
公認会計士試験は非常に難易度が高く、やみくもに勉強してもなかなか合格にはつながりません。
合格するには、自分に合ったやり方で、科目ごとの特性を踏まえて勉強することが重要です。
この記事では、公認会計士試験に合格するための勉強時間や勉強方法をお伝えします。
大学生と社会人、それぞれに向けた勉強のコツや、まずすべきことも紹介するので、公認会計士試験に挑戦しようかなと考えている人は参考にしてみてください。
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公認会計士試験の合格に必要な勉強時間
公認会計士試験に合格するには、平均で3,000〜5,000時間の学習が必要とされています。
膨大な勉強時間が必要となる理由は、試験範囲が非常に広く、内容も難しいからです。
たとえば1年で合格を目指す場合、1年間で約3,000時間を確保するために、1日8時間以上の勉強が必要という計算になります。
学校に通ったり仕事をしたりしながら確保する勉強時間としては、現実的ではありません。
公認会計士試験に合格するには、短期間で合格を目指すよりも2〜3年の勉強を想定し、計画を立てて着実に取り組むのが良いでしょう。
試験までの準備期間が2〜3年あれば、無理のないペースで勉強を進められます。
科目別の勉強時間や合格者の特徴、勉強方法などについては、こちらも参考にしてください。

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公認会計士試験のための勉強手段3選
公認会計士試験に合格するには、自分に合った勉強スタイルを見つけることが大切です。
ここでは代表的な手段として、以下の3つを紹介します。
- 通信講座
- 予備校・専門学校
- 独学
それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。
通信講座
通信講座とは、スマホやタブレット、パソコンを使って、時間や場所を選ばず、自分のペースで公認会計士試験の勉強ができる学習方法です。
自分のライフスタイルに合わせて、柔軟に勉強を進められます。
通信講座のおもなメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | 時間や場所に縛られず自由に勉強できる職場や学校でのスキマ時間も活用できる苦手な部分や理解が難しい部分を繰り返し学びやすい予備校よりも低価格で受講できる |
デメリット | 自己管理能力が必要になるモチベーションの維持が難しい |
時間や場所に縛られずに学べる点や、費用面での手軽さは大きなメリットです。
いっぽう独学に近いため、自己管理やモチベーション維持が課題と言えます。
通信講座を選ぶ際は、学習計画をサポートしてくれる仕組みがあると安心です。
スタディングの公認会計士講座ならスマホ・タブレットを使って、外出先でも効率的な勉強が可能です。
また、進捗状況を可視化してくれる学習レポート機能も備えています。
ゲーム感覚で学習を続けられたり、同じ目標をもつ仲間と励まし合えたりする機能もあるため、モチベーションの維持にもつながります。
予備校・専門学校
予備校・専門学校に通うのも、公認会計士試験対策として代表的な勉強手段のひとつです。
効率的に学習できるよう設計された講義やテキストなど、公認会計士試験の合格を目指せる環境が整っています。
予備校・専門学校のおもなメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | 体系的なカリキュラムで効率的に学べる合格という同じ目標を持つ仲間との交流がモチベーションアップにつながる理解が難しい部分はすぐに講師に質問できる |
デメリット | 学費が高額になりやすい通学時間が必要になる講義の時間が決まっているため、学校や仕事などとの両立が難しい |
予備校や専門学校に通うと、各科目の基礎から応用までを効率的に学べるほか、最新の試験傾向に沿った模擬試験も受けられます。
直接講師の指導を受けながら、着実に合格を目指したい人に適した学習スタイルです。
独学
独学とは、参考書や過去問を活用しながら、自分の力で公認会計士試験の勉強を進める方法です。
なるべく費用を抑えたい人に向いており、自由度の高さが特徴と言えます。
独学のおもなメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | 学習にかかる費用を大きく抑えられる自分のペースで学習できる |
デメリット | すべてひとりで学習を進めなければならないわからない部分を自分で解決しなければならない孤独を感じやすく、モチベーションの維持が課題になる |
参考書選びからスケジュール管理まで、すべて自分で行う必要があり、自己管理が重要になります。
インターネットなどで「公認会計士試験に合格する」という同じ目標をもつ仲間と交流しながら学習を進めると、モチベーション維持にもつながるでしょう。
公認会計士試験に合格するための科目別勉強方法
公認会計士試験の科目は以下のとおりです。
科目 | 必須/選択 | 試験区分 |
---|---|---|
会計学(財務会計論、管理会計論) | 必須科目 | 短答式試験・論文式試験の共通科目 |
監査論 | ||
企業法 | ||
租税法 | 論文式試験のみ | |
経営学・経済学・民法・統計学 | 選択科目(4科目のうち1科目を選択) |
それぞれの科目について概要と勉強方法を紹介します。
なお、短答式試験・論文式試験については、それぞれ以下の記事を参考にしてください。

