登録販売者資格とは?仕事内容や取得のメリット、難易度を解説

登録販売者の資格に興味があるものの、どのような仕事をするのか、取得によってどのようなメリットが得られるのか具体的にイメージが湧かないという人もいるでしょう。本気で合格を目指すなら、どの程度の勉強時間で取得できるのかも押さえておきたいポイントです。

本記事では登録販売者の資格について、仕事内容や取得のメリット、試験の難易度をまとめて解説します。登録販売者試験の受験を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次 Contents

登録販売者資格とは?仕事内容や取得のメリット、難易度を解説


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登録販売者ってなに?国家資格なの?

登録販売者とはどのような資格なのか、ここでは以下2つのポイントに沿って紹介します。

  • 登録販売者は国家資格なの?
  • 仕事内容や薬剤師との違いは?


登録販売者は国家資格なの?

登録販売者が国家資格かどうかについては政府公式の発表がなく、見解が分かれています。

その理由には、以下3つの要素が関係しています。

  • そもそも「国家資格」の定義が明確ではない
  • 登録販売者試験の運営や資格認定は都道府県が担う
  • 総務省発表の「国の資格制度一覧」に記載がある

普段の生活でも自然に使用している「国家資格」という言葉ですが、どの資格が国家資格にあたるのか、実は官公庁のホームページでは明記されていません。

厚生労働省や文部科学省による「国家資格」の定義は見つかりますが、分類ごとにいくつかの資格例が挙げられているだけで、登録販売者が国家資格にあたるかどうかは判断が難しいのです。


また、一般的な国家資格とは異なり、試験の運営や資格認定を都道府県が担う点も見解が分かれる要因です。

薬剤師は国家資格として広く認知されており、資格取得のための試験や合否の認定は国が行います。

一方、登録販売者試験は各都道府県で実施されており、合否の認定も都道府県が行います。

試験の運営や資格認定を行うのが国ではないため、登録販売者は国家資格ではないという声もあるのです。


ただ、総務省が発表している「国の資格制度一覧」を確認すると、厚生労働省管轄の資格制度のなかに登録販売者が記載されています。

国の資格制度と国家資格が同一かについては言及されていませんが、登録販売者が国に認められた公的な資格であることは間違いありません。


仕事内容や薬剤師との違いは?

登録販売者は一般用医薬品の販売のプロが持つ資格で、2009年に施行された改正薬事法によって新設されました。

一般用医薬品には第1類医薬品・第2類医薬品・第3類医薬品があり、登録販売者は第2類と第3類のみ販売できる資格です。

薬剤師のような医薬品の調剤はできません。


以前は、薬剤師が調剤業務と販売業務の両方を担っていました。

登録販売者の誕生によって、薬剤師はより調剤業務に専念できるようになったのです。

前述の通り、登録販売者は国家資格であるとは明記されていませんが、趣味や教養の枠に収まらず、実務に活かせる立派な資格です。

登録販売者の資格を取得すると、資格を持っていない人にはできない医薬品販売ができるようになります。

そのため、ドラッグストアやコンビニ、スーパー、ホームセンターなど、医薬品を扱うさまざまな店舗で必要とされています。


登録販売者の資格を取得するメリットは?

登録販売者は現在別の業種で働いている方や、学生の方など幅広い層におすすめの資格です。

こちらでは、登録販売者の資格を取得するメリットをご紹介します。


登録販売者の資格を取得するメリット


給料アップが期待できる

登録販売者の資格を取得することで、1人で一般用医薬品の販売やアドバイスを行えるようになります。

担当できる仕事の幅が広がるため、給料や時給のアップが期待できます。

資格手当を支給している会社も少なくありません。


全国どこでも働ける

登録販売者の資格は、一度取得すれば全国で資格保有者として仕事ができます。

ドラッグストアやスーパー、コンビニなどさまざまな店舗で働けるため、登録販売者のニーズは全国にあります。

家族の転勤による引っ越しが多い方でも安心です。


独立開業に挑戦できる

直近5年間で2年以上の実務経験がある登録販売者は、店舗管理者になることができ、開業許可や販売許可をもらうことで独立が可能です。

将来的に医薬品を取り扱う店舗を経営したいと考えている方にも役立つ資格です。


さまざまな働き方がある

登録販売者の求人は正社員だけではありません。

パートやアルバイトの募集もあるため、ライフスタイルに応じて働き方を変えられるのが魅力です。

実際に、育児が忙しいときは休職し、余裕が出てきたタイミングで復職する方も少なくありません。


他業種でも活躍できる

登録販売者の資格を活かせるのは、医薬品を販売する業種だけではありません。

医薬品に関する知識を活かして製薬会社の営業として働いたり、漢方薬を取り扱いながらあん摩マッサージ指圧師として活躍したりするなど、他業種で仕事をする場合にも役立つ資格です。


