【年収一覧まとめ】情報処理安全確保支援士と高度情報処理技術者

高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士を目指す場合、年収面が気になるという方も多いでしょう。試験の難易度が高いことから高収入のイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。

そこで今回は、高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の年収に関して、試験区分ごとに目安をご紹介します。 挑戦する資格に迷っている場合はぜひ参考にしてください。

目次
    1. 高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士それぞれの試験概要
    2. 高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の年収の目安
      1. ITコンサルとして独立開業も目指せる「ITストラテジスト」
      2. 監査系でトップクラスの試験「システム監査技術者」
      3. エンジニアからのキャリアアップに「プロジェクトマネージャ」
      4. 管理職不足のIT業界でニーズが高い「ITサービスマネージャ」
      5. エンジニアやプログラマーの上位職「システムアーキテクト」
      6. 人気の高度試験「ネットワークスペシャリスト」通称「ネスぺ」
      7. AI・機械学習の時代にニーズが高い「データベーススペシャリスト」
      8. 組み込みシステムの専門家を目指すなら「エンベデッドシステムスペシャリスト」
      9. 情報セキュリティの中核を担う「情報処理安全確保支援士」
  1. IT系で唯一の国家資格「情報処理安全確保支援士」とは?【もっと詳しく】
    1. 登録セキスぺは登録手続きと更新が必要な資格
    2. 情報処理安全確保支援士の難易度はIT系で最高クラス
    3. 合格すれば「すごい」と言われ、将来性にも期待できるかも
    4. 高度情報処理技術者試験の合格/情報処理安全確保支援士の国家資格取得によるメリット
      1. 転職で有利に働く
      2. 自分の能力やスキルを客観的に証明できる
      3. 資格手当や一時金、報奨金を得られる可能性
      4. ほかの試験における一部科目の免除を受けられる
    5. まとめ

高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士それぞれの試験概要

高度情報処理技術者や情報処理安全確保支援士とは、情報処理に関する専門分野を持ち、高度かつ専門的な知識や技能を有する人材を指します。

具体的には、以下の国家試験の合格者を高度情報処理技術者と呼び、さらに情報処理安全確保支援士に関しては、

試験に合格してさらに登録することで、国内ではIT系で唯一の国家資格である「登録セキュリティスペシャリスト」と呼ばれることになります。

レベル試験名
レベル4<高度情報処理技術者試験>
ITストラテジスト試験
システム監査技術者試験
プロジェクトマネージャ試験
ITサービスマネージャ試験
システムアーキテクト試験
ネットワークスペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験

<情報処理安全確保支援士試験>
情報処理安全確保支援士試験

上記9つの試験は、経済産業省が管轄する国家試験/国家資格のうち、もっとも難易度が高い「スキルレベル4」に属する試験です。

要求される知識や技能もほかの試験より高度になるため、情報処理安全確保支援士試験を除く8つの試験を総称して高度情報処理技術者試験と呼んでいます。

なお、高度情報処理技術者試験/情報処理安全確保支援士試験に特別な受験資格は設定されていません。

そのため、年齢や性別、実務経験の有無に関わらず挑戦することができ、誰でも高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士として活躍するチャンスがあります。

IT系の資格取得や試験合格を目指そうと考えているなら、受験を検討してみてはいかがでしょうか。

高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の年収の目安

資格取得や試験の合格によって、どの程度の報酬を得られるかは重要なポイントです。そこで続いては、試験区分ごとの年収の目安をご紹介します。

ITコンサルとして独立開業も目指せる「ITストラテジスト」

ITストラテジストの年収は、600万〜700万円が相場です。実績や能力によって変動する可能性があるものの、ビジネスパーソンの平均年収(443万円)より高い報酬を得られる職場が多い傾向にあります。

資格手当を支給している企業も多く、資格の有無によって年収が数十万円変わってくる可能性があります。

また、ITストラテジストは、ITコンサルタントを目指す方が取得するケースの多い資格です。

ITコンサルタントとして実績を作れば、独立・開業も可能になるため、年収が1,000万円を超える場合もあります。

監査系でトップクラスの試験「システム監査技術者」

システム監査技術者の平均年収は、600万〜650万円が相場です。監査系の資格・試験のなかではトップクラスの難易度で知られる国家試験であり、その分合格者の年収も高くなりやすい傾向にあります。

