公認会計士に年齢の壁はある?合格者の平均年齢や年齢別の働き方をわかりやすく解説

公認会計士を目指すのに年齢は関係ありません。20代はもちろん、30代、40代以降でのチャレンジも可能です。

とはいえ、「いまさら目指しても遅いのでは?」と年齢に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、公認会計士と年齢の関係に注目し、合格者の平均年齢や年齢別の働き方、年代ごとの勉強のコツなどについてくわしく解説します。

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公認会計士は何歳から?年齢制限はある?

公認会計士に年齢制限はありません。何歳からでも試験勉強を始め、新しいキャリアを歩み出すチャンスがあります。

公認会計士試験の受験資格や、合格者の年齢について説明していきます。

公認会計士試験の受験資格

公認会計士試験は、年齢や学歴、国籍を問わず、誰でも受験可能です。

ほかの難関国家資格には学歴要件が設けられているものも多いです。

たとえば医師国家試験の場合、学校教育法に基づく大学の医学部を卒業するなど、受験資格を得るまでにも時間がかかります。

その点、公認会計士試験には受験資格がなく誰でも受験できるため、門戸が広い資格と言えるでしょう。

公認会計士の受験資格については、こちらの記事でもくわしく説明しています。

合格者の平均年齢

令和6年(2024年)公認会計士試験の合格者は1,603人で、平均年齢は約24.6歳でした。
過去5年間のデータを見ても平均年齢は24~25歳前後となっています。

また、令和6年度における合格者の最高年齢は54歳、最低年齢は17歳であり、幅広い年齢層の人が試験に挑戦し、合格していることが分かります。

合格者の年齢分布

令和6年(2024年)公認会計士試験における、合格者の年齢分布は以下の通りです。

区分出願者(人)合格者数(人)合格率(%)合格者構成比(%)
20歳未満442184.11.1
20歳以上25歳未満10,0299869.861.5
25歳以上30歳未満5,3414187.826.1
30歳以上35歳未満2,4251235.17.7
35歳以上40歳未満1,292423.32.6
40歳以上45歳未満834101.20.6
45歳以上50歳未満49620.40.1
50歳以上55歳未満29741.30.2
55歳以上60歳未満19200.00.0
60歳以上65歳未満11300.00.0
65歳以上11200.00.0
【参考】公認会計士・監査審査会「令和6年公認会計士試験 合格者調」

合格者・出願者ともに20歳以上25歳未満の割合が高く、次いで25歳以上30歳未満となっています。

30歳未満が8割以上であることから、合格者は若年層が大多数を占めていると言えます。

30代・40代と年齢が上がるにつれ、合格者の割合は減少傾向です。

しかし、人数は少ないものの、社会人経験豊富な世代で合格をつかんでいる人もいます。年齢が高いという理由だけで、受験を諦める必要はありません。

また、近年の公認会計士試験の合格者の年齢分布は、次の表のようになっています。

令和6令和5令和4令和3令和2
20歳未満18人23人21人12人7人
20歳以上25歳未満986人977人929人873人799人
25歳以上30歳未満418人356人337人297人299人
30歳以上35歳未満123人122人117人110人128人
35歳以上40歳未満42人38人26人44人44人
40歳以上45歳未満10人20人19人15人23人
45歳以上50歳未満2人5人5人6人18人
50歳以上55歳未満4人2人1人2人11人
55歳以上60歳未満0人0人1人0人4人
60歳以上65歳未満0人1人0人1人2人
65歳以上0人0人0人0人0人
合計1,603人1,544人1,456人1,360人1,335人
【参考】公認会計士・監査審査会「令和6年公認会計士試験 合格者調」

