
情報処理技術者試験のうち高度な知識・技術を要求される高度区分(高度情報処理技術者試験)は、IT業界における最高レベルの専門性を証明する国家試験です。
13種類の専門分野がある情報処理技術者試験のうち、高度区分に位置するのは9つの試験。それぞれ専門とする領域が異なります。
難しい試験ですが、合格すればキャリアアップに効果をもたらすでしょう。
本記事では試験ごとの合格率や勉強時間の目安などを比較し、ランキング形式で解説しました。
資格選びは難易度だけでなく、自分のキャリアプランや得意分野に合わせることが重要です。
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高度情報処理技術者試験とは?
高度情報処理技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、IT分野における最高難度(スキルレベル4)の試験群です。
ITストラテジストやシステムアーキテクトなど9つの専門分野があり、合格率は約10%台と難しくなっています。
高度なIT知識と実践応用力が求められ、企業での昇進や資格手当の対象となるなど、キャリアアップに貢献するIT資格試験のひとつです。
情報処理技術者試験の難易度ランキング13選
情報処理技術者試験の難易度ランキングは、以下のとおりです。
ランク | 資格名(略称) | 難易度 | 合格率 | 学習目安時間 | 平均年収 | 主な取得メリット |
1位 | ITストラテジスト(ST) | 最難関 | 約15%前後 | 150~200時間 | 600万〜700万円 | 経営・戦略分野での活躍、経営層への昇進、IT戦略構想力の証明 |
2位 | システム監査技術者(AU) | 超難関 | 15~16% | 200~300時間 | 600万〜700万円 | 監査・ガバナンス分野での広がり、公共プロジェクトの要件、内部統制力の証明 |
3位 | プロジェクトマネージャ(PM) | 超難関 | 約14% | 200~300時間※未経験者は500時間以上が目安 | 600万〜700万円 | 大規模プロジェクトのリーダー適性、マネジメント力の証明、昇進・昇格で有利 |
4位 | システムアーキテクト(SA) | 難関 | 13~16% | 100~200時間 | 600万〜700万円 | システム設計力の証明、上流工程での活躍、信頼性の向上 |
5位 | ITサービスマネージャ(SM) | 難関 | 15~16% | 100~150時間 | 650万~700万円 | ITサービス運用・管理力の証明、運用部門の昇進、信頼性向上 |
6位 | データベーススペシャリスト(DB) | 難関 | 15~18% | 150~200時間 | 500万~600万円 | DB設計・運用力の証明、即戦力評価、資格手当、就職・転職で有利 |
7位 | ネットワークスペシャリスト(NW) | 難関 | 14~15% | 100~200時間 | 600万~800万円 | ネットワーク設計・運用力の証明、インフラ分野での知見 |
8位 | エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) | 難関 | 16~19% | 150~200時間 | 500万~700万円 | 組み込み分野の専門性、IoT関連案件での活躍 |
9位 | 情報処理安全確保支援士(SC) | 難関 | 15~20% | 150~200時間前後 | 550万~900万円 | セキュリティ分野での活躍、法的資格、資格手当・更新制度あり |
10位 | 応用情報技術者(AP) | やや難関 | 20~26% | 150~200時間(基本情報技術者試験合格者なら200時間程度) | 550万~700万円 | IT全般の基礎力証明、午前Ⅰ試験免除、キャリアの土台 |
11位 | 基本情報技術者(FE) | 普通 | 40~50% | 情報処理の知識がある場合:50時間程度。情報処理の知識がない場合:100~200時間程度 | 400万~500万円 | IT基礎力の証明、新卒・未経験者の就職で有利 |
12位 | 情報セキュリティマネジメント(SG) | 易しい | 50~70% | 100~200時間 | 500万~600万円 | 情報セキュリティ管理力の証明、一般社員のセキュリティ教育 |
13位 | ITパスポート(IP | 非常に易しい | 50~60% | 50~100時間 | 350万~450万円 | IT基礎知識の証明、非IT職や学生のITリテラシー向上 |
※表中における高度試験の学習時間は、応用情報技術者試験合格レベルの受験者、もしくは実務経験がある場合での目安時間を記載。
1位:ITストラテジスト試験(ST)
項目 | 内容 |
難易度 | 最難関 |
合格率 | 約15%前後 |
