験の試験問題及び答案用紙について(監査論 第1問より抜粋)

上記は、「二重責任の原則」の観点から、監査人が経営者確認書を入手する意義を論じる問題です。

過去問題で出題傾向の確認ができるため、資格取得を目指す方は、一度目を通すことをおすすめします。

模範解答

公認会計士論文式試験の模範解答は、金融庁(公認会計士・監査審査会)から公表されていません。

論文式試験は考え方を問われるものが多く、明確な答えが1つではないためです。

模範解答を知りたい場合は、予備校や通信講座などが開示する解説と自分の論述ポイントが一致しているか確認して正誤を測ります。

試験を受ける際には、1つの過去問に対して複数の模範解答を照らし合わせながら理解を深めましょう。

公認会計士論文式試験の難易度は?

公認会計士論文式試験は三大国家資格に含まれており、難易度の高い資格と言えます。

どの程度の難易度なのか、具体的な合格率や足切り基準を確認していきましょう。

三大国家資格に含まれているため難易度が高め

公認会計士が三大国家資格のひとつに数えられていることからも、試験の難易度の高さが窺えます。

医師国家試験・司法試験・公認会計士試験は、いずれも専門的な知識が必要とされ、合格までに膨大な学習時間を要する試験です。

特に公認会計士論文式試験は、財務会計、監査、税務など多岐にわたる分野での深い理解と実務応用力が求められるため、非常に厳しい試験として知られています。

論文式試験の合格率は約40%

公認会計士論文式試験の合格率は、約40%です。

公認会計士・監査審査会の資料を見ると、令和5年度(2023年)は受験者数4,192名に対し1,544名が論文式試験に合格したことから、合格率が36.8%とわかります。

