登録販売者は、ドラッグストアやコンビニ、スーパーなどで一般用医薬品を取り扱うための資格です。
通常の販売スタッフと異なり、一般用医薬品のうち第2類医薬品と第3類医薬品の販売や効能説明が可能となっています。
薬剤師のように第1類医薬品まで扱えるわけではなく、調剤もできません。
しかし、コンビニやホームセンターなど新たに医薬品を取り扱う店舗が増えるなかで、登録販売者が重要な役割を担うようになっているのです。
背景には、政府が後押しする「セルフメディケーション」の存在もあります。
セルフメディケーションとは、多少の体調不良であれば一般用医薬品を使って自身でケアを行う対処法のことで、医療費高騰への対策として推進されています。
セルフメディケーションに取り組もうと思っても、一般的な消費者が医薬品の効能や副作用を正しく理解して使うのは難しいでしょう。
気軽に相談できる登録販売者が店舗にいれば、その場で疑問を解消できるため、セルフメディケーションの推進につながるのです。
このように一般用医薬品の販売現場で重要な役割を担う登録販売者ですが、一部では「資格を取るのはやめとけ」という意見もあります。
主な根拠としては、以下4点が挙げられるでしょう。
順番に見ていきます。
登録販売者の資格を取得したものの、医薬品に関する説明など知識を活かした業務は少なく、レジでの対応ばかりできついといった意見があります。
登録販売者は第2類医薬品と第3類医薬品の取り扱いが可能ですが、医薬品以外の商品の販売や陳列、在庫補充といった業務も任されるケースが多いです。
大部分が立ち仕事になるため、特に客数の多い店舗などでは肉体的なつらさを感じるかもしれません。
登録販売者になるにあたり、資格試験を通して必要な知識は身につけられます。
しかし、試験で記号問題に回答するのと、お客様にわかりやすく説明するのとでは勝手が異なるはずです。
また、医薬品を取り巻く環境には変化があるため、常に知識をアップデートする必要があります。
お客様から問い合わせを受けて対応したものの、「うまく説明できなかった」「自信を持って回答できなかった」と難しさを感じるケースは少なくありません。
登録販売者は一般用医薬品の効能や副作用についても正しく理解し、お客様がわかるように説明しなければなりません。
誤った説明をした場合、健康上の問題やクレームにつながる可能性があります。
責任の大きい仕事であるため、資格試験の段階から体系的に知識を整理して身につけておくことが大切です。
関連記事:登録販売者資格とは?仕事内容や取得のメリット、難易度を解説
登録販売者を取り巻く環境として、「2分の1ルール」の撤廃は押さえておく必要があります。
「2分の1ルール」とは、一般用医薬品を販売する店舗では、営業時間の半分以上において薬剤師または登録販売者を配置する必要がある、と定めたルールです。
しかし2021年8月1日に施行された改正省令により、2分の1ルールは撤廃されたのです。
店舗側に制約がなくなったため、登録販売者の勤務時間が短縮され、資格保有者に対する需要が減るという意見が見られるようになりました。
ここまで見てきたように一部では「やめとけ」という意見もある登録販売者の仕事ですが、資格保有者ならではの魅力もあります。
以下3つのポイントで、登録販売者のやりがいや存在意義を見ていきましょう。
登録販売者が行う医薬品の説明や販売といった業務は、責任の大きな仕事です。
正確かつ最新の情報に常にアップデートし、適切な説明をする必要があります。
たいへんな業務だと感じるかもしれませんが、そのぶん困っているお客様の役に立てるやりがいのある仕事でもあります。
体調不良で困っているお客様を直接サポートできるため、感謝される機会も多くなるでしょう。
また、資格の取得や知識のアップデートといった労力がかかるぶん、給料も一般的な接客業務よりも高く設定されています。
ほかのスタッフでは担えない医薬品の販売や説明を任せられるため、企業にとっては貴重な人材なのです。
同じ医療系の仕事でも、医療事務や調剤薬局事務より給料が高い傾向にあり、資格の取得や維持の労力に見合った報酬が得られるでしょう。
先述の通り、登録販売者または薬剤師の配置に関する「2分の1ルール」が撤廃されたことで、登録販売者に対する需要が減るとの意見もありました。
しかし、店舗に対する人員配置の制約がなくなったことで医薬品を取り扱うハードルが下がり、医薬品を取り扱う店舗が増加することで、逆に登録販売者の需要が増えるという見方もできます。
政府によるセルフメディケーション(一般用医薬品を使った自身での健康管理)の推進も相まって、引き続き登録販売者に対する需要は大きいと考えられるのです。
関連記事:登録販売者は将来性がある?
ここでは、登録販売者の資格や仕事についてよくある以下3つの質問とその回答をご紹介します。
「登録販売者はやめとけ」と聞いて迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
登録販売者試験の合格後、すぐに勤務を開始しなくても問題はありません。
資格に有効期限は設けられていないため、いつでも登録販売者としての活動を開始できます。
ただし、以下のいずれかの条件を満たすまでは「研修中」扱いとなり、薬剤師または管理者要件を満たした登録販売者のもとで勤務する必要があります。
また、試験合格後に月日が経ってしまうと、そのぶん医薬品に関する知識が抜けることになります。
医薬品を取り巻く最新の情報も自主的に収集する必要が生じるでしょう。
試験を受ける前に実務経験を積んでいない場合は、特に事情がなければ、試験合格後は速やかに実務を開始し、研修期間を終えるのが望ましいといえます。
関連記事:登録販売者に必要な実務経験とは|期間や時間などの条件、証明書について解説
登録販売者の給料相場は年収にして300~400万円、月収にして20~25万円程度とされています。
また、職場によっては資格手当が支給される場合もあります。
実務経験を積んで管理者要件を満たした場合には、店舗責任者として採用され、月収30~35万円程度の給料を得られる可能性もあります。
一般的な販売や事務のスタッフより高い傾向にあり、家族構成次第ではあるものの十分「食べていける」資格だといえるでしょう。
関連記事:登録販売者の給料相場は高い?就職先や将来性についてもあわせて解説
登録販売者に対して離職率が高いとのイメージを持つ方もいますが、そもそも小売業全体の離職率が高い傾向にあることは押さえておくべきです。
厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」によると、大学卒業後に小売業に就職した人のうち、3年以内に離職する割合はおおむね30%台後半となっています。
高い離職率には悪いイメージを持ちがちですが、勤務先の変更は決して悪いことではありません。
登録販売者の魅力の1つは、好きなタイミング・勤務形態で働けることです。
家族の都合や必要な収入に応じて働き方を変えやすいことは、むしろポジティブな面だといえるでしょう。
本記事では登録販売者について、「やめとけ」と言われる理由や仕事としてのやりがいをご紹介しました。
ポイントをまとめると、以下の通りです。
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