勉強時間の目安 | 150~200時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年1回(4月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分) 午前Ⅱ:多肢選択式(40分) 午後Ⅰ:記述式(90分) 午後Ⅱ:論述式(120分) |
合格基準 | 各科目60点以上(100点満点)、午後ⅡはランクA |
主な受験者層 | IT業界の実務経験者が中心 |
特徴 | 経営戦略・IT戦略・システム企画の知識と論述力が問われる |
ITストラテジスト試験(ST)は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験の中で、最上位(スキルレベル4)に位置する情報処理技術者試験です。
経営とITの橋渡しをする高度な専門性を認定します。
出題形式は午前Ⅰ・Ⅱ試験の多肢選択問題、午後Ⅰ試験の事例記述、午後Ⅱ試験の論述(小論文)で構成されています。
合格率は約15%と低く、学習時間はIT実務経験者でも150〜200時間が目安とされる難関試験です。
主な出題分野は、経営戦略・IT戦略・システム企画・DX・AI活用などです。
合格すれば、経営層やIT戦略部門でのキャリアアップや昇進・昇格、資格手当の対象になるなどキャリア形成に役立ちます。
2位:システム監査技術者試験(AU)
項目 | 内容 |
難易度 | 超難関 |
合格率 | 約15~16% |
勉強時間の目安 | 100~300時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年1回(10月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分)午前Ⅱ:多肢選択式(40分)午後Ⅰ:記述式(90分)午後Ⅱ:論述式(120分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ:各60点以上(100点満点)午後Ⅱ:Aランク評価(A~DのうちAのみ合格) |
主な受験者層 | IT中堅〜ベテラン層、システム監査未経験者が多い |
特徴 | ・第三者的・独立した立場でシステム監査をおこなう専門性を認定・論述力・実務的な監査知識が問われる・合格者の平均年齢は高い |
システム監査技術者試験は、情報システムの評価・リスク分析をおこなう専門性を認定する国家資格です。
合格率約15%の難関試験で、IT技術から監査理論、法務まで幅広い知識と論述力が求められます。
取得すれば、システム監査人としての専門性が証明され、IT部門や監査部門でのキャリアアップに直結します。
監査法人やコンサルタントとしての活動機会も広がり、官公庁プロジェクトの入札要件を満たせるほか、資格手当の対象となることで収入向上にも繋がるでしょう。
3位:プロジェクトマネージャ試験(PM)
項目 | 内容 |
難易度 | 超難関 |
合格率 | 約14% |
勉強時間の目安 | 50~100時間※未経験者は500時間以上が目安 |
受験資格 | なし(学歴・年齢・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年1回(10月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分)午前Ⅱ:多肢選択式(40分)午後Ⅰ:記述式(90分)午後Ⅱ:論述式(120分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・Ⅱ・午後Ⅰ:各60点以上(100点満点)午後Ⅱ:A評価(A~DのうちAのみ合格) |
主な受験者層 | ITエンジニア中堅~ベテラン層、プロジェクトマネジメント経験者が多い |
特徴 | ・ITプロジェクト全体の責任者としての知識・判断力・マネジメント力を問う・論述式で実践的な経験や思考力が重視される・合格には論述対策が重要 |
プロジェクトマネージャ試験は、IPAが年1回実施する高度情報処理技術者試験の一つです。
ITプロジェクトの計画立案から進捗・品質・コスト管理、リスク対応まで、プロジェクト全体を主導する能力を認定する国家資格です。
試験は午前Ⅰ・Ⅱ試験の多肢選択問題、午後Ⅰ試験の記述式、午後Ⅱ試験の論述式で構成されています。
午後Ⅱ試験の論述試験でA評価をとることが、合格の鍵です。
合格率は約14%程度と難関で、200〜300時間以上の勉強時間が必要です。
対象者は主にITシステム開発のリーダーやマネージャーで、実践的なプロジェクトマネジメント能力が問われます。
合格すれば、プロジェクトリーダーやPMOなどのポジションへのキャリアアップや、コンサルティング業務も期待できる価値の高い試験です。
4位:システムアーキテクト試験(SA)
項目 | 内容 |
難易度 | 難関 |
合格率 | 13〜16% |