年齢別|公認会計士試験合格後の働き方

公認会計士試験に合格後は、さまざまな働き方の選択肢があります。

おもな就職先は以下のとおりです。

  • 監査法人
  • 税理士法人
  • 公認会計士事務所
  • 一般企業の経理部や財務部
  • コンサルティング会社

経験を積んだ後に、独立して開業することも可能です。

ここからは年代別に、活躍できる職場や就職後のキャリアアップについて解説します。

20代は監査法人でベースキャリアを形成

20代の公認会計士試験合格者の多くが、就職先として監査法人を選んでいます。

監査法人とは、おもに上場企業などの財務諸表を確認し、適切な会計処理を行っているか調査するための組織です。

国内の大手監査法人は「BIG4」と呼ばれ、以下4つの法人を指します。

  • 有限責任 あずさ監査法人
  • EY新日本有限責任監査法人
  • 有限責任監査法人トーマツ
  • PwC Japan有限責任監査法人

20代では、BIG4や準大手、中堅の監査法人へ就職し、ベースキャリアを形成するのが一般的です。

監査法人に就職するメリットは、安定したキャリアを築きやすいことです。

また、将来独立して自身の事務所を開業することを考えている場合も、監査法人での実務経験は大きな強みとなります。

30代、40代は資格+経験で即戦力として活躍

30代や40代でも監査法人への就職は可能ですが、年齢が上がるにつれて未経験からの採用は難しくなる傾向があります。

監査法人以外に、一般企業やコンサルティング会社も視野に入れると、選択の幅が広がります。

未経験の仕事に挑戦する場合は、公認会計士の資格に加え、仕事に生かせる社会人経験をアピールするとよいでしょう。

たとえば、クライアントとの交渉力やデータを分析する力、ITリテラシーの高さなどは、20代と比べた際の強みとなります。

 

50代はセカンドキャリアを構築

50代から大手監査法人や大手企業の経理部に就職するのは、決して容易ではありません。

しかし、税理士法人などの中には50代以上が力を発揮しているところもあります。

年齢に関係なく、これまでのキャリアで培ったスキルと経験が高く評価される職場では、活躍のチャンスが十分にあるのです。

年齢が気になる人が公認会計士を目指す際に知っておきたい3つの注意点

公認会計士に年齢制限がないとはいえ、今から資格取得を目指して新しいキャリアを歩めるのか、不安を感じる人も少なくないでしょう。

年齢が気になる人が公認会計士を目指す際には、以下の3点について知っておきましょう。

  • 公認会計士として働くには3年以上かかる
  • 「合格=転職成功」ではない
  • 公認会計士になるには継続的な勉強が必要である

後悔しないためにも、あらかじめ確認してみてください。

公認会計士として働くには3年以上かかる

公認会計士試験に合格するだけでは、公認会計士として働くことはできません。

公認会計士として働くには、以下要件を満たす必要があります。

  1. 公認会計士試験に合格する
  2. 3年以上の実務経験を積む
  3. 実務補習を受けて、修了考査に合格する
  4. 内閣総理大臣の確認を受ける
  5. 公認会計士の資格を得る

