メンタルヘルス・マネジメント®検定、いきなりⅠ種を受けても大丈夫?どのコースから受験するべき?

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メンタルヘルス・マネジメント®検定には3つのコースがあります。

「どのコースから受けたらいいのか」「いきなりⅠ種を受けても大丈夫なのか」と迷う方もいることでしょう。

この記事では、メンタルヘルス・マネジメント®検定でいきなりⅠ種を目指すべき人の特徴や、いきなりⅠ種を目指す前に確認しておくことなどについて解説します。

3つのコースの違いやコース別出題傾向についてもお伝えするので、最後までご覧ください。

初めてメンタルヘルス・マネジメント®検定を受ける場合、どのコースを受けるべき?

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は、全部で3つのコースにわかれています。

それぞれのコースで、対象者となる役職、到達目標、試験範囲、試験形式、受験料などに違いがあります。

Ⅰ種(マスターコース)がもっとも難易度が高く、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅲ種(セルフケアコース)の順に難易度が易しくなります。

Ⅰ種(マスターコース)はもっともレベルの高い試験で、対象者は人事労務管理スタッフや経営幹部とされています。

Ⅱ種(ラインケアコース)の対象者は管理監督者(管理職)です。
ですが、一般社員の方が学ぶのもおすすめのレベルとなっています。

もっとも受験者数が多いのもⅡ種です。

Ⅲ種(セルフケアコース)がもっとも易しいレベルの試験で、対象者は一般社員です。

コース対象者
Ⅰ種人事労務管理スタッフや経営幹部
Ⅱ種管理監督者(管理職)
Ⅲ種一般社員

3種類のコースのおもな違いは?

Ⅲ種とⅡ種はマーク形式の選択問題のみで試験が行われますが、Ⅰ種は選択問題に加えて論述問題も課される点が大きな違いです。

Ⅲ種とⅡ種は年に2回、3月と11月に試験があります。
Ⅰ種は年1回、11月のみの実施です。

なお、各試験に受験資格は一切ありません。

また、下位の試験に合格していないと上位の試験に挑めない…などの制約もありませんので、たとえば「Ⅲ種に合格しなければⅡ種は受けられない」といったこともありません。

それぞれのコースの到達目標は?

試験の公式ホームページでは、それぞれのコースの到達目標について、下記のように紹介されています。

コース到達目標
Ⅰ種自社の人事戦略・方針を踏まえたうえで、メンタルヘルスケア計画、産業保健スタッフや他の専門機関との連携、従業員への教育・研修等に関する企画・立案・実施ができる。
Ⅱ種部下が不調に陥らないよう普段から配慮するとともに、部下に不調が見受けられた場合には安全配慮義務に則った対応を行うことができる。
Ⅲ種自らのストレスの状況・状態を把握することにより、不調に早期に気づき、自らケアを行い、必要であれば助けを求めることができる。

引用:大阪商工会議所ホームページ https://www.mental-health.ne.jp/about


3種類のうち受験するコースを選ぶ際は、自分の到達目標とマッチする試験を目標としてください。

メンタルヘルス・マネジメント®検定のコースを選ぶ際にとくに迷われるのが、「Ⅱ種を取りたいと思うけれど、Ⅲ種から順番に受験した方がよいかどうか」という点だと思います。

結論から言いますと、Ⅱ種を取りたい場合は、いきなりⅡ種からチャレンジして問題ありません。

Ⅲ種に合格しないとⅡ種を受験できない、などの受験資格の縛りは無いですし、試験の難易度からも、初めてメンタルヘルス・マネジメント®検定の学習をする人が、いきなりⅡ種を目指しても十分合格を狙えます。

コースを選ぶ際は、ご自身が必要だと思うスキルに合わせてみてください。

コース試験開催月試験形式受験資格
Ⅰ種例年11月のみ選択式+論述式なし
Ⅱ種例年3月、11月選択式のみなし
Ⅲ種例年3月、11月選択式のみなし

メンタルヘルス・マネジメント®検定、いきなりⅠ種を受けてもOK!合格も狙える!

