ITストラテジスト試験のCBT化はいつから?変更点やメリット・デメリットは?

ITストラテジスト試験は、令和8年度(2026年度)からCBT方式で実施される予定です。

試験制度の変更は、受験生にとってのメリットとデメリットの両面が生じます。未知の新方式に戸惑わないためには、事前の情報収集と準備が欠かせません。

この記事では、ITストラテジスト試験のCBT化の概要と、合格に向けて求められる対策について解説します。

ITストラテジスト試験のCBT化とは?

「CBT」とはComputer Based Testingの略で、パソコンを使用して実施する試験のことです。

従来の紙に印刷された問題を解くペーパー方式から、パソコンを使用した試験に変更されます。

受験者は、パソコンの画面に表示される問題を読み、キーボードやマウスを使用して問題に解答していきます。

CBT方式の試験では、自宅で受験するのではなく、全国に設置された試験会場にあるコンピュータを使用します。

なお、ITストラテジスト試験の下位試験となる、ITパスポート試験や基本情報技術者試験などでは、すでにCBT方式の試験を実施しています。

CBT方式はいつから始まる?

ITストラテジスト試験を主催するIPA(情報処理推進機構)は、令和8年度(2026年度)からITストラテジスト試験を含む高度情報技術者試験および、下位試験の応用情報技術者試験でCBT方式を導入することを発表しています。

CBT方式で何がどう変わる?

IPA(情報処理推進機構)は、令和8年度(2026年)から多肢選択式・記述式・論述式の全てでCBT方式を導入する方針を示しています。

ここでは、CBT方式導入に伴う主な変更点をまとめます。

試験実施時期

これまでITストラテジスト試験は、毎年4月(春期)の年1回のみ実施されてきました。

しかし令和8年度からは、一定の期間内で複数日に分けて試験を実施する予定です。

CBT方式の導入により、受験者は試験期間中に空席のある会場・日程から、自分の都合に合わせて受験日を選べるようになります。

試験科目の名称

従来の「午前試験」「午後試験」は、それぞれ「科目A試験」「科目B試験」という名称に変更されます。

「午前Ⅰ試験」および「午前Ⅱ試験」は「科目A-1試験」および「科目A-2試験」、「午後Ⅰ試験」および「午後Ⅱ試験」は「科目B-1試験」および「科目B-2試験」と変更になります。

試験日の扱い(科目A・B)

従来は1日で午前Ⅰ試験から午後Ⅱ試験の4科目を1日で受験する必要がありました。

しかし、令和8年度以降は従来の午前試験にあたる「科目A試験」と午後試験にあたる「科目B試験」を別の日に受験できると見込まれています。

ただし申込み時には、「科目A試験」「科目B試験」を同時に予約する必要があります。

ITストラテジスト試験のCBT化で受験生のメリット・デメリットは?

CBT方式が導入されることで、受験生にとってはメリット・デメリット両方の側面があります。

ここではそれぞれについて、詳しく解説していきます。

CBT化のメリット

ITストラテジスト試験のCBT化のメリットは次の3つです。

  • 答案作成が楽になる
  • スケジュールを調整しやすい
  • 体力的な負担が改善される

メリット1:答案作成が楽になる

パソコンで解答を入力できるため、文章の削除やコピーが簡単に行えます。これにより、手書きの書き直しによる負担が大幅に軽減されます。

また、文字が読みづらいことによる減点や、漢字を思い出せない不安なども少なくなります。

受験者にとってはパソコンの基本的な機能を活用できることで、解答作成がより効率的に進められるメリットがあります。

特にITストラテジストの午後Ⅱ試験は論述試験となり、2,000〜3,000字の文章を短時間でまとめることが求められます。CBT方式の導入によって、文字を書く手間が省けるだけでなく、修正や構成の見直しもスムーズに行えるため、限られた時間を有効活用できます。これは受験生にとっては大きなメリットとなるでしょう。

