
「公認会計士の資格は、高学歴の人しか取得できない」と思っていませんか。
たしかに試験の難易度は高く、簡単に合格できるものではありません。
しかし、公認会計士試験には学歴による制限はなく、誰でも受験可能です。
この記事では、公認会計士と学歴の関係についてくわしく解説するとともに、公認会計士に必要なスキルや、効率的な学習戦略についても紹介します。
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公認会計士になるのに学歴は関係ない
公認会計士になるのに学歴は関係ありません。
公認会計士になるには、金融庁の公認会計士・監査審査会が実施している「公認会計士試験」に合格し、実務経験を積んだうえで、公認会計士として登録する必要があります。
この過程で、学歴が求められる場面はなく、誰でも公認会計士を目指せます。
まずは、公認会計士試験の受験資格や公認会計士登録について、くわしくみていきましょう。
公認会計士試験の受験に学歴は不要
公認会計士試験に受験資格はありません。性別や年齢、学歴、国籍などにかかわらず、誰でも受験可能です。
重要なのは実力で、必要な知識とスキルを身につけていれば、どんな人でも合格のチャンスがあるのです。
公認会計士と同じ難関国家資格として医師があげられます。医師国家試験は受験するにあたって、医学部の卒業といった学歴が必要です。
いっぽう、公認会計士は学歴に関係なく、努力次第で合格を目指せます。
学歴にコンプレックスがある人でも、合格して公認会計士として経験を積めば、安定した収入やキャリアアップも実現可能です。
公認会計士試験のくわしい情報は、こちらの記事で紹介しています。

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公認会計士登録にも学歴は不要
公認会計士として登録する際にも学歴は問われません。
なお、公認会計士として業務を行うには、以下の要件を満たす必要があります。
- 公認会計士試験に合格する
- 3年以上の実務経験(業務補助など)を積む
- 実務補習を修了する
- 内閣総理大臣の確認を受ける
- 公認会計士名簿に登録し、日本公認会計士協会に入会する
実務経験や実務補習の修了考査にも学歴は不要です。
つまり、公認会計士試験の受験から公認会計士として働き始めるまで、学歴を問われることはないのです。
公認会計士試験の合格者と学歴の関係
公認会計士になるのに学歴は問われませんが、実際の試験結果を見ると、合格と学歴はまったく無関係とも言い切れません。
合格者の学歴の傾向や出身大学について解説します。
合格者の学歴
令和6年公認会計士試験の学歴別合格者とその構成比は、以下のとおりです。
試験年 | 出願者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 合格者構成比(%) |
---|---|---|---|---|
大学院修了 | 1,071 | 60 | 5.6 | 3.7 |
会計専門職大学院修了 | 745 | 28 | 3.8 | 1.7 |
大学院在学 | 176 | 14 | 8.0 | 0.9 |
会計専門職大学院在学 | 207 | 21 | 10.1 | 1.3 |
大学卒業(短大含む) | 9,657 | 747 | 7.7 | 46.6 |
大学在学(短大含む) | 6,901 | 605 | 8.8 | 37.7 |
高校卒業 | 2,255 | 102 | 4.5 | 6.4 |
その他 | 561 | 26 | 4.6 | 1.6 |
【参考】公認会計士・監査審査会「令和6年公認会計士試験合格者調」
公認会計士試験を受験するのは、「大学在学」「大学卒業」以上の学歴を有する人が多いことがわかります。
合格者も8割以上が「大学在学」「大学卒業」です。
いっぽう、少数ではありますが「高校卒業」の合格者も存在しており、大学以上の学歴がなければ受からない、ということはありません。
学歴に自信がない人でも、しっかりと勉強していけば、合格のチャンスはあります。
合格者の出身大学
公認会計士試験の合否が出身大学によって左右されることはありません。
私立大学、国公立大学問わずどちらも合格者を輩出していますが、比較的偏差値の高い大学の合格者数が多いようです。
中には、公認会計士を目指す学生向けのプログラムがある大学もあります。
受験のサポートが充実していれば、より効率よく合格を目指せるでしょう。
公認会計士のキャリアで学歴が影響する可能性がある3つの場面
公認会計士になるのに学歴は問われませんが、公認会計士として働き始めると学歴がキャリアに影響することもあります。
ここからは、学歴がキャリアに影響する可能性がある3つの場面について、それぞれ解説します。
大手監査法人(Big4)や人気企業への就職・転職
大手監査法人や人気企業への就職・転職活動では、選考に学歴が影響する可能性もあります。
公認会計士の就職先としてもっとも一般的なのが、監査法人です。
そのうち大手監査法人としてあげられるのは、以下の4つです。