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財務会計論
財務会計論とは、簿記や財務諸表論などについて問われる科目です。短答式・論文式試験の共通科目で、計算問題と理論問題がともに出題されます。
なお、論文式試験では会計学の一部として扱われます。財務会計論は学習範囲が非常に広いため、計画的に勉強を進めることが不可欠です。
簿記の基礎知識をしっかりと固め、財務諸表の仕組みやルールを正しく理解しましょう。
計算問題の対策としては、とにかくたくさんの問題を解くことが効果的です。
テキストや問題集などを何度も繰り返すうちに、解答スピードが上がりミスも減ります。
理論問題と並行して学習すると計算問題への理解も深まり、より正確に解けるようになるでしょう。
管理会計論
管理会計論とは、原価計算や管理会計、業績管理などについて問われる科目です。短答式・論文式試験の共通科目で、計算問題と理論問題がともに出題されます。
管理会計論も論文式試験では、会計学の一部として扱われます。
管理会計論の学習でも、テキストや問題集の反復が基本です。
問題演習の際には、ただ解くだけでなく会計的な意味や理由を意識し、実際の企業での活用をイメージしながら学ぶと理解が深まります。
とくに原価管理基準は出題数が多く、得点源になりやすいため重点的に取り組みましょう。
管理会計論の短答式試験は、財務会計論に比べて試験時間が短いため、解答スピードを上げることを意識して問題演習に取り組むと効果的です。
監査論
監査論とは、金融商品取引法や会社法に基づく監査制度や監査諸基準、その他監査理論について問われる科目です。
短答式・論文式試験の共通科目で、理論問題のみ出題されます。
出題範囲のボリュームは比較的少ない科目ですが、監査業務内容の深い理解が求められます。
実務に基づいた視点や監査の基本的な考え方を理解し、それをもとに論理的に考える力が重要です。
知識を丸暗記するのではなく、なぜその手続きが必要なのか理由を意識しながら学習しましょう。
テキストを繰り返し読み込み、問題演習を通じて監査の考え方に慣れていくことで、試験で必要な思考力も身につきます。
企業法
企業法とは、会社法・商法・金融商品取引法など、監査を受けるべきとされる組合や組織に関する法について問われる科目です。
短答式・論文式試験の共通科目で、理論問題のみ出題されます。
企業法は出題範囲が広いので、十分な勉強時間を確保しましょう。法律を扱う科目であり、条文や制度の理解と暗記が不可欠です。
ただし、多くが典型的な問題であるため、しっかりと対策しておけば比較的安定して得点できる科目と言えます。
過去問や問題集を繰り返し解き、出題パターンを把握することが得点につながります。
租税法
租税法とは、法人税法・所得税法・租税法総論・消費税法などの租税法各論について問われる科目です。
論文式試験のみ実施され、計算問題と理論問題がともに出題されます。
租税法は範囲が広く、計画的な学習が大切です。
ただし、出題パターンは毎年大きくは変わらないため、過去問を繰り返し解くことで対策が可能です。
とくに法人税法の出題率は高めなので重点的に学習し、所得税法・消費税法など他の範囲にもバランスよく取り組みましょう。
なお、計算問題は最初のプロセスでミスをしてしまうと、多くが不正解につながってしまいます。
問題演習の際にも、正確さを意識して行うことが重要です。
選択科目
論文式試験には選択科目があり、「経営学」「経済学」「民法」「統計学」からひとつを選択します。
各科目の内容は以下のとおりです。
選択科目 | 内容 |
---|---|
経営学 | 経営管理や財務管理の基礎的理論 |
経済学 | ミクロ経済学やマクロ経済学などの経済理論 |
民法 | 民法典第1〜3編を主として第4、5編と関連する特別法を含む |
統計学 | 記述統計や推測統計の理論と金融工学の基礎的理論 |
難易度が比較的低いとされているため、受験者の多くが経営学を選択する傾向があります。
しかし、他の科目を得意としている場合や、興味を持って学習を続けられる分野がある場合には、無理に経営学を選ぶ必要はありません。
自分に合った科目を選ぶことで、学習へのモチベーションを保ちやすくなり、得点にもつながるでしょう。
【大学生向け】公認会計士試験に合格するための勉強のコツ
大学生が公認会計士試験に合格するコツは、計画的に勉強を進めることと、優先順位をはっきりさせることです。
「○年後に合格」という長期的なゴールから逆算して、計画を立てましょう。
試験日からさかのぼって、月・週・日ごとの目標や学習タスクを具体的に決めていくと、やるべき内容の優先順位も明確になります。
大学での学業と両立するには、講義の合間の空き時間や長期休暇などを上手に使うことも大切です。
大学の図書館や自習室などを活用するのもおすすめです。
また、アルバイトをする場合はシフト制のものを選ぶと、自分の学習計画に合わせて働く時間を調整しやすくなります。
モチベーションを保つために、合格後のキャリアパスや働く自分の姿を具体的にイメージしてみるのも良いでしょう。
SNSなどで同じ目標を持つ人と交流したり励まし合ったりするのも、モチベーションアップにつながります。
ときには、勉強の合間にサークル活動に参加してリフレッシュするのも効果的です。
大学在学中に公認会計士を目指すメリット・デメリットについては、こちらを参考にしてください。

