大学生活は勉強やサークル活動など、充実したキャンパスライフを送るイメージがあります。
しかし、在学中に公認会計士の資格取得を目指す学生が年々増加しています。
公認会計士は難関国家資格であるため、資格取得を目指す場合は「遊べない」との意見もあり、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、在学中の資格取得は「遊べない」といわれる理由と、在学中に取得するメリット・デメリットについて解説します。
大学で公認会計士を目指すと遊べないといわれる3つの理由
大学生は授業の選択ができるため、時間割の自由度が高く、好きなことに時間を捻出しやすいです。
在学中に公認会計士の資格取得を目指す学生も増えていますが、いざ勉強を開始すると「遊べない」との声も多数上がっています。
「遊べない」といわれる理由は以下の3つです。
- 試験の難易度が高いから
- 3,000時間以上の勉強時間が必要だから
- 大学の卒業単位も修得する必要があるから
具体的に見ていきましょう。
試験の難易度が高いから
試験年 | 出願者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和元(2019) | 12,532人 | 1,337人 | 10.7% |
令和2(2020) | 13,231人 | 1,335人 | 10.1% |
令和3(2021) | 14,192人 | 1,360人 | 9.6% |
令和4(2022) | 18,789人 | 1,456人 | 7.7% |
令和5(2023) | 20,317人 | 1,544人 | 7.6% |
令和6(2024) | 21,573人 | 1,603人 | 7.4% |
公認会計士は、企業の帳簿や決算書の正確性をチェックする「監査」を独占業務として行います。監査は企業の信頼性を高め、安定的な経営を行うために非常に重要な業務です。
そのため、試験内容も非常に難易度が高く、医師や弁護士資格とならび「三大国家資格」とも称されます。
過去6年間の試験合格率は7.4〜10.7%であり、非常に難易度が高い試験です。
公認会計士の資格試験に合格するためには、各科目を十分に勉強し、年に1度しかない試験に備える必要があるため、遊ぶ余裕がないと考えられます。

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3,000時間以上の勉強時間が必要だから
公認会計士試験に合格するために必要な勉強時間は、3,000〜5,000時間といわれています。
金融庁が発表した「合格者アンケート調査結果」によると、在学中に受験した場合の短答式合格までの期間は平均1.9年です。
さらに短答式合格から論文式合格までは平均0.4年になり、合わせて約2.3年間の勉強時間が必要であることがわかります。
たとえば、2年半で5000時間の勉強をする場合、1日あたりの確保時間は以下の通りです。
- 毎日勉強する場合…1日あたり約5.5時間
- 週6日勉強する場合…1日あたり約6.4時間
- 週5日勉強する場合…1日あたり約7.7時間
大学で授業を受けながら、1日5.5〜7.7時間の勉強時間を確保するのは容易ではありません。
膨大な勉強時間を必要とするため、遊ぶ時間を捻出することが非常に困難です。

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大学の卒業単位も修得する必要があるから
大学は授業の選択ができ、時間割の自由度が高いですが、卒業単位を取得しておかないと留年します。
大学を留年してしまうと、留年した分だけ学費が増え、経済的な負担も大きくなります。
卒業に必要な単位数や必修科目を明確にし、スケジュールを立てることが不可欠です。
会計学や経済学など、公認会計士の勉強に直結する授業を受けることで、単位取得と試験勉強を効率よく進められます。
しかし、必要な単位を取得しながら公認会計士の勉強も進める必要があるため、大学での授業数が多い日は、試験勉強ができない日もあるでしょう。
大学の授業と試験勉強の忙しさから、遊びの時間を優先することは難しいと考えられます。
在学中に公認会計士の資格を取得するメリット
大学生活を公認会計士の資格に当てることで、どのようなメリットが得られるのでしょうか?
