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公認会計士の仕事内容を3つ紹介!税理士との違いも詳しく解説

公認会計士は、企業の財務諸表を監査し、正確性を保証するプロフェッショナルです。職務は多岐にわたり、監査業務のほかにも、コンサルティングや税務といった分野で活躍します。

公認会計士の主な仕事内容3つ

本記事では、公認会計士の仕事内容について詳しく解説しているため、公認会計士としてのキャリアを考えている人はぜひ参考にしてください。

公認会計士の主な仕事内容は、以下の3つです。

  • 監査業務
  • コンサルティング業務
  • 税務業務

具体的にどのような業務を行うのか、ひとつずつ解説します。

監査業務

1つめは監査業務です。

公認会計士の監査業務は、企業の財務諸表が適切に作成されているかを確認する仕事です。たとえば、帳簿記録が正確かどうかをチェックします。

また、正しくチェックするために、内部統制と呼ばれる会社の仕組みを評価し、会社の管理体制が適切に機能しているかを評価します。

さらに、証拠を集めて情報が事実にもとづいているかを確認するのも重要な業務の1つです。最終的には、監査報告書を作成して報告します。

監査業務は企業の信頼性を支える重要な役割を果たし、公認会計士のみが任される重要な仕事です。

コンサルティング業務

2つめは、コンサルティング業務です。

公認会計士が行うコンサルティング業務は、企業の経営改善や課題解決を支援する重要な仕事です。

コンサルティング業務とは、企業が抱える問題を分析し、解決策を提案するプロセスを指します。

公認会計士の場合は財務に関する専門知識を活かし、経営戦略の改善や業務効率化やコスト削減に関する具体的なアドバイスが可能です。

財務分析やリスク管理といった会計士ならではの視点で、企業が健全な成長を続けられるよう支援します。

税務業務

3つめは、税務業務です。

公認会計士は、企業や個人が適正に税金を納めるための支援を行います。

税務内容は多岐に渡りますが、主な業務は以下の通りです。

  • 税務申告の作成
  • 税務相談
  • 税務計画
  • 税務調査への対応サポート

企業や個人の所得にもとづいて税額を計算し、必要な書類を提出します。

税務相談の際は、節税方法や税法に関するアドバイスを行う場合もあります。

また、税務調査に対してはクライアントが適切に対応できるよう助言し、サポートします。

公認会計士は、税務に関する幅広い業務を担っています。

【参考】公認会計士よくある質問Q&A

公認会計士の年収はいくら?

厚生労働省の公表データによると、公認会計士・税理士の平均年収は746万円(※)です。

しかし、上記はあくまで税理士と併せた平均年収のため、中央値や初任給についても詳しく解説していきます。

e-Stat「令和5年賃金構造基本統計調査」職種別

平均年収は746万円、大手では922万円

公認会計士の平均年収は約746万円と、全体の平均と比べても高い水準であることがわかります。

公表データは公認会計士と税理士の内容を合算したものとなっています。

さらに、大手企業に勤める会計士の平均年収は922万円(※)。30代で年収1000万円を超えることも珍しくありません。

監査業務やコンサルティング業務、税務業務などの各分野で専門性を高められると、スキルに応じて報酬も上がる傾向にあります。

公認会計士は専門的な知識を活かして高収入を得られる職業であるため、魅力的なキャリアの1つです。

e-Stat「令和5年賃金構造基本統計調査」職種別(企業規模1000人以上)より

初任給は400万円~500万円

公認会計士として監査法人に就職した場合、初任給は約400万円から500万円程度です。

以下の4企業は大手の監査法人である「Big4」であり、高収入が期待できます。

  • KPMGコンサルティング(有限責任あずさ監査法人)
  • デロイト トウシュ トーマツ (有限責任監査法人トーマツ)
  • アーンスト・アンド・ヤング(EY新日本有限責任監査法人)
  • プライスウォーターハウスクーパース(PwC Japan有限責任監査法人)