実務経験者に向けた求人が多いものの、企業によっては1,000万円を超える待遇で募集しているケースも見られます。

システム監査技術者は、ほかの高度情報処理技術者と異なり、フリーランスで活動する方が少ない職種です。

そのため、年収をさらにアップさせるには、より条件の良い会社へ転職することが王道のキャリアパスとなります。

エンジニアからのキャリアアップに「プロジェクトマネージャ」

プロジェクトマネージャの年収は、600万〜650万円前後が相場です。都市部になるほど給与水準が高くなる傾向にあり、地方とは50万〜100万円程度差が開く場合もあります。

また、プロジェクトマネージャは、フリーランスでの活躍も期待できる職種です。フリーランスの場合、案件あたりの単価が大きくなるため、100万円以上の年収アップも見込めます。

その分要求されるスキルや成果も高度なものになりますが、やりがいを感じられる仕事といえるでしょう。

管理職不足のIT業界でニーズが高い「ITサービスマネージャ」

ITサービスマネージャの年収の相場は、600万円前後となっています。システム開発経験の有無によって求人の内容が変わるのが特徴で、経験者の場合なら、年収1,000万円以上も視野に入ってきます。

試験の合格後は、まず一般企業でマネージャ業務とシステム開発業務の経験を積み、転職でキャリアアップを狙うという方も多いようです。

ITサービスマネージャの求人は決して多くないものの、人材は不足傾向にあります。

そのため、さらなる資格の取得などを通してスキルを身に付ければ、より年収アップが期待できるでしょう。

エンジニアやプログラマーの上位職「システムアーキテクト」

システムアーキテクトの年収のボリュームゾーンは、600万〜700万円となっています。

エンジニアやプログラマーの上級職に位置付けられており、開発業務を主導していく立場のため、年収も高くなりやすいのが特徴です。

システムアーキテクトとして収入をさらに上げるには、専門領域を身に付けるのが良いでしょう。

個人の強みを生かすことで、転職市場でも高い評価を得やすくなります。

人気の高度試験「ネットワークスペシャリスト」通称「ネスぺ」

ネットワークスペシャリストの年収は、550万〜650万円が相場です。

ネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアを対象とした資格・試験のなかでは最高峰とも言える国家試験であり、年収相場も高く設定されています。

ネットワークスペシャリストは、大規模ネットワークの構築や運用に欠かせない人材です。

IT業界に限らずニーズがあるため、今後さらに年収がアップする可能性があります。

AI・機械学習の時代にニーズが高い「データベーススペシャリスト」

データベーススペシャリストの平均年収は、500万円前後です。

一般的なエンジニア職より高年収の求人が多く、ビッグデータの活用が経営戦略に欠かせない現代では、今後さらにニーズが高まる可能性も想定されます。

そしてAIや機械学習といった、ITの最新トレンドとの親和性も高いテクノロジー領域でもあります。

また、データベーススペシャリストは、フリーランスとしても活躍が期待できる職種です。

会社員時代より必ずしも年収がアップする保証はありませんが、より専門的なスキルを身に付けることで多くの収入を得ている方もいます。

組み込みシステムの専門家を目指すなら「エンベデッドシステムスペシャリスト」

エンベデッドシステムスペシャリストの年収は、450万〜500万円が相場です。

エンジニアとしての能力が収入に直結しやすく、多くの案件に携わった経験のある方ほど高収入になる可能性があります。

また、組み込みシステムの設計は外部に委託している企業も多く、フリーランスのエンベデッドシステムスペシャリストもいます。

案件単価が高くなるため、条件によっては年収が1,000万円を超えるケースもあるでしょう。

情報セキュリティの中核を担う「情報処理安全確保支援士」

情報処理安全確保支援士の年収は、600万〜700万円が相場です。スキルレベル4の試験区分のなかでも特に年収の幅が広い職種で、資格を生かして転職する場合は求人情報を確認することが大切です。

高度情報通信社会と呼ばれる現代では、情報セキュリティに対する意識の重要性が高まっています。

情報処理安全確保支援士は、セキュリティ部門の責任者として重要な役割を担うため、転職市場でも高い評価を受けています。

IT系で唯一の国家資格「情報処理安全確保支援士」とは?【もっと詳しく】

経済産業省が認定するIT系の国家試験である情報処理技術者試験。

その高度区分のなかでも、合格者がさらに認定を受けることで「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」を名乗れるIT系唯一の国家資格が、情報処理安全確保支援士試験です。

そして、情報処理安全確保支援士とは、資格保持者のみ資格名称を使用可能な、名称独占資格です。

ここでは、もうすこし詳しくこの試験について解説していきましょう。

登録セキスぺは登録手続きと更新が必要な資格

サイバー攻撃による社会的脅威の急速な増大を受け、サイバーセキュリティ対策の責任を担える人材確保のために2016年に誕生した国家資格が、「情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスペ)」です。

