
メンタルヘルス・マネジメント®検定は、職場のメンタルヘルス対策に役立つ資格です。
いっぽうで「役に立たない」という声もあるようです。
この記事では、メンタルヘルス・マネジメント®検定が役に立たないと言われる理由を解説するとともに、資格取得のメリットや資格を生かせる仕事について解説します。
本検定のメリットをより感じるためのコース選びについても紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
メンタルヘルス・マネジメント®検定が役に立たないと言われる4つの理由
メンタルヘルス・マネジメント®検定を「役に立たない」と考えている人が一定数います。
まずは、メンタルヘルス・マネジメント®検定が役に立たないと言われる理由は、次の4つです。
- 国家資格ではなく民間資格だから
- 誰でも受験できるから
- 就職や転職で評価されにくいから
- 実務で役立たない場合があるから
1つずつ見ていきましょう。
国家資格ではなく民間資格だから
メンタルヘルス・マネジメント®検定は、大阪商工会議所が主催している民間資格であり、国家資格ではありません。
メンタルヘルス関連の国家資格には、公認心理士や社会福祉士、精神保健福祉士があります。
これらの資格と比べると専門性や難易度が低く、役に立たないと思われてしまうのでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定では、職場内の役割に応じたメンタルヘルスに関する知識を得られます。
国家資格、民間資格などの資格の分類に捉われず、自分の目的を明確にしたうえで受験するかどうかを決めることが大切です。
誰でも受験できるから
メンタルヘルス・マネジメント®検定には、とくに受験資格はありません。
学歴や年齢、性別、国籍に制限はなく、基本的に誰でも受験できます。
資格のなかには「短大や大学卒業以上」「実務経験が必須」など、受験資格が設けられているものも多くあります。
ほかの資格に比べると受験のハードルが低いことから、取得難易度が低いと思われやすいようです。
合格するかどうかはその人次第です。
受験資格の有無ではなく、資格取得によって得られる知識を重視しましょう。
就職や転職で評価されにくいから
メンタルヘルス・マネジメント®検定は、独占業務がある専門性の高い資格でも、実務経験を証明するための資格でもありません。
就職や転職時に評価されにくいのも、役に立たないと思われる理由のひとつです。
メンタルヘルス・マネジメント®検定は、職場内での役割に応じたメンタルヘルスの知識を身に付けることを目的としています。
資格取得を考える際、取得する目的や、必要な知識が身につくのかどうか考えてから判断することが大切です。
目的を持って自発的に取得する資格であることを頭に入れておくとよいでしょう。
実務で役立たない場合があるから
メンタルヘルス・マネジメント®試験は、実務能力を測る試験ではありません。
そのため、なかには資格を取得しても実務で役に立たないと考えている人もいるようです。
メンタルヘルス・マネジメント®の資格は、職位・職種別に3つのコースが設定されています。
それぞれのコースで目的や到達目標、出題内容が異なるため、自分の目的に見合ったコースを受験することが大切です。
「履歴書に書いたら良さそうだな」といった理由で受験してしまうと、せっかく合格しても実務に役立てられない可能性もあります。
実務に役立てられるかどうかは、自分のやりたいことや仕事とマッチしているかによるでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定は役に立たないはウソ?資格取得の2大メリット
メンタルヘルス・マネジメント®検定のメリットは、「メンタルヘルスの意義を理解して活用できること」と「資格試験に合格することでスキルを『見える化』できること」です。
メンタルヘルス・マネジメント®検定を取得すると、次のようなメリットが得られます。
- メンタルヘルスの意義を理解して活用できる
- 資格試験に合格することでスキルを「見える化」できる
1つずつ解説します。
メリット1:メンタルヘルスの意義を理解して活用できる
メンタルヘルス・マネジメント®の知識は、どんな職場でも生かすことのできる知識です。
業務の内容、職種に関係なく、働くすべての人に関係があることですから、さまざまな場面で活用できます。
職場のストレス環境を察知して改善できる
昨今「うつ」や「ひきこもり」など、精神疾患が社会的に問題視されています。
さまざまな人が集まる職場でも、これらの問題は身近に起こり得ます。
職場のどんな環境が従業員のストレスにつながってしまうのか、どうすれば改善されるのか、知識として身に付けておけば、職場で発生した問題の対策や防止策を講じることが可能です。
部下との関係性作りに役立つ
企業で利益を作っていくうえで、従業員の育成は欠かせませんが、せっかく育てた部下や従業員が辞めてしまうことに悩まされる上司は少なくありません。
大卒の新卒入社の社員が3年以内に離職をする早期離職率は、30%を超えています。
メンタルヘルス・マネジメント®の知識をもって部下と接することで、部下との関係性の構築方法や、コミュニケーションの取り方の発見につながります。
周囲・自身の心のケアに役立つ
心のケアの第一歩は、ストレスについて正しく理解することです。
仕事上の悩みや日々の出来事から受けるストレスを、ゼロにすることはできません。
