公認会計士の就活スケジュール|合格から約2週間の短期決戦を勝ち抜く秘訣も

公認会計士の就活は、合格発表から約2週間で選考が進む短期決戦です。

希望する監査法人に就職するためには、情報収集や面接対策を早めに始め、スピード感をもって行動することが欠かせません。

なお、就活が短期決戦になるのはおもに「監査法人」に就職する場合のことであり、公認会計士の就職先は監査法人以外にも考えられます。

この記事では、就活のスケジュールとともに、公認会計士の就職先や成功の秘訣を解説します。

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公認会計士の就活スケジュール

公認会計士が監査法人に就職する場合、公認会計士試験の合格発表後から本格的な就活が始まります。

就職までのスケジュールは以下のとおりです。

時期やるべきこと
8月〜11月上旬・予備校・監査法人が主催する説明会や就職イベントに参加
・志望する監査法人の絞り込み
11月中旬・論文式試験の合格発表
11月中旬〜下旬・最終面接〜内定
12月〜・実務、実務補習を開始
・公認会計士登録に向けた学習
・入社準備

時期ごとに整理して確認しましょう。

【8月〜11月上旬】論文式試験後〜合格前

公認会計士試験の論文式試験は、例年8月下旬に実施されます。

その後、11月上旬の合格発表までの約2カ月間は、就活の重要な準備期間です。

この期間は、予備校・監査法人が開催する説明会や就職イベントに積極的に参加し、志望する監査法人を絞り込むことが大切です。

それぞれの特徴や求める人材像を理解し、自分に最適な就職先を見極めましょう。

エントリーシートの準備や面接対策も並行して進めておくと、合格発表後の短期決戦に備えられます。

【11月中旬】合格発表

公認会計士の論文式試験の合格発表は、例年11月中旬に行われます。

ただし、令和7年は例外的に11月下旬予定となっています。

この後の流れにも影響する可能性があるため、詳細な日程についてはしっかりと確認してください。

合格発表を境に、本格的な就活がスタートします。

発表当日から各監査法人への応募が開始されるため、事前準備が整っていることが前提です。

ほかの合格者に遅れをとらないよう、合格を確認したら速やかに志望する監査法人への応募手続きを進めましょう。

【11月中旬~下旬】最終面接〜内定通知

合格発表のある11月中旬から約2週間で、書類選考・一次面接・最終面接といった選考を経て、内定通知まで進みます。

早い場合は、1週間以内に決まることもあります。

ハードなスケジュールとなるため、体調管理は欠かせません。

複数の法人を受ける場合は、面接日程が重ならないよう慎重に調整しましょう。

面接では、志望動機や自己PRを自信をもって伝えられるよう、事前準備を万全に整えておくことが重要です。

【12月~】入社準備

内定獲得後は、翌年からの実務開始に向けた準備期間です。

実務経験と実務補習所での学習を同時に開始し、公認会計士登録に向けた3年間の修了考査合格を目指すプロセスが始まります。

内定者研修や懇親会への参加を通じて、同じ立場の同期や経験豊富な先輩との交流を深めておくと、入社後の連携や効率的な業務遂行にもつながります。

また、公認会計士登録に必要な知識の習得や、実務で求められるスキルを計画的に学び、スムーズに実務のスタートを切れるようにしましょう。

公認会計士の約9割が選ぶ就職先「監査法人」とは

監査法人は、公認会計士の約9割が選ぶ代表的な就職先であり、専門知識とスキルを磨くのに最適な環境が整っています。

監査法人は、規模によって大きく3つに分類されます。

  • 大手監査法人「BIG4」
  • 準大手監査法人
  • 中小監査法人

それぞれに特徴があり、求める人材像や働き方も異なります。

自分のキャリアビジョンや価値観に合った法人を選択しましょう。

大手監査法人「BIG4」

BIG4監査法人とは、世界規模で展開する4つの会計事務所グループの日本法人を指します。

国際会計事務所グループ(BIG4)日本の監査法人名
KPMG有限責任あずさ監査法人
EY(アーンスト・アンド・ヤング)EY新日本有限責任監査法人
Deloitte(デロイト トウシュ トーマツ)有限責任監査法人トーマツ
PwC(プライスウォーターハウスクーパース)PwC Japan有限責任監査法人


