
ITストラテジストは情報処理技術者試験の中でもとくに難易度が高く、合格には比較的長い勉強時間が必要です。150~200時間程度の勉強時間で合格した方がいれば、1,000時間以上費やす方もいます。
ITストラテジストの合格率は例年15%前後と狭き門です。合格を目指すには、計画的な時間管理と学習が求められます。
本記事では、ITストラテジストの勉強時間の目安や効率良く学習を進めるコツを解説します。 最後まで読めば、ITストラテジストの合格に必要な勉強時間が分かり、学習計画を立てやすくなるでしょう。
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ITストラテジスト試験の合格の目安とされる勉強時間
ITストラテジストは、IT系の国家試験でも難関とされる資格です。そのため、合格に要求される勉強時間も比較的長い傾向にあります。合格者の体験談を確認すると、150〜200時間程度勉強している方が多く、実務経験者でも2年前後のスパンで学習計画を立てている方もいるようです。
ただし、合格に必要な勉強時間は個人の知識や能力に応じて変わります。中には1,000時間以上かけて合格した方もいる一方、数十時間の学習で合格した方もいます。最短合格を目指すには、試験問題の傾向を踏まえたうえで、ポイントを押さえて勉強に取り組むことが重要です。
ITストラテジスト試験は未経験者でも合格できる?
前述の通り、ITストラテジストはIT系資格の中でも難易度の高い試験であり、未経験者での合格は難しいと考えている方も多いでしょう。実際、受験者には実務経験者が多く、そのうえ合格率は例年15%前後で推移しているため、未経験者が簡単に合格できる試験ではないことは事実です。
しかし、ITストラテジスト試験に受験資格は定められていません。学歴や年齢に関する制限もなく、過去の試験では18歳の方が合格しています。そのため、正しい勉強方法で十分な学習時間を確保すれば、未経験者でも合格できる試験といえるでしょう。
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ITストラテジスト試験とは?
ITストラテジスト試験は、国家試験であるITストラテジストの資格を取得するための試験です。12種類ある「情報処理技術者試験」のひとつで、ITに関する知識や技能を証明する資格として多くの方が合格を目指しています。
情報処理技術者試験は、難易度に応じてレベルが設定されており、詳細は以下の表の通りです。なお、レベル4に該当する試験は、「高度情報処理技術者試験」と呼ばれます。
レベル | 試験名 |
レベル1 | ITパスポート試験 |
レベル2 | 基本情報技術者試験 情報セキュリティマネジメント試験 |
レベル3 | 応用情報技術者試験 |
レベル4 | ITストラテジスト試験 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 システムアーキテクト試験 ネットワークスペシャリスト試験 データベーススペシャリスト試験 プロジェクトマネージャ試験 ITサービスマネージャ試験 システム監査技術者試験 |
ITストラテジスト試験は、例年4月の第3日曜日に開催されます。ただし、ITストラテジストは必ずしも資格の取得が必須の業種ではありません。実績や経験があれば、ITストラテジストとして仕事をすることができます。企業の経営者やCTO(最高技術責任者)などがITストラテジストの業務をこなしているケースも少なくありません。
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ITストラテジスト試験の科目について
ITストラテジスト試験は、「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の4つの試験科目で構成されています。すべての科目には基準点が設定されており、1科目でも基準点を下回ると不合格となります。例えば、午前Ⅰ試験で基準点を獲得できなかった場合、それ以降の科目は採点されません。4つの試験科目の概要は、以下の表の通りです。
試験時間 | 出題形式 | 出題数/解答数 | 問題別配点 | 合計点/基準点 | |
午前Ⅰ | 9:30~10:20 (50分) | 四肢択一 | 30問/30問 | 各3もしくは4点/1問 | 100点/60点 |
午前Ⅱ | 10:50~11:30 (40分) | 四肢択一 | 25問/25問 | 各4点 | 100点/60点 |
午後Ⅰ | 12:30~14:00 (90分) | 記述式 | 3問/2問 | 各50点 | 100点/60点 |
午後Ⅱ | 14:30~16:30 (120分) | 論述式 | 2問/1問 | なし | A〜Dランクで評価される (Aランクのみ合格) |
こちらでは、ITストラテジスト試験の科目について、その特徴や受験のポイントを解説します。
午前Ⅰ試験
午前Ⅰ試験は、四肢択一で情報処理技術者に必要な基礎的な知識が問われます。問題は、同日開催の応用情報技術者試験の午前問題(80問)から選ばれるのが特徴です。