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)を名乗るには、情報処理安全確保支援士試験に合格し、年2回の登録日までに登録申請をすることが必要です。

また、資格は更新制となっており、有効期限は登録から3年間。そして登録更新申請を行なうには、毎年の受講が義務付けられている講習をすべて修了する必要があります。

情報処理安全確保支援士の難易度はIT系で最高クラス

情報処理安全確保支援士試験は、情報処理技術者試験のなかでも特に難易度の高い「スキルレベル4」に位置する高度区分の試験です。そのため、その難易度はIT系の資格・試験のなかでも最高クラスと言えるでしょう。

合格すれば「すごい」と言われ、将来性にも期待できるかも

名称独占資格とはいえ、独占業務がないことから「登録しても意味がない」と言われてしまうこともある情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)ですが、

試験としては毎回の合格率が10%台という非常に難関であることに変わりなく、合格すれば「すごい」と言われる国家試験です。

そして、情報セキュリティに対する懸念は年々高まっていることから、将来的にはさらにニーズが高まっていくことが予想されます。

情報セキュリティに関係する職種・業種で働いているなら、目指す価値のある国家試験/国家資格であることは間違いないでしょう。

高度情報処理技術者試験の合格/情報処理安全確保支援士の国家資格取得によるメリット

高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の資格を取得すると、年収アップ以外にもさまざまなメリットがあります。こちらでは代表的なものを5つご紹介します。

転職で有利に働く

IT系の国家試験はニーズが高く、特に高度情報処理技術者や情報処理安全確保支援士の資格保有者は、転職市場で高い評価を得やすい傾向にあります。

そのため、より良い条件で希望する会社に就職しやすく、給与面を含む待遇全般に満足できる可能性が高まるでしょう。

高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の資格が転職で有利とされる理由は、まず保有者の数が少ない点が挙げられます。

例えばITストラテジストの場合、2009年(平成21年)にスタートした試験であり、毎年の合格者は数百名です。

市場の需要に対して資格保有者が足りているとはいえない状況のため、評価も高まりやすくなっていると考えられます。

次に、試験の難易度が高い点も理由の1つです。

高度試験や支援士試験の合格率は、多少の上下はあるものの、基本的に15%前後で推移しています。

資格取得の難易度が高いからこそ、転職市場でもニーズのある資格となっています。

自分の能力やスキルを客観的に証明できる

高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の各職種は、基本的に資格がなくても名乗ることができ、職務に従事することも可能です。

そのため、現在希望する職務に就いている方には、必要性の低い資格ともいえます。

ただ、転職市場でより良い条件を勝ち取ろうと考えている場合、自分の持つスキルや技術を客観的に証明する必要が生じます。

そこで役立つのが資格の存在です。希望する職種に関連した高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の資格を取得しておくことで、実績に加えて国に認められた能力を証明でき、転職市場で有利に働きます。

なお、情報処理安全確保支援士については、資格を取得して登録を済ませていないと「支援士」を名乗ることができないため注意しましょう。

資格手当や一時金、報奨金を得られる可能性

高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の資格取得は、「転職の予定はなく、今の企業でがんばり続けたい」と考えている方にもおすすめです。

本記事で紹介している年収のアップはもちろん、企業によっては資格手当や一時金、報奨金などを支給しているケースもあるためです。

気になる場合は、一度就業規則などを確認してみてはいかがでしょうか。

ほかの試験における一部科目の免除を受けられる

高度試験/支援士試験の合格者は、ほかの国家試験における一部科目の免除を受けられます。

例えば、中小企業診断士の第1次試験や弁理士試験の論文選択問題、ITコーディネータ試験の一部科目などが代表的です。

IT系資格のダブルライセンスを狙う際にも有効活用できるでしょう。

まとめ

今回は、高度情報処理技術者/情報処理安全確保支援士の試験区分ごとの年収や、各資格を取得するメリットについてお伝えしました。

高度試験や支援士試験は、それぞれ難易度も高く、多くの勉強時間を要することから、受験を避けている方も少なくありません。

しかし、各資格はIT分野のなかでも特にニーズの高い資格であり、取得することで年収アップやキャリアアップなどさまざまなメリットがあります。

自分に合った勉強方法を見つけたうえで挑戦してみてはいかがでしょうか。

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【出典】「令和3年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2021/pdf/002.pdf