BIG4は、大規模な上場企業や外資系企業を多数クライアントに抱えており、グローバルな案件に携わる機会が多い点が特徴です。

国際的な視野を身につけたい人に適した就職先と言えます。

教育研修制度やキャリア支援制度など、人材育成の仕組みが充実しているのも魅力です。

一方で、組織が大きいため個人の意見が通りにくい面もあり、協調性も必要になるでしょう。

準大手監査法人

準大手監査法人は、BIG4に次ぐ規模の監査法人です。

代表的な法人は以下のとおりです。

  • 仰星監査法人
  • 三優監査法人
  • 太陽有限責任監査法人
  • 東陽監査法人

準大手監査法人の特徴は、組織の規模が比較的小さいため、若手のうちから重要な判断に関わる機会が多いことです。

BIG4ほど大規模ではありませんが、上場企業の監査も手がけており、クライアントと近い距離で関わり、質の高い監査経験を積めます。

アットホームな雰囲気のなかで個人の成長を実感したい人や、早い段階から責任ある業務に携わりたい人に向いています。

また、将来の独立を考えている人にとっても、幅広い業務経験を積める環境として魅力的です。

中小監査法人

中小規模の監査法人は、地域密着型の運営や特定分野に強みをもつ傾向にあります。

地域の中堅企業や特定業界のクライアントに特化してサービスを提供しており、専門性を高めているのも特徴です。

いっぽうで、大手法人に比べて研修制度が充実していない場合もあるため、自ら学ぶ姿勢が求められます。

中小監査法人では、監査業務の全体プロセスを経験することも可能です。

早い段階から重要な仕事を任されることもあるでしょう。

経営陣との距離が近いことや、特定分野での専門性を深められる環境があることは、中小監査法人ならではと言えます。

地元での就職を希望する人や、特定分野で専門性を深めたい人、早期にマネジメント経験を積みたい人に適しています。

監査法人以外にもある!公認会計士の就職先4選

公認会計士の就職先は監査法人だけではありません。

資格の専門性を生かせる、以下のような選択肢もあります。

  • 税理士法人
  • 会計事務所
  • コンサルティングファーム
  • 一般事業会社

ひとつずつ解説しますので、ご自身のキャリアビジョンに応じて検討してみてください。

公認会計士の就職先については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

税理士法人

税理士法人では、企業や個人の税務業務を中心に行います。

公認会計士は、税理士登録をすることで税理士業務も行えるため、監査と税務の両面から企業をサポートできる強みがあります。

おもな業務内容は、税務申告書作成を中心とした税務業務全般です。

クライアントからの税務相談への対応、税務調査が入った際のサポートに加え、企業の経営に関するアドバイスも行うなど、総合的な経営支援サービスを提供します。

中小企業の経営者と密接に関わることが多く、税務だけでなく経営相談にのる機会も豊富です。

独立を視野に入れている人にとっても、税務の幅広い経験を積める魅力的な環境と言えるでしょう。

会計事務所

会計事務所では、監査法人と比較して、より身近な規模の企業との関わりが中心となり、経営者との距離も近くなります。

会計事務所におけるおもな業務は以下のとおりです。

  • 日常的な会計処理
  • 財務諸表の作成
  • 税務申告

ひとつの企業に対して、会計から税務まで包括的にサポートするため、企業経営の全体像を理解できます。

独立を考えている人や、中小企業の経営支援、地域密着型のサービスを提供したい人に向いています。

コンサルティングファーム

コンサルティングファームでは、公認会計士の専門知識を生かして、企業の財務・会計領域でのアドバイスを行います。

とくに、FAS(Financial Advisory Service)は、M&A、事業再生、内部統制構築、IPO支援などに携わり、より戦略的で具体的な解決策の提案が求められます。

