公認会計士の短答式試験とは?効率的な勉強方法まで詳しく解説!

公認会計士を目指す方にとって、最初の大きな関門となるのが短答式試験です。

短答式試験は、公認会計士試験の最初の試験であり、合格することで次の論文式試験に進めます。

本記事では、短答式試験の概要から目的、試験科目や合格率、さらに効率的な勉強方法や合格のために必要な勉強時間について詳しく解説します。

これから短答式試験に挑戦しようと考えている方にとって、試験突破のための情報が詰まった内容ですので、ぜひ参考にしてください。

公認会計士の短答式試験とは?

公認会計士の短答式試験は公認会計士になるための試験で、財務会計と管理会計、監査、企業法の4科目で構成され、マークシート形式で解答します。

公認会計士試験は、必要な学識と活用能力を備えているかを判定するために、短答式と論文式の両試験で構成されています。

免除制度を利用する場合を除き、短答式試験に合格しなければ次の論文式試験には進めません。

本章では、試験の目的から出題形式について詳しく解説します。

公認会計士の短答式試験の概要

公認会計士短答式試験は、会計士を目指す人の知識と応用力が試される試験です。

短答式試験はマークシート形式で知識と応用力を問う内容となり、短答式試験を通過した受験者のみが次の論文式試験に進めます。

平成15年の法改正で試験の簡素化や免除科目の拡大が実施され、多様な受験者が挑戦できるようになりました。

現行の試験制度は平成18年から実施されています。

短答式試験は会計士試験の第一段階として必要な基礎力を確認し、業務遂行に求められる応用力の土台を築く役割を果たしています。

【参考】金融庁「令和6年公認会計士試験受験案内
    金融庁「第2章 公認会計士試験の実施

公認会計士の短答式試験の日程と出願方法

短答式試験は年2回(5月・12月)実施されます。

どちらかの試験に合格すれば論文式試験に進むことができ、合格後の2年間は短答式試験が免除されます。

令和7年度から出願方法がインターネット出願のみになり、郵送での受付けはしていません。

受験案内もPDF形式になっており、公認会計士・監査審査会の公式ウェブサイトから確認する方式になりました。

出願はインターネット出願のみですが、科目免除申請は郵送になっているため注意しましょう。

公認会計士の短答式試験の試験科目と試験形式 

短答式試験の試験科目は、以下4科目です。

  • 財務会計論
  • 管理会計論
  • 監査論
  • 企業法

解答はマークシート形式で行われ、5〜6つの選択肢から選択する択一式となっています。

正しい組み合わせを問われる問題も多く、正確かつ迅速な解答が求められます。

【参考】公認会計士・監査委員会「令和6年公認会計士試験第Ⅱ回短答式試験の試験問題及び答案用紙について」

公認会計士の短答式試験の合格率とボーダーライン

公認会計士短答式試験の合格率は、近年7~15%で推移しています。

短答式試験のボーダーラインは総得点の70%が基準とされ、公認会計士・監査審査会が定めた得点比率によって決定されます。

ただし、各科目で満点の40%に満たない科目がある場合は、不合格になる場合があるため注意が必要です。

合格率やボーダーラインは受験年によって異なるため、ひとつずつ確認していきましょう。

【参考】金融庁「合格基準について」

公認会計士の短答式試験の合格率

近年の短答式試験の合格率は7〜15%となっており、受験回によって開きがあります。

2回の試験を合わせた過去5年の合格率は以下のとおりです。

試験年受験者数合格者数合格率
令和元(2019)10,563人1,806人17.1%
令和2(2020)11,598人1,861人16.0%
令和3(2021)12,260人2,060人16.8%
令和4(2022)16,701人1,979人11.8%
令和5(2023)18,228人2,103人11.5%
令和6(2024)19,564人2,345人12.0%
【参考】公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」>各年の「公認会計士試験の合格発表の概要について」