- 有限責任 あずさ監査法人
- EY新日本有限責任監査法人
- 有限責任監査法人トーマツ
- PwC Japan有限責任監査法人
これらは、四大監査法人(Big4)として国際的に展開する会計事務所グループの日本法人にあたります。
国内外の主要な上場企業やグローバル企業、大手企業をおもなクライアントとしており、公認会計士の就職先としても人気です。
ただし、このような就職先は応募者も多いため、競争率が高い傾向にあります。
同じような資格・スキルを持つ人の中から選別する場合、学歴が判断材料のひとつとなることもあるでしょう。
転職に関しても同様に、職務経歴や資格・スキルだけでなく学歴が選考に影響を与えることも考えられます。
管理職やリーダー層への昇進・昇格
学歴がなくても公認会計士試験に合格していれば、高学歴の公認会計士と同じスタートラインに立てます。
しかし、昇進・昇格の評価基準は組織によって異なるため、企業によっては学歴が評価対象となることも考えられます。
とくに若手のうちは、学歴が「将来性」や「ポテンシャル」の証明として見られる傾向もあります。
場合によっては、学歴が「公認会計士以外の勉強もしてきており、幅広い知識や視点を持っている」という評価につながることもあるでしょう。
独立開業
公認会計士として経験を積んだら、独立して自分の事務所を開業することも可能です。
基本的に独立開業には、学歴よりも、公認会計士としての実務経験や人脈、専門性が重要になります。
ただし、初対面のクライアントと契約を結ぶ際には、資格だけでなく学歴という肩書きが信頼性の一助になることもあるでしょう。
学歴よりも必要な公認会計士のスキル3選
公認会計士として働くにあたって、学歴よりも必要となる3つのスキルを紹介します。
- コミュニケーション力
- 論理的思考力(ロジカルシンキング)
- 継続的学習力
ひとつずつ確認していきましょう。
コミュニケーション力
公認会計士として働くには、コミュニケーション力が求められます。
公認会計士はクライアントとのやりとりが多い職業です。口頭・テキストの両方で、わかりやすく情報を伝える力が必須です。
場合によっては、会計にくわしくないクライアントと話をすることもあるかもしれません。
相手の立場に立って、わかりやすい言葉で話すことで、クライアントからの信頼を得られるでしょう。
また、公認会計士の業務はチームで仕事を進めるケースもあるため、チームメンバーと円滑に業務を進めることが大切です。
さらに、コンサルティング業務で経営者へのプレゼンテーションなどを行うこともあります。
このように、公認会計士の業務にコミュニケーションが求められるシーンは多いため、コミュニケーション力は重要なスキルのひとつと言えます。
論理的思考力(ロジカルシンキング)
公認会計士として働くには、会計や監査基準に沿って物事を論理的に考えることが重要です。
クライアントと接する際には、客観的かつ論理的な説明を求められる場面も多々あります。
「なんとなく○○だから○○だと思う」といった感覚や勘で説明していては、説得力がありません。
「ここの数字が○○だから○○の結果になる」といったように、数字と根拠に基づく論理的な思考が必要です。
論理的思考力を持ってクライアントと話をすれば、説得力も増し、信頼につながるでしょう。
継続的学習力
公認会計士試験に合格したからといって、勉強をやめていいわけではありません。
法改正や新しい会計基準への対応など、継続的な学習が大切です。資格取得後も地道な努力が求められます。
なお、日本公認会計士協会では、CPD(継続的専門能力開発)制度を導入しており、公認会計士には継続的専門研修の履修も義務付けられています。
毎事業年度に必要な単位以上を履修し、申告しなければなりません。
公認会計士の資格を生かして活躍するには、このような継続的学習を通じて、成長し続けられる力が必要です。
学び続けることで、学歴に関係なく、公認会計士としてのキャリアを着実に築いていけるでしょう。
公認会計士は学歴より実力!目指す前に知っておきたい3つのこと
公認会計士として働くには学歴よりも実力が重要です。
公認会計士を目指す前に知っておくとよい、以下の3つのポイントを解説します。
- 公認会計士は難易度の高い資格
- 合格には3,000〜5,000時間の勉強時間が必要
- キャリアアップには実務経験が必須
それぞれみていきましょう。
公認会計士は難易度の高い資格
公認会計士は、医師・弁護士とならぶ難関国家資格のひとつです。
監査・会計の専門家として、企業などの公正な経済活動や社会の発展に貢献する職業です。
試験では、きわめて高度な監査や会計の専門知識が求められるため、合格のハードルも高くなっています。
令和6年の公認会計士試験の合格率は、わずか7.4%でした。
このことからも非常に難易度が高い試験であることがわかります。
受験資格はなく、誰でもチャレンジできますが、合格には知識への深い理解と地道な努力が不可欠です。

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合格には3,000〜5,000時間の勉強時間が必要
