ビジネス実務法務検定1級は、2級・3級と比較すると非常に難易度が高い試験です。
まずは、ビジネス実務法務検定1級の合格率と難易度を見ていきましょう。
以下の表は、2022年度に実施されたビジネス実務法務検定試験1級のデータをまとめたものです。
受験者数 | 603名 |
実受験者数 | 481名 |
合格者数 | 43名 |
合格率 | 8.9% |
表をみると、1級の受験者数は少ないだけでなく、合格率も10%未満と低いことがわかります。
同年の2級の合格率は51.6%、3級の合格率が83.2%であることからも1級の難易度は非常に高いです。
ビジネス実務法務検定1級の合格率を見ると、難関資格ともいえるレベルです。
3級と2級の試験は多肢選択式試験だったのに対して、1級の試験は論述形式なのも難易度に影響しています。
さらに、2級と3級は試験時間が90分だったのに対し、1級の試験は90分の試験が2回行われ、合計すると3時間です。
出題範囲は2級・3級と被っていますが、1級では業務に必要な法務知識をビジネス全般にわたって備えており、その知識に基づいて多面的な観点から高度に判断・対応できるスキルが求められます。
実務対応スキルが求められるため、六法全書を持ち込みできるからといって難易度が低くなるわけではありません。
難易度は高いですが、試験日までの計画を立てて、着実に実力を身に付けていけば合格は十分に狙えます。
ビジネス実務法務検定1級の合格に必要な勉強時間は、200〜250時間程度が目安です。
2級や3級よりも難易度が上がるため、1日2時間勉強したとしても約4ヶ月の勉強期間が必要になります。
毎日勉強時間を確保するのが難しい場合は、勉強に半年以上かかるケースも珍しくありません。
以下の表は、1級・2級・3級の試験合格に必要な勉強時間の目安をまとめたものです。
ビジネス実務法務検定 | 勉強時間の目安 |
1級 | 200〜250時間 |
2級 | 100時間以上 |
3級 | 45~60時間 |
2級と3級に比べてなぜ、1級合格に必要な勉強時間がこれだけ増える理由の1つは、出題方式が関係していると考えられます。
先ほどもお伝えしましたが、2級・3級は選択式なのに対して、1級の試験は論述式です。
2級・3級で身に付けた知識を、自分の言葉で言語化して、意見を述べなければいけません。
そのため、2級・3級の試験を暗記で乗り越えた人は特に、多くの勉強時間を必要とするでしょう。
ビジネス実務法務検定の2級は1日1〜2時間の勉強を約2カ月、3級は1日1時間の勉強を約1〜2カ月続けると合格を十分に狙えます。
勉強時間の確保が難しい方は、2級・3級の取得から始めるのも1つの方法です。
ビジネス実務法務検定1級に合格するための対策は、以下の3つです。
それぞれの対策を具体的に見ていきましょう。
ビジネス実務法務検定1級では、2級・3級で勉強した内容が問題を解くのに必要です。
そのため、2級・3級の復習をすることが、1級攻略のポイントの1つとなります。
ただし、1級は闇雲に勉強しても合格できません。
合格するためには、まず自分がどのくらいの知識を有していて、合格するために何が足りないのかを把握する必要があります。
2級・3級の復習から始め、新たに1級に必要な知識をつける順番で進めると、少しずつ試験に向けて知識を身に付けられます。
その後は問題演習を繰り返して、インプットした知識をアウトプットする力を身につけると、さらに問題解答力が上がるでしょう。
何から始めたらよいのかわからない場合は、2級・3級の内容の復習から始めてみてください。
ビジネス実務法務検定1級は、問題集を活用して学習することで効率よく勉強できます。
合格者の多くは、問題集を中心に復習を繰り返しています。
テキストや講義でインプットするだけでなく、問題演習で知識をアウトプットすると、自分の苦手・得意分野も把握できるでしょう。
浮かび上がった苦手分野を参考書と併用しながら克服すれば、効率よく問題解答力が身につくというわけです。
資格試験対策には、過去問も繰り返し活用するとより良いです。
ビジネス実務法務検定の公式ページでは、1級の過去問が公開されているので、どのような問題が出題されるのか確認してみてください。
ただし、解答は公表されていないため、商工会議所の公式テキストなどを用いながら、ビジネス実務法務検定1級合格のためのスキルを身に付けましょう。
ビジネス実務法務検定1級を勉強する場合は、先ほど解説した勉強時間を参考に、試験日から逆算して学習計画を立てることが大切です。
