社会人が公認会計士を目指すのは無謀?メリットや勉強方法をまとめて解説

公認会計士は魅力的な資格ですが、試験の難易度が高いことでも知られています。

そのため、「社会人が目指すのは無謀?」と不安に感じる方もいるでしょう。

本記事では、社会人が公認会計士を目指すことについて、合格者のデータや仕事との両立方法、勉強法、合格後のメリットまで網羅的に解説します。

社会人から合格を目指すための道筋を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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社会人が公認会計士を目指すのは無謀?

社会人が公認会計士になるのは可能なのか、ここでは以下2つのポイントで見ていきましょう。

  • 簡単ではないが可能
  • 社会人受験生のデータ

簡単ではないが可能

社会人から公認会計士を目指すことは決して簡単ではありません。

公認会計士試験は難易度が高く、3,000~5,000時間といった勉強時間が必要とされており、長期間にわたる学習が求められます。

特に社会人の場合、仕事や家庭の時間を確保しながら、毎日数時間の学習を継続しなければならないため、強い意志と計画的な学習が欠かせません。

しかし、多くの社会人が公認会計士試験に合格していることも事実であり、不可能なわけではありません。

むしろ社会人ならではの経験やスケジュール管理能力を生かせば、効率的に学習を進めることが可能です。

また、現在ではオンライン講座やスマホアプリなど、時間や場所にとらわれずに学べる環境も整っており、働きながらでも合格を目指しやすくなっているといえます。

つまり、社会人から公認会計士を目指すのは「簡単ではないが、しっかりと対策を取れば十分に実現可能な目標」なのです。

社会人受験生のデータ

社会人になってから公認会計士を目指す人は年々増えており、実際に多くの合格者も輩出されています。

ここでは、近年の出願者数・合格者数・合格率をまとめました。

▼公認会計士試験における社会人の出願者数・合格者数・合格率

試験年出願者数(人)合格者数(人)社会人の合格率(%)受験者全体の合格率(%)
令和2年(2020年)3,8122065.410.1%
令和3年(2021年)3,7631814.89.6%
令和4年(2022年)4,7961934.07.7%
令和5年(2023年)4,9182224.57.6%
令和6年(2024年)5,2452094.07.4%

【参考】公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」を参考に作成

上記数値は、受験者区分のうち「会計士補、会計事務所員、税理士、会社員、公務員、教員、教育・学習支援者」の数値を合計したものです。

このデータからわかるように、社会人の出願者数は増加傾向にあり、一定数の合格者が存在していることもわかります。

仕事との両立が求められるため、合格率は全体平均と比較すればやや低めですが、不可能なレベルではありません。

効率的・計画的に学習を進められれば、社会人になってから公認会計士を目指すことは決して無謀ではないのです。

社会人が公認会計士になるメリット

ここでは、社会人が公認会計士になることのメリットを改めて見ていきましょう。

具体的には、以下3つのメリットが挙げられます。

  • 専門性の高い仕事に就きやすい
  • 収入アップにつながりやすい
  • キャリアの選択肢が広がる

専門性の高い仕事に就きやすい

これまで特定のスキルや専門知識が求められない仕事に従事してきた方でも、公認会計士の資格を取得することで「監査」「税務」「コンサルティング」などの高い専門性を持つ職種へのキャリアチェンジが可能になります。

公認会計士は、監査・会計税務・財務分野における専門知識を証明可能な国家資格であり、実務でも強力な武器となります。

未経験の業界でも「資格」が強力な後押しとなり、監査法人や上場企業の経理部門など、これまで縁がなかった業種への転職が選択肢に入ってくるでしょう。

特に「何か手に職をつけたい」と考えている社会人にとって、公認会計士資格は将来の選択肢を大きく広げてくれる存在といえます。

収入アップにつながりやすい

公認会計士は、国家資格の中でも特に高収入が期待できる資格の一つです。

監査法人や大手企業の経理・財務部門、コンサルティングファームなどでは、資格の有無が年収に大きく影響するケースもあります。

令和6年賃金構造基本統計調査によると、公認会計士・税理士の平均年収は約856万円となっており、全職種の平均年収である約527万円と比べて高収入であることがわかります。