在学中の資格取得のメリットは大きく3つ挙げられます。
- 資格を生かして就職活動に臨める
- 勉強時間を確保しやすい
- 学習が習慣化されている時期に勉強できる
具体的に見ていきましょう。
資格を生かして就職活動に臨める
公認会計士の資格を取得していることは、就職活動において高く評価されます。
監査法人や会計事務所はもちろん、一般企業の経理や財務としても、修得した専門知識は非常に有用です。
近年では、公認会計士のキャリアパスは拡大傾向にあり、税理士法人やコンサルティング会社、金融機関など幅広い職種から選択が可能です。
また、資格取得の専門性だけでなく、在学中に難関国家資格に合格した実績そのものが、評価につながります。
在学中の資格取得は、就職活動をするうえで、非常に有利です。

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勉強時間を確保しやすい
公認会計士試験に合格するためには、1日あたり平均5時間以上の勉強時間が必要です。
社会人は就業時間が決められており、残業することもあるため、1日に捻出できる勉強時間は限られます。
一方、大学生は時間の融通が効きやすく、社会人と比べると勉強時間を確保しやすいです。
授業の休み時間の活用や、前期と後期が切り替わるタイミングで1〜2カ月ほどの長期休暇もあるため、時間をうまく活用できる環境が揃います。
学習が習慣化されている時期に勉強できる
人間の記憶力は20歳前後をピークにして、加齢とともに衰退していくといわれています。
記憶力が活発である20歳前後で試験に臨むことで、効率よく勉強を進められ、短期間での合格も期待できるでしょう。
大学生の方が、社会人と比べて勉強習慣が身に付いているのも有利です。
また、令和6年公認会計士試験の年齢別の合格率は、20歳以上25歳未満が61.5%と、もっとも高い合格率を算出しています。
この結果からも、記憶力がよく、勉強習慣が身に付いている大学生は、効率よく学習できることがわかります。
在学中に公認会計士の資格を取得するデメリット
在学中の資格取得はメリットがある反面、デメリットも存在します。
在学中に公認会計士の資格を取得を目指す場合は、以下の2点を把握しておきましょう。
- 金銭的な負担が大きい
- 大学生活が犠牲になるリスクがある
具体的に解説します。
金銭的な負担が大きい
在学中に公認会計士の資格取得を目指す場合、独学での取得は非常に難易度が高く、現実的ではありません。
しかし、予備校に通うと高い学費が発生するため、自身で費用を捻出する場合、金銭的な負担が大きくのしかかります。
足りない分をアルバイトで工面しながら、勉強に励む大学生も珍しくありません。
各予備校や教材の割引制度をチェックして、負担を最小限に抑えて資格取得を目指すことが重要です。
大学生活が犠牲になるリスクがある
他の大学生がアルバイトやサークル活動を楽しむ中、資格取得に向けて勉強を続けることは容易ではありません。
在学中しか味わえないキャンパスライフを楽しみたい気持ちも芽生えてくるでしょう。
そのため、勉強がうまくいかない時や、周囲との温度差を感じた際には、マイナスな感情が押し寄せることもあるかもしれません。
在学中に公認会計士試験に挑む場合は、楽しい大学生活を犠牲にする覚悟が必要です。
公認会計士を目指す大学生の1日の勉強スケジュール
公認会計士を目指す場合の1日の具体的なスケジュールを見ていきましょう。
予備校に通うパターンと、通信講座に通うパターンを解説します。
パターン①予備校に通う場合
7:00 | 起床 |
8:00 | 大学へ |
9:00〜12:00 | 大学の授業 |
12:00〜13:00 | お昼 |
13:00〜15:00 | 大学の授業 |
15:00〜18:00 | 大学内で勉強 |
18:00〜19:00 | 移動・軽食 |
19:00〜21:00 | 予備校で勉強 |
22:00 | 帰宅・夕食・風呂 |
23:00 | 就寝 |
大学の授業が5時間、公認会計士の勉強が5時間のスケジュールです。