合格に必要な勉強時間の目安と日常的に勉強に割ける時間がわかれば、どのぐらいの期間勉強を続ければ良いか判断できます。
そして、試験日から逆算して学習計画を立てると、合格までの勉強のペース配分がわかり、モチベーションを維持しやすくなります。
一方で、何も計画を立てずに勉強した場合、思った以上に出題範囲の勉強に時間がかかって、十分に勉強できないまま本番を迎えることもあるでしょう。
試験に不合格になると自信を失ったり、次回の勉強へのモチベーションも下がったりするため、できる限り少ない回数で合格できるのが理想です。
ビジネス実務法務検定1級は年に1度しか実施されないため、十分な学習計画を立てて着実に合格を目指してください。
「ビジネス実務法務検定は本当に役立つの?取得しても意味ないのでは?」と思っている方も、いるかもしれません。
ビジネス実務法務検定1級は、決して意味のない資格ではありません。
取得すると、以下のメリットがあります。
ビジネス実務法務検定1級の資格は、業務に必要な法務知識を実務に対応できるほど詳しいことの証明です。
特にコンプライアントを重んじる企業からの印象はよく、法律知識を持っているとして高く評価される可能性があります。
ここでは、ビジネス実務法務検定試験1級のCBT方式における試験概要をご紹介します。
以下の表は、2023年度CBT方式試験の詳細をまとめたものです。
▼ビジネス実務法務検定1級の試験概要
申込期間 | 例年11月中旬 |
試験日 | 例年12月の第一日曜日 |
試験時間 | 前半・共通問題:90分(集合時間10時00分)
後半・選択問題:90分(集合時間13時00分) |
受験場所 | テストセンターに備えられたパソコンで受験 |
試験形式 | 論述形式 |
受験資格 | 学歴や年齢、性別などによる制限なし |
合格基準 | 共通問題・選択問題2問の200点満点のうち、各問題に得点が50%以上かつ合計点が140点以上 |
申込期間が1週間しか設けられていないため、受験希望の方は忘れずに申請を済ませましょう。
また、申込期間から試験日までは約1ヶ月しか時間がありません。
早い段階で受験を決めた方は、この記事でご紹介した勉強方法を参考にして、計画的に試験対策に臨んでください。
ビジネス実務法務検定1級では、1級を受験した方の幅広い活躍の支援を目的に、準1級制度を設けています。
不合格者の得点上位者を1級合格に準じて「準1級」と認定する仕組みです。
得点と合否の区分の関係性は、以下の表をご覧ください。
得点の幅 | 合否の判定 |
200点〜140点 | 合格 |
準1級
(共通問題2問・選択問題2問のどちらかで得点50%未満の問題がある受験者) |
|
139点〜110点 | 準1級 |
109点〜0点 | 不合格 |
上記のように獲得した点数に応じて準1級が設けられているため、合格基準点まで到達できなかったとしても、すぐに諦めないようにしましょう。
準1級認定対象者には、認定証が発行されます。
ビジネス実務法務検定1級に関するよくある質問についてまとめました。
ビジネス実務法務検定試験1級と行政書士は、どちらも合格率が低く難易度の高い試験です。
とはいえ、受験者の層やビジネス実務法務検定試験が民間資格、行政書士が国家資格である点なども踏まえると簡単に比較できる試験ではありません。
もし、どちらを取得しようか考えているのであれば、将来的な自分の働き方や現状のスキルなどから選ぶことをおすすめします。
ビジネス実務法務検定1級は、いきなり受験することが可能です。
ただし、合格には2級・3級の知識が必要になるため、まずは2級または3級から勉強することをおすすめします。
2級または3級から受験すると、少しずつ知識をつけるだけでなく保有している資格を増やしたうえで1級の取得を目指せるのがメリットです。
2級・3級の勉強方法は1級と同様に、勉強時間を確保して問題演習を中心に繰り返し対策すれば合格を狙えます。
独学が苦手な方は通信講座などを受講しつつ、効率よく問題解答力を身につけましょう。
ビジネス実務法務検定試験1級は、2級・3級と比較して難易度の高い試験です。
合格率が低く出題範囲が広いため、合格まで200〜250時間程度の勉強期間を必要とします。
改めて、今回ご紹介した内容をおさらいしましょう。
スタディングでは、効率よくビジネス実務法務検定試験の対策ができるオンライン講座を用意しております。
まずは2級や3級から受験しようとお考えの方は、ぜひご活用ください。