試験の合格は、公認会計士としてのスタートラインに立った状態であり、公認会計士として働くまでにはさらに3年以上かかります。

なお、実務経験として認められる業務は、特定の要件を満たす必要があります。

実務経験についての詳細はこちらの記事で解説しているので、参考にしてください。

「合格=転職成功」ではない

公認会計士試験に合格しても、すぐに希望条件に合うところに就職できるとは限りません。

若手の場合は、ポテンシャルが評価され、実務経験がなくても採用されることがありますが、30代以降は資格取得のみでは採用につながりにくくなる傾向が見られます。

未経験からスタートする場合は、これまでのビジネス経験で培ったスキルが重要です。

たとえば、一般企業の経理部や金融機関でのキャリアなどは、採用時に評価される可能性があります。

とくに、30代後半以降の場合、これまでの経歴を生かしたキャリア設計をしましょう。

社会人経験があるからこその強みをアピールし、転職先にどのように貢献できるか説明できるようにしておくのが大切です。

公認会計士になるには継続的な勉強が必要である

公認会計士試験は、合格率が10%前後と難関です。

出題範囲も広いため、合格するには膨大な勉強時間が求められます。

具体的な時間数は、勉強を始める時点での知識量や勉強方法などによって異なりますが、平均して3,000〜5,000時間程度です。

勉強期間の目安は2年間と言われており、その間勉強を継続する必要があります。

仕事や家庭を持っている場合、勉強時間を確保するのが難しいかもしれません。

そのようなケースでは、勉強と仕事、家庭のバランスを保てるよう、とくに入念なスケジュール管理を行うことが重要です。

合格に向けて必要な勉強時間については、こちらの記事で解説しています。

公認会計士試験の勉強法|おさえておきたい3つのポイント

公認会計士試験の合格を目指すうえで、おさえておきたい勉強法のポイントは以下の3点です。

  • 自分に合った学習スタイルを選ぶ
  • 毎日の学習を習慣化する
  • 基礎を確実に固める

それぞれくわしく解説します。

自分に合った学習スタイルを選ぶ

公認会計士試験に向けたおもな学習スタイルには、「通信講座」「予備校・専門学校」「独学」の3つがあります。

通信講座は、経験豊富な講師から指導が受けられるうえに、勉強する場所や時間が選べるのが大きな特徴です。

予備校・専門学校と比較すると、費用を抑えられます。

予備校・専門学校は、充実したサポートが受けられる点や、同じ目標を持つ仲間と勉強できる点が魅力です。

ただし、2年間の授業料は約80万円が一般的で、通信講座や独学に比べてコストがかかります。

また独学は、学習費用が抑えられることや、自分の都合に合わせて勉強できることがメリットです。

いっぽうで、効率的な勉強法が分かりにくかったり、長期間モチベーションを保つのが難しかったりという点はデメリットでしょう。

それぞれの特徴を理解したうえで、無理なく勉強できる学習スタイルを選ぶことが大切です。

毎日の学習を習慣化する

公認会計士試験に合格するには、膨大な勉強時間が必要です。

長期戦になるため、勉強が継続できる習慣作りが重要なポイントです。

毎日の行動をパターン化し、取り組む時間を決めておくと勉強を進めやすくなります。

毎朝30分早く起きて問題集を解いたり、通勤時間に参考書を読んだりするなど、スキマ時間を有効活用してください。

日々の生活に無理なく勉強時間を組み込むことが、合格への近道です。

基礎を確実に固める

公認会計士の試験は、マークシートで解答する「短答式試験」と、記述式の「論文式試験」の2段階に分かれています。

短答式試験では、専門知識の基本を十分に理解しているかどうかチェックされます。

試験範囲が広いので、網羅的に学習して苦手分野を克服しておくことが大切です。

過去問も入念に確認し、出題傾向を把握しておくとよいでしょう。

論文式試験では、基礎知識はもちろん、問いに対して適切に記述する応用力が必要です。

知識の丸暗記だけでは対応できないため、学んだことを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

いずれも基礎が確実でないと得点できません。

まずは基礎を確実に固めておくことが重要です。

年代別|公認会計士試験に向けた勉強のコツ

ここからは、公認会計士試験の合格に向けた勉強のコツを年代別に解説します。

20代は時間と集中力が武器

20代は仕事や家庭での役割が比較的少なく、ほかの年代と比べると勉強時間を取りやすいと言えます。

時間の融通が利きやすいため、予備校や専門学校、通信講座など多様な選択肢があります。

学生時代における試験勉強の記憶も新しく、試験に向けて勉強することに慣れている点も強みです。

集中力や記憶力も高いので、日々コツコツと勉強を積み上げることで着実に知識が身に付くでしょう。

高い集中力を生かして短期合格を目指し、計画的に勉強に取り組むのがおすすめです。

30代・40代は効率重視

30代や40代は、仕事や家庭での役割が増える年代です。

限られた時間を有効活用し、効率的に勉強を進めましょう。

仕事がある平日は短時間でインプット、週末にはじっくり時間をとってアウトプットといったように、メリハリをつけて学ぶのもひとつの方法です。

時間の制約がある中で着実に学習を深めるには、自分のスケジュールに合った時間と場所で学べる通信講座がおすすめです。

「スタディング」なら、スマホやタブレットだけで手軽に学習が進められます。

スキマ時間を活用して勉強時間を確保できる点は、仕事や家庭と両立したい方に選ばれている理由のひとつです。

無料で試せるので気軽に登録してみてください。

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50代は自分のペースで着実に

記憶力や集中力の低下が気になり始める人も多い50代は、自分のペースでじっくり学ぶスタイルがおすすめです。

これまでにさまざまな目標を達成してきた経験、粘り強く物事に取り組んできた経験を、学習にも生かしましょう。

資格取得のために予備校や専門学校に通うことを考えると、新しい環境に馴染めるだろうかと不安に思うかもしれません。

通学による体力的な不安や慣れない環境による精神的な負担が心配なら、通信講座も検討してみるとよいでしょう。

自分が一番集中できる環境で、じっくりと着実に理解を深めていくことが大切です。

公認会計士に年齢は関係なし!まずは資格取得を目指そう!

公認会計士試験を目指す上で知っておきたい知識を、年齢という切り口でお伝えしました。

  • 公認会計士試験の受験資格に年齢制限はなく、何歳からでも受験可能
  • 20代は監査法人への就職がキャリアの土台になる
  • 30代以降の転職では、これまでの経験やスキルも積極的にアピールしよう
  • 公認会計士として働くには3年以上の実務経験が必要
  • 公認会計士試験に合格するには、自分に合った学習スタイルを選び、勉強を毎日の習慣に取り入れることが大切
  • とくに30代以降の人には、勉強時間や勉強する場所が選べる通信講座がおすすめ

公認会計士試験は、年齢や学歴、国籍を問わず誰でも受験できる試験です。

難易度が高く、膨大な勉強時間が必要ですが、何歳からでも合格できるチャンスがあります。

年齢を理由にあきらめるのではなく、積極的にチャレンジしてみてください。