
公認会計士試験は難関資格として知られていますが、「できるだけ短期間で合格したい」「1年の勉強で合格できるのか?」と気になる方もいるでしょう。
本記事では、公認会計士試験に1年で合格できる可能性やそのための勉強スケジュール、現実的な学習プランについて詳しく解説します。
これから公認会計士試験の勉強を始める方は、ぜひ参考にしてみてください。
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公認会計士試験に1年で合格することは可能?
ここでは、公認会計士試験に合格することは可能なのか、以下3つの視点で解説します。
- 【結論】不可能ではないがおすすめはしない
- 公認会計士試験合格に必要な勉強時間の目安
- 1年で合格を目指す場合の勉強スケジュール
順番に見ていきましょう。
【結論】不可能ではないがおすすめはしない
1年で公認会計士試験に合格することは、不可能ではありません。
実際に短期合格を果たしている人もいます。
しかし、その多くは前提として「簿記1級レベルの知識がある」「学習にフルコミットできる環境にある」など、特別な条件を満たしているケースが多いと考えられます。
一般的な受験生にとっては、1年で合格するための学習スケジュールは過酷で、体力的・精神的な負担が大きいものです。
無理な計画は途中で挫折するリスクも高いため、確実に合格を目指すのであれば学習期間に余裕を持って取り組むことをおすすめします。

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公認会計士試験合格に必要な勉強時間の目安
公認会計士試験合格に必要とされる勉強時間は、一般的に3,000〜5,000時間と言われています。
これは、大学生や社会人が日常生活と両立しながら確保するにはかなりのボリュームです。
たとえば1年間で合格を目指す場合、単純計算で1日8〜14時間の学習が必要となります。
これを毎日継続するのは容易ではなく、強い意思による進捗管理が求められます。
特に、初学者の場合は簿記や会計の基礎から始める必要があるため、より多くの学習時間を要することも考慮しなければなりません。

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1年で合格を目指す場合の勉強スケジュール
1年で公認会計士試験に合格するには、非常に密度の高い学習スケジュールが求められます。
たとえば、8月に学習を開始する場合、財務会計論・管理会計論などの主要科目から取り組むと同時に、短答式試験の出題科目である監査論や企業法の学習も並行して進める必要があります。
第Ⅰ回短答式試験(12月実施)までの期間はわずか4カ月しかなく、限られた準備期間での合格は極めて困難です。
そのため、多くの受験生は翌年5月に実施される第Ⅱ回短答式試験での合格を目指すことになります。
ただし、第Ⅱ回短答式試験の実施から論文式試験(8月)までは3カ月ほどしかなく、この期間だけで論文対策を仕上げるのは非常に難しいのが実情です。
論文式試験で出題される租税法や経営学(選択科目)についても、早い段階から基礎を固めておく必要があります。
このように、短答式・論文式の対策を同時並行で進めなければならない1年合格プランは、スケジュールが非常にタイトで難易度が高いものです。
現実的でないスケジュールを立てて挫折してしまうよりは、最初から2年前後での合格を目標として余裕を持った学習スケジュールにすることをおすすめします。

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公認会計士試験に1年で合格するのが難しい理由
ここでは、公認会計士試験に1年で合格するのが難しい理由として、以下の3点をご紹介します。
- 勉強スケジュールがハードすぎる
- 学業や仕事との両立が困難である
- 短期合格に向けたプレッシャーがかかる
勉強スケジュールがハードすぎる
1年で公認会計士試験に合格するには、毎日平均8〜14時間もの学習時間を確保する必要があります。
休日も関係なく学習を継続する必要があり、心身に大きな負担がかかります。
特に社会人や大学の授業が忙しい学生にとっては、現実的とはいえません。
また、スケジュールに少しでも遅れが出ると、その分の学習をどこかで取り戻す必要があり、結果的に無理な詰め込みや睡眠不足につながることも。
こうした過密な学習計画は、体調を崩したり、モチベーションの低下を招いたりして、かえって合格が遠のくリスクもあります。

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学業や仕事との両立が困難である
公認会計士試験の勉強は、日常生活と両立するには負荷が大きいものです。