薬の知識が健康に役立つ

登録販売者が取り扱う医薬品は、一般用医薬品の9割以上にのぼります。

登録販売者として仕事をすることで、医薬品に関する横断的な知識が身につき、自分だけでなく家族の健康維持にも役立ちます。


登録販売者になるまでのプロセス

登録販売者は国に認められた比較的新しい資格ということもあり、主に医薬品業界を目指す方からの人気が高まっています。

こちらでは、登録販売者として活躍するまでのプロセスを3つのステップに分けてご紹介します。


登録販売者になるまでのプロセス


登録販売者試験に合格する

登録販売者として活躍するためには、まず登録販売者試験に合格する必要があります。


登録販売者試験は、各都道府県で年に1回、例年であれば8月下旬から12月中旬に実施されます。

試験を受けるためには、事前に願書を取り寄せて提出しなければなりません。

願書の入手方法には、ホームページからのダウンロードや郵送、現地での受け取りなどがあります。

提出期日に間に合うよう願書を用意し、受験料を支払ったうえで提出しましょう。


関連記事:2023年度登録販売者試験の日程や内容、合格率を紹介


販売従事登録を行う

登録販売者として就労するには、試験の合格だけでなく、都道府県に申請書を提出して販売従事登録をする必要があります。

申請書の入手方法は都道府県によって異なりますが、インターネット上でダウンロードできるケースがほとんどです。

申請書に必要事項を記入したら、合格通知書や医師による診断書を添付し、登録手数料を支払ったうえで提出しましょう。


申請が許可されると、窓口または郵送にて販売従事登録証を受け取ることができます。

登録証を受け取れば、正式に登録販売者として働けるようになります。

なお、就職前に試験に合格した場合は、就職先が決まってからでなければ申請できない点に注意しておきましょう。


個人で働く場合は実務従事証明書を申請する

販売従事登録をしたあと、登録販売者として1人で業務を担当するためには、直近5年以内に2年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験が必要です。

実務経験がない場合は、「登録販売者研修生」として仕事をすることになります。

研修生として働く場合、薬剤師や一定の権限をもった登録販売者のもとで指導を受けます。

そして実務経験を2年以上積めば、実務従事証明書の申請が可能です。


申請が許可されると、登録販売者として1人で店舗に立つことができます。

実務従事証明書の申請は、販売従事登録と同様に勤務地の都道府県で行います。

なお、2年間の実務経験は連続している必要はありません

育休などで現場を離れたとしても、通算で2年以上の実務経験があれば、実務従事証明書の申請が可能です。

ただし、直近5年間というルールを忘れないようにしましょう。


※令和5年4月1日、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令が施行されました。
これにより、「過去5年間のうち従事期間が通算して1年以上」かつ「就業時間が通算して合計1,920時間以上」であり、毎年の「継続的研修」と「店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修」を修了した場合にも、管理者要件を満たすこととなりました。

参考:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について


登録販売者資格試験の難易度や合格率は?

ここまで、登録販売者の仕事内容やメリット、取得のプロセスをご紹介しました。

ただ、登録販売者を目指すにあたって試験の難易度や合格率が気になる方も多いでしょう。

ここでは、登録販売者試験の過去の合格率や難易度をご紹介します。


登録販売者資格試験の難易度は?