一般的に公認会計士試験の合格には、3,000〜5,000時間の勉強が必要と言われています。
金融庁の「公認会計士という職業の魅力」という講演資料にも、「試験に合格するには2年間で5,000時間が必要」と記載されています。
2年間で5,000時間というと、1日あたり約7時間を毎日積み重ねるイメージです。
それだけ長時間の勉強を毎日続けるのは、容易ではありません。
働きながら合格を目指すとなると、さらに大変でしょう。
これだけの勉強時間を確保するためには、受験を決めたら、できるだけ早く勉強を始めることが大切です。
早く始めれば始めるほど、学習スケジュールにも余裕が生まれます。
【参考】公認会計士・監査審査会「公認会計士という職業の魅力」
キャリアアップには実務経験が必須
公認会計士としてキャリアアップしていくには、実務経験が必須です。
公認会計士として働き始めた後も、多くの実務を経験していくことで、実践的なスキルが身に付き、専門的な知識が深まっていきます。
また、独立開業して成功するには、公認会計士としてのスキルだけでなく、人脈の構築も欠かせません。
実務経験を積む中で得た人脈が、開業後のクライアントの獲得に生きることもあるでしょう。
公認会計士としてのキャリアアップを目指すなら、多くの実務経験を積めるよう、スムーズに試験を突破できるのが理想です。
学歴コンプレックスがある人が押さえるべき勉強戦略3つのポイント
「有名大学出身ではない」「高卒だから」と学歴にコンプレックスがある人でも、公認会計士になれます。
学歴に自信がないからこそ、学習の「質」と「戦略」で勝負することが重要です。
ここでは、学歴コンプレックスがある人が押さえるべき勉強戦略を、次の3つに絞って解説します。
- わかりやすい教材を選ぶ
- 学習計画を立てる
- 時間を有効活用する
順にみていきましょう。
わかりやすい教材を選ぶ
公認会計士試験の勉強を始める際は、自分にとってわかりやすい教材を選びましょう。
学歴にコンプレックスがあると、「難しい教材を使わないと追いつけない」と焦って背伸びをしてしまいがちです。
しかし、評判がいい、人気があるといった理由だけで教材を選んでしまうと、自分にはあわないこともあります。
教材を選ぶ際は、自分の目で中身を確認するようにしましょう。
最初は教材の難易度を気にせず、自分にとってわかりやすいと感じられる教材を使うことが、勉強のモチベーションを保つ秘訣でもあります。
基礎から丁寧に理解を積み重ね、レベルアップしていくのがおすすめです。
学習計画を立てる
公認会計士試験は、試験範囲が広く難易度もかなり高いため、長期にわたる学習が必要になります。
やみくもに取り組むのは非効率です。
学習計画を立て、コツコツ勉強を進めていきましょう。
ポイントは無理のないスケジュールを立てることです。
学歴コンプレックスがある人ほど、焦ってハードなスケジュールを立ててしまいがちですが、それでは計画倒れになってしまいます。
自分が1日どのくらい勉強時間を確保できるかも考慮して、それに沿って計画を立てていきましょう。
なお、こちらの記事では、各科目の勉強時間の目安をくわしく紹介しています。
計画を立てる際の参考にしてみてください。

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時間を有効活用する
前述したとおり、合格までは3,000〜5,000時間の勉強時間が必要です。
仮に2年間で合格を目指す場合、1日4〜6時間程度勉強しなければなりません。
働きながら、あるいは学校に通いながらだと、これだけの時間を確保するのは簡単ではないでしょう。
まとまった勉強時間の確保も大切ですが、通勤・通学中、寝る前の10分といったスキマ時間を上手に活用し、知識を積み上げていくことも重要です。
スタディングならスマホやタブレットで勉強できるので、場所や時間の制限がありません。
わかりやすい講義動画や充実した演習問題など、教材も豊富で、空いた時間に効率よく勉強を進められます。
公認会計士に学歴フィルターはない!資格を取得しスタートラインに立とう
本記事のポイントは以下のとおりです。
- 公認会計士試験の受験や公認会計士登録に、学歴は問われない
- 公認会計士試験合格者の学歴は高校卒業や大学卒業、大学院修了などさまざま
- 就職や昇進、独立開業の際には、学歴があったほうが有利なこともある
- 公認会計士には、コミュニケーション力や論理的思考力、継続的学習力が求められる
- 公認会計士は難関国家資格だが、活躍するためには学歴よりも実力が重要
- 試験に合格するためには、わかりやすい教材を選ぶ、学習計画を立てる、時間を有効活用するなど、ポイントを押さえておこう
公認会計士試験は難易度の高い試験ですが、学歴に関係なく、地道に努力すれば合格に近づけます。
本記事の勉強戦略などを参考に勉強を進め、公認会計士としてのキャリアを実現させましょう。
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