勉強時間の目安 | 100~200時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年1回(4月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分)午前Ⅱ:多肢選択式(40分)午後Ⅰ:記述式(90分)午後Ⅱ:論述式(120分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・Ⅱ・午後Ⅰ:各60点以上(100点満点)午後Ⅱ:A評価(A~DのうちAのみ合格) |
主な受験者層 | システム開発の上流工程に携わるSEやITエンジニア、キャリアアップを目指す社会人 |
特徴 | 上流工程(要件定義・設計等)の知識・実務経験・論述力が問われる |
システムアーキテクト試験は、IPAが実施する高度情報処理技術者試験のひとつです。
システム開発の上流工程(要件定義・基本設計等)を担う人材の能力を認定する国家試験です。
顧客の業務要望を分析し、最適なシステム全体像を設計・提案する「ITシステムの設計者」としての専門知識とスキルが問われます。
試験は年1回春期(4月)に実施され、合格率は13〜16%と難関です。
合格には実務経験や業務知識に加え、特に午後Ⅱ試験の論述試験対策が重要とされ、200〜300時間程度の計画的な学習が必要です。
合格すれば、上流工程を担当できるエンジニアとしての専門性が証明され、キャリアアップやほかの高度資格へのステップとしても価値の高い試験といえます。
5位:ITサービスマネージャ試験(SM)
項目 | 内容 |
難易度 | 難関 |
合格率 | 15~16% |
勉強時間の目安 | 100~150時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年1回(4月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分)午前Ⅱ:多肢選択式(40分)午後Ⅰ:記述式(90分)午後Ⅱ:論述式(120分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・Ⅱ・午後Ⅰ:各60点以上(100点満点)午後Ⅱ:A評価(A~DのうちAのみ合格) |
主な受験者層 | ITシステムの運用・保守担当者、現役エンジニア、マネジメント志向の社会人 |
特徴 | ・システム運用・保守マネジメントに特化した唯一の高度試験。・実務経験が合格に有利。 |
ITサービスマネージャ試験は、情報システムの安定運用や障害対応などITサービスマネジメント全般を担う専門性を認定する国家試験です。
経済産業省認定の高度情報処理技術者試験の一つで、年1回4月に実施されます。
試験は午前Ⅰ・Ⅱ試験の多肢選択問題と午後Ⅰ試験の記述式、午後Ⅱ試験の論述式で構成され、午後Ⅱ試験の論述が難関です。
合格率は13〜16%前後と低く、勉強時間の目安は100〜150時間程度ですが、運用・保守の実務経験があると有利です。
合格すれば、ITサービス運用管理の専門性が証明され、システム運用部門やサービスデスクのマネージャーなどのキャリアパスが開けます。
企業のIT部門での評価向上や、資格手当の対象となることも多い実践的価値の高い試験です。
6位:データベーススペシャリスト試験(DB)
項目 | 内容 |
難易度 | 難関 |
合格率 | 15~18% |
勉強時間の目安 | 150~200時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年1回(10月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分)午前Ⅱ:多肢選択式(40分)午後Ⅰ:記述式(90分)午後Ⅱ:記述式(120分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・Ⅱ・午後Ⅰ・Ⅱ:各60点以上(100点満点) |
主な受験者層 | データベース管理者(DBA)、データ設計担当者(DA)、インフラエンジニア、システム開発者など |
特徴 | ・データベース設計・運用・管理の専門性が問われる。・午後試験は記述・論述中心。 |
データベーススペシャリスト試験は、データベースの設計・構築・運用・管理に関する専門知識と実践力を認定する国家試験です。
試験は年1回10月に実施され、午前Ⅰ・Ⅱ試験の多肢選択問題と午後Ⅰ・Ⅱ試験の記述式問題の構成です。
合格率は例年15〜18%と難関で、SQL、データモデリング、正規化、パフォーマンスチューニングなどの実践的知識が問われます。
合格すれば、データベース専門家としての能力が証明され、DBA職やデータ分析職での評価が高まり、システム開発やデータ基盤構築において重要な役割を担えるようになります。
また、高給与や専門的なプロジェクトへの参画機会も増えるでしょう。
7位:ネットワークスペシャリスト試験(NW)
項目 | 内容 |
難易度 | 難関 |
合格率 | 14~15% |
