ITストラテジストとは、高度なITの知見を活用して企業の課題の明確化や業務効率化、IT戦略の立案などを行う専門職を指します。システムやソフトウェアの開発プロセスにおける、超上流工程でその役割を発揮します。ストラテジストは、英語で「strategist」と表記し、日本語で「戦略家」を意味する単語です。 また、必ずしも職種のみを指す言葉ではなく、組織内のIT分野の統括を行う立場の人材を指してITストラテジストと呼ぶケースもあります。
ITストラテジストの仕事内容は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
IT戦略の策定
ITストラテジストのもっとも中心的な役割は、企業の経営戦略の実現に必要なIT戦略の策定です。自身が保有するITの知識や視点を生かして企業の課題を洗い出し、業務効率化やコスト削減につながる施策を検討します。その際、現場の職員や経営陣にヒアリングを行い、「最適化できる部分がどこにあるのか」「必要なシステムは何か」を見極める必要があります。
システム開発・運用の統括
IT戦略がまとまったら企業に対してプレゼンを行い、計画を実行に移します。具体的には、今回の計画を統括する立場として必要なシステム開発やITツールの導入に関する指示を出します。 自らシステム開発を行うケースは少ないため、プログラミング能力は必須ではありません。企業の経営をサポートするコンサルティング能力や、問題解決に最適なシステムを見定める能力、IT技術への知見などが必要です。
モニタリングとコントロール
計画を実行に移した後は、開発したシステム全体のモニタリングやコントロールを行います。トラブル発生時の対処はもちろん、リスク分析や管理、計画全体の評価なども業務のひとつです。進捗や効果によっては計画を見直し、改善案を検討するケースもあります。
ITストラテジスト試験は、これまで毎年4月(春期試験)に指定された会場でのペーパー方式で実施されてきました。 しかし、IPA(情報処理推進機構)より、2026年度(令和8年度)から試験制度が大きく変更され、パソコンで受験する「CBT方式」へ移行することが発表されました。これにより、実施時期が「11月頃」に変更されるなど、受験のルールが根本的に変わります。
また、従来の「午前試験」「午後試験」は、それぞれ「科目A試験」「科目B試験」という名称に変更されます。
「午前Ⅰ試験」および「午前Ⅱ試験」は「科目A-1試験」および「科目A-2試験」、「午後Ⅰ試験」および「午後Ⅱ試験」は「科目B-1試験」および「科目B-2試験」と変更になります。
経済産業省は、情報処理に関する知識や技能を問う目的で、国家試験である「情報処理技術者試験」を管轄しています。12ある試験のうち、ITストラテジスト試験はもっとも高度な専門知識を要求する「スキルレベル4」に属し、「高度情報処理技術者試験」に該当する試験です。
ITストラテジスト試験は、「科目A-1」「科目A-2」「科目B-1」「科目B-2」の4つの試験で構成されており、すべてのテストで基準点以上を獲得すると合格となります。
なお、過去2年のうちに応用情報技術者試験に合格している方や、別の高度情報処理技術者試験に合格している方などは、科目A-1試験が免除されます。
試験制度について詳しく知りたい方は、下記のページをご覧ください。
ITストラテジスト試験は、高度情報処理技術者試験の一種であり、数ある国家試験の中でも難易度が高めに設定されているのが特徴です。その合格率は、令和6年度が15.8%、令和7年度が15%と、おおむね15%前後で推移しています。ただし、合格者数に関する定めはなく、すべての試験で基準点を獲得できれば必ず合格と扱われます。
| 受験申込方法 | 未定(2025年度までは【個人申込みのみ】原則インターネットでの申込み) |
| 試験日程・試験会場 | 前期(2026年11月)に開催予定。 |
| 受験資格 | 受験資格は無し。誰でも受験が可能。 |
| 出題形式 | 科目A-1試験 :問題30問(四肢択一)テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系から出題。 科目A-2試験:問題25問(四肢択一)テクノロジ系(セキュリティ)、ストラテジ系から出題。 科目B-1試験 :3問のうち、2問について回答。(記述式) 科目B-2試験:2問のうち、1問について解答。(論述式) |
| 試験形式 | CBT方式試験 |
| 受験料(税込み) | 未定(2025年度までは7,500円) |
| 試験時間 | 科目A-1試験 50分 科目A-2試験 40分 科目B-1試験 90分 科目B-2試験 120分 |
| 合格基準 | 科目A-1・A-2・科目B-1試験では、それぞれ100点満点中、60点以上が合格基準。 科目B-2試験では、評価ランクA以上のみが合格基準。 |
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業界、業種問わず、ITストラテジストの資格取得にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
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就職や転職で評価を得やすくなるITストラテジストは、情報処理技術者に関する資格の中でも取得難易度の高い資格です。特にITストラテジストは、以前の試験区分でもっともレベルの高い試験を組み合わせて創設された資格であり、「実務経験5年分のスキルに相当する」と表現されることもあります。 そのため、就職や転職市場では高い評価を得やすく、自らが望むキャリアパスを描きやすくなるでしょう。 |
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仕事の幅が広がるITストラテジストは、システム開発やコンサルティングなど、幅広い分野に精通した知識を持つことを証明する資格です。そのため、資格を取得することで研究職やシステム部門からコンサルティングやマネジメント部門への異動なども可能になり、仕事の幅が広がる点もメリットといえます。 企業に所属するだけでなく、フリーのITストラテジストとして活躍する方も少なくありません。 |
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外部の人材と交流しやすくなるITストラテジストの資格を取得すると、年会費を支払うことで「日本ITストラテジスト協会(JISTA)」に入会できるようになります。外部の知識者やエンジニアとの交流の場を持つことができ、より多角的な視点を身につけられるでしょう。 |