ここでは、近年の登録販売者試験の合格率や「意外と合格率が低い」とされる理由について解説します。
登録販売者試験の合格率は実施年度によって異なりますが、全国平均で40〜50%前後となっています。
一定の難しさはありますが、意欲的に勉強することで十分合格が可能な資格です。
これまでの年度別合格率を以下の表にまとめました。
実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 (全国平均) |
2023年 | 51,775人 | 22.814人 | 44.1% |
2022年 | 55,606人 | 24,707人 | 44.4% |
2021年 | 61,070人 | 30,082人 | 49.3% |
2020年 | 52,959人 | 21,953人 | 41.5% |
2019年 | 65,288人 | 28,328人 | 43.4% |
2018年 | 65,500人 | 27,022人 | 41.3% |
2017年 | 61,126人 | 26,606人 | 43.5% |
2016年 | 53,369人 | 23,330人 | 43.7% |
2015年 | 49,864人 | 22,901人 | 45.9% |
2014年 | 31,362人 | 13,627人 | 43.5% |
2013年 | 28,527人 | 13,381人 | 46.9% |
2012年 | 28,050人 | 12,261人 | 43.7% |
2011年 | 33,913人 | 16,007人 | 47.2% |
2010年 | 39,116人 | 18,510人 | 47.3% |
2009年 | 44,788人 | 21,209人 | 47.4% |
2008年※ | 91,024人 | 58,715人 | 64.5% |
参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」
※2008年のみ、年に2回試験が実施されました。
登録販売者試験は、しっかり学習すれば誰でも受かる難易度ともいわれます。
しかし、合格率が40~50%前後となっていることからも、約半数は不合格になっているのです。
登録販売者試験の合格率が「意外と低い」とされる理由には、以下のような背景があると考えられます。
まず、ドラッグストアなどで販売される医薬品の取り扱いということもあり、学習内容は専門的かつ幅広いです。
「誰でも受かる」と聞いて安易に独学で取り組むと、出題範囲をうまくカバーできない可能性があります。
また、誰でも受験可能だからこそ、対策が十分でない方の受験も多くなります。
例えば、登録販売者より難易度が高いとされる薬剤師の試験合格率は60~70%前後です。
薬剤師の試験は6年制薬学課程の修了が受験資格として定められているため、そもそも受験者の知識レベルが高い傾向にあるのです。
登録販売者試験は知識や経験に関係なく誰でも受験可能なため、そのぶん不合格者が出やすく、「薬剤師より簡単と聞いたのに、意外と合格率は低い」と思われてしまうのでしょう。
しかし、油断せずにしっかりと対策すれば、もともと専門知識がない方でも十分に合格を目指せる試験です。
ここでは、登録販売者試験の都道府県別の状況について、2023年度のデータをもとに解説します。
登録販売者の試験は、年に1回各都道府県ごとに実施されます。
地域によって試験内容が異なるため、合格率も変わってくるのが特徴です。
2023年度(令和5年度)の試験結果について、以下の表にまとめました。
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参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」
上記の図から、合格率は都道府県ごとに差があることがわかります。
2023年度の試験では、もっとも合格率の高い群馬県(55.2%)ともっとも合格率の低い高知県(21.4%)で約33%の違いがありました。
実施年度によって異なりますが、合格率1位と47位の都道府県を比較すると、40%近い差がある年もあります。
一概に「合格率が高い=試験が簡単」ということではありませんが、どの試験地を選ぶかは重要な問題です。
登録販売者試験は一部を除いて都道府県単位で行われており、試験日もそれぞれ異なります。
過去の合格率や受験者数を確認し、少しでも不安があれば、受験しやすい近隣の都道府県で申し込んでおくのもありです。
どの会場で合格しても、資格取得後は全国で働くことができます。
実施年度 | 合格率の高い都道府県 | 合格率の低い都道府県 |
---|---|---|
2023年 | 1位:群馬県(55.2%) 2位:大分県(54.9%) 3位:奈良県(54.2%) |
47位:高知県(21.4%) 46位:香川県(24.9%) 45位:愛媛県(25.3%) |
2022年 | 1位:佐賀県(59.3%) 2位:福岡県(58.3%) 3位:大分県(58.1%) |
47位:高知県(29.8%) 46位:福井県(30.6%) 45位:島根県(33.8%) |
2021年 | 1位:山口県(68.8%) 2位:広島県(66.7%) 3位:岡山県(64.9%) |
47位:秋田県(32.7%) 46位:鹿児島県(35.1%) 45位:福島県(35.4%) |
2020年 | 1位:広島県(58.1%) 2位:愛知県(56.0%) 3位:山口県(54.0%) |
47位:埼玉県(30.1%) 46位:長野県(31.8%) 45位:山梨県(32.1%) |
2019年 | 1位:北海道(64.3%) 2位:宮城県(61.9%) 3位:青森県(61.0%) |
47位:埼玉県(23.4%) 46位:千葉県(24.8%) 45位:高知県(25.0%) |
2018年 | 1位:北海道(58.6%) 2位:熊本県(57.0%) 3位:宮城県(56.6%) |
47位:福井県(19.5%) 46位:岡山県(28.4%) 45位:鳥取県(28.5%) |