勉強時間の目安 | 50~100時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年1回(4月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分)午前Ⅱ:多肢選択式(40分)午後Ⅰ:記述式(90分)午後Ⅱ:記述式(120分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・Ⅱ・午後Ⅰ・Ⅱ:各60点以上(100点満点) |
主な受験者層 | ネットワークエンジニア、インフラエンジニア、ネットワーク設計・運用担当者、ITインフラ管理者など |
特徴 | ・ネットワーク技術に特化した最高難度の国家資格。午後問題は最新技術やセキュリティも出題。・幅広い知識・応用力・記述力が必要。 |
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワーク関連の国家試験としては最難関に位置づけられる高度情報処理技術者試験です。
スキルレベル4(最高難度)に分類され、午後問題では高度な記述力と応用力が求められます。
試験は年1回4月に実施され、午前Ⅰ・Ⅱ試験の多肢選択問題と午後Ⅰ・Ⅱ試験の記述式問題で構成されています。
合格率は14〜16%と低く、勉強時間の目安は200〜300時間です。
ネットワークの設計・構築・運用に関する実践的な知識と最新技術、セキュリティ対策についての理解が問われます。
合格すれば、ネットワーク技術のプロフェッショナルとして認められ、システムインフラ構築プロジェクトでの中核的役割や、上流工程での設計業務などのキャリアパスが広がります。
8位:エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
項目 | 内容 |
難易度 | 難関 |
合格率 | 16~19% |
勉強時間の目安 | 400~500時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年1回(10月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分)午前Ⅱ:多肢選択式(40分)午後Ⅰ:記述式(90分)午後Ⅱ:論述式(120分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・Ⅱ・午後Ⅰ:各60点以上(100点満点)午後Ⅱ:A評価(A~DのうちAのみ合格) |
主な受験者層 | 組込み系システム開発の実務経験者が多い。未経験者はほかの高度区分(応用情報、システムアーキテクト等)合格者が多い。 |
特徴 | ・出題範囲が非常に広く、IoTや最新技術にも対応。・開発対象システムが多様で、実務経験が活かせない場合もある。 |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、高度情報処理技術者試験の中でも難関に位置づけられる国家試験です。
ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、セキュリティなど幅広い知識が問われ、合格率は16%〜19%程度と厳しい水準にあります。
試験は年1回10月に実施され、午前Ⅰ・Ⅱ試験の多肢選択問題と午後Ⅰ・Ⅱ試験の記述式問題で構成されています。
IoTや最新技術にも対応した知識が求められ、午後問題では計算問題や論述も多いのが特徴です。
合格すれば、組込み系エンジニアとして高い評価を得られ、IoT機器開発やロボット開発など、高度なエンベデッドシステム開発プロジェクトでの中核的な役割を担えるようになります。
9位:情報処理安全確保支援士試験(SC)
項目 | 内容 |
難易度 | 難関 |
合格率 | 15~20% |
勉強時間の目安 | 200時間前後 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年2回(4月、10月) |
試験方式 | 午前Ⅰ:多肢選択式(50分)午前Ⅱ:多肢選択式(40分)午後:記述式(150分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・Ⅱ・午後:各60点以上(100点満点) |
主な受験者層 | セキュリティエンジニア、システム管理者、ITインフラ担当者、セキュリティコンサルタントなど |
特徴 | ・サイバーセキュリティの企画・設計・運用・監査など幅広い知識と実務力が問われる。・ISMSや法令、暗号、ネットワーク、プログラミングなど幅広い分野が出題される |
情報処理安全確保支援士試験(SC)はサイバーセキュリティ分野の国家試験・国家資格(後述)です。
年2回(4月・10月)実施され、合格率は約20%前後の難関試験です。
試験は午前Ⅰ・Ⅱ試験の多肢選択問題と午後の記述式問題で構成され、セキュリティの企画・設計・運用から暗号技術、法令知識まで幅広い実務力が問われます。
勉強時間は経験者でも数百時間が目安です。