大手監査法人などで経験を積めば、年収1,000万円以上も十分に可能といえるでしょう。

企業の経理・財務職などに転職する際にも、公認会計士の資格は評価されやすく、年収アップの交渉材料として有効です。

さらに、社会人経験のある公認会計士は、業界理解や実務経験を活かしてマネジメント職へのステップアップもしやすく、将来的な収入の伸びも期待できます。

このように、公認会計士は資格取得によって年収アップのチャンスが広がる資格だといえます。

【参考】
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査(職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計))」
e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査(第1表  年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)」

キャリアの選択肢が広がる

公認会計士の資格を取得すると、将来のキャリアの幅が大きく広がります。

監査法人での勤務だけでなく、一般企業の経理・財務部門、税理士法人やコンサルティング会社、さらには独立開業など、多様な働き方が選べるようになります。

特に社会人経験を持つ人は、前職の業界知識やビジネス経験を活かして、特定業界に特化した公認会計士として活躍することが可能です。

また、企業内会計士としてIPO準備やM&A対応、内部監査などに関与するケースも増えており、単なる「会計・監査の専門家」にとどまらず、経営に深く関わることもできます。

加えて、フリーランスや独立開業という選択肢もあり、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるのも魅力です。

家庭との両立や地方移住など、自分らしい働き方を実現したい人にとって、柔軟性の高さも大きなメリットといえるでしょう。

社会人が公認会計士になるには?

社会人がこれから公認会計士を目指すなら、以下3つのステップが重要です。

  • 合格までのスケジュールを決める
  • 勉強方法を決める
  • 1日のタイムスケジュールを決める

順番に見ていきましょう。

合格までのスケジュールを決める

社会人が公認会計士試験に合格するためには、限られた時間の中で学習を進める必要があります。

そのためには、あらかじめ無理のないスケジュールを立てることが重要です。

公認会計士試験合格に向けたおすすめの学習期間は、約2年です。

短期間での合格を目指すことも可能ですが、仕事との両立や家庭の事情を考慮すると、余裕を持ったスケジュールのほうが継続しやすく、挫折もしにくくなります。

1年目は基礎学習と短答式試験の対策を中心に行い、2年目に論文式試験対策へと移行するのが一般的な流れです。

平日は毎日2〜3時間、休日は6〜8時間ほど学習時間を確保できるように計画を立てるとよいでしょう。

また、長期的な計画に加えて、1ヶ月・1週間といった単位での学習計画も作成すると、日々の進捗管理がしやすくなります。

ただし、スケジュールを固定しすぎず、生活の変化や学習状況に応じて柔軟に見直すことも大切です。

勉強方法を決める

合格までのスケジュールを決めたら、続いて勉強方法を検討しましょう。

以下3つの選択肢のいずれかを選ぶのが一般的です。

  • 専門学校・予備校に通う
  • 通信・オンライン講座を利用する
  • 独学で対策する

専門学校・予備校に通う

専門学校や予備校に通うことは、公認会計士試験対策の王道ともいえる方法です。

カリキュラムが体系的に組まれており、迷うことなく学習を進められるのが大きなメリットです。

特に初学者にとっては、試験範囲の広さや出題傾向を把握するのが難しいため、プロ講師の指導を受けられる環境は心強い支えとなります。

また、通学形式であればモチベーションの維持もしやすく、学習仲間との交流も可能です。

ただし、手厚いサポートを受けられる反面、70~80万円といわれる費用がネックとなります。

また、授業の時間や場所がある程度固定されるため、忙しい社会人にとってはスケジュール調整が難しい場合もあります。

通学時間が無駄にならないか、自分のライフスタイルに合っているかを事前に確認しましょう。

通信・オンライン講座を利用する

通信講座やオンライン講座は、忙しい社会人にとって相性の良い学習方法です。

スマートフォンやパソコンで講義を視聴できるため、通勤時間や仕事の休憩時間を使って効率的に学習を進められるのが大きな魅力です。

オンラインで学べる「スタディング 公認会計士講座」は、短時間の動画講義やAIを活用した問題演習機能を備えており、理解度に応じて学習内容を調整できる仕組みが整っています。