特に大学の授業やゼミ、アルバイトに加えて試験勉強を行う学生や、フルタイムで働く社会人にとっては、1日数時間の学習時間を確保するのも一苦労です。
結果として勉強時間が不足し、理解が浅いまま次の範囲へ進んでしまうことも。
試験対策が思うように進まなければ、無理をしたりストレスが溜まったりして学業や仕事に悪影響をもたらすこともあるでしょう。
こうした制約を考えると、1年という短期間での合格はあまり現実的とはいえません。
短期合格に向けたプレッシャーがかかる
1年という限られた期間で公認会計士試験に合格しようとすると、常に「学習計画に遅れてはいけない」「1度の受験で合格しなければならない」という強いプレッシャーにさらされます。
特に初学者の場合、学習内容の理解に時間がかかることも多く、思うように進まないことで焦りや不安が募ります。
このような精神的ストレスは、集中力や学習効率を下げてしまう原因になりかねません。
また、追い込まれた状態が長く続くことで、途中でモチベーションを失い、計画自体が破綻する可能性もあります。
継続的かつ安定した学習のためには、余裕のあるスケジュール設計が重要です。
公認会計士試験合格に向けた理想スケジュール【2年がおすすめ】
これまでお伝えしてきたように、公認会計士試験合格には2年スパンで挑戦するのがおすすめです。
以下、3つのポイントで解説します。
- 「1日平均4~5時間×2年」での合格を目指す
- 試験形式・科目ごとの割り振りを考える
- 時期ごとに適切な対策をする
「1日平均4~5時間×2年」での合格を目指す
公認会計士試験に向けて2年間の学習期間を確保すれば、1日平均4~5時間ほどの学習で約3,300時間に到達し、合格が現実的になります。
このペースであれば、基礎知識の定着から応用力の養成まで、段階的かつ計画的に進めることが可能です。
また、余裕を持ったスケジュールを組むことで、体調不良や急な予定などのイレギュラーにも柔軟に対応できます。
特に大学生や仕事をしながらの受験を目指す社会人にとって、無理のないペースで学習できることは継続の大きな助けになります。
焦らず、じっくりと実力を養うことで、着実に合格へと近づけるのが2年計画のメリットです。
試験形式・科目ごとの割り振りを考える
効率よく合格を目指すには、試験形式や科目の特性に応じた学習の優先順位を立てることが重要です。
公認会計士試験は「短答式試験」と「論文式試験」に分かれており、それぞれ広い出題範囲をカバーすることが求められます。
ただし、すべてを満遍なく学習することは効率的な対策とはいえません。
短答式の中では財務会計論、論文式の中では会計学と租税法といったように、より時間を割いて対策すべき科目があります。
試験区分 | 出題科目 | 配点 | 勉強時間(目安) |
---|---|---|---|
短答式試験 | 財務会計論 | 200点 | 約700時間 |
管理会計論 | 100点 | 約300~400時間 | |
企業法 | 100点 | 約300~400時間 | |
監査論 | 100点 | 約170~300時間 | |
論文式試験 | 会計学 | 300点 | 約300~400時間 |
企業法 | 100点 | 約200~300時間 | |
租税法 | 100点 | 約330~400時間 | |
監査論 | 100点 | 約100~200時間 | |
選択科目 ※経営学、経済学、民法、統計学から1つ選択 | 100点 | 約200時間 ※経営学 |
【参考】金融庁|令和7年公認会計士試験受験案内(1ページ)
最初に効率的な学習カリキュラムを用意し、計画的に進めていくことが求められます。
時期ごとに適切な対策をする
2年間の学習スケジュールでは、各時期ごとに目的を明確にし、段階的に対策を進めることが大切です。
以下は2年で公認会計士試験合格を目指すためのスケジュール例です。
時期 | 学習内容 |
---|---|
1年目前半 | 基礎知識のインプット(主に短答式の出題科目) |
1年目後半 | 短答式試験の問題演習と復習、過去問の取り組み開始 |
2年目前半 | 短答式の総仕上げ(模試や直前対策)、論文式の基礎学習 |
2年目後半 (短答式試験後) | 論文式の総仕上げ(答案作成、記述力養成、過去問演習、添削) |
1年目はとにかく基礎力を固める時期です。
テキストを繰り返し読み込みながら、問題演習も並行して行いましょう。
2年目の前半は短答式本番に向けた追い込み期間となり、模試を活用しながら実戦力を鍛えます。
そして短答試験後は、論文式試験対策に切り替え、記述力の向上と本番を想定した解答作成の練習に集中します。
科目ごとの優先順位を明確にし、計画的に取り組むことが短期合格へのカギとなります。
公認会計士試験に短期合格するには?
