
一部医薬品の販売が可能になる登録販売者は、店頭でお客様のお役に立てるだけでなく、給与アップにつながる可能性もある魅力的な資格です。しかし、すぐに働けるかわからない場合、どのタイミングで資格を取得すべきか悩む方もいるでしょう。
本記事では、登録販売者の資格だけ取るのはありなのか、すぐに働かない場合どのようなリスクがあるのか解説します。登録販売者の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
登録販売者の資格だけ取るのはあり?
登録販売者試験は、薬局やドラッグストアなどで一部医薬品を販売できる資格です。
ここでは、登録販売者の資格だけ取るのはありなのか、制度や仕組みを解説します。
実務経験なしでも受験できる
登録販売者試験は実務経験なしで受験できるため、先に資格だけ取ることは可能です。
登録販売者試験には、特別な受験資格がありません。
2014年以前は学歴や実務経験が要件として定められていましたが、2015年度の制度改正により撤廃され、誰でも挑戦できるようになりました。
登録販売者は医薬品についてお客様に説明する役割を担うため、専門知識が求められます。
そのため、医薬品の知識がない状態から合格できるか不安に感じる方もいるでしょう。
しかし、資格試験自体はマークシート形式で比較的対策しやすいものとなっており、合格率は40~50%前後です。
登録販売者試験の合格率は実施年度によって異なりますが、全国平均で40〜50%前後となっています。
「まだ働くのは先だけど、今のうちに資格だけ取っておく」という選択は十分ありだといえます。
関連記事:登録販売者資格とは?仕事内容や取得のメリット、難易度を解説
資格が失効することはない
登録販売者の資格には、試験合格後の有効期限がありません。
そのため、合格後すぐに働かなくても、数年後にパートやアルバイト、正社員として求人に応募することが可能です。
勤務先が決まったら、販売従事登録を行ったうえで登録販売者として勤務を開始します。
試験合格後に期間が空くことは問題ありませんが、販売従事登録の際には試験の合格通知書が必要になるため、大切に保管しておきましょう。
また、登録販売者として一度働いたあとに一旦休職し、数ヶ月や数年といった期間を空けて再度就職することももちろん可能です。
一度取得してしまえばその後ずっと活用できるため、勉強する余裕があるうちに取得しておくのも1つの手です。
関連記事:登録販売者の販売従事登録とは|必要な手続きや期限、登録料について解説
実務従事証明書を取得したい場合は要注意
受験資格は撤廃されましたが、正式な登録販売者として働くには「試験合格」と「実務経験」の2つが必要です。
そして、実務経験のある「管理者要件を満たす登録販売者」であることを証明するためには「実務従事証明書」を取得しなければなりません。
登録販売者には、店舗管理者や区域管理者になることができる「管理者要件を満たす登録販売者」と、「研修中の登録販売者」に分けられます。
管理者要件を満たす登録販売者は、医薬品を一人で販売することができます。
研修中の登録販売者は、医薬品を一人で販売できず、薬剤師や、管理者要件を満たす登録販売者の管理・指導のもとで勤務しなければなりません。
また、その旨が容易に判別できるように、名札に「研修中」などと表記する必要があります。
管理者になるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 一般従事者または登録販売者として過去5年のうち2年以上勤務※
- 一般従事者または登録販売者として過去5年のうち1年以上勤務※かつ店舗の管理などの追加的な研修を修了
- 一般従事者または登録販売者として過去5年のうち1年以上勤務※かつ過去に店舗管理者等の経験がある
※別途、通算の従事時間などに関する規定もあり
単独で業務を任せられないため、正規の登録販売者と比べて求人件数や給与の面で見劣りする可能性が高いでしょう。
管理者要件を満たして実務従事証明書を取得できれば、店舗責任者になることも可能となり、キャリアアップにつながりやすくなります。
関連記事:登録販売者に必要な実務経験とは?期間や時間などの条件、証明書について解説
登録販売者の資格取得後すぐに働かないリスクとは
登録販売者の資格取得後、すぐに働かない場合のリスクとしては以下の2つが挙げられます。
- 実務経験を積めない
- 知識がアップデートされない
それぞれの内容を見ていきましょう。
実務経験を積めない
前述の通り、「研修中」を卒業するには、管理者要件を満たす登録販売者になる必要があります。
管理者要件を満たしていなければ、単独での医薬品販売や店舗責任者としての勤務ができないため、期待した給与を得られない可能性があります。
登録販売者としてキャリアアップを狙っている場合は、早めに実務経験を積んで研修期間を終えるほうがよいでしょう。
知識がアップデートされない
登録販売者の資格取得から期間が空いた場合、知識や情報が追いつかなくなるといったデメリットも考えられます。
医薬品の種類や医薬品に関する法律、健康についての情報などは日々アップデートされていくからです。
また、試験のために勉強して知識を身につけても、業務のなかで知識を活用していなければすぐに忘れてしまうでしょう。
登録販売者として業務にあたる場合、年に1度外部研修を受講することになります。
日々の業務や外部研修を通じ、必要な知識をアップデートし続けることで、お客様に対して適切な説明が可能になります。
改めて知識をインプットするのが大変だと感じる場合は、資格取得後すぐに働き始めるほうがよいでしょう。
登録販売者は実務経験なしでも採用される?
未経験であっても、登録販売者として仕事先を見つけることは十分可能です。
前述の通り、受験資格としての実務経験は撤廃されており、試験合格後に未経験の状態から勤務する人は少なくありません。
まずは薬局やドラッグストアなど、複数の薬剤師・登録販売者がいる店舗で実務経験を積むとよいでしょう。
店舗管理者や区域管理者になることができる「管理者要件を満たす登録販売者」になれば、正社員就職や転職がしやすくなります。
政府による「セルフメディケーション(軽度の体調不良であれば、一般用医薬品などを使って自身でケアするという取り組み)」の推進などを背景として、登録販売者の需要は高まっています。
また、ドラッグストア以外にもスーパーやコンビニ、ホームセンターなど医薬品を販売する店舗は増えているため、働き口の幅も広がっているのです。
実務経験がない状態であっても、しっかりとステップを踏むことでキャリアアップが可能になります。
関連記事:登録販売者の就職先はドラッグストア以外にもある?多様な働き方を紹介
まとめ
本記事では、登録販売者の資格だけ取るのはありなのか、すぐに働かない場合どのようなリスクがあるのか解説しました。
ポイントをまとめると、以下の通りです。
- 登録販売者試験は受験資格がなく、誰でも受験可能
- 有効期限はないため、先に資格だけ取るのもあり
- ただし、管理者要件を満たす登録販売者になるためには最低1年の実務経験が必要
- また、試験合格から期間が空くと業務に必要な知識が抜けてしまう
- キャリアアップを狙うなら、早めに実務を開始するのがよい
- 登録販売者の需要は高まっており、未経験の求人も十分見つかる
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