高い報酬を得られる可能性がある一方で、激務になる場合もあり、向上心と体力が不可欠です。

将来的にコンサルタントとして独立したい人や、企業経営に深く関わりたい人に適しています。

一般事業会社

上場企業や大手企業では、公認会計士を社内に置き、財務戦略の高度化や内部統制の強化を図っています。

一般事業会社で担当する主な業務は以下のとおりです。

  • 決算処理
  • 財務分析
  • 予算管理
  • 内部監査

経営判断に関わるポジションに就ける可能性もあり、経営企画やCFO(最高財務責任者)といったキャリアを目指せる点が魅力です。

特定の業界に興味がある人、企業内部から経営に関わりたい人に適した就職先と言えます。

また、監査法人と比較してワークライフバランスを保ちやすい傾向があり、働き方を重視する人にも向いています。

公認会計士が就活で成功する秘訣5つ

公認会計士の就職先を紹介してきましたが、実際には約9割の人が監査法人へ就職しているため、ここからは主に公認会計士が監査法人へ就職する際のポイントをお伝えします。

前述したとおり、公認会計士が監査法人に就職する場合、試験合格後から就活を進めていくことになります。

就活を成功させるには、以下の5つのポイントを頭に入れておきましょう。

  • 就活の準備は合格発表前から行う
  • 積極的に情報収集をする
  • 規模や知名度だけで就職先を選ばない
  • 面接対策を徹底する
  • キャリアアップを見据える