以上の4社を指し、案件の規模が大きいのが特徴です。

案件の規模に比例して業務単価も高いうえ、キャリアアップの機会が豊富に用意されているため、初任給も業界平均を上回ります。

公認会計士は平均に比べて、初任給の高い職業と言えるでしょう。

【参考】賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 | ファイル | 統計データを探す

【勤務先別】仕事内容と一日の仕事の流れ

公認会計士は、勤務先によって一日の仕事の流れが異なります。

本章では、以上の3つに分けて、仕事内容と一日の流れを解説します。

  • 監査法人
  • 事業会社
  • コンサルティングファーム

監査法人に勤めている場合

監査法人に勤めている場合は、以下のような流れが一般的です。

【仕事の流れの例】

時間帯仕事内容詳細
8:00 – 9:00出勤~準備メールチェックや当日の業務内容の確認から始まり、必要な資料を準備してクライアント先へ向かう。直行直帰も多く、比較的出勤時間は柔軟。
9:30 – 10:00クライアント先訪問監査業務に向けて、クライアント企業を訪問し、準備を整える。近年ではリモートのケースも増えている。
10:00 – 10:30経理担当との打ち合わせクライアントの経理部門と監査の進行方法や必要書類についての打ち合わせを実施。
10:30 – 12:00書類の確認と作成提出された請求書や領収書をチェックし、監査記録の作成を進める。
12:00 – 13:00昼休憩昼食時間。チームのメンバーと行動する場合は、進捗について意見交換を行うケースも。
13:00 – 15:00追加資料の依頼・確認提出資料に関して不明点がある場合、必要な資料の追加依頼や確認を行う。
15:00 – 16:00監査チーム内での打ち合わせ監査チーム内で成果について話し合い、資料作成を進める。
16:00 – 18:00クライアントへのフィードバックと報告業務クライアント先に、監査のフィードバックや疑問点を伝える。監査法人へ1日の成果を報告し、業務整理をする。
18:00退勤繁忙期には遅い時間まで残業するケースもある。

監査法人に勤務する公認会計士は、クライアントとやり取りしながら、企業の財務面での信頼性を担保する重要な役割を果たします。

事業会社に勤めている場合

事業会社に勤めている場合は、書類作成や監査法人とのやり取りが主な業務です。

【仕事の流れの例】

時間帯仕事内容・特徴
8:00 – 9:00出勤~準備出社後は、メールや当日のタスクを確認。決算期にはとくに忙しくなるため、朝一で優先事項を整理することが多い。
10:00 – 12:00決算書類の作成・確認決算の締め作業後、財務状況を反映した決算書を作成し、数値の確認や整合性のチェックを行う。
12:00 – 13:00昼休憩昼食を取りつつ、午後の業務に備える。必要に応じて業務の進捗をチーム内で確認する。
13:00 – 15:00資料確認と各部署との連携各部署からの提出資料の内容を精査し、不明点があれば各担当部署に確認を取って補足情報を集める。
15:00 – 16:00監査法人との連携・日程調整担当監査法人と定期的に打ち合わせを行い、監査の日程や進捗状況について調整し、確認する。
16:00 – 18:00役員への報告と打ち合わせ役員に対して、決算結果や財務状況の要点をまとめて報告し、必要に応じて意見交換を行う。
18:00退勤業務整理を行った後に退勤。繁忙期は監査法人同様、遅い時間まで残業するケースもある。

