令和7年(2025年)公認会計士試験の概要|日程・試験科目・過去問も解説

公認会計士資格は、経理・財務の専門的な知識を有していることを証明する資格であり、監査業務が行える唯一の国家資格です。

試験は、金融庁の公認会計士・監査審査会が実施しています。

公認会計士になるための第一段階として、まずは短答式試験と論文式試験に合格する必要があります。

本記事では、公認会計士試験の日程から受験資格、試験内容、過去問などを網羅的に解説するので、参考にしてみてください。

令和7年(2025年)公認会計士試験の試験日程

令和7年(2025年)の公認会計士試験の日程は、以下の通りです。

試験区分試験期日試験時間試験科目
第Ⅰ回短答式試験令和6年12月8日(日)9:30~10:30企業法
11:30〜12:30管理会計論
14:00〜15:00監査論
16:00〜18:00財務会計論
第Ⅱ回短答式試験令和7年5月25日(日)9:30~10:30企業法
11:30〜12:30管理会計論
14:00〜15:00監査論
16:00〜18:00財務会計論
論文式試験令和7年8月22日(金)10:30〜12:30監査論
14:30〜16:30租税法
令和7年8月23日(土)10:30〜12:30会計学
14:30〜16:30会計学
令和7年8月24日(日)10:30〜12:30企業法
14:30〜16:30選択科目(経営学・経済学・民法・統計学から1科目)

【出典】金融庁「令和7年公認会計士試験の施行

論文式試験は、8月22日〜8月24日までの3日間に分けて行われるので、注意しましょう。

出願から合格発表までのスケジュール

令和7年(2025年)公認会計士試験の出願から合格発表までのスケジュールは、以下の通りです。

区分第1回短答式試験第2回短答式試験
出願期間令和6年8月23日(金)~
令和6年9月12日(木)
令和7年2月3日(月)~
令和7年2月25日(火)
短答式試験実施日令和6年12月8日(日)令和7年5月25日(日)
短答式試験合格発表令和7年1月17日(金)令和7年6月20日(金)(予定)
論文試験実施日令和7年8月22日(金)
~令和7年8月24日(日)
論文式試験合格発表令和7年11月21日(金)(予定)

【出典】金融庁「令和7年公認会計士試験受験案内」(p.2)

公認会計士試験の詳細

公認会計士試験の詳細について、以下の3項目を解説します。

  • 受験資格
  • 試験地と試験会場
  • 受験手数料

受験資格

公認会計士試験に、受験資格の制限はありません。

職業や職歴、年齢、性別、国籍による制限がないため、誰でも受験可能です。

ただし、以下の条件に該当し免除の適用を受ける方は、第1回短答式試験には出願できず、第2回短答式試験に出願する必要があります。

  • 令和5年又は令和6年公認会計士試験の短答式試験合格者
  • 短答式試験の全部免除者
  • 旧公認会計士試験第2次試験合格者等の短答式試験みなし合格者

【出典】金融庁「令和7年公認会計士試験受験案内」(p.1)

第1回短答式試験と第2回短答式試験では、願書出願期間が異なるので、免除適用の条件に該当している方は注意しておきましょう。

試験地と試験会場

令和7年(2025年)における公認会計士試験の試験地は、以下の都道府県になります。

  • 東京都
  • 大阪府
  • 北海道
  • 宮城県
  • 愛知県
  • 石川県
  • 広島県
  • 香川県
  • 熊本県
  • 福岡県
  • 沖縄県
  • またはこれらに隣接する府県

【出典】金融庁「令和7年公認会計士試験受験案内」(表紙)

