
公認会計士試験には受験資格の制限がないため、大学卒ではなく高卒でも問題なく受験可能です。
しかし、日本の難関国家資格のひとつであり、合格率も非常に低いため、計画的かつ効率的に勉強を進める必要があります。
この記事では、高卒から公認会計士試験を目指せる理由や必要な勉強時間、資格取得後の就職先、合格するためのポイントなどを詳しく解説します。
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公認会計士は高卒でも目指すことは可能
公認会計士試験は、高卒でも問題なく受験できます。
また高卒で資格を取得したあとに、実際に公認会計士として働けることも詳しく解説します。
受験資格に制限がない
公認会計士試験の大きな特徴のひとつは、受験資格に学歴や年齢、国籍の制限がないことです。
つまり、高卒者でも「公認会計士になりたい」と思ったときからすぐに資格取得を目指せます。
公認会計士は、弁護士や医師、税理士などと並ぶ難関国家資格のひとつとして知られています。
難関国家資格のなかでも公認会計士は受験資格の制限がないため、比較的、挑戦しやすい資格と言えるでしょう。
高卒に限らず、高校在学中に試験を受けることも可能です。

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高卒で公認会計士になっている人も一定数いる
実際に、高卒で公認会計士として働いている人は存在します。
公認会計士・監査審査会が公表する「令和5年公認会計士試験合格者調(p.3)」によると、合格者構成比のうち6.2%が高卒者でした。
試験結果から、高卒から公認会計士を目指すことは可能だとわかります。
学歴にとらわれず、自分の目標に向かって着実に努力を重ねることで、公認会計士としてのキャリアを築くチャンスは十分にあります。
公認会計士試験の合格率と必要な勉強時間
誰でも受験できる公認会計士ですが、具体的な難易度や必要な勉強時間が気になる人も多いのではないでしょうか。
合格率と勉強時間について詳しく解説するので、参考にしてみてください。
全体の合格率
公認会計士の合格率は低く、令和4~6年(2022~2024年)の結果は7%台でした。
令和元年(2019年)から令和6年までの合格率の推移は、以下の通りです。
試験年 | 出願者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和元(2019) | 12,532人 | 1,337人 | 10.7% |
令和2(2020) | 13,231人 | 1,335人 | 10.1% |
令和3(2021) | 14,192人 | 1,360人 | 9.6% |
令和4(2022) | 18,789人 | 1,456人 | 7.7% |
令和5(2023) | 20,317人 | 1,544人 | 7.6% |
令和6(2024) | 21,573人 | 1,603人 | 7.4% |
出願者数は年々増加しており、令和元年(2019年)から令和6年(2024年)にかけて約1.7倍に増加しています。
合格者数も緩やかに増加していますが、出願者数の増加率ほどではありません。
その結果、合格率は年々低下傾向にあり、令和元年の10.7%から令和6年には7.4%まで下がっています。
学歴別の合格率
公認会計士試験では、以下の通り、学歴別の合格者のデータも公表しています。
令和6年(2024年)のデータは以下の通りです。
試験年 | 出願者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 合格者構成比(%) |
---|---|---|---|---|
大学院修了 | 1,071 | 60 | 5.6 | 3.7 |
会計専門職大学院修了 | 745 | 28 | 3.8 | 1.7 |
大学院在学 | 176 | 14 | 8.0 | 0.9 |
会計専門職大学院在学 | 207 | 21 | 10.1 | 1.3 |
大学卒業(短大含む) | 9,657 | 747 | 7.7 | 46.6 |
大学在学(短大含む) | 6,901 | 605 | 8.8 | 37.7 |
高校卒業 | 2,255 | 102 | 4.5 | 6.4 |
その他 | 561 | 26 | 4.6 | 1.6 |
【参考】公認会計士・監査審査会「令和6年公認会計士試験合格者調」
高卒者の合格率は4.5%であり、大卒者(7.7%)や大学在学者(8.8%)と比べると低いものの、一定の合格者を輩出しているとわかります。
必要な勉強時間
公認会計士・監査審査会が公開している「公認会計士という職業の魅力」には、試験に合格するのに必要な時間として「2年間で5,000時間」と記載されています。
2年間で5,000時間を目指す場合、単純計算で1日あたり6.8時間を勉強に費やさなければなりません。
「3,000時間ほどで合格を目指せる」という声もありますが、どちらにせよ膨大な勉強量と着実に知識を身につけて行くための勉強計画が必要です。
勉強時間の長さも、公認会計士試験が難関試験だと言える理由のひとつです。

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高卒で公認会計士を目指すのは不利なのか?