事業会社に勤務する公認会計士は、日々の業務で企業全体の財務状況を把握し、内部の各部署や監査法人との調整をしながら、経営に貢献する役割を果たしています。

コンサルティングファームに勤めている場合

コンサルティングファームに勤めている場合は、クライアントとのミーティングや資料作成をメインに行います。

【仕事の流れの例】

時間帯仕事内容・特徴
8:00 – 9:00出勤~準備クライアントの経営陣とのミーティングに備え、戦略提案資料の最終確認や印刷を行う。細部にわたるチェックが必要。
90:00 – 11:00クライアントとの打ち合わせ経営層とのミーティングで、戦略提案の方向性を確認。追加で考慮すべき点が出た場合、迅速に対応策を議論し、次のステップを計画する。
11:00 – 12:00チームミーティングとタスク分担チーム全体で、今後の対応を協議し、タスクを分担する。資料の修正や追加リサーチが必要な部分をメンバーに割り振り、進行スケジュールを決定。
12:00 – 13:00昼休憩チーム全員でランチを取りながら、作業を中断せずに進める。短時間で最大の成果を上げるため、全員が同じ場所で効率的に作業を進行。
13:00 – 15:00資料の修正・データ確認資料に誤りがないか、データを再度確認。クライアントからの修正依頼があれば対応し、全体の戦略に影響がないか確認して調整を行う。
15:00 – 17:00資料の完成と送付プレゼン資料を修正し、最終的な戦略提案書をまとめる。修正箇所をクライアントに説明しつつ、資料を送付。経営陣向けの準備を整える。
17:00 – 18:00チームミーティングと進捗確認メンバー全員で進捗状況を確認し、明日の作業スケジュールを調整する。追加作業が必要な箇所を整理し、翌日への準備を行う。
18:00退勤業務整理を行った後に退勤。繁忙期には終電近くまで業務にあたる場合もある。しかしプロジェクトによって繁忙期が異なるため、監査法人や事業会社に比べて時期が定まっていない。

コンサルティングファームで働く公認会計士は、クライアントの課題解決に向けた戦略提案を中心に、データ分析からプレゼンまで幅広い業務を担当しています。

公認会計士と税理士の違いは何?