午前Ⅰ試験は出題範囲が広く、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野に分かれています。出題内容は基本的な問題が多いものの、基準点が6割となっているため、1問1問確実に解答することが重要です。
なお、午前Ⅰ試験には免除制度が用意されています。次の条件のうち、いずれかを満たしている場合は2年間午前Ⅰ試験が免除され、午前Ⅱ試験から受験が可能です。
- 応用情報技術者試験に合格する
- 高度情報処理技術者試験または支援士試験に合格する
- 高度情報処理技術者試験または支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上を獲得する
複数ライセンスを目指す場合は、こちらの免除制度を活用して、「2年に1度のペースで高度情報処理技術者試験合格を目指す」という方もいるようです。
午前Ⅱ試験
午前Ⅱ試験も午前Ⅰ試験と同様、四肢択一の出題形式です。出題数は減っているものの、ストラテジ系の深い知識が必要な問題が出題されるため、ビジネス的な視点を持ち合わせておくと解きやすくなるでしょう。
一般的な資格試験と同様、午前Ⅱ試験でも過去問研究は重要です。しかし、近年では過去問の研究だけでは解答が難しい問題も増えています。そのため、過去問で確実に解ける問題を増やしつつ、マーケティングや経営戦略に関する新しい知識を身につけていくのが理想です。
午後Ⅰ試験
午後Ⅰ試験は、90分間の記述式試験です。問題文の情報をもとに設問に解答していきます。3問のうち2問を選択して解答しますが、1問は組み込みシステムに関する出題がなされます。
午後Ⅰ試験の対策は、過去問演習が中心です。「問題文中に解答のヒントがある」という意識を持って問題文を読み、設問に向き合う癖をつける必要があります。また、午後Ⅰ試験では必ず架空の企業を題材にしているため、ビジネスの視点を忘れないことも重要です。
午後Ⅱ試験
午後Ⅱ試験は、2問のうち1問を選択して解答する、120分の論述式試験です。あるテーマについて述べた問題文があり、設問「ア」「イ」「ウ」に解答する流れです。「あなたの経験と考えに基づいて」解答を求められる問題が多く、勉強した知識を並べるだけでは、合格のA評価をもらうのは難しいでしょう。
また、午後Ⅱ試験は午後Ⅰ試験とは異なり、記述する文字数が多いのが特徴です。3つの設問にすべて解答すると小論文が完成する構成となっているため、総文字数は2,000〜3,000字程度になります。120分という時間制限や求められる知識のレベルを考慮すると、難易度の高い試験といえます。
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ITストラテジストの難易度
ITストラテジスト試験は、情報処理技術者試験の中でもとくに難易度が高いとされる国家資格です。試験実施機関である「IPA(情報処理推進機構)」が公表しているデータによれば、近年の合格率は14~15%前後で推移しています。
ITストラテジスト試験で高得点を狙うには、計画的な勉強時間の確保と過去問を活用した実践的な対策が必要です。未経験者でも合格は可能ですが、相応の準備と継続的な学習努力が求められる試験と言えます。
なお、ITストラテジストの難易度や合格率は以下の記事で詳しく解説しているため、参考にしてください。
【あわせて読みたい】ITストラテジスト試験は難関試験? 合格率と難易度を徹底解説!
ITストラテジストを取得するメリット|市場価値や評価は高いの?
ITストラテジストを取得するメリットは、以下の2つです。
ITストラテジストは「高度なIT×ビジネス思考力」を証明でき、多くの企業で高く評価される資格です。
ここからは、ITストラテジストを取得するメリットを解説します。最後まで読めば、ITストラテジストを取るべき理由が分かり、前向きに学習に取り組めるでしょう。
高い知識を持つIT人材であることを証明できる
ITストラテジストの資格は、経営戦略とITをつなぐ専門知識を有する人材であることの証明になります。企業の課題を見極め、ITを活用して解決策を構築できる力が求められるため、資格保持者は「高度IT人材」として一目置かれます。
資格取得によってビジネス視点を持ったIT人材としての信頼性が高まり、プロジェクトリーダーやコンサルタントとしての活躍にもつながりやすいです。
案件獲得や転職時のアピールポイントになる
ITストラテジストの資格は、転職活動や案件獲得の際のアピールポイントになります。高い専門性と国家資格合格の実績は、IT企業やコンサルティングファームでの選考時に評価されやすいです。
フリーランスとして独立を目指す場合にもクライアントからの信頼を得やすくなり、受注単価や提案の幅が広がる可能性もあります。
「資格を持っていても実務経験がないことがネックになりそう」と考える方もいるかもしれません。この点、ITストラテジストの資格は「実務経験5年分のスキルに相当する」と表現されることもあり、試験の合格によってキャリアの幅は大きく広がるでしょう。