短答式試験の受験者数は1万8,228名いましたが、合格した人はわずか2,103名です。

短答式試験の免除者を含め4,192名の人が論文式試験を受験したものの、最終的に合格できたのは7.6%であるため、試験全体を通して難易度が高めと言えます。

論文式試験では、財務会計や監査、税務などの専門知識だけでなく、実務に即した問題解決能力や論述力も問われます。

受験者は膨大な範囲を深く理解しなければならないため、試験の準備には十分な学習時間を確保しましょう。

【参考】金融庁「令和5年公認会計士試験の合格発表の概要について」 P1

1科目でも足切り基準に満たない場合は不合格

公認会計士論文式試験には「足切り基準」が設けられており、特定の科目で一定の得点を下回ると、全体の得点が高くても不合格となります。

足切りは、公認会計士として必要な専門知識を幅広く均等に持っているかを確認するためのもので、合格者の知識が偏らないようにするのが目的です。

合格基準は受験年によって異なり、令和6年の場合は52% の得点比率を目安として、審査会が相当と認めた得点比率とされています。

ただし、上記基準に加えて、1科目の得点が40%に満たないものがあるときは審査会の判断によって不合格にできる仕組みとなっています。

全科目で基準を満たすためには、科目ごとの時間配分を考慮し、戦略的な学習計画を立てることが重要です。

公認会計士論文式試験に合格するためのポイント5つ

公認会計士の論文式試験合格のために押さえておきたいポイントは、以下の5つです。

  • 勉強時間の目安を知る
  • 過去問対策を徹底する
  • 自分に合った教材を選ぶ
  • 配点を把握する
  • 科目免除の仕組みを活用する

具体的に何をすればよいのか、1つずつ確認していきましょう。

1.勉強時間の目安を知る

公認会計士論文式試験に合格するために、勉強時間の目安を知りましょう。

論文式試験合格のためには、1,000〜2,000時間の勉強時間が必要です。

試験全体では3,000〜5,000時間の勉強時間が目安で、そのうち1/3〜1/2を論文式試験対策に充てるのが理想と言えます。

論文式試験の勉強に十分な時間を割くのは、試験内容が専門的で広範なことに加え、深い理解と実践的な応用力が求められるためです。

1年で資格取得を目指すなら、1日8時間以上の勉強時間が必要です。

短答式試験の免除があり、論文式試験のみ受験する場合は、1日3〜5時間の勉強時間を要します。

スケジュールを立てる際には年単位で考えて、計画的に勉強をしましょう。

2.過去問対策を徹底する

過去問対策を徹底的に行うのも、合格を目指すための大切なポイントになります。

過去問を解く目的は、出題傾向の把握や論述練習をするためです。

どのような分野が重点的に出題されるかを知ると、効率的な学習につながります。

実際の問題形式に慣れることで自分の考えを論理的に整理し、試験の採点基準に沿った解答ができるようになります。

また、過去問解答後の振り返りは自己分析と弱点克服に欠かせないため、必ず実施しましょう。

解いた後に振り返りを行い、間違えた箇所や理解不足な部分を改善すれば、効率的に実力を伸ばせます。

3.自分に合った教材を選ぶ

公認会計士論文式試験において、自分の学習スタイルや生活環境に合った教材選びも合格への重要なステップです。

文章を読むのが得意な人はテキスト中心の教材が向いていますし、動画のほうが分かりやすい人には動画教材が効果的です。

それぞれの学習スタイルに合った教材を利用すると、理解度が深まりやすくなります。

教材の質も合格に大きな影響を与えます。

出題傾向や試験内容に即した質の高い情報を得られれば、受験者はより的確な対策が可能です。

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4.配点を把握する

公認会計士論文式試験の合格を目指すときは、各科目の配点も把握しましょう。

配点を理解すれば、どの科目に重点を置くべきかが明確になります。

論文式試験の配点は以下のとおりです。

科目配点
会計学300点
監査論100点
企業法100点
租税法100点
選択科目100点

【参照】金融庁|令和7年公認会計士試験受験案内P1.(4)試験科目等

配点が高い科目に重点的に時間を割くことで、勉強の効率を最大化できます。

また、1科目40%以下は不合格となるため、配点を知れば各科目の合格ラインが分かります。

過去問を解き、合格ラインに満たない科目を重点的に勉強するのもオススメです。

配点を把握して勉強をすると試験全体の得点を最大化できるため、合格率を高められるでしょう。

5.科目免除の仕組みを活用する

公認会計士論文式試験には、特定の条件を満たすと一部の科目が免除される科目免除制度があります。

受験者は所定の免除申請書と必要書類を提出し、審査を通過すれば、試験科目の一部が免除される仕組みです。

商学博士や法律学教授、または司法試験合格者などが対象となり、それぞれの資格に応じて一部の科目が免除されます。

科目免除制度により免除対象外の科目に集中できるため、より効果的な勉強が可能です。

科目免除制度は合格への大きな助けとなるため、免除対象であるか公認会計士・監査審査会の公式サイトで事前に確認しましょう。

公認会計士論文式試験当日の注意事項

試験当日は、持ち物の確認や時間割の把握を怠らないようにしましょう。

持ち物については論文式試験と短答式試験では必要な物が異なるため、注意が必要です。

当日のケアレスミスを起こさないよう、1つずつ確認していきましょう。

持ち物を確認する

公認会計士論文式試験では、以下の持ち物が必要です。

  • 受験票
  • 写真票(短答式試験で提出した方は不要)
  • 筆記用具(論文式試験の場合は、ボールペン、万年筆、修正液/修正テープ)
  • 電卓
  • 時計(計時機能のみのもの)
  • ホッチキス・定規
  • ペットボトル飲料(700ml以下)

【参考】金融庁|令和7年公認会計士試験受験案内 P14、15

各持ち物について規定があるため、事前確認したうえで用意しましょう。

時間割を把握する

論文式試験は3日間に分けて行われるため、時間割を把握しましょう。

令和7年度(2025年)の公認会計士論文式試験は、以下の日程で行われる予定です。

日付時間科目試験時間
8月22日(金)10:30〜12:30監査論120分
14:30〜16:30租税法120分
8月23日(土)10:30〜12:30会計学120分
14:30〜17:30会計学180分
8月24日(日)10:30〜12:30企業法120分
14:30〜16:30選択科目120分

【参考】金融庁|令和7年公認会計士試験受験案内(表紙)

論文式試験では、会計学が300分(120分 + 180分)と最も長く、その他の科目はすべて120分で設定されています。

試験時間を確認しておけば、時間配分を意識した対策が可能です。

毎年ほとんど変更はありませんが、年によっては開催時期が変わるケースもあるため、事前確認を怠らないよう気をつけましょう。

体調管理を万全にしておく

公認会計士論文式試験では試験中の集中力や思考力を維持するために、体調管理を万全にして臨みましょう。

試験は3日間かけて行われ、各科目試験も長時間にわたるため体力的な準備も重要です。

試験前には十分な休息をとり、バランスの取れた食事を心がけましょう。

特に試験日の前夜には十分な睡眠を確保し、試験中に最大限のパフォーマンスを発揮できるようにしておく必要があります。

健康な状態で試験に臨むことが、合格の可能性を高めるための鍵となります。

体調管理を怠らず、万全の準備をして臨みましょう。

まとめ

本記事では、公認会計士論文式試験の概要や目的、合格率について解説しました。

公認会計士論文式試験で主に押さえておくべきポイントは、以下の通りです。

  • 試験の概要
  • 出題形式
  • 勉強時間の確保
  • 過去問と模範解答分析
  • 適切な教材選び

特に重要なのは、試験の内容や出題傾向の正確な理解と、徹底的な過去問対策です。

合格するためには、勉強時間の確保や科目免除の仕組みを把握し、自分に合った教材選びも欠かせません。

試験当日は、持ち物の確認や時間割の把握、体調管理を万全にして臨むことが合格につながります。

本記事を参考に適切な準備を進め、試験に向けた効果的な対策を行いましょう。

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