登録販売者試験の合格率は、全国平均で40~50%前後となっています。

一定の難易度はありますが、計画的に勉強することで十分合格が可能な資格です。

ただし、登録販売者試験は都道府県ごとに出題内容が異なるため、合格率も変わってくるのが特徴です。

以下の表は、関東1都6県における2022年度試験の結果です。

都道府県名 合格率
東京都 41.5%
埼玉県 40.1%
神奈川県 44.6%
千葉県 39.8%
茨城県 48.3%
群馬県 57.1%
栃木県 43.4%

参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について


上記の表を見ると、もっとも合格率の低い千葉県ともっとも合格率の高い群馬県では、約17%の違いがあります。

受験者にとって、この差は大きいでしょう。

続いて、以下の表では2018~2022年度の直近5年間の試験について、合格率の高い都道府県と低い都道府県を3つずつご紹介します。


実施年度 合格率の高い都道府県 合格率の低い都道府県
2022年度 1位:佐賀県(59.3%)

2位:福岡県(58.3%)

3位:大分県(58.1%)

47位:高知県(29.8%)

46位:福井県(30.6%)

45位:島根県(33.8%)

2021年度 1位:山口県(68.8%)

2位:広島県(66.7%)

3位:岡山県(64.9%)

47位:秋田県(32.7%)

46位:鹿児島県(35.1%)

45位:福島県(35.4%)

2020年度 1位:広島県(58.1%)

2位:愛知県(56.0%)

3位:山口県(54.0%)

47位:埼玉県(30.1%)

46位:長野県(31.8%)

45位:山梨県(32.1%)

2019年度 1位:北海道(64.3%)

2位:宮城県(61.9%)

3位:青森県(61.0%)

47位:埼玉県(23.4%)

46位:千葉県(24.8%)

45位:高知県(25.0%)

2018年度 1位:北海道(58.6%)

2位:熊本県(57.0%)

3位:宮城県(56.6%)

47位:福井県(19.5%)

46位:岡山県(28.4%)

45位:鳥取県(28.5%)

参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について


実施年度によっても異なりますが、合格率1位と47位の都道府県を比較すると、40%近い差がある年もあります。

受験者数の違いもあるため、「合格率が高い=試験が簡単」というわけではありませんが、どの試験地を選ぶかは重要な問題です。


登録販売者試験は一部を除き都道府県単位で行われており、試験日もそれぞれ異なります。

過去の合格率や受験者数を確認し、少しでも不安があるなら、受験しやすい近隣の都道府県でも申し込んでおくのがおすすめです。

どの会場で合格しても、資格取得後は全国で働くことができます。


登録販売者の過去の合格率は?

こちらでは、受験資格の要件が撤廃された2015年度以降の登録販売者試験について、受験者数と平均合格率をご紹介します。

実施年度 受験者数 合格者数 合格率
(全国平均)
2022年度 55,606人 24,707人 44.4%
2021年度 61,070人 30,082人 49.3%
2020年度 52,959人 21,953人 41.5%
2019年度 65,288人 28,328人 43.4%
2018年度 65,500人 27,022人 41.3%
2017年度 61,126人 26,606人 43.5%
2016年度 53,369人 23,330人 43.7%
2015年度 49,864人 22,901人 45.9%

参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について


2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり受験者数が減りましたが、それまでは受験者数がおおむね増加傾向にあったことがわかります。

受験者数が増えているのは、合格後の就職先が幅広い点に魅力を感じる方が多いからだと考えられます。

「今後のため」「転職の際の選択肢を増やすため」、登録販売者の資格取得を目指す方が多いのです。


登録販売者試験は独学で合格できる?

登録販売者試験は、独学でも合格を十分に狙える試験です。

しかし、誰でも簡単に合格できるというわけではありません。独学のポイントを押さえ、計画的に対策する必要があります。


独学で登録販売者試験合格を目指す際のポイントは、以下の3つです。

  • スケジュール管理を徹底する
  • 集中できる勉強環境を整える
  • わからない点は自力で調べる

登録販売者試験は年に1度の実施であるため、確実に合格できるよう計画的に学習を進める必要があります。

苦手分野を残したままだったり、出題範囲をすべてカバーできなかったりすれば、貴重な合格のチャンスを逃してしまうかもしれません。


また、勉強に集中できる環境を整えることも大切です。勉強の質が悪ければ、合格する力はなかなか身につきません。

自宅で集中できない場合は、カフェやコワーキングスペースを利用するなど工夫しましょう。


さらに、独学ではわからない点を自分で調べて解決する必要がある点も要注意です。

理解があいまいなまま放置すれば、その後の学習に支障をきたし、本番でうまく得点できなくなります。

独学に不安を感じる方は、通信講座やオンライン講座を利用するのも1つの手です。


登録販売者資格に関するよくある質問

ここでは、登録販売者資格に関するよくある質問についてまとめました。


登録販売者の資格試験は誰でも受けられる?