正しいストレスマネジメントの方法を知ることができれば、必要以上に悲観的になったり落ち込んだりすることなく、自身を肯定的に受け入れられるようになります。
メリット2:資格試験に合格することでスキルを「見える化」できる
メンタルヘルスの維持が社会的に重要視されてきたことで、メンタルヘルスを学習できる機会はたくさんあります。
メンタルヘルスを学べる機会として、おもに以下のものが挙げられます。
- メンタルヘルスに関する書籍を読む
- Web上のニュース記事や、特集で情報を集める
- 社内もしくは社外の研修・セミナーを受講する
さらに、2015年から労働者が50人以上いる事業所では、年に1回のストレスチェックが義務化されたことで、定期的に自分自身のメンタルヘルスや、職場の組織のメンタルヘルスについて考える機会も増えました。
このように、さまざまな場面でメンタルヘルスに関する知識を取り入れる機会が増えてきているので、「メンタルヘルスについてまったく何も知らない」という人の方が珍しいかもしれませんね。
それと同時に、ちょっとした記事を読んだり、話を聞いてメンタルヘルスについて断片的な知識を得るだけで、「なんとなくわかったつもり」になっている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、資格試験のための学習を行い、資格に合格することで、なんとなくメンタルヘルスについて知っているだけ、というわけではなく、
職場のメンタルヘルスの改善を役立てるために必要な知識を得ていることの明確な証明になるのです。
「メンタルヘルス・マネジメント®検定が役に立った!」合格者の声
メンタルヘルス・マネジメント®検定を取得したことで「役に立った!」という方は多くいます。
たとえば、「資格取得における学習の過程で、ストレス反応の種類や、多職種との連携について体系的に学ぶことができ、精神疾患の未然防止に役立てることができています」という声や、
「セルフケアの重要性を理解でき、自分自身のメンタルケアにつなげられています」という声もあるようです。
また試験に合格した方からは、「メンタルヘルス・マネジメント®検定で得られた知識が職務遂行に役立ちました。労働安全衛生領域の取組みや、メンタル不調を抱える社員の支援など実践で活用できると実感しています」という声もあります。
このようにメンタルヘルス・マネジメント®検定の取得が、健康・健全な職場作りや自分自身のメンタルケアに役立っていると感じている人も多いようです。
メンタルヘルス・マネジメント®検定に対する企業・合格者の声は、公式サイトにも掲載されています。気になる方はご確認ください。
【参考】メンタルヘルス・マネジメント検定試験「企業・合格者の声」
メンタルヘルス・マネジメント®検定を生かせる仕事4選
メンタルヘルス・マネジメント®検定を生かせる仕事として、以下の4つを紹介します。
- 管理職
- 人事・総務職
- 産業カウンセラー
- 医療・介護職
メンタルヘルス・マネジメント®検定のどのような知識を生かせるのかも見ていきましょう。
1.管理職
メンタルヘルス・マネジメント®検定で得られた知識は、管理職に生かせます。
本検定のⅡ種(ラインケアコース)では、管理職としての部下に対するメンタルヘルス対策の学習ができるからです。
メンタルヘルスの知識は、部下の心の健康をサポートするために重要です。
もし、部下に対するメンタルヘルス対策が適切なものでなかった場合、ストレスの助長にもつながってしまうでしょう。
本検定を取得することで部下の心の健康状態を理解し、必要な対策を的確に実施できる術を身に付けられます。
2.人事・総務職
メンタルヘルス・マネジメント®検定のⅠ種(マスターコース)では、人事労務管理スタッフを対象とした問題が出題されます。
そのため、人事・総務担当者にも生かせる知識を習得することが可能です。
人事担当者は採用や評価、育成など組織全体の人材管理を行い、管理職は特定の部門に属する部下の育成などに取り組みます。
このように、人事・総務担当者の管理対象は幅広く、管理職や上司がカバーできない問題に取り組む役割を担っています。
自社の人材を活性化しより良い組織を目指す人事・総務職にとって、本検定の知識はおおいに役立てられるでしょう。
3.産業カウンセラー
産業カウンセラーは、働く人たちのこころの問題を自分で解決するために適切な援助を行う仕事です。
メンタルヘルス対策として、職場全体のストレス管理だけでなく、一人ひとりの従業員のストレスケアもサポートします。
産業カウンセラーがメンタルヘルス・マネジメント®検定を取得すれば、カウンセリング力とメンタルヘルスに関する知識の両方を生かし、より効果的に従業員をサポートできるでしょう。
4.医療・介護職
医療・介護職では、大きなストレスを抱えながら働いている人が多いです。
上司や同僚、患者や施設の利用者など、さまざまな人と関わる仕事であるため、とくに精神的なストレスを抱えやすいのでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定の知識を得ることで、セルフケアや職場環境の改善につなげられます。
メンタル不調を抱えた病院内の患者や介護施設の利用者に対しても、適切に対応できるようになるでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定のメリットを感じるには「役割に応じたコース選び」が大切!