合格して申請手続きをすれば、国家資格である「情報処理安全確保支援士」として登録できます。
また、CISO(最高情報セキュリティ責任者)やセキュリティコンサルタントなど、高度なセキュリティ職での活躍も期待できます。
デジタル社会で需要の高い人材として評価される資格・試験のひとつです。
10位:応用情報技術者試験(AP)
項目 | 内容 |
難易度 | やや難関 |
合格率 | 20~26% |
勉強時間の目安 | 200時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 年2回(4月、10月) |
試験方式 | 午前:多肢選択式(150分) 午後:記述式(150分) |
合格基準 | 午前・午後:各60点以上(100点満点) |
主な受験者層 | ・IT業界で実務経験を持つ中堅プログラマーやSEが主な対象・管理者的な立場を目指す人向け |
特徴 | 国家資格であり、ITエンジニアの登竜門的試験 |
応用情報技術者試験(AP)は、情報処理技術者試験のレベル3に位置づけられる国家試験で、基本情報技術者の上位かつ高度区分の一歩手前に当たります。
試験はIT全般(テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系)を網羅し、幅広い知識と応用力が問われます。
主な対象者はIT業界で5〜6年程度の実務経験を持つ中堅エンジニアや、管理者を目指す人です。
合格すれば、IT技術者としての基礎力と応用力を証明でき、システム開発の中核を担うエンジニアとして評価されます。
キャリアアップや昇格・昇給の条件になることも多い資格です。
11位:基本情報技術者試験(FE)
項目 | 内容 |
難易度 | 普通 |
合格率 | 40~50% |
勉強時間の目安 | 情報処理の知識がある場合:50時間程度情報処理の知識がない場合:200時間程度 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 通年 |
試験方式 | CBT(コンピュータ試験)、 科目A:多肢選択式(90分) 科目B:多肢選択式(100分) |
合格基準 | 科目A:600点/1,000点満点 科目B:600点/1,000点満点 |
主な受験者層 | 業務経験を持つ中堅エンジニアが中心 |
特徴 | ・IT全般(テクノロジ・マネジメント・ストラテジ)を幅広く深く問う。・国家資格でキャリアアップや転職にも有利。 |
基本情報技術者試験(FE)は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、ITエンジニアとしての基礎的な技術力・知識を証明する試験です。
情報処理技術者試験の中でもレベル2に位置づけられ、難易度は「普通」とされるものの、幅広い出題範囲と実践的な内容から準備が求められます。
また、基本情報技術者試験は、上位試験である応用情報技術者や高度情報処理技術者試験へのステップアップとしても位置づけられています。ITエンジニアとしてのキャリアを本格的に歩みたいと考えるなら、まずはこの試験から挑戦するのがおすすめです。
12位:情報セキュリティマネジメント(SG)
項目 | 内容 |
難易度 | 易しい |
合格率 | 50~70% |
勉強時間の目安 | 200時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 通年 |
試験方式 | CBT(コンピュータ試験)、多肢選択式 |
合格基準 | 1,000点満点中600点以上(IRT方式で算出) |
主な受験者層 | IT部門担当者、情報管理担当者、セキュリティ推進担当者、ITパスポート合格者、情報管理が必要な人 |
特徴 | ・情報セキュリティの基礎知識・管理スキルを証明できる国家資格。・サイバー攻撃や情報漏洩などのリスクに強く、企業の情報対策管理体制強化やキャリアアップに有効。 |
情報セキュリティマネジメント試験(SG)は、ITパスポートより、基本情報技術と同等のスキルレベル2に位置する国家試験です。
CBT方式で通年受験可能となり、合格率は例年50〜80%と比較的高めです。
試験は120分、全60問の多選択式で、科目A試験と科目B試験から構成されています。
主な受験者は、IT部門担当者や情報管理担当者、セキュリティ推進担当者のほか、情報管理が必要な人も多いです。
合格すれば、情報セキュリティの基礎知識と管理スキルが証明でき、サイバー攻撃や情報漏洩などのリスクに対応できる人材として評価されます。
企業の情報セキュリティ対策強化やセキュリティ関連のキャリアアップに繋がる実用的な試験です。
13位:ITパスポート試験(IP)
項目 | 内容 |
難易度 | 非常に易しい |
合格率 | 50~60% |
勉強時間の目安 | 100~180時間 |
受験資格 | なし(年齢・学歴・実務経験不問) |
試験実施時期 | 通年 |