出願時には正確な受験場所が決まっておらず、各試験期日のおよそ1カ月前に官報への広告と公認会計士・監査審査会ウェブサイトにて公表されます。

受験手数料

公認会計士試験の受験手数料は、19,500円です。

受験手数料の支払いは、インターネット出願サイトにおいて、出願事項の入力後に発行される納付番号等を用いて電子納付(Pay-easyによる納付)で行います。

インターネット出願サイトは、「公認会計士・監査審査会」のサイト内に公開されます。

なお、受験手数料の支払いには期限が決まっており、手数料支払い後の払い戻しもないため注意しましょう。

公認会計士試験の内容と科目

公認会計士試験は、第1段階の「短答式試験(4科目、年2回実施)」と第2段階の「論文式試験(5科目、年1回実施)」に分かれています。

短答式試験と論文式試験の概要や出題内容について詳しく解説します。

短答式試験

短答式試験は、公認会計士に必要な基本的な専門知識の理解度を測る目的があり、論文式試験を受験するための知識を有しているのか判断するための試験です。

年に2回ある短答式試験のうちどちらかに合格すれば、論文式試験へと進めます。

また、短答式試験に合格した方は、その後2年間は短答式試験の受験が免除されます。

そのため、短答式試験に合格した年の論文式試験に落ちてしまったとしても、翌年と翌々年は、論文式試験にのみ集中して受験可能です。

短答式試験の受験科目と試験時間、問題数、配点は以下の通りです。

試験科目試験時間問題数配点
財務会計論120分40問以内200点
管理会計論60分20問以内100点
監査論60分20問以内100点
企業法60分20問以内100点

【出典】金融庁「令和7年公認会計士試験受験案内」(p.1)

論文式試験

論文式試験は、受験者の思考力や判断力、論述力などを総合的に判断し、公認会計士の適性を有しているかを判断する試験です。

論文式試験は年に1回のみで、3日に分けて実施されます。

また、試験科目の一部の科目について、審査会が相当と認める成績を残した受験生においては、2年間の免除が受けられます。

論文式試験の受験科目と試験時間、問題数、配点は以下の通りです。

試験科目試験時間問題数配点
会計学300分大問5問300点
監査論120分大問2問100点
企業法120分大問2問100点
租税法120分大問2問100点
選択科目
(経営学・経済学・民法・統計学から1科目を選択)
120分大問2問100点

【出典】金融庁「令和7年公認会計士試験受験案内」(p.1)

試験科目の一部免除

公認会計士試験には、前項「短答式試験」と「論文式試験」で解説した科目合格制度による免除とは別に、学歴や保有資格によって受けられる免除があります。

具体的な資格要件と免除科目は、以下の通りです。

資格要件免除科目
短答式試験論文式試験
商学教授・准教授または商学博士の学位を取得された者全部・会計学・経営学
法律学教授・准教授または法律学博士の学位を取得された者全部・企業法・民法
司法修習生となる資格または司法試験合格者(令和4年9月30日以前に免除通知書を交付された方)全部・企業法・民法
旧司法試験第2次試験合格者全部旧司法試験の第2次試験において受験した科目
高等試験本試験合格者全部高等試験本試験において受験した科目
会計専門職大学院修了者・財務会計論・管理会計論・監査論
税理士となる資格を有する者財務会計論租税法
税理士試験の科目(簿記論及び財務諸表論)合格者財務会計論
金融商品取引法等に規定する上場会社等で会計等に関する事務に7年以上従事した者財務会計論
経済学教授・准教授/経済学博士の学位を取得された者経済学
不動産鑑定士試験合格者経済学または民法
企業会計の基準の設定等の事務に従事した方で審査会の認定を受けた者会計学
監査基準の設定等の事務に従事した方で審査会の認定を受けた者監査論
旧公認会計士試験第2次試験合格者のうち、旧公認会計士試験第2次試験の論文式試験において免除を受けた科目のある者旧公認会計士試験第2次試験において免除を受けた科目

【出典】金融庁「免除申請の手続について

また、試験科目の免除を受けるには、以下の「公認会計士試験免除通知書」等の書面が必要です。

  • 公認会計士試験論文式試験一部科目免除資格通知書
  • 公認会計士試験免除通知書
  • 公認会計士試験短答式試験合格通知書
  • 旧公認会計士試験第2次試験合格証書

なお、試験科目等の免除の適用を受ける場合、免除の種類により出願時期が異なるので注意しましょう。

公認公認会計士の合格率

公認会計士試験の合格率は非常に低く、令和4・5・6年に関しては7%台でした。

近年の公認会計士試験の合格率の推移は、以下の通りです。

試験年出願者数合格者数合格率
令和元(2019)12,532人1,337人10.7%
令和2(2020)13,231人1,335人10.1%
令和3(2021)14,192人1,360人9.6%
令和4(2022)18,789人1,456人7.7%
令和5(2023)20,317人1,544人7.6%
令和6(2024)21,573人1,603人7.4%
【参考】公認会計士・監査審査会「令和6年公認会計士試験 合格者調」