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【社会人向け】公認会計士試験に合格するための勉強のコツ
公認会計士試験の合格にはまとまった時間が必要になるので、仕事をしながらの合格は難易度が高いです。
そのため、社会人が公認会計士試験に合格するには、勉強時間の確保が重要なポイントになります。
無理のない長期計画を立て、「スキマ時間」と「まとまった時間」で取り組む勉強内容を分けるなどの工夫が必要です。
たとえば、通勤や移動の時間には、暗記や講義動画の視聴などインプットを中心に取り組むのがおすすめです。
まとまった時間が取れるときには、問題集や実力テスト演習などに取り組んでみましょう。
理解度が確認できて、今後の勉強の進め方の指針にもなります。
職場の行き帰りに、カフェや図書館で勉強することを習慣化するのも良いでしょう。
それでも時間の確保が難しいという場合は、転職や一時的な退職を検討するのもひとつの方法です。
また、働きながら合格を目指したい人には「監査トレーニー制度」の活用という選択肢もあります。
監査トレーニー制度とは、監査法人で補助業務を行って実務経験を積み、収入を得ながら試験勉強を続けられる制度です。
この制度を活用すれば、リアルな環境に身を置けるため、監査や会計の実務感覚も養えます。

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公認会計士になりたい人がまずすべきこと
公認会計士試験の勉強は長期戦です。
途中で目標を見失い迷ってしまわないように、公認会計士を目指すと決めたら、目標や目的を紙に書き出しておきましょう。
勉強がつらくなったときでも、自分の目標や公認会計士を目指す目的を確認することで、モチベーションを保ちやすくなります。
同時に、勉強の計画を立てることも重要です。
この際、月・週・日単位など細かい単位で学習計画を立てるのがおすすめです。
計画は最初から完璧である必要はありません。
うまくいかない場合は、柔軟に見直すことが継続のコツです。
また、勉強しやすい環境を整えることも大切です。
勉強時間を確保できるよう生活を見直したり、勉強に集中できるよう部屋や机の上を整理したりすることからはじめてみましょう。
自分に適度なプレッシャーを与えるために、周囲に「公認会計士試験を目指す」と公言することも効果的です。
なお、公認会計士を目指すうえでは、事前にリスクについても知っておくと心構えができて安心です。
リスクについては、こちらの記事を参考にしてください。

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公認会計士試験の勉強を始めよう
公認会計士試験に合格するための勉強方法について、くわしく解説しました。
- 公認会計士試験の勉強手段には、通信講座、予備校・専門学校、独学がある。自分に合う方法を選ぼう
- 公認会計士試験では科目ごとに出題内容や出題傾向が異なるため、科目の特徴に合わせて勉強方法を工夫しよう
- 大学生が公認会計士試験に合格するポイントは、計画的に勉強を進めることと、優先順位をはっきりさせること
- 大学生が公認会計士試験に合格するポイントは、いかに勉強時間を確保できるか
- 公認会計士になりたい人は、まず目的を明確化しよう。学習環境を整えることも大切
公認会計士試験は難易度が非常に高く、合格するには膨大な勉強時間が必要です。
限られた時間を有効活用しつつ、勉強を継続することが大切になります。
本記事で紹介した勉強方法も参考にしながら、公認会計士試験の勉強をスタートさせましょう。
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