試験方式 | CBT(コンピュータ試験)、四肢選択式 |
合格基準 | 総合得点1,000点満点中600点以上かつ、各分野(ストラテジ・マネジメント・テクノロジ)で300点以上 |
主な受験者層 | 20代が最多(大学生・新社会人)、社会人は約8割が非IT系企業勤務。高校生〜60代以上まで。 |
特徴 | ・IT・経営・マネジメントの基礎知識を幅広く考える国家資格。・就職・転職、知識の習得、キャリアアップに有効。・独学でも業務しやすい、広範囲・分野で受験されている |
ITパスポート試験(IP)は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験で、情報処理技術者試験のなかでもっとも基礎的なレベル1の試験です。
CBT方式で通年・随時実施され、全国の会場で受験が可能です。
試験は120分間で四肢選択式100問、合格率は例年50%前後と比較的高い傾向にあります。
主な受験者層は20代が多く、社会人受験の約8割が非IT系企業勤務という特徴があります。
合格すれば、IT・経営・マネジメントの基礎知識を持つことが証明でき、就職活動でのアピールポイントになります。
また、IT化が進む現代社会で必要な知識の習得や、基本情報技術者試験などの上位試験へのステップアップにもつながる実用的な入門試験です。
高度情報処理技術者試験の合格メリット3選
高度情報処理技術者試験に合格することのメリットは、以下の3つです。
- 専門知識・技術力の証明になる
- キャリアアップ・収入アップに繋がる可能性がある
- 就職・転職で有利になる可能性がある
高度情報処理技術者試験は、IT業界でのキャリア形成において役立つ国家試験です。
合格率10〜15%程度の難関試験ながら、合格することでさまざまなメリットが得られます。
それぞれのメリットについて解説します。
専門知識・技術力の証明になる
高度情報処理技術者試験に合格することで、ネットワークやデータベース、セキュリティなど幅広いIT分野における高度な知識と技術力を証明できます。
特定の専門分野における技術的な信頼性が向上し、顧客や上司からの評価にもプラスに働きます。
キャリアアップ・収入アップに繋がる可能性がある
多くの企業では、資格取得者に対して資格手当や昇進・昇格の機会が提供されるため、収入アップやキャリアアップに繋がる可能性があります。
専門性の高いポジションへの異動や、より責任のある業務を任される機会も増えます。
就職・転職で有利になる可能性がある
高度情報処理技術者試験は企業や官公庁に広く認知されており、転職市場での評価が高いため、より良い条件での就職や転職が期待できます。
官公庁の案件では、入札条件として資格保有者・試験合格者の配置が求められることも多く、キャリアの選択肢が広がります。
高度情報処理技術者試験のデメリット3選
高度情報処理技術者試験のデメリットは、以下の3つです。
- 難易度が高い試験がある
- 業務独占資格ではない
- 試験合格・資格維持にコストがかかる場合がある
高度情報処理技術者試験の合格を検討する際には、以下のデメリットを理解しておく必要があります。
これらの要素を踏まえた上で、自分のキャリアプランに合った選択をしましょう。
それぞれのデメリットについて解説します。
難易度が高い試験がある
高度情報処理技術者試験は難関国家資格であり、平均合格率は10〜15%とレベルが高いです。
論述試験が含まれる午後試験は高度な記述力も求められます。
IT実務経験者でも150〜300時間程度の学習時間が必要とされ、仕事と両立しながらの勉強は相当な負担になる場合が多いです。
業務独占資格ではない
高度情報処理技術者試験は医師や弁護士のような業務独占資格ではありません。また、登録を行なった情報処理安全確保支援士であっても、名称独占資格であり、業務独占資格ではありません。
そのため、資格がなくても同様の業務に従事することが可能であり、実務経験や実績がより重視される場合も多いです。
試験に合格することがが必ずしも差別化の要因とはならないでしょう。
コストがかかる場合がある
高度情報処理技術者資格を取得する際には、受験料に加え、参考書や問題集、模擬試験などの学習コストがかかります。
また、情報処理安全確保支援士は、登録料や3年ごとの更新講習など維持コストも高額です。更新には継続的な学習時間も必要となり、金銭的・時間的な負担が生じることを考慮する必要があります。
高度情報処理技術者試験選びのポイント
高度情報処理技術者試験選びのポイントは、以下のとおりです。
- キャリアプランや業務内容に合わせて選ぶ
- 難易度よりも方向性を重視する
- 得意分野・興味から選ぶ
- 試験ごとの特徴・活用シーンを確認する
- 将来のニーズや業界動向も考慮する
高度情報処理技術者試験は複数の区分があり、自分に合った試験を選ぶことが重要です。
難易度の高さや人気だけで選ぶのではなく、選び方のポイントを考慮して選択をしましょう。
それぞれについて解説します。
キャリアプランや業務内容に合わせて選ぶ