授業の空き時間や、予備校でしっかりと学習時間を確保しています。
集中力が持続する方や、メリハリをつけて学習をしたい方に向けたスケジュールです。
パターン②通信講座を利用する場合
6:30 | 起床 |
7:00〜8:00 | 動画講義視聴 |
8:00〜9:00 | 通学しながらスマートフォンで学習 |
9:00〜12:00 | 大学の授業 |
12:00〜13:00 | お昼 |
13:00〜14:30 | 空き時間に大学内で勉強 |
14:00〜16:00 | 大学の授業 |
16:00〜16:30 | アルバイト前に動画講義を視聴 |
16:30〜21:00 | アルバイト |
21:30〜22:00 | 帰宅・夕食・風呂 |
22:30 | 復習として実力テストを行う |
23:30 | 就寝 |
大学の授業が5時間、公認会計士の勉強が5時間のスケジュールです。
移動中など外出中の時間も活用して、効率よく学習が進められています。
アルバイトをしながらでも、パターン①の予備校に通う学生のスケジュールと、同様の学習時間を確保できています。
効率よく勉強時間を確保したい方や、アルバイトをしながら、勉強を進めたい方に向けたスケジュールです。
大学在学中に公認会計士試験に合格する3つのポイント
在学中に公認会計士試験に合格すれば、就職活動でも有利になります。
公認会計士試験に合格するためには以下の3つのポイントが重要です。
- 時間と場所に縛られずに勉強する
- 学習計画を綿密に立てる
- 早い段階で勉強を始める
具体的に解説します。
時間と場所に縛られずに勉強する
移動時間など短い時間を有効活用することで、忙しい毎日の中でも、しっかりと勉強時間が確保できます。
スタディングでは、スマートフォン1台で取り組める動画講義やスマート問題集があるため、時間を無駄なく使った学習が可能です。
例えば移動中にスマホで講義を見てインプットを行い、机で勉強する時間には問題集でアウトプットをするなど、効率よく学習を進められます。
また、日常生活の中に自然な形で学習を組み込めるため、無理なく勉強の継続をしやすい点も魅力です。
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学習計画を綿密に立てる
公認会計士の資格は難易度が高く、長時間にわたり勉強する必要があるため、計画力と自己管理能力が必要です。
無計画に勉強を進めると、得意な科目と苦手な科目の理解力に大きな差が生まれ、想定以上に勉強時間がかかる可能性があります。
自己管理に自信がない場合は、あらかじめスケジュールが組まれている講座を受講するのがおすすめです。
早い段階で勉強を始める
公認会計士試験に合格するまでには、3,000〜5,000時間程度の学習時間が必要です。
基本的には2年前後の期間を必要とするため、在学中に資格を取得したい場合は、大学1〜2年生のうちに勉強を開始することが望ましいです。
2年前後で資格を取得できれば、その後の就職活動もスムーズに進行できます。
公認会計士を目指すと決めたら、できるだけ早い段階で勉強を始め、卒業までのスケジュールを明確にしましょう。
まとめ
大学生が在学中に公認会計士試験の合格を目指した場合、遊べないといわれる理由について解説しました。
- 公認会計士試験は難易度が高く、多大な勉強時間が必要
- 在学中に資格取得できれば就職活動で高い評価を得られやすい
- 資格取得を目指す中で楽しい大学生活を犠牲にしなくてはいけない部分がある
- 学習を計画的に効率よく進めることで、忙しい中でも学習時間を確保できる
在学中に公認会計士の資格取得を目指す場合、一般的な大学生と比べ、遊べる時間は少なくなります。
しかし、使える時間を無駄なくを使い、効率よく学習を進めることで、勉強以外の時間を捻出できるでしょう。
スタディングの公認会計士講座では、スマートフォン1台で学習が進められるため、忙しい学生生活の中でも自然に勉強時間を取り入れることが可能です。
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