登録販売者試験には受験資格がなく、年齢や経験、学歴に関係なく誰でも受けられるのが特徴です。

以前は受験資格として「学歴要件」と「実務経験」が定められていましたが、2015年4月以降、これらの要件は撤廃されました。

誰でも受けることができ、合格後は全国で登録販売者として就労できるため、コストパフォーマンスに優れた資格として人気を集めています。


ただし、前述の通り1人で医薬品を販売するためには、直近5年間で2年以上等の実務経験が必要です。

受験資格としての実務経験は撤廃されましたが、正規の登録販売者として働くには、依然として実務経験が欠かせません。

また、店長職のような店舗管理者になる場合も、上記の実務経験が求められます。


登録販売者の将来性は?なくなるって本当?

登録販売者は、今後も医薬品業界になくてはならない存在として一定以上の需要があると考えられます。

将来性を裏付ける具体的な根拠として、以下の3つが挙げられます。

  • セルフメディケーションの推進が期待できる
  • 地域包括ケアシステムの確立を支えられる
  • 薬剤師と比較して人件費が抑えられる

現在、軽い体調不良であれば一般用医薬品を利用して自分で手当てする「セルフメディケーション」が推進されています。

登録販売者は薬の効用や副作用に関してアドバイスが可能なため、セルフメディケーションの推進において重要な役割を果たせるのです。

また、住み慣れた地域で高齢者が暮らし続けるための「地域包括ケアシステム」の確立が近年注目されています。

各地域における医療や介護の需要増加を考えれば、医薬品に関して高い専門性と知識を有する登録販売者の存在はますます欠かせなくなるといえます。


さらに、登録販売者に対応可能な業務に限りますが、薬剤師を採用するより人件費を抑えられる点は店舗運営者にとって大きなメリットです。

今後も、一般医薬品販売の現場における需要は高まっていくと考えられるでしょう。


関連記事:登録販売者は将来性がある?


登録販売者の年収目安は?

登録販売者として働いた場合の年収目安は、300〜400万円です。

月収に換算すると、20〜25万円程度となります。

ほかの医療系の仕事では、医療事務が250~350万円、調剤薬局事務が270〜320万円程度が相場となっているため、登録販売者の年収は比較的高いといえるでしょう。

また、ドラッグストアや薬局以外でも、常駐の登録販売者がいる場合は医薬品の一部が販売できるようになったことで、登録販売者を店舗責任者として採用するケースも増えてきました。

店舗責任者として働く場合は、月収30~35万円程度と相場よりも高い収入が期待できます。


関連記事:登録販売者の給料相場は高い?就職先や将来性についてもあわせて解説


登録販売者の資格だけ取るのはあり?

登録販売者の資格には、試験合格後の有効期限が特に設定されていません。

つまり、試験合格後に販売従事登録をしなかったからといって資格は失効しないのです。

ただし、前述の通り1人で一般医薬品販売を行うには「直近5年以内に2年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験」もしくは「直近5年以内に1年以上かつ通算1,920時間以上の実務経験及び指定の研修」が必要となります。

資格だけ取得しても問題はありませんが、実務経験を積み登録販売者研修生の期間を終えるまで時間がかかることを把握しておきましょう。


また、試験合格から販売従事までの期間が空きすぎると、知識が抜けてしまったり、最新の医薬品事情を学び直す必要が生じたりする可能性があります。

登録販売者としてキャリアを積んでいきたいなら、合格後早めに勤務を開始するのがおすすめです。


まとめ

本記事では登録販売者資格について、仕事内容や取得のメリット、試験の難易度をまとめて解説しました。

ポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 登録販売者が国家資格であるかどうかは見解が分かれる
  • しかし、国に認められた公的な資格であることは間違いない
  • 登録販売者の資格を取得するとさまざまな業種で活躍できる
  • 資格試験は年齢や学歴に関係なく誰でも受験可能
  • 資格試験の合格率は40~50%前後が目安
  • 独学でも合格を目指せるが、不安な場合は通信講座の利用がおすすめ

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