自分の現在の業務や、将来目指すキャリアに直結する試験を選びましょう。
経営戦略やIT企画志向なら「ITストラテジスト」、セキュリティ分野なら「情報処理安全確保支援士」など、目標とする職種や役割に合った試験を選択すると良いです。
難易度よりも方向性を重視する
高度情報処理技術者試験を選ぶ際は、キャリアプランや業務内容に合わせて選ぶようにしましょう。
各試験の難易度に差はありますが、難しさだけで選ぶのではなく、自分のキャリアに本当に必要か、将来のキャリアパスに活かせるかという観点を優先すべきです。
目標とする業界やポジションで求められるスキルに合致する試験の選択が、長期的なキャリア形成につながります。
得意分野・興味から選ぶ
応用情報技術者試験などで高得点を取った分野や、日頃から興味を持って学んでいる分野を選ぶと学習効率が上がります。
苦手分野よりも得意分野を伸ばす方が効率的で、継続的な学習のモチベーション維持にもつながります。
試験ごとの特徴・活用シーンを確認する
試験の勉強を始める前に、各試験の合格がどのような業務や職種で評価されるかを事前に調査しましょう。
データベーススペシャリストはデータ分析やDB設計分野で、ITサービスマネージャは運用管理分野で評価されるなど、試験ごとの特性を理解して選ぶことが重要です。
将来のニーズや業界動向も考慮する
IT業界の変化は速く、今後需要が高まると予想される分野の資格試験を選ぶことも戦略的です。
セキュリティやクラウド、AI・データ分析などの分野は今後も成長が見込まれるため、将来的な市場価値も判断材料に入れましょう。
高度情報処理技術者の試験合格を目指す際の注意点
高度情報処理技術者の試験合格を目指す際の注意点は、以下のとおりです。
- 試験合格までに時間がかかる
- 試験に合格したからといって就職・転職できるとは限らない
- 試験合格後も情報のアップデートが必要
注意点を踏まえた上で計画的に取り組むことで、効果的なキャリア形成が可能になります。
それぞれについて解説します。
試験合格までに時間がかかる
高度情報処理技術者試験に合格しようとした際、試験合格までには時間がかかります。
高度情報処理技術者試験はスキルレベル4の難関国家試験であり、合格には100〜300時間程度の学習が必要とされています。
仕事や日常生活と両立しながら継続的に学習する必要があり、短期間での合格は難しいケースが多いです。
計画的な学習計画と準備期間を確保しましょう。
試験に合格したからといって就職・転職できるとは限らない
高度情報処理技術者試験は専門知識や技術力の証明になりますが、合格しただけで希望の就職・転職ができるわけではありません。
実務経験やコミュニケーション能力、問題解決力なども重要な評価要素となります。
試験合格と並行して、実践的なスキルや経験を積むことも意識しましょう。
試験合格後も情報のアップデートが必要
IT業界は技術や制度の変化が激しいため、試験合格後も最新の知識やスキルを継続的に学び続ける必要があります。
試験に合格することはあくまで一時点での能力証明であり、その価値を維持するためには常に最新情報をキャッチアップし、自己研鑽を続けることが必要です。
高度情報処理技術者試験の勉強方法
高度情報処理技術者試験の勉強方法は、独学で勉強するやり方とスクール講座を活用する方法です。
高度情報処理技術者試験は難関ですが、自分にあった勉強方法で合格を目指せます。
それぞれの勉強方法について解説します。
独学で勉強する
独学のメリットはコスト面と自由度の高さです。テキスト代と問題集代のみで、自分のペースで学習できます。
効果的な独学の方法としては、たとえば過去問3年分を3周するなど過去問演習に重点をおくことが重要です。
テキストは全体像把握に使い、午後試験対策には実際に記述・論述の練習を繰り返すことが合格への近道になります。
デメリットはモチベーション維持が難しく、分からない部分の解決に時間がかかる点です。
仕事や家庭との両立を重視する人に向いています。
スクール講座を活用する
スクールのメリットは専門講師による体系的指導と質問対応、添削指導などのサポートが充実している点です。
デメリットとしては、受講料がかかることと時間的制約があることが挙げられます。
しかし、カリキュラムが用意されているため、計画的に進められます。
スタディングのような講座は、完全オンライン型のため、スマホやPCだけで動画講義・テキスト・問題演習・論述対策まですべて完結します。
記述・論述対策が充実しており、AI問題復習機能や論述対策に特化した解法講座もあるため、独学では難しい部分を効率的に学べるでしょう。
高度情報処理技術者試験に関するよくある質問
高度情報処理技術者試験に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- 各試験の学習時間は?
- 初めての人におすすめの試験は?
- 一番簡単な試験は?
それぞれについて解説します。
各試験の学習時間は?