今後のキャリアを主体的に築きたい方にとって、ITストラテジストは価値のある資格です。
ITストラテジスト試験でおすすめの勉強方法
最後に、ITストラテジスト試験を受験する際に、おすすめの勉強方法をご紹介します。
過去問研究を徹底的に行う
そのほかのIT系の国家試験と同様、ITストラテジスト試験でも過去問研究は重要です。過去問の一部を変更して出題されるケースも多いため、過去10年程度は問題を確認しておき、繰り返し解くのが良いでしょう。
「文字を書く」ことに慣れる
ITストラテジスト試験では、午後Ⅱ試験が最大の難所といわれています。問題自体の難易度が高いのはもちろん、3,000字近い文字を手書きすることに慣れていない方が多いのが原因です。
そのため、試験勉強では「答案を手書きで作成する」ことを踏まえて、以下の点に注意しながら論述対策をしましょう。
- 読みやすい字で丁寧に書く
- 文字数の過不足なく仕上げる
- 内容の具体性・妥当性、論理の一貫性、主張の独創性・先見性などを意識して作成する
- 問題文で指示されたルールを守る
120分で3,000文字の答案を書き上げられるよう、スピードも意識して繰り返し演習を行いましょう。
まずは午前Ⅰ試験の合格を目指す
ITストラテジスト試験の対策としては、まず午前Ⅰ試験の合格を目指す戦略もおすすめです。午前Ⅰ試験で基準点を獲得すれば、以降2年間は午前Ⅱ試験からチャレンジできるため、記述や論述の対策に力を入れやすくなります。未経験者など、基礎的な知識から学習する場合は、まず午前Ⅰ試験の合格を目標にするのが良いでしょう。
IT業界の最新事例を確認する
ITストラテジスト試験では、既存の知識だけでなく最新事例や最新のツールに関する問題も出題されます。そのため、試験対策では問題集や過去問を使った学習だけでなく、企業のIT導入事例をチェックするなど最新情報に関するアンテナを張ることが重要です。
ITストラテジストの取得を目指すなら、スタディングのオンライン講座がおすすめ
ITストラテジストの合格を目指すなら、スタディングのオンライン講座がおすすめです。
スタディングのITストラテジスト講座は、スキマ時間を活かしてスマホやPCで手軽に学べるため、忙しい社会人でも無理なく継続できます。試験範囲である午前Ⅰ~午後Ⅱまでの全4科目を網羅できる「オールインワン型教材」になっており、複数教材を買い足す手間も不要です。
図解やイラストを用いた動画講義により、専門用語や論理的構造も視覚的に理解しやすく、知識の定着を助けます。過去問を分析して構成されたカリキュラムにより、試験に必要な範囲を効率良くカバーできるのも特徴です。
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ITストラテジストの勉強時間に関するよくある質問
ITストラテジストの勉強時間に関するよくある質問は、以下の4つです。
ここでは、ITストラテジストの勉強時間に関して多くの人が抱く疑問に回答します。最後まで読めば、ITストラテジストの試験日や年収が分かり、不安なく試験に挑めるでしょう。
ITストラテジストはなぜ難しい?
ITストラテジスト試験が難しい理由は、出題範囲の広さと試験形式の複雑さです。午前Ⅰ~午後Ⅱの4科目すべてに合格基準があり、知識だけでなく論理的思考力と体力も問われます。
勉強時間は個人差がありますが、対策には戦略的な学習計画が重要です。
ITストラテジストの試験日は?
ITストラテジスト試験は、年に一度春期(4月)に実施されます。令和7年度(2025年度)の試験は4月20日に開催され、すでに終了しています。
今後の試験日程については、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の公式サイトをご確認ください。
ITストラテジストは役に立たない?
「ITストラテジストは役に立たない」と感じるのは、資格取得後に活かす機会がない場合です。
実際は、IT知識を証明できる資格であり、ITコンサルタントや経営企画職などで高く評価されます。ITストラテジスト取得後の活用が重要です。
ITストラテジストの年収は?
ITストラテジストの平均年収は600万〜700万円前後です。ただし、実務経験や実績によって異なります。
ITストラテジストは高度IT人材としての役割を担うため、専門性・実務経験・成果次第で年収が大きく上がる可能性があります。
詳細は以下の記事で解説しているため、参考にしてください。
【あわせて読みたい】ITストラテジストの年収や仕事内容は?
まとめ
今回は、ITストラテジスト試験の科目や勉強時間の目安、おすすめの勉強法についてお伝えしました。ITストラテジストは、試験のレベルや合格率を考慮しても、難易度の高い資格といえます。
そのため、多忙な社会人や未経験者の方が合格を目指すには、適切な勉強法で取り組む必要があります。勉強の進め方にお悩みの場合は、スタディングのオンライン講座をご検討ください。あなたオリジナルの復習問題集などを活用し、ライバルに差をつけることができます。