令和元年や令和2年の試験では合格率が10%を超えていますが、近年は受験者数の増加の影響もあり合格率が低い傾向です。

公認会計士試験の合格率に関して、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。

短答式試験の合格率

近年の短答式試験の合格率は、15%前後で推移しています。

試験年受験者数合格者数合格率
令和元(2019)10,563人1,806人17.1%
令和2(2020)11,598人1,861人16.0%
令和3(2021)12,260人2,060人16.8%
令和4(2022)16,701人1,979人11.8%
令和5(2023)18,228人2,103人11.5%
令和6(2024)19,564人2,345人12.0%
【参考】公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」>各年の「公認会計士試験の合格発表の概要について」

論文式試験の合格率

近年の論文式試験の合格率は、35%前後で推移しています。

試験年受験者数合格者数合格率
令和元(2019)3,792人1,337人35.3%
令和2(2020)3,719人1,335人35.9%
令和3(2021)3,992人1,360人34.1%
令和4(2022)4,067人1,456人35.8%
令和5(2023)4,192人1,544人36.8%
令和6(2024)4,354人1,603人36.8%
【参考】公認会計士・監査審査会「過去の試験結果等」>各年の「公認会計士試験の合格発表の概要について」

公認会計士試験の過去問

金融庁のサイトには、公認会計士試験の試験問題と解答用紙が公開されています。

答案用紙も本番と同じものが用意されているので、試験対策に活用できるでしょう。

ただし、金融庁が公表する正解はあるものの、解説がないため自身で調べる必要があります。

令和5年試験令和6年試験
第1回短答式試験第2回短答式試験第1回短答式試験第2回短答式試験
問題令和5年公認会計士試験第1回短答式試験の試験問題及び答案用紙について令和5年公認会計士試験第2回短答式試験の試験問題及び答案用紙について令和6年公認会計士試験第1回短答式試験の試験問題及び答案用紙について令和6年公認会計士試験第2回短答式試験の試験問題及び答案用紙について
解答令和5年公認会計士試験第1回短答式試験の正解令和5年公認会計士試験第2回短答式試験の正解令和6年公認会計士試験第1回短答式試験の正解令和6年公認会計士試験第2回短答式試験の正解

【参考】金融庁「令和5年試験について」「令和6年試験について

公認会計士の資格登録までの流れ

公認会計士試験に合格しても、すぐに公認会計士として働けるわけではありません。

具体的には、以下の過程を経て公認会計士として働けるようになります。

  1. 資格試験に合格
  2. 3年以上の業務補助
  3. 一般財団法人会計教育研修機構が実施する実務試験を通過し、日本公認会計士協会による修了考査に合格する
  4. 公認会計士登録を行う

資格試験に合格しても、実際に公認会計士として働けるまでに3年以上かかります。

公認会計士試験に関してよくある質問

公認会計士に関して、よくある質問は、以下の3つです。

  • 公認会計士試験の合格難易度は高いのでしょうか?
  • 試験の申し込み期日は決まっていますか?
  • どのような試験科目があるのでしょうか?

それぞれ詳しく解説します。

公認会計士試験の合格難易度は高いのでしょうか?

公認会計士試験の難易度は高いと言えます。

医師資格や弁護士資格と並び、三大国家資格と呼ばれていることからも、難易度の高さが伺えます。

また、公認会計士試験の合格率は令和5年が7.6%、令和4年が7.7%と非常に低いことからも、難易度の高い試験と言えるでしょう。

試験の申し込み期日は決まっていますか?

公認会計士試験の申し込み期日は、例年、第1回短答式試験が12月上旬で、第2回短答式試験が翌5月下旬です。

短答式試験実施日の約4カ月前には、出願期間や出願方法等を記載した受験案内などを公式サイトで確認できます。

どのような試験科目があるのでしょうか?

試験科目は、短答式試験と論文式試験によって異なります。

短答式試験の試験科目は、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目です。

一方、論文式試験は、会計学・監査論・租税法・企業法・選択科目(経営学・経済学・民法・統計学のうち、受験者があらかじめ選択する1科目)の5科目となっています。

まとめ

公認会計士試験は、短答式試験と論文式試験の2段階に分かれた難関試験で、公認会計士になるために必須の資格試験です。

願書出願の期限が各試験によって異なるので、日程を確認し忘れずに申し込むようにしましょう。

学歴や保有資格によっては、試験の一部免除制度も適用されるため、本記事を参考に確認してみてください。

また、膨大な試験科目をこなすには、試験日から逆算して計画的に学習することが大切です。

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