70~80万円かかる専門学校・予備校と比較して、10万円台から始められる費用の小ささもメリットです。

通信・オンライン講座の場合、自分でスケジュールを管理する必要があるため、一定の自己管理能力は求められます。

しかし、時間に制約のある社会人にとって、柔軟な学習スタイルを実現できる点は大きなメリットといえるでしょう。

独学で対策する

独学で公認会計士試験に挑戦することも可能ですが、高い自己管理能力と学習計画力が求められます。

市販のテキストや問題集を活用しながら、出題範囲をすべて網羅し、自力で理解と演習を進めていく必要があります。

独学の最大のメリットは、コストを抑えられる点です。

予備校や通信講座に比べて受講料がかからないため、経済的な負担を軽減できます。

また、自分のペースで学習を進められる点も、人によっては大きな利点です。

ただし、公認会計士は試験範囲が広く、理解すべき論点も多岐にわたるため、学習の進め方に迷うことも多くなります。

質問ができず、最新の出題傾向への対応が難しいといったデメリットもあります。

独学での合格を目指す場合は、過去問分析や情報収集を行いながら、計画的かつ継続的に取り組む姿勢が不可欠です。

1日のタイムスケジュールを決める

社会人が公認会計士を目指すうえで欠かせないのが、「限られた時間をどう使うか」という視点です。

1日のスケジュールをあらかじめ決めておくことで、勉強の習慣化がしやすくなり、学習の質と継続性を高めることができます。

たとえば、平日は出勤前の1時間、昼休みの30分、帰宅後の1〜2時間など、こまめに学習を積み重ねることで1日2〜3時間の勉強時間を確保できます。

土日には6〜8時間をまとめて学習にあてることで、週20~30時間程度の学習が可能になるでしょう。

ポイントは、手が空いたときにすぐに学習を始められる状態にしておくことです。

スマートフォンやタブレットを使った学習環境があれば、少しの時間も無駄にすることなく、効率的に試験対策ができるでしょう。

社会人が公認会計士試験に合格するためのポイント

ここでは、仕事や家庭で忙しい社会人が公認会計士試験に合格するためのポイントをご紹介します。

  • 仕事との両立方法を考える
  • 時間を有効活用する
  • 効率性を重視する

仕事との両立方法を考える

社会人が公認会計士試験に挑戦するうえで最大の壁は、「仕事との両立」です。

限られた時間の中で安定的に学習を継続するには、意識的に生活全体を見直すことが求められます。

まず、平日のルーティンを整えることが重要です。

出勤前や通勤中、昼休み、就寝前など、細切れでも学習時間を確保できるようスケジュールを工夫しましょう。

勉強時間を事前に「固定」しておくことで、習慣化しやすくなります。

また、職場に理解がある場合は、フレックスタイム制や在宅勤務制度を活用して学習に充てる時間を捻出するのも一つの手段です。

繁忙期を避けて学習計画を立てたり、試験直前には有給休暇を利用したりするなど、柔軟な働き方が可能であれば、学習時間を確保しやすくなります。

さらに、家族やパートナーに試験挑戦を伝えて協力を得ておくと、プライベートとの調整もしやすくなります。

身近な人の理解とサポートは、学習を継続するうえで大きな支えになるでしょう。

時間を有効活用する

公認会計士試験に挑戦する社会人にとって、「時間の使い方」は重要なポイントのひとつです。

限られた時間をどれだけ有効に活用できるかが、合否を分けると言っても過言ではありません。

特に意識したいのが「スキマ時間の活用」です。

通勤中、昼休み、待ち時間など、1回10〜15分でも積み重ねれば1日1時間以上の学習時間を確保できます。

スマートフォンで講義を視聴したり確認テストを行ったりと、手軽に使える学習ツールを活用しましょう。

また、時間が取れる休日には、過去問演習や論文対策などまとまった時間を要する学習に取り組むのが効果的です。

学習内容にメリハリをつけて、時間帯や状況に応じてやるべきことを分けると、より効率的な学習が可能になります。

効率性を重視する

社会人が公認会計士試験に合格するためには、「がむしゃらに勉強する」よりも「いかに効率的に学習を進めるか」が重要です。

学習時間が限られているからこそ、成果につながる学習方法を選ぶことが合格への近道になります。

まず大切なのは、「試験に出るポイントを優先して学ぶ」ことです。

出題頻度の高い論点から取り組み、過去問演習を通じて出題傾向をつかみましょう。

全体を完璧に理解しようとするよりも、得点につながる部分に集中することが大切です。