役に立たないと言われることも多いメンタルヘルス・マネジメント®検定ですが、実際にはさまざまな業界で活用されています。
より本検定のメリットを感じるには「職場での役割に応じたコース選び」が重要です。
職場での役割に応じたメンタルヘルスケアの知識や対処方法を習得することで、仕事に役立てやすくなるでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定のコースについてはこの後紹介します。
メンタルヘルス・マネジメント®検定の3つのコースとは?
メンタルヘルス・マネジメント®検定には3種類のコースがあり、それぞれ対象や出題内容のほか、難易度や合格率も異なります。
Ⅲ種(セルフケアコース)から順に解説します。
Ⅲ種(セルフケアコース)
セルフケアコースとも呼ばれるメンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅲ種は、もっとも難易度の低い試験です。
合格率は例年70〜80%と、検定試験のなかでは高い部類に入ります。
メンタルヘルスに関する勉強が初めてという方は、取り組みやすいセルフケアコースの受験から始めると良いかもしれません。
セルフケアコースの目的は、メンタルヘルスに関する基礎知識を身に付け、自身をケアすることです。
試験問題には、セルフケアに関する項目も出題されます。
無意識に自身へかかっている負荷への気付き方や対処法、助けの求め方などを確かめられるのが試験のメリットです。
ストレス社会のなかで健康的に生き抜くための基本を身に付けられるため、学習しておいて損はありません。
問題はすべて選択式で、用意された回答のなかから正しいものや誤っているものを選んで答えます。
2時間の試験時間の間に100点満点の問題を解き、70点以上を獲得すれば合格です。
Ⅱ種(ラインケアコース)
ラインケアコースと呼ばれるメンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅱ種では、他者のケアに関する問題が出されます。
職場において管理者となり、部下のケアを行う人が身に付けておきたい知識が多く見られます。
検定試験の勉強で習得した知識を活用すれば、部下への具体的なアドバイスや職場環境改善が実施できるようになるでしょう。
合格率は40〜70%とバラつきがあります。
とはいえ、しっかりと試験対策をすれば十分に合格を狙えます。
中間の難易度であるため、セルフケアコースでは物足りず、マスターコースではハードルが高いと感じた人にもおすすめです。
出題形式は、セルフケアコースと同じく選択式です。
試験時間は2時間で、100点満点中70点以上を獲得すれば合格となります。
出題範囲はセルフケアコースと重なる部分もありますが、他者へのケアに関する内容や、職場におけるマネジメントについての深い理解が求められます。
受験資格はとくに設けられていないため、Ⅲ種の受験を行わず、いきなりⅡ種から受験することも可能です。
Ⅰ種(マスターコース)
マスターコースと呼ばれるメンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種は、3つのコースのなかでもっとも難易度が高い試験です。
組織全体のメンタルヘルス対策を行う、企業の幹部や人事スタッフなどが対象となっています。
企業の方針に基づいた従業員のストレスケアや、専門機関の適切な活用方法などの知識が得られるでしょう。
マスターコースでは選択問題に加え、3つのコースのなかで唯一論述問題が出題されます。
論述問題では、メンタルヘルス対策におけるより正確な知識が必要です。
合格率も毎年20%前後と低く、合格するためには十分な試験対策が必要であることがわかります。
配点は、選択問題が100点満点、論述問題が50点満点と設定されています。
2つの試験の合計点が105点を超え、かつ論述問題で25点以上取得できれば合格です。
なお、試験時間は選択問題が2時間、論述問題は1時間です。
Ⅰ種に関してもⅡ種同様、受験資格に縛りはありません。
Ⅲ種やⅡ種に合格していなくても、いきなりⅠ種から受験することも可能です。
メンタルヘルス・マネジメント®検定の受験者・知名度は増加中
メンタルヘルス・マネジメント®検定は、厚生労働省発表の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づいています。
社会的にメンタルヘルスへの関心が高まっていることに加え、国の指針を参考に作成された内容であるということもあり、受験者数は年々増加傾向です。
とくにⅡ種(ラインケアコース)の受験者数は、3つのコースのなかでもっとも多くなっています。
合格率は、Ⅲ種で70〜80%、Ⅱ種で40〜70%です。
比較的目指しやすいレベルの資格であることも、受験者増加・知名度向上の理由のひとつでしょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の勉強法は?