監査法人以外の就職先を希望する人にも参考になりますので、ぜひご確認ください。

就活の準備は合格発表前から行う

監査法人への就職を希望する場合、合格発表後の約2週間が勝負です。

この短期間ですべてを準備するのは現実的ではないため、合格発表前から準備を進めておきましょう。

論文式試験終了後は、説明会や就職イベントに参加し、志望法人を選び、優先順位をつけておきます。

同時に、エントリーシートの準備を進め、自己分析を行い、キャリアビジョンを整理します。

さらに、実践的な面接対策を行い、短期決戦に備えましょう。

試験終了後の一息つきたい時期だと思いますが、将来のキャリアを左右する重要な準備期間と考えて主体的に行動するのが、就活で成功する秘訣です。

積極的に情報収集をする

監査法人によって、企業文化や業務内容、キャリアパス、働き方などに特徴があります。

表面的な情報だけでなく、実際の働き方や職場環境について理解するため、積極的な情報収集が不可欠です。

情報収集のためには、就活イベント・説明会への参加やOB・OG訪問などを積極的に行いましょう。

予備校の就職サポート制度などを活用したり、公認会計士向け就職情報サイトを定期的にチェックしたりすることも有効です。

さらに、SNSや口コミサイトを活用すれば、リアルな職場の声や働き方の実態も把握できます。

単一の情報源に頼らず、複数の方法を組み合わせて各法人の特徴を理解し、収集した情報を比較検討しましょう。

自分の価値観やキャリアビジョンに合致する法人を見極めることが大切です。

規模や知名度だけで就職先を選ばない

規模や知名度だけを基準に就職先を選ぶと、入社後のミスマッチが起きやすくなります。

規模によって特徴があり、適した人材が異なります。

たとえば、BIG4のような大規模法人の場合、大規模案件へ関与できる可能性はありますが、早い段階から責任ある業務を任されることは少ないかもしれません。

業務量が多くて忙しくても、グローバルな環境で働きたい、短期間でスキルアップしたいと考える人には適しているでしょう。

一方、中小監査法人の場合、大規模法人に比べ案件規模は小さくなりますが、早い段階から幅広い業務に関われますし、残業が少ない傾向にあります。

早期から責任ある業務を担いたい人や、ワークライフバランスを考えて働きたい人には中小法人が合うかもしれません。

法人の規模よりも、仕事において自分が何を重視するかを明確にし、選択することが重要です。

面接対策を徹底する

公認会計士試験合格者は、これまで学習に注力してきたこともあり、ビジネス面接には不慣れな傾向があります。

短期間の就活で成功するためには、面接対策の徹底が不可欠です。

まずは自己分析を行い、自分の価値観や強み、弱み、キャリアビジョンを整理しましょう。

具体的な面接対策としては、基本質問への回答を準備し、実体験やエピソードを整理するとともに、法人ごとの志望理由を明確にします。

さらに、模擬面接を実施して実践的な練習を重ねましょう。

逆質問の準備もしておくことで、短期決戦となる就活でも自信をもって面接に臨めます。

キャリアアップを見据える

就職先を選ぶ際は、現在の条件だけでなく、5年後、10年後にどうなっていたいかという長期的な視点が必要です。

たとえば、将来的にM&Aやコンサルティング業務に携わりたい場合は、それらの業務を行う法人を選ぶとよいでしょう。

独立を考えている場合は、幅広い実務経験を積める環境が必要です。

また、マネジメント職を目指すのか、専門職として極めるのかによっても、選ぶべき法人は変わってきます。

目先の待遇に左右されず、自分の目指すキャリアに合う就職先を選ぶことが大切です。

公認会計士の就活|よくある3つの疑問

公認会計士の就活において、受験生や合格者からさまざまな疑問が寄せられます。
なかでも、以下の3つは多くの人が気になるポイントのようです。

  • 公認会計士試験に落ちたらどうする?
  • 内定がもらえなかったらどうする?
  • 公認会計士の就活に年齢制限はある?

ひとつずつ確認しておきましょう。

公認会計士試験に落ちたらどうする?

公認会計士試験に落ちた場合の主な選択肢は以下のとおりです。

  • 会計事務所や企業の経理職へ就職する
  • 監査法人のアシスタント職として就職する
  • 「新卒」という立場を生かして就活を行う(大学生の場合)
  • 資格取得の再チャレンジに専念する

公認会計士試験は合格率が10%程度という狭き門であるため、1度で合格できないのは珍しいことではありません。

不合格の場合、会計事務所や企業などで働きながら再度、資格取得を目指すという選択肢もあります。

働きながら合格を目指すメリットは、合格後により実践的なスキルを身につけた状態でキャリアをスタートできることです。

ただし、勉強する時間の確保が難しい、新しい環境に慣れるのにストレスがかかるといったことも考えられます。

再チャレンジするかどうか、就職するかどうかは、自分のキャリアビジョンに応じて決断しましょう。

内定がもらえなかったらどうする?

公認会計士試験に合格できても、必ずしも希望する法人から内定がもらえるわけではありません。

希望する法人から内定がもらえなかった場合のおもな選択肢は、以下のとおりです。

  • 初回の採用で定員に達しなかった場合や辞退者が出た場合に実施される追加募集を狙う
  • 当初志望していなかった法人も検討する
  • 税理士法人、会計事務所、コンサルティングファーム、一般事業会社なども検討する

第1希望の法人から内定がもらえなかった場合でも、次のチャンスはあります。

ひとつの選択肢にこだわりすぎず、幅広い視野を持つことで将来の可能性が広がります。

公認会計士の就活に年齢制限はある?

公認会計士試験は、年齢・性別・学歴を問わず誰でも受験が可能な試験です。

就活においても、明確な年齢制限を設けていない法人があり、幅広い世代にチャンスがあります。

実際に、社会人経験を積んだ後に公認会計士を目指し、合格後に監査法人へ就職する例も見られます。

ただし、年齢が上がるにつれて求められるスキルや期待される水準が高くなるため、就職のハードルが高くなるのも事実です。

年齢が高めの人が転職する際は、これまでの社会人経験で培ったスキルや専門知識を、監査業務でどう生かせるかが重要になります。

前職での経験や業界知識を強みとしてアピールできれば、評価される可能性は十分あるでしょう。

公認会計士と年齢の関係については、こちらで詳しく解説しています。

公認会計士の就活は資格取得がスタート

公認会計士の就活について、知っておきたい情報を紹介しました。

  • 公認会計士の就活は合格発表後の約2週間がカギ(おもに監査法人に就職する場合)
  • 公認会計士の約9割が監査法人に就職している
  • BIG4、準大手、中小監査法人それぞれに特徴があるため、キャリアビジョンに応じた選択が重要
  • 公認会計士の資格を生かせる就職先は、監査法人以外にも税理士法人、コンサルティングファーム、一般事業会社など多数ある
  • 公認会計士の就活は、合格発表前から準備を始めることが大切
  • 就職先は、目先の条件だけでなく長期的なキャリアを見据えて選ぼう

公認会計士は専門性が高く、資格を取得していると就職や転職で大きな強みになります。

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