また、動画講義や短時間で復習できるアプリなど、効率化につながるツールの活用も有効です。

特にオンライン講座では、視聴速度を調整したり、間違えた問題だけを繰り返す機能を使ったりすることで、短時間でも学習効果を最大化できます。

加えて、定期的に学習の振り返りを行い、「やったつもり」で終わらせずに理解度をチェックする習慣も重要です。

効率的に学び、確実に知識を積み上げていくことが、限られた時間で合格を目指す社会人にとって欠かせない戦略です。

社会人が公認会計士を目指すことについてよくある質問

最後に、社会人が公認会計士を目指すうえで、気になる以下の質問に答えていきます。

  • 社会人が公認会計士になるには何年かかる?
  • 社会人が独学で公認会計士になれる?
  • 30代から公認会計士になるメリットはある?

順番に見ていきましょう。

社会人が公認会計士になるには何年かかる?

社会人が公認会計士試験に合格するまでに必要な期間は、一般的に2〜3年が目安とされています。

ただし、これは学習時間を週20〜30時間以上確保できた場合の話であり、仕事の忙しさや家庭の事情などによって個人差があります。

たとえば、平日は2〜3時間、休日に6〜8時間の学習時間を継続できれば、2年程度での合格を目指すことは十分可能です。

予備校や通信講座でも「2〜3年プラン」が推奨されており、最初の1年間で基礎固めと短答対策を行い、2年目以降で論文対策に進むカリキュラムが一般的です。

一方、仕事が多忙で学習時間が取りにくい場合や、途中で学習が中断してしまった場合は、3年以上かかるケースも珍しくありません。

大切なのは「短期間での合格」に向けて焦ることよりも、自分のペースを守りながら、継続して学び続けることです。

社会人が独学で公認会計士になれる?

社会人が独学で公認会計士試験に合格することは可能ではありますが、非常に難易度が高いと言わざるを得ません。

公認会計士試験は出題範囲が広く、専門的な内容も多いため、体系的に学ぶ環境が整っていないと効率よく学習を進めるのは困難です。

特に社会人は学習に使える時間が限られているため、何をどう勉強すべきかを自分で判断しながら進めるのは大きな負担となります。

情報収集や過去問分析、教材選びなど、試験対策以外の作業にも時間を割かなければならず、結果的に非効率になりやすい傾向があります。

それでも独学を選ぶ場合は、信頼性の高いテキストや問題集を選び、学習スケジュールを厳格に管理することが成功のカギです。

また、独学が難しいと感じたタイミングで通信講座や模試などを部分的に取り入れるのもよいでしょう。

独学は費用面でのメリットはあるものの、自己管理や情報の取捨選択に自信のある人向けの方法といえます。

30代から公認会計士になるメリットはある?

「もう30代だし、公認会計士を目指すには遅いのでは?」と不安に思う方も多いかもしれません。

しかし、結論から言うと30代からでも十分にメリットはあります。

実際に、30代で合格して監査法人や企業に転職したり、独立して活躍したりしている人は少なくありません。

まず、30代の社会人はすでにビジネススキルや社会経験を持っているため、実務において即戦力として評価されやすい点が強みです。

公認会計士は専門知識に加えて、クライアントとのコミュニケーション能力や業務のマネジメント力も求められるため、年齢や経験がむしろプラスに働く場面もあります。

また、公認会計士は一度資格を取得すれば、定年まで長く働けるだけでなく、独立開業という選択肢もあるため、30代からでも「将来性のある専門職」としてキャリア形成が可能です。

特にキャリアチェンジや年収アップを目指す場合、公認会計士は魅力的な選択肢となるでしょう。

まとめ

本記事では、「社会人が公認会計士を目指すのは無謀なのか?」という疑問について解説しました。

  • 社会人が公認会計士を目指すのは、簡単ではないが可能
  • 毎年200人前後の社会人が公認会計士試験に合格している
  • 社会人は仕事と勉強の両立が課題だが、工夫次第で時間は確保できる
  • 通勤時間や仕事の休憩時間を有効活用できるかが合否を分ける
  • オンライン講座やアプリを活用することで効率的な学習が可能になる

社会人として忙しい日々を送りながらでも、時間の使い方や学習スタイルを工夫すれば、2~3年で公認会計士試験に合格することは十分可能です。

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