基本となる勉強方法は、一般的な検定試験と同様です。
出題範囲を確認し、知識の習得に努めることで正答率も上がります。
それぞれの方法について、くわしく確認していきましょう。
テキストを読み込む
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験には、メンタルヘルスケアの意義をはじめ、さまざまな内容の問題が出されます。
まずはテキストをよく読み、どういった知識が必要とされているのか確かめましょう。
いったんすべてを通して読んだうえで、改めて細かい部分を確認しながら読み込むことがおすすめです。
問題を解く
試験範囲が暗記できていても、実際に問題文を読んで回答するのには慣れが必要です。
模擬問題や過去問題を解く実践方式の勉強方法で、試験に慣れていきましょう。
人によっては、テキストの暗記より先に問題を解きながら覚えていく方法が向いていることがあります。
ご自分の取り組みやすい方法で勉強を進めていきましょう。
試験時間内に全部解けるように練習する
各コースとも、試験には2時間〜3時間の制限時間が設けられています。
時間内にすべての問題を解き終え、見直しまで済ませられるように訓練しておきましょう。
模擬問題を解く際に時間を計測し、ご自分がどのくらいのスピードで回答できるか確かめておくのがおすすめです。
自分専用のまとめノートをつくる
試験対策を進めていくと、よく間違えてしまうところや、なかなか覚えられないところがはっきりとわかってくるはずです。
内容を整理しながらノートにまとめ、すぐに見返せるようにしてみましょう。
ご自分の間違えやすい箇所をすぐに確認できるため、暗記の効率がアップします。
忙しい人はオンライン講座を活用しよう
資格試験に合格したいと思っていても、日々の生活のなかで勉強時間を確保できない人は少なくありません。
できる限り無駄を省き、効率的な方法での勉強が大切です。
忙しい人は、ぜひオンライン講座を活用してみましょう。
最後に、オンライン講座の特徴や、利用するメリットをご紹介します。
オンライン講座のメリット1.インターネット環境があればどこでも受講できる
オンライン講座では、インターネットにつながっていればどこでも動画を見ることができます。
受講のためにスクールへ通う必要はありません。
通学に必要な時間や交通費などはかからず、節約につながる点もメリットです。
教室へ立ち寄る時間がない人、近くにメンタルヘルス・マネジメント®検定のスクールがない人などにも便利なサービスと言えます。
オンライン講座のメリット2.時間を問わずに受講できる
オンライン講座なら、好きな時間に講座の動画を視聴できます。
深夜や早朝などでも、時間を気にせず受講できるのがメリットです。
また、気になる部分を巻き戻しての視聴が可能です。
説明を繰り返して聴けるため、ご自分のペースでゆっくりと授業を受けたい人にもおすすめです。
オンライン講座のメリット3.独学よりも効率良く学べる
メンタルヘルス・マネジメント®検定を受験するにあたって、独学にするか講座を受けるか迷っている人も多いかもしれません。
オンライン講座の最大のメリットとも言えるのが、効率の良い学習が可能な点です。
オンライン講座なら、決まったカリキュラムに従って勉強を進められます。
ご自分でスケジュールを立てて、進捗を管理する必要はありません。
テキストの文章だけではわかりにくい部分も、講師による説明を聞くことで理解がはやまるはずです。
結果的に、独学よりも短期間で合格を目指せるかもしれません。
仕事で忙しくて学習時間が取れない方や、参考書で学習を進めることに難しさを感じている方は、オンライン講座での対策も検討してみてください。
まとめ
今回は、メンタルヘルス・マネジメント®検定が「役に立たない」と思われる理由や取得時のメリット、合格者の声を紹介しました。
以下、今回のおさらいです。
- メンタルヘルス・マネジメント®検定は、管理職や人事・総務職などの仕事に生かせる
- 検定取得のメリットを感じるには、職場での役割に応じたコース選びが大切
- メンタルヘルス・マネジメント®検定には3つのコースがあり、対象や出題内容、難易度が異なる
- 試験の正答率を上げるには、出題範囲の確認や知識の習得が必要
メンタルヘルス・マネジメント®検定は、職場や実生活でおおいに役立ちます。役立てるには、職場での役割に合ったコース選びが重要です。
まずは自分にはどのコースが合っているのか検討してみてください。