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登録販売者は増えすぎ?業界の最新動向と将来性について解説

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登録販売者は増えすぎ?

登録販売者が「増えすぎ」といわれる理由として、合格者数が増加傾向にあることや、その背景として受験資格が撤廃されたことなどが挙げられます。

ここでは、直近の登録販売者試験における合格者数の変化など、最新の状況を見ていきましょう。

合格者数は増加傾向

2008~2022年における登録販売者試験の受験者数・合格者数は、以下の通りです。

実施年度 受験者数 合格者数 合格率

(全国平均)

2022年 55,606人 24,707人 44.4%
2021年 61,070人 30,082人 49.3%
2020年 52,959人 21,953人 41.5%
2019年 65,288人 28,328人 43.4%
2018年 65,500人 27,022人 41.3%
2017年 61,126人 26,606人 43.5%
2016年 53,369人 23,330人 43.7%
2015年 49,864人 22,901人 45.9%
2014年 31,362人 13,627人 43.5%
2013年 28,527人 13,381人 46.9%
2012年 28,050人 12,261人 43.7%
2011年 33,913人 16,007人 47.2%
2010年 39,116人 18,510人 47.3%
2009年 44,788人 21,209人 47.4%
2008年※ 91,024人 58,715人 64.5%

参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について

※2008年のみ、年に2回試験が実施されました。

新型コロナ感染症の影響により、2020年以降は若干の減少が見られます。

しかし、総じてみれば受験者数・合格者数ともに大きく増加傾向にあることがわかるでしょう。

特に、受験資格が撤廃された2015年以降は大きく数字が伸びています。

受験資格の撤廃が影響

以前の登録販売者試験では、受験資格として「学歴」と「実務経験」が必要でした。

しかし、2015年の変更によって受験資格は撤廃され、登録販売者試験は誰でも受験可能になりました。

その結果、2015年における登録販売者試験の受験者数は49,864人と前年の約1.59倍、合格者数は22,901人と同約1.68倍に急増したのです。

その後も新型コロナ感染症の影響による減少が見られるまでは増加の傾向が続いたため、「登録販売者は増えすぎ」との意見が広まったものと考えられます。

関連記事:登録販売者に必要な実務経験とは?期間や時間などの条件、証明書について解説

2分の1ルール廃止で登録販売者は不要に?

合格者数の増加に加え、働き方の部分でも「登録販売者が必要以上に増えている」とされる要因があります。

2021年に実施された「2分の1ルールの廃止」により、医薬品の販売現場における登録販売者の需要が減ると考えられたのです。

ここでは、2分の1ルールの概要や廃止の影響について解説します。

2分の1ルールとは

2分の1ルールとは、一般用医薬品の販売業者に対し、営業時間の半分以上にわたって薬剤師または登録販売者を勤務させなければならないとするルールです。

例えば、営業時間が午前9時から午後9時の12時間であれば、そのうちの6時間は医薬品を販売できるよう薬剤師か登録販売者の勤務が必要になるといったイメージです。

この「2分の1ルール」は、2021年に廃止となりました。

2分の1ルール廃止の背景として、大手コンビニストアなどによる規制緩和の要望があったとされています。

24時間営業のコンビニにとっては1日12時間にわたって薬剤師または登録販売者を配置する必要があり、人件費の高騰や人手不足といった問題を抱えていたのです。

2分の1ルール撤廃で雇用が減るとの意見があった

2分の1ルール撤廃により、店舗側における人件費や管理の負担は減少します。

しかし、登録販売者にとっては「勤務可能な時間が減少することとなり、雇用自体が減るのでは」との懸念があったのです。

1日6時間勤務していたところをもし4時間に減らされてしまえば、給与もそのぶん減ってしまいます。

ほかの勤務先を探すにしても、同様に勤務時間の減った登録販売者が多ければ、求人に応募が殺到することが予想されます。

新規参入の増加が期待できるとの意見もある

しかし一方で、2分の1ルールの廃止によって規制が緩和されれば、新たな販売業者の参入を期待できるという側面もあります。

なぜなら、営業時間の半分以上にわたって薬剤師や登録販売者を配置するのは難しいと考えていた販売業者にとって、2分の1ルールの撤廃は新規参入に向けた大きな後押しとなるからです。

実際に、一般用医薬品の取り扱いは従来の薬局やドラッグストアに加え、スーパーやコンビニ、ホームセンターなど多様な業態へと広がっています。

2分の1ルール撤廃によって一般用医薬品を扱う店舗が増えれば、登録販売者の活躍機会は十分確保されるといえます。

登録販売者が「増えすぎ」ではない理由

登録販売者は「増えすぎ」ではなく、むしろ今後も大きな需要を見込める職種だといえます。

ここでは以下3つのポイントで、登録販売者が「増えすぎ」とは言えない理由を解説します。

  • 一般用医薬品の市場は伸びている
  • 政策によって活躍機会が増えている
  • 就職先はドラッグストアだけではない

順番に見ていきましょう。

一般用医薬品の市場は伸びている

株式会社矢野経済研究所が2022年に実施した「OTC市場に関する調査」によれば、2021年のOTC医薬品出荷額は6,990億円となっており、2007年の6,267億円から大きく増加しています。

