過去のITストラテジスト試験の応募者数・受験者数・受験率・合格者数・合格率は以下の通りです。
開催 | 応募者数 | 受験者数 | 受験率 | 合格者数 | 合格率 |
平成21年秋期 | 8,322 | 5,514 | 66.3% | 754 | 13.7% |
平成22年秋期 | 8,236 | 5,413 | 65.7% | 755 | 13.9% |
平成23年秋期 | 7,077 | 4,839 | 68.4% | 705 | 14.6% |
平成24年秋期 | 7,359 | 5,090 | 69.2% | 713 | 14.0% |
平成25年秋期 | 7,117 | 4,810 | 67.6% | 677 | 14.1% |
平成26年秋期 | 6,739 | 4,466 | 66.3% | 671 | 15.0% |
平成27年秋期 | 6,663 | 4,487 | 67.3% | 656 | 14.6% |
平成28年秋期 | 6,676 | 4,594 | 68.8% | 645 | 14.0% |
平成29年秋期 | 6,984 | 4,747 | 68.0% | 700 | 14.7% |
平成30年秋期 | 7,449 | 4,975 | 66.8% | 711 | 14.3% |
令和元年秋期 | 7,527 | 4,938 | 65.6% | 758 | 15.4% |
令和3年春期 | 5,669 | 3,783 | 66.7% | 579 | 15.3% |
令和4年春期 | 6,378 | 4,450 | 69.8% |
660 | 14.8% |
平均 | 7,092 |
4,777 |
67.4% |
691 | 14.5% |
ITストラテジスト試験の合格率は、例年15%前後です。
ITストラテジスト試験は、合格発表から一定の期間が経つと、記述形式/論述形式で出題される午後 Ⅰ 試験/午後 Ⅱ 試験に関して、試験主催団体から講評が発表されます。直近の試験講評の一部を見てみましょう。
午後 Ⅰ 試験 問1
問 1 では,国際物流会社におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)について出題した。全体として正答率は平均的で,状況設定はおおむね理解されているようであった。
設問2(2)は,正答率が低く,“小さなカスタマイズ要望でも大きな開発につながる”という解答が見受けられ た。ここでは,顧客からのカスタマイズ要望が頻繁にある点と,それに迅速に応える必要がある点に着目して,越境 EC システムを再構築する A 社の考えを理解してほしい。
設問 3では,“消費者が越境 EC サービスを利用しやすくなる”という解答が散見された。A 社は SNS のアカウントをもつ消費者が注文しやすいようにソーシャルサインインを導入し,テストマーケティングを行っている。具体的にターゲットを定めて,API エコノミーを活用している点を理解してほしい。
ITストラテジストは,対象となる事業・業務環境を分析,評価した上で,デジタル技術の的確な活用を判断し,事業戦略を推進する能力を高めてほしい。
【引用】「過去問題(問題冊子・配点割合・解答例・採点講評)」(IPA)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2022r04_1/2022r04h_st_pm1_cmnt.pdf
午後 Ⅱ 試験 全問共通
全問に共通して,“論述の対象とする構想,計画策定,システム開発などの概要”又は“論述の対象とする製品又はシステムの概要”が適切に記述されていないものが散見された。これらは,評価の対象となるので,矛盾が生じないように適切な記述を心掛けてほしい。また,字数が少なくて経験や考えを十分に表現できていない論述も目立った。
午後Ⅱ試験では,IT ストラテジスト自身の経験と考えに基づいて,設問の趣旨を踏まえて論述することが重要である。問題文及び設問の趣旨から外れた論述や具体性に乏しい論述は,評価が低くなってしまうので,注意してほしい。
午後 Ⅱ 試験 問1
問 1 では,ターゲットとする顧客を定め,顧客満足度を向上させるために,新しい価値を提供する新商品や新サービスを企画している論述が多く見受けられ,論述しやすかったと思われる。一方,顧客との接点や関係性,顧客の体験などを十分に理解できておらず,IT を活用した新サービスなどの記述にとどまっている論述も散見された。IT ストラテジストは,顧客の体験や顧客の業務などの視点に立って,顧客にとって価値のあるサービスや商品を構想できる能力を身に付けてほしい。
【引用】「過去問題(問題冊子・配点割合・解答例・採点講評)」(IPA)
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2022r04_1/2022r04h_st_pm2_cmnt.pdf
試験講評では、どんな問題が出題されたかの解説に加え、問題作成の意図も書かれています。「○○についてよく理解しておいてほしい」「その特徴を覚えておいてほしい」など、試験対策の指標にできる記述もありますので、必ず目を通しておくようにしましょう。
ITストラテジスト試験合格を目指す方は、ぜひ午後 Ⅰ 試験、午後 Ⅱ 試験の講評について、少なくとも直近3年分は読むようにしましょう。特に、実務の経験がない中で合格を目指す方は、どういった知識が求められているのか、どのように思考すべきなのかについて、自分なりに考えた上でアウトプットできるように対策する必要があります。問題文中に知らない単語や知識があれば、それは自分の弱点ともいえる部分であるため、その箇所について改めてインプットの機会を設けましょう。また、実際に過去問を解いた後にも講評を改めて読むと、問題作成者の意図がどのように問題文に表れているかより理解することができ、長文読解で注目すべきポイントやキーワードが見つけやすくなります。