公認会計士と税理士の違いは、以下の3つです。

  • 業務範囲
  • クライアント
  • 試験内容が異なる

どのようなポイントが異なるのか、1つずつ確認していきましょう。

【参考】公認会計士よくある質問Q&A

業務範囲が異なる

公認会計士と税理士では、業務範囲が異なります。

公認会計士と税理士は、それぞれ企業や個人の経済活動を支える専門家です。

しかし、担当領域や独占業務の内容が異なります。

公認会計士は、会社が作成する財務諸表をチェックし、内容が正しいかを確認するのが主な仕事です。

一方、税理士は税金に関する書類の作成や税務相談を通じて、税務処理全般のサポートを行います。

公認会計士の資格を持っていれば税理士登録も可能なため、税務業務も担当できます。

公認会計士と税理士は異なる視点で企業をサポートしており、どちらも重要な役割を担っています。

クライアントが異なる

公認会計士と税理士はクライアントが異なります。

公認会計士は主に大企業を担当し、税理士は中小企業や個人事業主が中心です。

公認会計士は、大企業が行う「財務諸表監査」が義務付けられているため、主に上場企業や資本金が大きい会社を監査します。

一方、税理士はすべての企業や個人が必要とする税務業務をサポートします。

大企業には財務情報の透明性が求められ、法的に公認会計士による監査が必須です。

小規模な企業や個人には監査義務がないため、税理士のサポートが中心となります。

公認会計士は大企業、税理士は幅広い規模の企業や個人を支える役割を果たしています。

試験制度が異なる

公認会計士試験と税理士試験は、試験制度も異なります。公認会計士試験は全科目一括受験が基本で、一度の学習量が膨大です。

一方、税理士試験は科目ごとに受験でき、一度合格した科目は有効期限がないため自分のペースで進められます。

公認会計士は受験資格が必要ありませんが、税理士には学職や資格、職歴などの受験資格が必要なため注意が必要です。

公認会計士試験は短答式と論文式の二段階で行われ、一度に多くの科目をこなすため、短期間で計画的な学習スケジュールを立てなければなりません。

税理士試験は5科目を合格するまでに年単位で取り組め、働きながら受験する社会人も多くいます。

公認会計士試験が短期集中型、税理士試験は中長期型という違いがあります。

【参考】公認会計士試験について税理士試験受験資格の概要|国税庁

公認会計士の仕事内容がきつい・やめとけと言われる理由

公認会計士が「きつい」「やめとけ」と言われる理由として、試験の難易度が高いことや業務の複雑さが挙げられます

公認会計士試験は国家三大資格に含まれているため、難易度が高い試験です。

合格までの道が険しく、合格後も法改正に対応するため常に研鑽を積む必要があります。

試験を突破したあとも学び続けなければならないのも「きつい」「やめとけ」と言われる理由の1つです。

また、常に人員不足の業界であることも理由に挙げられます。

AIの進化が進んでも、法改正に対応する柔軟な判断やクライアントとの対話は人間にしかできないため、AIに代替されない仕事とも言えるでしょう。

決算期には業務が集中し、長時間労働や休日出勤が避けられません。

一方で、繁忙期後には長期休暇を取れる職業でもあり、オンオフがはっきりしています。

前述したさまざまな要因が仕事のハードルを高くしていますが、公認会計士は専門性が求められる重要な職種です。

公認会計士に向いている人の特徴

以下の3つの特徴をもっている人は、公認会計士に向いています。

  • ロジカルシンキングができる
  • コミュニケーション力が高い
  • 地道な作業が苦にならない

具体的にどのようなことができると公認会計士に向いているのか、確認していきましょう。

ロジカルシンキングができる

公認会計士に向いているのは、ロジカルシンキングができる人です。

公認会計士はクライアントに対して、客観的かつ論理的な説明を求められる場面が多く、感情ではなく数字と根拠にもとづく理論展開が求められます。

たとえば、会計処理の誤りを指摘する際には「この数字がこうだから、この結果になる」というように、具体的な数字を用いて論理的に説明する能力が不可欠です。

論理的な思考力がある人はクライアントを納得させる説得力をもつため、公認会計士に向いています。

コミュニケーション力が高い

公認会計士に向いているのは、コミュニケーション力が高い人です。

公認会計士は業務上クライアントとの対話が多く、口頭・テキストの両方で適切に情報を伝える能力が求められます。

具体的な場面としては、企業の経理担当者に対してヒアリングや指導を行う際、わかりやすい言葉で説明する必要があります。

視座を合わせながら話すことで相手との信頼関係を築き、業務を円滑に進めることが可能です。

また、公認会計士はコンサルティング業務も担うため、経営者へのアドバイスやプレゼンテーション能力も求められます。

コミュニケーション力が高い人は業務に必要な能力を備えているため、公認会計士に向いていると言えるでしょう。

地道な作業が苦にならない

公認会計士に向いているのは、地道な作業が苦にならない人です。

公認会計士の業務は、数字やデータの分析を伴い、監査調書作成や帳簿の照合などの繰り返しの作業が多くあります。

細かい数値を確認し整合性を保つ業務が日常的に求められるため、集中力や忍耐力が不可欠です。

常に膨大な資料を扱い、細かな作業を1つずつ丁寧に進めることが求められます。

損益計算書や貸借対照表の照合作業は、時間がかかる地道なプロセスです。

法改正や新しい会計基準への対応や継続的な学習も重要であり、資格取得後も地道な努力が必要です。

地道な作業に対して苦痛を感じず、やりがいを感じられる人は公認会計士に向いていると言えます。

まとめ

本記事では、公認会計士の仕事の概要や税理士との違いについて解説しました。とくに押さえておくべきポイントは以下の通りです。

・公認会計士の仕事は、監査業務、コンサルティング業務、税務業務などがある

・平均年収は746万円で、初任給も高めに設定されている

・監査法人、事業会社、コンサルティングファームで仕事内容や一日の流れが異なる

・公認会計士と税理士は、業務範囲やクライアント、試験制度に違いがある

公認会計士は高度な専門性が求められる、やりがいのある仕事です。自分に合っているかどうかをしっかり見極め、多彩なキャリアプランを計画していきましょう。