最後に、公認会計士試験に短期間で合格するためのポイントとして、以下の5点を解説します。
- 予備校・通信講座を利用する
- 対策しやすい科目を選ぶ
- 時間を有効活用する
- 優先順位をつけて学習を進める
- 過去問・模試を使った本番対策を徹底する
予備校・通信講座を利用する
公認会計士試験に短期間で合格したいなら、独学ではなく予備校や通信講座の利用がおすすめです。
限られた時間の中で効率よく学習するためには、試験に精通したプロのカリキュラムや教材を活用するのが効果的です。
特に通信講座は、通学の手間がかからず、自分のペースで勉強できるため、時間に制約のある社会人や学生にとって大きなメリットがあります。
また、講義動画や確認テスト、過去問演習などが一体となった講座であれば、学習の進捗管理や理解度のチェックもしやすくなります。
自己流の勉強にこだわらず、信頼できる指導を受けることで、合格までの道のりを大きく短縮することが可能です。
対策しやすい科目を選ぶ
短期間での合格を目指すなら、論文式の選択科目は対策しやすいものを選びましょう。
経営学・経済学・民法・統計学の4つがあり、中でも暗記中心で学習の成果が出やすく、学習ボリュームが少ない「経営学」は、比較的対策しやすい科目としておすすめです。
初学者でも取り組みやすく、他の理論科目と比べて出題傾向が安定しているため、学習計画を立てやすい点も魅力です。
時間を有効活用する
公認会計士試験の対策では、限られた時間をいかに効率よく使えるかが合否を左右します。
たとえば、通勤・通学時間や休憩中などのスキマ時間に講義動画を視聴したり、暗記カードやスマホアプリで知識の確認をしたりすることで、日々の学習量を積み重ねることができます。
また、1日の終わりにその日の学習内容を簡単に復習するだけでも、記憶の定着度が大きく変わります。
時間がないからこそ、ダラダラと勉強するのではなく、やるべきことを明確にして取り組むことが大切です。
優先順位をつけて学習を進める
短期合格を目指すには、限られた時間の中で全科目を満遍なく学習するのではなく、優先順位を明確にして効率的に進めることが重要です。
まずは配点の高い科目(短答式の財務会計論、論文式の会計学など)に重点を置き、合格ラインに到達するための力を身につけましょう。
合格に必要な得点を意識しながら、「何を優先すべきか」を判断して学習を進めることが、短期合格への近道となります。
過去問・模試を使った本番対策を徹底する
短期合格を狙ううえでは、過去問と模試を活用した本番対策が重要です。
過去問は出題傾向や頻出論点を把握するのに最適な教材であり、繰り返し解くことで、効率よく得点力を伸ばすことができます。
また、模試を活用すれば本番に近い形での演習ができ、時間配分や問題の取捨選択の感覚も養えます。
特に短期学習ではインプットに偏ってしまうことが多いため、アウトプット中心の学習を意識的に取り入れることが必要です。
実践を重ねながら自分の弱点を見つけ、改善を繰り返すことで、本番でも落ち着いて実力を発揮できるようになります。
まとめ
本記事では、公認会計士試験に1年で合格することの可否や、理想的な学習スケジュールについて解説しました。
- 1年での合格は不可能ではないが、非常に厳しくおすすめはしない
- 合格には3,000〜5,000時間の学習が必要で、学業や仕事との両立は困難
- 精神的・体力的な負担が大きく、無理なスケジュールは挫折のリスクも高い
- 2年後の合格を目指して計画を立て、着実に対策を進めるのがよい
- 短期合格のためには独学にこだわらず、予備校や通信講座のカリキュラムを使いたい
- 動画講義やスマホアプリなどを利用し、空き時間での学習を積み重ねたい
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