年2回の試験を合わせた合格率は、過去5年において10%台で推移しています。

前述の通り、免除制度を利用する場合を除き、短答式試験を突破しなければ論文式試験には進めません。

最初の関門である短答式試験の合格率が10%台であることは、公認会計士試験の難易度の高さを表していると言えます。

公認会計士の短答式試験の合格ボーダーライン

短答式試験のボーダーラインは、総得点数の70%を基準としています。

70%の基準に対し、公認会計士・監査審査会の定めた基準をもとに得点比率が決められる仕組みです。

得点比率は年度によって異なり、60%~70%台の水準で推移しています。

令和6年度の初回短答式試験の得点比率は、75%と高い基準が設定されていました。

【参考】金融庁「試験結果の概要 (令和6年公認会計士試験第Ⅰ回短答式試験)」

公認会計士の短答式試験の勉強方法と勉強時間の目安

短答式試験に合格するためには、効率よく学習を進める必要があります。

また、合格のために必要な勉強時間は1,500~2,000時間程度と言われているため、勉強時間の確保も課題のひとつです。

本章では、効率のよい勉強方法と勉強時間の内容について詳しく解説します。

公認会計士の短答式試験の効率的な勉強方法

短答式試験の効率的な勉強法は、動画教材の活用です。

受験者は、予備校の講義に参加したり講義動画を参考にしたりしながら学習しています。

現在では通信講座の内容も充実しており、スキマ時間を活用していつでも学習できるため、効率よく学習を進めることが可能です。

短答式試験は試験範囲が膨大なため、弱点の克服が合格の鍵となります。

テキストだけでなく、動画教材の併用をすると効率よく学習を進められます。

短答式試験に合格するために必要な勉強時間は1500時間ほど

短答式試験に合格するためには、1,500〜2,000時間程度の勉強時間が必要だと言われています。

短答式合格のためには勉強時間の確保や適切なスケジュール管理が欠かせません。

しかし、1,500時間という勉強時間はあくまで目安であるため、学習を進めるなかで自分の知識レベルを把握しながら学習計画を立てていきましょう。

効果的な教材と具体的な活用方法

短答式試験に合格するための効果的な教材は、通信講座の動画教材です。

出題傾向についての解説が付いた動画教材であれば、効率的な対策が可能です。

スタディングの動画講義は、重要ポイントの解説が充実し、理解しやすい構成で試験対策に効果的です。

スタディングでは講座の無料お試し体験ができるため、講義動画を見てみたい方はぜひ一度視聴してみてください。

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【科目別】公認会計士の短答式試験の過去問

短答式試験に合格するためには、過去問の把握が欠かせません。

下記に、科目別の過去問を抜粋しました。一科目ずつ確認していきましょう。

1.財務会計論

令和6年度の財務会計論は以下のような問題が出題されました。

【出典】令和6 年試験 第Ⅰ回短答式試験問題 財務会計論

複式簿記に関する基礎的な理解を問う問題でした。

財務会計論では会計基準等についての理解を問う計算問題・理論問題が出題されます。

2.管理会計論

令和6年度の管理会計論は以下のような問題が出題されました。

【出典】令和6 年試験 第Ⅰ回短答式試験問題 管理会計論

原価の諸概念についての理解を問う問題でした。

管理会計論では原価計算基準に関する理論問題のほか、管理会計に関わる各種計算問題が出題されます。

3.監査論

令和6年度の監査論は以下のような問題が出題されました。

【出典】令和6 年試験 第Ⅰ回短答式試験問題 監 査 論

財務諸表監査についての理解を問う問題でした。

監査論では監査制度などに関する理論問題が出題されます。

4.企業法

【出典】令和6 年試験 第Ⅰ回短答式試験問題 企 業 法

商法における商人についての理解を問う問題でした。

企業法では会社法や商法、金融商品取引法のうち、主に公認会計士に関係する法令についての理論問題が出題されます。

公認会計士の短答式試験合格発表はいつ?