メリット2:スケジュールを調整しやすい

CBT方式の導入により、受験者は自分の都合に合わせて試験日時を選択できるようになります。

従来のペーパー方式では、年に1回決められた日にしか受験機会がありませんでした。

CBT方式の導入後は、複数日程のなかから試験日を選択できるため、受験機会が増加するといえるでしょう。

メリット3:体力的な負担が改善される

CBT方式の導入後は、科目A試験と科目B試験の日程を分けて受験できると予想されます。

従来のように一日で午前Ⅰ試験から午後Ⅱ試験の4科目をまとめて受ける必要がなくなり、受験当日の体力消耗を抑えることができます。

これにより、各科目について集中力を保ちながら取り組むことができ、本来の実力を発揮しやすくなります。

CBT化のデメリット

ITストラテジスト試験のCBT化のデメリットは次の3つです。

  • パソコンで問題を読むのに慣れない
  • 用紙の余白を使用した整理などができない
  • タイピングスキルの影響を受ける

デメリット1:パソコンで問題を読むのに慣れない

従来のペーパー方式とは異なり、CBT方式では問題用紙が配布されません。

問題文のすべてをパソコンの画面上で閲覧することになります。

普段から参考書や印刷した紙で問題を解いている方にとっては、画面越しに問題を読むことに違和感や負担を感じる可能性があります。

そのため、事前にパソコン画面で問題を解く練習を行い、あらかじめ慣れておくことが重要です。

デメリット2:用紙の余白を使用した整理などができない

解答用紙だけでなく、問題用紙も配られず、すべてがパソコンを使っての作業に切り替わるとすれば、問題用紙に直接書き込んで考えを整理したり、核となる部分をメモしたりといったことができなくなります。

たくさんの情報を脳内で処理することが求められるため、考えがまとまらずに適切な解答ができなくなる恐れが出てきます。

なお、過去に基本情報技術者試験がCBT方式へ切り替わった際には、画面上の長文にマーカーを引ける機能が導入されていました。

そのため、今回のCBT方式でも同様にマーカー機能が搭載される可能性があります。

デメリット3:タイピングスキルの影響を受ける

CBT方式では、記述式問題の解答はすべてキーボード入力になると考えられます。

そのため、タイピング速度が遅い人にとっては、解答に時間がかかり、十分に実力を発揮できない可能性があります。

また、CBT方式に移行しても、試験時間自体に変更はないため、ペーパー方式と同様に時間配分を意識した解答が求められます。

したがって、CBT受験を控えている人は、日常的にタイピング練習を行い、一定のスピードと正確性を身につけておくことが望ましいでしょう。

ITストラテジスト試験のCBT化への対策は?

令和8年度試験からのCBT方式への変更が発表されましたが、各科目の試験時間や試験内容、出題形式に変更はないとされています。

つまり、学習すべき内容や知識の水準は従来と同様であり、これまで通りの学習を継続する必要があります。

そこで本章では、従来の学習内容を維持しつつ、より効果的にCBT試験対策を進めるための勉強方法について3つご紹介していきます。

  • 画面上で問題を解く練習をする
  • 制限時間を意識しながら問題を解く
  • 解答をまとめる練習をする

対策1:画面上で問題を解く練習をする

CBT方式では、問題文をすべてパソコンの画面上で読む必要があります。紙のようにページをパラパラとめくって全体を俯瞰することができないため、スクロール操作や画面切り替えに慣れておくことが大切です。

普段の学習から、過去問をPDFやWeb問題集など、パソコン画面上で解く習慣をつけることで、当日の違和感を減らすことができます。

対策2:制限時間を意識しながら問題を解く

CBT方式でも試験時間は従来と同じです。そのため、タイピング入力や画面操作に時間を取られすぎると、解答時間が不足する可能性があります。

日頃の学習では「○分以内にこの問題を解く」といった制限を設けて演習し、時間配分の感覚を養っておくことが重要です。

必要に応じて、オンラインの模擬試験を活用するなど、事前に試験本番をイメージした対策が必要です。

対策3:解答をまとめる練習をする

記述式問題や論述式の問題では、解答を端的にまとめ、過不足なく解答するスキルが求められます。

普段から過去問や予想問題を使って「解答を自分の言葉でまとめて入力する」練習を重ねる必要があります。採点者に伝わる・分かりやすい構成を意識して、そこからブレないようにまとめることが重要です。

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試験形式がCBT方式に変更されるのは大きな変更ですが、合格するために必要な学習の本質は変わりません。

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さらに問題を解きながら画面上にマーカーを引ける「書込み機能」などが搭載されているため、パソコン上で問題を解く練習ができます。

多くの受験生が悩む論述試験については、実務未経験でも書けるアプローチ方法と、採点者の視点を踏まえた解法ノウハウを動画で実践的にお伝えします。

シンプルかつ的確に答案を仕上げる力を身に付けられるため、形式が変わっても本番で落ち着いて対応できます。

スタディングでは引き続き、IPA(情報処理推進機構)の最新情報についても注視していきます。

まとめ

ITストラテジスト試験のCBT方式の導入に関して、従来の試験との違いや受験生のメリット・デメリット、受験に必要な対策についてご紹介しました。

  • ITストラテジスト試験で令和8年度(2026年度)から、CBT方式が導入予定
  • 受験生にとっては体力的な負担の軽減や、スケジュール調整のしやすさなどのメリットがある
  • 試験方式変更後も従来通りの対策が必要
  • タイピング練習や時間配分・採点者に伝わる構成案を意識するのが効果的

試験方式が変更になっても、学習の本質に変わりはありません。

大切なのは知識をしっかり理解し、それを問題演習を通じて確実にアウトプットできるようにすることです。

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