メンタルヘルス・マネジメント®検定は、いきなりⅠ種を受けても差し支えありません。

前述のように、メンタルヘルス・マネジメント®検定には受験資格が設けられていないため、誰でも受験が可能です。

いきなりⅠ種を受けて合格した人も一定数いることから、Ⅲ種・Ⅱ種の合格を経ず、いきなりⅠ種を受ける人でも合格を狙えることがわかります。

ただし、以下のようにⅡ種やⅢ種と大きく異なる点もあり、難易度が高くなるのも事実です。

  • Ⅰ種は年1回しか受験できない
  • 選択問題に加えて論述問題もあるため、正確な知識や記述力も必要となる
  • Ⅱ種やⅢ種との関連講座が少なく、覚えることが膨大である

実際、Ⅱ種やⅢ種と比べて受験者数が少なく、合格率も低水準です。

Ⅰ種の合格率は20%にとどまっており、狭き門であることがわかります。

いきなりⅠ種を受ける難易度は高いものの、出題傾向を知り、正しく対策することで合格を目指せるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の出題傾向については、後ほど解説します。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験でいきなりⅠ種を目指すべきはこんな人

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験でいきなりⅠ種を目指すべき人は、人事労務を管理する人や会社の経営に携わる人です。

このような人がメンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種を取得すると、メンタルヘルスケア計画を策定する場合や、従業員にメンタルヘルス教育を行う場合などに、その知識を有効活用できます。

ちなみに、人事労務を管理する人や会社の経営に携わる人が仕事に資格を役立てたいなら、Ⅱ種・Ⅲ種を受験するのはおすすめできません。

Ⅱ種やⅢ種のおもな出題範囲は、メンタルヘルスの概要や、部下や自分自身に対するケアに関する内容です。

実務に直接関係のない知識が多いため、時間の無駄になってしまうこともあります。

もちろん、自分自身のためにメンタルヘルスを学びたいといった場合は、Ⅱ種・Ⅲ種を受験する意味はおおいにあると考えられます。

どのような目的でメンタルヘルス・マネジメント®検定試験を受けるのかを明確にすることで、いきなりⅠ種を目指すべきかどうか判断できるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験でいきなりⅠ種を目指す前に確認しておくこと

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験でいきなりⅠ種を目指す前に、自分の立場や受験する目的を確認しておきましょう。

お伝えした通り、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は、コースによって対象者や目的が異なります。

Ⅰ種の対象者は、人事労務を管理する人や会社の経営に携わる人です。

また目的は、社内のメンタルヘルス対策の推進とされており、その目的に沿った問題が出題されます。

そのため、一般社員や管理職社員がⅠ種を取得しても現場で活用できず、大きなメリットも感じられないでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント®検定のⅠ種は、Ⅱ種・Ⅲ種の上位資格ではありません。

自分の立場や目的を明確にして、受験するコースを選ぶのがおすすめです。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験のコース別出題傾向

メンタルヘルス・マネジメント®検定の問題は、各コースの到達目標を踏まえた内容となっています。

各分野の出題される比重も到達目標に合わせて設定されているため、受験勉強によって必要な知識を得られるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験のコース別出題傾向について、くわしく紹介します。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種(マスターコース)の出題内容は、以下のように発表されています。

①企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
②メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
③ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
④人事労務管理スタッフに求められる能力
⑤メンタルヘルスケアに関する方針と計画
⑥産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
⑦相談体制の確立
⑧教育研修
⑨職場環境等の改善
※論述問題について 論述問題は、実務を遂行するうえで必要な知識とその応用力、総合的判断力などを問います。

引用:大阪商工会議所ホームページ https://www.mental-health.ne.jp/about/

過去に出題された各分野の問題数は以下です。

※今後の試験でも同じ問題数で出題されるとは限りません。

Ⅰ種マスターコース出題内容第35回2023年11月実施第33回2022年11月実施第31回2021年11月実施第29回2020年11月実施第27回2019年11月実施
第1問 意義10101099
第2問 活動領域と役割44455
第3問 基礎知識55544
第4問 求められる能力44444
第5問 方針と計画33322
第6問 心の健康管理推進88888
第7問 相談体制77788
第8問 教育研修44455
第9問 環境の改善55555
合計50問50問50問50問50問

Ⅰ種(マスターコース)の到達目標は、企業や組織内のメンタルヘルスケア計画を立案し、産業保健スタッフや医療機関などの専門機関との連携や、社内での教育・研修を構築できる技術が身につくことです。