2017年 | 1位:北海道(62.4%) 2位:宮城県(62.1%) 3位:秋田県(60.5%) |
47位:沖縄県(26.7%) 46位:鳥取県(27.1%) 45位:山口県(27.1%) |
2016年 | 1位:兵庫県(55.8%) 2位:静岡県(55.7%) 3位:愛知県(55.2%) |
47位:島根県(27.0%) 46位:山口県(28.5%) 45位:岡山県(30.4%) |
参考:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」
ここでは、以下3つのポイントで登録販売者試験の難易度を見ていきます。
登録販売者試験では、第2類医薬品・第3類医薬品の販売に必要な知識が問われます。
厚生労働省が公開している「登録販売者試験問題作成に関する手引き」に沿って問題が作成され、以下の5つに分けて出題されます。
手引きの内容さえマスターしておけば合格が可能なため、難易度の高い試験ではありません。
しかし、医薬品の販売という専門的な内容であること、出題範囲が幅広いことから、計画的な学習によって着実に知識を定着させる必要があります。
関連記事:2023年度登録販売者試験の日程や内容は?過去の合格率も紹介
登録販売者試験に合格するためには、以下2つの基準を満たす必要があります。
各科目で最低でも40%(都道府県によっては35%)を取得したうえで、全体を通じて70%以上の得点が必要です。
5つの科目を網羅的に学習し、取りこぼしがないように対策することが大切です。
医薬品に関する資格としては、登録販売者のほかに薬剤師や調剤事務管理士が挙げられます。
薬剤師は、登録販売者では扱えない第1類医薬品の販売のほか、調剤も可能な資格です。
薬剤師の合格率は60~70%前後と高い傾向にありますが、そもそも受験資格として6年制薬学課程の修了が設けられています。
難易度・受験資格の観点から、登録販売者よりもハードルの高い試験だといえます。
調剤事務管理士は、処方せんの受け取りや顧客情報の入力、会計など調剤薬局での事務全般を担当できる資格です。
合格率は70~80%と高く、必要な勉強時間も登録販売者より短いとされています。
しかしそのぶん、担当できる仕事はあくまで「事務」であるため、登録販売者のように医薬品を自身で取り扱うことはできません。
登録販売者は、受験資格がなく誰でもチャレンジできる資格でありながら、医薬品の販売まで担当できる専門性の高い資格だといえます。
関連記事:登録販売者資格とは?仕事内容や取得のメリット、難易度を解説
ここでは、登録販売者試験の合格に向けた勉強方法について解説します。
登録販売者試験の対策を効率よく進めるには、以下5つのポイントが重要です。
登録販売者試験はある程度問題形式が決まっているため、出題パターンを把握することで効率よく対策できます。
また、すべて記号問題であるため、文章を書く練習などは必要ありません。
通勤や通学などの時間にも学習を進めやすいでしょう。
出題範囲は広いため、忙しい学生・社会人にとってはスキマ時間を有効活用できるかどうかが合否を大きく左右します。
さらに、問題作成の元となる「手引き」に改定があった場合はしっかりどこが変更になったかチェックすること、試験本番に合わせて前半・後半に分けて対策することも重要になるでしょう。
登録販売者試験では、前半120分、後半120分の2つの試験を1日で受験します。
地域によって前半・後半での科目の分け方が異なるため、自分の地域ではどんな科目の順番で出題されるか確認しておきましょう。
登録販売者試験は問題の難易度が高いわけではないため、独学でも合格は可能です。
しかし、幅広い出題内容をカバーしたうえで合格基準を満たすためには、しっかりと学習計画を立てたうえで自己管理していく必要があります。
より確実に合格を目指したい場合は、完成されたカリキュラムで学べる通信講座やオンライン講座を利用するほうがよいでしょう。
オンライン講座なら、スマートフォン1つで手軽に学習を進められます。
関連記事:登録販売者試験の合格に必要な勉強時間の目安は?具体的な対策方法も解説
登録販売者試験は地域によって合格率に差がありますが、出題範囲や問題の形式が異なるわけではないため、試験対策も地域ごとに分けて考える必要はありません。
登録販売者になると、お客様のお話を伺いながら、その方に合った医薬品や対処方法をアドバイスすることになります。
地域によって医薬品について説明する内容が変わることはないため、出題範囲が全国共通であることは当然といえるでしょう。
問題の形式も共通で、全120問すべて記号問題となっています。
地域ごとに試験が行われると聞くと、「○○県と××県では勉強内容も変わるのかな?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、出題範囲も問題形式も共通であり、地域ごとに勉強内容を分けて考える必要はありません。
もちろん、地域によって出題傾向に違いが見られることはあります。
出題傾向の違いとは、例えば「東京都では漢方の問題が3問あったが、北海道では1問しか出なかった」というようなものです。
注意してほしいのは、出題傾向は毎年変化する可能性があるということです。
例えばある地域の試験問題について、今まで漢方の問題が少なかったとしても、翌年から漢方の問題が増えるといったことはよくあります。
だからこそ、登録販売者の試験対策では、自身の地域の出題傾向にこだわるよりも、傾向が多少変わっても対応できるようまんべんなく準備しておくことが重要です。
地域ごとの合格率を気にしすぎず、どの地域でも出題されるような重要事項、基本事項の問題をミスなく解けるようにしておくことが大切だといえます。
本記事では、登録販売者試験の合格率や難易度、都道府県別の状況について解説しました。
ポイントをまとめると、以下の通りです。
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