短答式試験の合格発表は試験から約1カ月後の6月と1月に行われ、発表から約2週間後に合格通知書が郵送で届きます。

公認会計士・監査審査会のウェブページで合格発表されたのち、官報でも受験番号が公告されます。

次の論文式試験を受けるまで期間が空く場合は合格通知書のコピーが必要なため、紛失しないように注意しましょう。

令和7年度の試験日程案では、例年通り6月と1月に合格発表が行われる予定です。

年によって異なる可能性もあるため、受験者は公認会計士・監査審査会のウェブページを確認しましょう。

合格発表までは約1カ月間空いています。

合格だった場合は論文式試験の準備、不合格だった場合は短答式試験の復習と、結果によってその後に取るべき行動が変わります。

各予備校が発表している解答速報で試験の手応えを確認し、今後の学習方針を検討しましょう。

なお、正式な試験解答の公表は、合格発表と同じタイミングで行われます。

【参照】令和7年公認会計士験実施日程(案)
    令和6年公認会計士試験受験案内P5(2)
    令和6年公認会計士試験第Ⅰ回短答式試験の合格発表等について2.試験結果に関する情報

公認会計士の試験合格後のキャリアパスは主に3つ

公認会計士の試験に合格したあとの主なキャリアは以下の3つです。

  • 監査法人に就職する
  • コンサルティングファームに就職する
  • 事業会社に就職する

具体的にどのような業務を行うのか確認していきましょう。

監査法人に就職する

公認会計士試験に合格後、約9割が監査法人に就職します。

企業の財務報告が正確であるかをチェックする会計監査が主な業務内容です。

監査では、企業が会計基準等にもとづいて取引を正しく記録し、信頼できる報告を行っているかを確認します。

財務報告の不備や不正が無いかを点検し、必要に応じて、報告内容について指摘します。

上記のような監査業務を組織的に行うのが監査法人です。

「Big4」と呼ばれる以下の大手監査法人は、就職先としてとくに人気があります。

  • KPMGコンサルティング(有限責任あずさ監査法人)
  • デロイト トウシュ トーマツ (有限責任監査法人トーマツ)
  • アーンスト・アンド・ヤング(EY新日本有限責任監査法人)
  • プライスウォーターハウスクーパース(PwC Japan有限責任監査法人)

Big4はさまざまな業界で監査を行っているため、会計士としての専門スキルを大きく伸ばせる監査法人と言えるでしょう。

【参考】金融庁「合格者アンケート調査結果

コンサルティングファームに就職する

公認会計士のキャリアパスには、コンサルティングファーム(とくに財務系コンサルティングファーム、FAS)が含まれます。

前述の監査法人は企業の財務報告が適切かをチェックする役割を担いますが、FAS(Financial Advisory Services)ではM&A(合併・買収)や企業再生支援など、企業の成長戦略を支援する業務が中心です。

FASに就職することで、公認会計士としてのスキルの幅が広がり、キャリアの選択肢も増えるでしょう。

事業会社に就職する

公認会計士のキャリアパスには、事業会社の財務部門への就職の選択肢もあります。

事業会社では、財務分析や予算管理、資金調達を担当し、経営判断に必要なデータを提供します。

企業の内部運営を深く理解できるため、将来的には管理職へのキャリアパスがあるのも事業会社ならではと言えるでしょう。

まとめ

本記事では、公認会計士短答式試験の概要や合格率、勉強法について解説しました。

公認会計士短答式試験で主に押さえておくべきポイントは、以下の通りです。

ポイント内容
試験の概要毎年2回(5月と12月)実施され、4つの主要科目で構成される選択肢形式の試験
合格率とボーダーライン合格率は10%前後、ボーダーラインは70%が目安
勉強時間の確保合格には1,500時間以上の勉強が必要
勉強方法過去問の復習と模範解答分析
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短答式試験に合格するためには、試験概要や出題傾向を理解することが重要です。

本記事を参考に、適切な準備を進め、合格に向けた効果的な学習を行いましょう。

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