社内のメンタルヘルスケア対策を取りまとめ、システムを作り上げるための知識が問われます。

問題の配分もそれを踏まえた内容になっています。

50問のうち9〜10問が「企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性」を問われるため、メンタルヘルス対策を行う目的と意義について、根本からの理解が不可欠です。

さらに、「産業保健スタッフなどの活用による心の健康管理の推進」「相談体制の確立」についてそれぞれ8問ずつ出題されます。

具体的に社内で対策を推進・確率するための知識を、受験勉強を通して得ることができます。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅱ種

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅱ種(ラインケアコース)の出題内容は、以下のように発表されています。

①メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
②ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
③職場環境等の評価および改善の方法
④個々の労働者への配慮
⑤労働者からの相談への対応 (話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
⑥社内外資源との連携
⑦心の健康問題をもつ復職者への支援の方法

引用:大阪商工会議所ホームページ https://www.mental-health.ne.jp/about/

過去に出題された各分野の問題数は以下です。

※今後の試験でも同じ問題数で出題されるとは限りません。

Ⅱ種ラインケアコース出題内容第36回2024年3月実施第35回2023年11月実施第34回2023年3月実施第33回2022年11月実施第32回2022年3月実施第31回2021年11月実施
第1問 意義と役割121212121212
第2問 基礎知識444444
第3問 評価と改善方法444444
第4問 労働者への配慮111111111111
第5問 相談への対応888888
第6問 社内外資源との連携666666
第7問 復職者への支援555555
合計50問50問50問50問50問50問

表を見ると、毎回各科目の出題数は同じで、第1問「メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割」、第4問「個々の労働者への配慮」、第5問「労働者からの相談への対応 (話の聴き方、情報提供および助言の方法など)」の比重が大きくなっています。

管理監督者がラインケアを行うために必要な基本的な知識、労働基準法や労働安全衛生法、労働契約法など働く人にとって身近な法律の知識を、Ⅱ種の受験を通して学ぶことができます。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅲ種

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅲ種(セルフケアコース)の出題内容は、以下のように発表されています。

①メンタルヘルスケアの意義
②ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
③セルフケアの重要性
④ストレスへの気づき方
⑤ストレスへの対処、軽減の方法
⑥社内外資源の活用

引用:大阪商工会議所ホームページ https://www.mental-health.ne.jp/about/

過去に出題された各分野の問題数は以下です。

※今後の試験でも同じ問題数で出題されるとは限りません。

Ⅲ種セルフケアコース出題内容第36回2024年3月実施第35回2023年11月実施第34回2023年3月実施第33回2022年11月実施第32回2022年3月実施第31回2021年11月実施
第1問 意義555555
第2問 基礎知識999999
第3問 セルフケア444444
第4問 ストレス気づき方101010101010
第5問 対処、軽減の方法①101010101010
第6問 対処、軽減の方法②555555
第7問 対処、軽減の方法③777777
合計50問50問50問50問50問50問

Ⅱ種の表とも比較してみると、Ⅲ種ではストレスに対する基礎的な理解と、自身のストレスへの向き合い方を重視した内容となっていることがわかります。

Ⅲ種(セルフケアコース)のテキストを通読し、何度か問題を解けば十分合格できるレベルの試験です。

ストレスや誤解の多い精神疾患について正しい知識をつけたい人、自身のストレスとの向き合い方に悩んでいる人は、気軽にチャレンジできる試験です。

まとめ

今回は、メンタルヘルス・マネジメント®検定でいきなりⅠ種を受けてもよいのかに加え、合格の可能性や確認することなどについて紹介しました。

以下、今回のおさらいです。

  • メンタルヘルス・マネジメント®検定には3つのコースがある
  • いきなりⅠ種を受けても問題ない。合格できる可能性もある
  • Ⅰ種を受けるべきなのは、会社全体のメンタルヘルスケアに関わる人
  • それぞれのコースには対象者や目的が設定されているので、自分の役割に合ったコース選択をするとよい
  • 過去5年間の問題数はどのコースも大きく変わらない。各コースの到達目標に合わせた問題が出題される

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の勉強を始める前には、自分の役割・目的に合っているかどうか確認することが大切です。

3つのコースの違いを知り、自分の目標に合うコースを選んでください。