OTC医薬品とは「Over The Counter(カウンター越し)」に販売される医薬品のことで、薬局やドラッグストアなどで処方せんなしで購入できる医薬品を指す用語です。

同調査では、2022年以降もOTC医薬品の出荷額は伸び続けることが予想されています。

OTC医薬品の購入金額が増えれば、それだけ登録販売者が活躍する機会も増えるといえます。

政策によって活躍機会が増えている

さらに、政府が推進する施策によって医薬品販売のプロである登録販売者の重要性が増している側面もあります。

具体的には、セルフメディケーションの推進や地域包括ケアシステムの確立といった政策が挙げられます。

セルフメディケーションとは、軽度の体調不良であれば医者の診察を受けるのではなく、一般用医薬品などを利用して自身でケアをする取り組みのことです。

セルフメディケーションを推進することで、医療費の抑制が可能とされています。

医薬品の知識がない消費者がセルフメディケーションを実践するには、店頭で相談できる登録販売者の存在が大きな役割を果たすでしょう。

また、支援や介護が必要になった高齢者が住み慣れた場所で生活できるよう支援する「地域包括ケアシステム」の確立にも、医薬品販売のプロである登録販売者が重要だとされています。

高齢化社会に向けて政府が推進する施策により、登録販売者の活躍機会が増えているのです。

関連記事:登録販売者は将来性がある?

就職先はドラッグストアだけではない

登録販売者の就職先といえばドラッグストアを思い浮かべる方は多いでしょう。

しかし近年では、さまざまな業態の小売業者が医薬品を取り扱うようになっており、登録販売者の勤務先も広がりを見せています。

具体的には、スーパーやコンビニ、ホームセンターなどが挙げられます。

その他の買い物のついでに一般用医薬品が買えることは、顧客の利便性向上につながるのです。

また、ドラッグストア自体の店舗数も増加傾向にあります。

経済産業省の「商業動態統計調査」によると、2017年のドラッグストア店舗数が15,049店だったところ、2022年には18,429店まで増えています。

ドラッグストア自体の店舗数が増え、さらにその他の業態での医薬品販売も増えているため、登録販売者の働き口は十分あるといえるでしょう。

登録販売者としての価値を高める方法

今後も十分な需要が見込まれる登録販売者ですが、よりよい待遇やキャリアアップを目指すなら、人材価値を高める必要があります。

ここでは、登録販売者の価値を高める方法として以下3つのアプローチをご紹介します。

  • 実務のスキルを磨く
  • 管理者要件を満たす
  • ほかの資格を取る

実務のスキルを磨く

まずは店舗を訪れたお客様の役に立てるよう、登録販売者としての実務スキルを磨くことが大切です。

資格試験を通じて必要な知識は身につきますが、基礎知識のない一般のお客様に対してわかりやすく情報を伝えるためには、コミュニケーション力や説明力が問われます。

また、医薬品に関する知識も常にアップデートしていく必要があるでしょう。

登録販売者として勤務する場合、毎年度の外部研修の受講が必要になります。

資格試験に合格したという事実に満足せず、研修などをうまく活用しながら継続的に知識を身につけることが重要です。

管理者要件を満たす

登録販売者試験に合格の後、実務経験がなくても勤務を開始することが可能です。

ただし、あくまで「研修中」との扱いであり、医薬品の販売に際しては薬剤師または管理者要件を満たす登録販売者の管理・指導が必要となります。

正規の登録販売者となるためには、以下いずれかの条件を満たす必要があります。

  • 直近5年以内に2年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験
  • 直近5年以内に1年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験に加え、指定の追加的研修を修了(令和5年4月1日より適用)

上記の条件を満たせば単独での医薬品販売が可能となるほか、管理者要件を満たしたことになります。

管理・指導役を配置することなく医薬品の販売を任せられるため、管理者要件を満たしているかどうかは採用側にとって重要な選考条件になるといえます。

関連記事:登録販売者の管理者要件が緩和?実務期間1年でも満たせるってホント?

ほかの資格を取る

登録販売者に関連する別の資格を取るのも1つの手です。

例えば、医療事務やビューティーアドバイザーなどが挙げられます。

医療事務であれば処方せんが必要な医薬品に関連する事務作業、ビューティーアドバイザーであれば化粧品に関するアドバイスなど、業務の幅が広がります。

自身の勤務先の状況に合わせ、より多様な業務に対応できるよう資格取得を検討してみるとよいでしょう。

まとめ

本記事では「登録販売者は増えすぎなのか?」という点について、合格者数や業界の最新動向、将来性を解説しました。

ポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 登録販売者試験の合格者数はおおむね増加傾向
  • 2015年の受験資格撤廃により、受験者数・合格者数が増えている
  • 2分の1ルール廃止により活躍機会が減少するとの声もあった
  • しかし規制緩和によって参入業者が増えれば、勤務先も増えることになる
  • さらに一般用医薬品市場の成長や政策による後押しもあり、今後も高い需要が見込まれる
  • 実務スキルを磨きながら、管理者要件を満たすことでステップアップが可能

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