高卒で公認会計士を目指す場合、大卒と比べると不利と言えるかもしれません。
令和6年試験の結果を確認すると、大卒の合格率は7.7%で高卒の合格率は4.5%です。
合格者全体の構成比は、大卒が46.6%で高卒が6.4%であるため、大卒者のほうが合格の可能性が高いとわかります。
大卒の合格率が高いのは、試験内容の基礎を勉強しているからと推測できます。
大学の授業では、法律や経理、財務に関する科目を履修しているケースが多く、公認会計士試験の内容と被るものも少なくありません。
そのため試験内容の基礎ができており、難解な試験科目に対しても取り組みやすく、結果的に合格率に現れていると考えられます。
さらに、司法試験や税理士試験(科目も含む)に合格していれば、公認会計士試験の科目免除を受けることが可能です。
以上のことから、高卒者よりも大卒者や司法試験合格者のほうが有利になると言えるでしょう。
ただし、高卒が不利と言われるのは学習経験の部分だけであり、十分な試験対策を行えば誰でも合格を目指せます。
公認会計士試験合格から資格登録までの流れ
公認会計士試験の合格から資格登録までの流れは、以下の通りです。
- 資格試験に合格
- 3年以上の業務補助
- 一般財団法人会計教育研修機構が実施する実務試験を通過し、日本公認会計士協会による修了考査に合格する
- 内閣総理大臣の確認を受けて公認会計士登録を行う
試験に合格してもすぐに働けるわけではなく、実際に公認会計士として働けるまでに3年以上かかります。
公認会計士資格を取得したあとの就職先
公認会計士の主な就職先は、以下の4つです。
- 監査法人
- コンサルティング会社
- 一般企業の経理部や財務部
- 税理士法人
それぞれ詳しく解説します。
監査法人
監査法人は、公認会計士にとって最も一般的な就職先のひとつです。
主に上場企業や大企業の財務諸表監査を行い、企業の財務情報の信頼性を担保する重要な役割を担います。
大手の監査法人として、以下のBig4(四大監査法人)と呼ばれる4法人が挙げられます。
- 有限責任監査法人トーマツ
- EY新日本有限責任監査法人
- あずさ監査法人 – KPMGジャパン
- PwC Japan有限責任監査法人
大手の監査法人以外にも、さまざまな規模の監査法人が存在しているので、キャリアプランや働き方などを考慮して希望の監査法人を選ぶことが可能です。
監査法人のなかには国際的な案件に携わる機会も多くあり、グローバルな視点で業務にも携わる可能性もあります。
コンサルティング会社
コンサルティング会社では、公認会計士の専門知識を活かして、企業の財務・会計に携わり、経営課題解決のサポートを行います。
主な業務は、企業の長期経営計画・戦略策定をサポートする経営戦略立案や、財務面からM&Aや事業再構築などです。これらの業務では、クライアント企業の経営全般に関わる幅広い知識と問題解決能力が求められます。
公認会計士としての財務の専門性に加え、経営全般に関する深い洞察力を身につけられるため、将来的には経営者としてのキャリアも視野に入れられるでしょう。
一般企業の経理部や財務部
公認会計士は、一般企業の経理部や財務部でも重要な役割を果たします。
主な業務は、以下のような企業の財務全般です。
- 財務諸表の作成
- 予算管理
- 資金調達
- 投資判断
- 内部監査 など
また、財務の専門家として経営陣の意思決定をサポートする役割も担います。
一般企業で働く利点は、特定の企業や業界に特化したキャリアを築けることです。
企業の事業内容や業界特性を深く理解しながら、財務・会計の専門性を発揮できます。
さらに、経理部長や財務部長、CFO(最高財務責任者)などの役職で経営に参画するケースもあり、企業の中核を担う立場での活躍が可能です。
税理士法人
公認会計士は、一定の実務経験を積むことで税理士登録ができるため、税務を専門的に行う税理士法人への所属も可能です。
税理士法人での主な業務には、確定申告や税務当局との交渉を代行する税務代理、各種税務関連書類の作成などがあります。
税理士法人の魅力は、会計と税務の両面から専門性を発揮できることです。
個人事業主から大企業まで幅広いクライアントと接することで、多様な経験を積めるのも税理士法人で働く特徴のひとつです。
高卒で公認会計士を目指すメリットとデメリット
高卒で公認会計士を目指すメリットとデメリットは、以下の通りです。
▼メリット
- 誰でも挑戦できる
- 年収アップが期待できる
- 社会的信用が大きい仕事に就ける
▼デメリット
- 専門性の高い勉強を負担に感じる
まず、公認会計士は難関国家資格でありながら、誰でも受験できる点は大きなメリットと言えるでしょう。
また、公認会計士は年収が高いことでも知られています。
厚生労働省の「職業情報提供サイトjobtag」によると、公認会計士の平均年収は856万3,000円です。
さらに、公認会計士になることで、独占業務である「会計監査」の仕事に就けて、社会的信用の大きな仕事に携われます。
高卒でも資格を取得すれば社会的信用の大きい仕事に就きやすくなり、年収の大幅アップが期待できます。
一方で、高卒で公認会計士を目指すデメリットとして挙げられるのは、膨大な勉強時間を確保する必要がある点です。
大学の授業で法律や経理、財務に関する科目を履修していないため、基礎知識から身につける必要があり、負担に感じることがあるでしょう。
