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登録販売者の管理者要件が緩和?実務期間1年でも満たせるってホント?

令和5年3月31日、厚生労働省医薬・生活衛生局長より「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について」が発表されました。令和5年4月1日に施行された法改正では、登録販売者の管理者要件の一部見直しがなされました。このページでは、令和5年4月1日から条件が追加となる登録販売者の管理者要件について解説します。

登録販売者の「管理者要件」とは?

実は、登録販売者試験に受かっただけでは「正規の登録販売者」にはなれないことをご存知でしょうか。医薬品を販売することができる「正規の登録販売者」になるためには、一定の実務経験を積むことが必要です。その実務経験のことを管理者要件と呼びます。

指定の実務経験を積み、正規の登録販売者として認められると、「店舗管理者」として就労できます。店舗管理者とは、医薬品を扱う店舗に設置が義務付けられている役職で、お店の責任者と考えるとわかりやすいでしょう。医薬品だけでなく薬剤師や登録販売者の管理なども行います。

一定の実務経験が無い場合は、「登録販売者研修生」となります。研修生の場合、ひとりで医薬品を販売することができません。レジ打ちや品出しといった一般的な業務であれば問題ありませんが、医薬品の販売に関しては制限がかかります。

登録販売者になるまでの流れ

管理者要件の変更点の概要

前提として、登録販売者は、過去5年間のうち薬局、店舗販売業又は配置販売業において一般従事者として薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下に実務に従事した期間、もしくは登録販売者として業務としての業務に従事した期間が通算して2年以上の場合に、店舗管理者や区域管理者になることができます。従事期間が2年に満たない場合は「研修中登録販売者」としての業務となります。

今回の法改正では、これまでの「過去5年のうち2年以上」の要件に加えて、過去5年間のうち従事期間が通算して1年以上であり、「継続的研修」と、店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修を修了した場合に、店舗管理者等になることができるようになりました。

また、従事期間が通算して1年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある場合にも、店舗管理者等になることができます。この場合は、「過去5年間のうち」という制約はありません。

例えば、「10年前、店舗管理者の登録販売者として1年以上かつ通算1920時間以上働いてた。だけど妊娠を期に、出産、育児のために退職して、専業主婦をやってた。そろそろ、子供も大きくなったし、もう一度登録販売者として働こうと考えている。」というパターンの場合、この要件にあてはまります。

10年前にすでに店舗管理者として働いていたということは、過去に一度「過去5年間のうち2年(もしくは1年+追加研修)」の要件を満たしているということになります。そういった方が、ブランクが空いたもののもう一度登録販売者として働こうとした際には、「過去5年間のうち2年(もしくは1年+追加研修)」という制限はなくなります。

このほか、店舗販売業者等は、その店舗等において業務に従事する登録販売者に、研修を毎年度受講させなければならないことを店舗販売業者等の遵守事項として、施行規則において明確化されました。

従事期間の取り扱い

「過去5年間のうち従事期間が通算して1年以上」の詳しい条件は下記の通りです。

  • 過去5年間において、1か月に160時間以上従事した月が通算して12か月以上の場合
  • 過去5年間において、月当たりの時間数にかかわらず月単位で従事した期間が通算して1年以上あり、かつ、合計1920時間以上従事した場合

「業務経験1年で1920時間以上」の要件を満たすためには、毎月160時間×12か月分が目安となります。毎日8時間、月20日間働くとひと月の労働時間が160時間になりますから、正社員として働いている方や、長時間のパートタイムとして働いている方が該当します。なお、月によって150時間勤務の月があったり、170時間勤務の月があったりしても、通算して1920時間以上あれば要件を満たします。

追加的研修とは?

追加的研修とは、この法改正で新たに規定されたものになります。「過去5年間のうち1年以上」の要件で店舗管理者等になることを希望する場合、必ず受けなければなりません。

追加的研修の内容は以下の通りです。

① ガバナンス、法規、コンプライアンス等の基本的知識に関する講義
販売現場、店舗等の管理に即したコミュニケーションに関する演習
③ ①及び②を踏まえた、店舗管理者等に求められる対応についてのケーススタディ追加的
研修の時間について
は、①、②及び③で合計6時間以上行うこと。


引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について

なお、実施方法は対面もしくはオンラインのどちらかになります。

追加的研修は、「過去5年間のうち1年以上」要件を希望する場合は必ず受けなければなりませんが、これまでの「過去5年間のうち2年以上」要件を希望する場合には受けなくても問題ありません。しかし、「過去5年間のうち1年以上」要件を希望する以外の登録販売者の方にも、資質向上の観点から、受講することを厚生労働省は推奨しています。


継続的研修とは?

継続的研修とは、登録販売者として受ける外部研修のことを指します。これは以前から規定されている研修のことを指し、「過去5年間のうち1年以上」要件であっても、「過去5年間のうち2年以上」要件であっても、どの登録販売者も対象になります。

正規の登録販売者として申請が許可された後も、定期的に外部研修を受ける必要があります。厚生労働省のガイドラインでは、年に2回、計12時間の研修を定めています。6時間の座学研修に2回参加するのが基本です。受講後には受講証明テストが実施され、それに合格すると修了証明書が発行されます。

このようにして、登録販売者は日々進化する医薬品業界のなかで、知識をアップデートし続けているのです。