各試験の学習時間は、以下のとおりです。
資格名 | 学習時間の目安 |
ITストラテジスト(ST) | 150〜200時間 |
システム監査技術者(AU) | 200〜300時間 |
プロジェクトマネージャ(PM) | 200〜300時間 |
システムアーキテクト(SA) | 100〜200時間 |
ITサービスマネージャ(SM) | 100〜150時間 |
データベーススペシャリスト(DB) | 150〜200時間 |
ネットワークスペシャリスト(NW) | 100~200時間 |
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) | 150〜200時間 |
情報処理安全確保支援士(SC) | 150〜200時間 |
応用情報技術者(AP) | 150〜200時間 |
基本情報技術者(FE) | 100~200時間 |
情報セキュリティマネジメント(SG) | 100~200時間 |
ITパスポート(IP) | 50~100時間 |
高度情報処理技術者試験の学習時間は、初めて受験する人と経験者では異なりますが、100〜300時間は必要でしょう。
実務経験や基礎知識の有無によって必要時間は変動するため、余裕を持った学習計画を立てることをおすすめします。
初めての人におすすめの試験は?
IT試験初挑戦の方には、まずITパスポート試験か基本情報技術者試験がおすすめです。
基本情報技術者試験はIT業界の基礎知識を幅広く学べ、どの分野にも通用する汎用的なスキルが身に付きます。
情報セキュリティマネジメント試験も比較的取り組みやすく、今後需要が高まるセキュリティ分野の入門として最適です。
一番簡単な試験は?
情報処理技術者試験の中で一番難易度が低いのは、ITパスポート試験です。
合格率は約50%で、IT知識がほとんどない初学者でも適切な学習で合格を目指せます。
次いで、情報セキュリティマネジメント試験(合格率50〜60%)が取り組みやすいでしょう。
最短で合格!スタディングのおすすめ通信講座
スタディングのおすすめ通信講座は、以下のとおりです。
- 基本情報技術者講座
- データベーススペシャリスト講座
- ITストラテジスト講座
それぞれの講座について解説します。
基本情報技術者講座
スタディングの基本情報技術者講座は、スマホやPCで完結するオンライン特化型の通信講座です。
1回30分以内の短時間講義で、忙しい社会人や学生でもスキマ時間を活用できます。
9,900円〜24,800円の複数コースから選択でき、講義動画、Webテキスト、問題集、模擬試験などが含まれています。
IT実務経験者から初学者まで、自分のレベルに合わせたコース選択が可能で、低価格かつ高い利便性が特徴の資格対策講座です。
データベーススペシャリスト講座
スタディングのデータベーススペシャリスト講座は、情報処理技術者試験の難関資格対策に特化したオンライン学習サービスです。
スマホやPCで完結し、図解やアニメーションを多用した動画講義で直感的に理解できる設計となっています。
AI問題復習機能により個人最適化された学習が可能で、忙しい社会人でもスキマ時間を活用して効率的に合格を目指せます。
料金は午前Ⅰ試験免除コースが34,800円、全範囲対応の合格コースが45,800円で、学生は学割で20%OFFです。
講座内容は動画講義からWEBテキスト、問題集、模試まで充実しており、データベース開発から運用・保守まで幅広く対応しています。
ITストラテジスト
スタディングのITストラテジスト講座は、情報処理技術者試験の最難関資格対策に特化したオンライン学習サービスです。
完全オンライン型で、スマホやPCだけで動画講義・テキスト・問題演習・論述対策まですべて完結します。
記述・論述対策が充実しており、AI問題復習機能や論文対策に特化した解法講座も提供しています。
料金は38,500円〜55,500円で、午前I免除者向けや初学者向けなど目的に合わせたコース選択が可能です。
ITストラテジスト・中小企業診断士の資格を持つ講師による指導と高い合格実績が強みで、スキマ時間を活用して効率的に合格を目指せる講座です。
まとめ
高度情報処理技術者試験は、IT分野の専門性を証明する国家試験です。
難易度が高いとされているのは、ITストラテジスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャで、いずれも合格率は14〜16%前後です。
中堅難度として、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、情報処理安全確保支援士などがあります。
資格試験は、自分のキャリアプランや興味がある分野を選択することが重要です。
合格すれば専門性の証明、キャリアアップ、転職市場での評価向上など多くのメリットがあります。
※本記事は2025年4月時点の情報を基に執筆しております