およそ2年間で5,000時間を目安に勉強する必要があり、長期間にわたってコツコツ勉強を続けなければなりません。
高卒で公認会計士試験に合格するためのポイント
高卒で公認会計士試験に合格するためのポイントは、以下の2つです。
- 公認会計士を目指す目的やキャリアプランを明確にする
- 専門学校や通信講座を活用する
それぞれ詳しく解説します。
公認会計士を目指す目的やキャリアプランを明確にする
高卒で公認会計士を目指す場合、まず資格取得の目的と合格後のキャリアプランを明確にすることが重要です。
公認会計士資格の取得には多大な時間と労力が必要となるため、明確な目標設定がモチベーションを維持するカギとなります。
公認会計士としてどのような仕事がしたいのか、どのような職場で働きたいのかなど、具体的なビジョンを描くことで勉強への取り組み方も変わるでしょう。
また、公認会計士の資格を取得したあとのキャリアパスを考えておくと、必要な経験を積むための計画を立てることが可能です。
目的意識をもって勉強に取り組むことで、長期にわたる試験勉強のモチベーションを保ち、効率的に合格を目指せるでしょう。
専門学校や通信講座を活用する
勉強は独学でもできますが、高卒で公認会計士を目指す場合は専門学校や通信講座の活用が効果的です。
国家試験対策では、学習スケジュールの確立や優先度の高い出題科目の見極めなどが試験突破に欠かせません。
専門学校や通信講座では、学校や講師が豊富なノウハウをもっており、公認会計士試験に特化したカリキュラムを受けられます。
専門学校と通信講座の違いは、以下の通りです。
▼専門学校
- 対面での授業や質問対応が可能
- 仲間と切磋琢磨しながら勉強を進められる
▼通信講座
- 時間や場所に縛られずに勉強できる
- 柔軟な学習スケジュールで、自分のペースで勉強を進められる
学校や講座によっては、個別相談や学習進捗管理のサービスも提供されており、勉強のモチベーション維持に役立ちます。
専門学校や通信講座をうまく活用することで、高卒からでも公認会計士試験合格への道筋を立てやすくなるでしょう。
なお、職場近くに専門学校がない人や、お仕事の関係で時間や場所に左右されずに勉強したい人には、資格合格パートナーの「スタディング」がおすすめです。
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高卒で公認会計士を目指す人のよくある質問
高卒で公認会計士を目指す人のよくある質問は、以下の3つです。
- 公認会計士を目指すにあたって、高卒と大卒の違いはあるのか?
- 高卒でも公認会計士資格があれば高収入を得られるのか?
- 高卒でも四大監査法人(Big4)に入社できるのか?
それぞれ詳しく解説します。
公認会計士を目指すにあたって、高卒と大卒の違いはあるのか?
大卒でも高卒でも、受験資格に違いはありません。
合格率から考えられるのは、高卒のほうが勉強時間が長くなる可能性があることです。
大卒の場合、公認会計士試験の科目を大学の履修科目で学んでいるケースもあるので、より少ない時間で理解を深められると考えられます。
一方で、高卒の場合は全科目を1から勉強する必要があり、大卒者に比べると理解を深めるのに時間がかかる可能性があります。
高卒でも公認会計士資格があれば高収入を得られるのか?
公認会計士の仕事は学歴が関係ないため、高卒者でも高収入を狙えます。
厚生労働省によると、公認会計士の平均年収は856万3,000円です。
また、国税庁の公表によると給与所得者の平均年収が460万円であるため、公認会計士の給与のほうが400万円ほど高いことになります。
結果を出せれば高収入を狙えて、働き方や経験年数、役職、会社規模によっては年収1,000万円超えも実現可能です。

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高卒でも四大監査法人(Big4)に入社できるのか?
高卒でも、Big4と呼ばれる大手監査法人に入社可能です。
たとえば、四大監査法人のひとつである「デロイト・トーマツ」の公認会計士採用ページを確認すると、必須項目に学歴は記載されていません。
必要とされるのは、公認会計士の資格や監査法人での監査実務経験の有無です。
また、歓迎条件で英語力が求められており、学歴よりも語学スキルや会計士としての勤務経験が重視されているとわかります。
有限責任監査法人トーマツの採用ページの先輩紹介を確認すると、高校卒業して会計の専門学校で資格を取得したのちに、同社に入社をしている人もいます。
まとめ
公認会計士試験は、受験資格に制限がないため、高卒でも受験可能です。
令和5年(2023年)試験においては、合格者構成比の6.2%が高卒者であり、高卒でも合格を狙えることがわかります。
ただし、合格までにはおよそ5,000時間の勉強が必要なので、長期間にわたって勉強を続けるためにも目標やキャリアプランを明確にしたうえでの挑戦が大切です。
なお、資格合格に向けて無駄なく勉強を進めたい方には、時間や場所にとらわれずオンラインで勉強できる「スタディング」がおすすめです。
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