メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は労働環境における従業員の精神面を管理し、不調を未然に防ぐ人材を育成する試験です。「心の健康状態」を意味する「メンタルヘルス」が主な学習領域となります。職場のメンタルヘルスケア対策を推進したり、環境改善や維持をしたいと考えている人にとって、メリットの多い試験となります。下記でメンタルヘルス・マネジメント®検定試験のメリットの一部をご紹介します。
目次
メンタルヘルス・マネジメント®の知識は、どんな職場でも活かすことのできる知識です。業務の内容、職種に関係なく、働くすべての人に関係があることですから、様々な場面で活用できます。
昨今「うつ」や「ひきこもり」など、精神疾患が社会的に問題視されています。様々な人が集まる職場でも、これらの問題は身近に起こり得ます。職場のどんな環境が従業員のストレスにつながってしまうのか、どうすれば改善されるのか、知識として身に着けておけば、職場で発生した問題の対策や防止策を講じることができます。
企業で利益を作っていくうえで、従業員の育成は欠かせませんが、せっかく育てた部下や従業員が辞めてしまうことに悩まされる上司は少なくありません。大卒の新卒入社の社員が3年以内に離職をする早期離職率は、近年およそ30%ほどに上っています。メンタルヘルス・マネジメント®の観点から部下と接することで、今まで見えなかった部下との人間関係の解決の糸口や、コミュニケーションの取り方の発見につながります。
心のケアの第一歩は、ストレスについて正しく理解することです。仕事上の悩みや日々の出来事から受けるストレスは、ゼロにすることはできません。正しいストレスマネジメントの方法を知ることができれば、必要以上に悲観的になったり落ち込んだりすることを避け、自身を肯定的に受け入れることができるようになります。
メンタルヘルスの維持が社会的に重要視されてきたことで、メンタルヘルスを学習できる機会はたくさんあります。
メンタルヘルスを学べる機会として、主に以下のものが挙げられます。
さらに、2015年から労働者が50人以上いる事業所では、年に1回のストレスチェックも義務化したことで、定期的に自分自身のメンタルヘルスや、職場の組織のメンタルヘルスについて考える機会も増えました。
このように、様々な場面でメンタルヘルスに関する知識を取り入れる機会が増えてきているので、「メンタルヘルスについて全く何も知らない」という人の方が珍しいかもしれませんね。
それと同時に、ちょっとした記事を読んだり、話を聞いてメンタルヘルスについて断片的な知識を得るだけで、「なんとなくわかったつもり」になっている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、資格試験のための学習を行い、資格に合格することで、なんとなくメンタルヘルスについて知っているだけ、というわけではなく、職場のメンタルヘルスの改善を役立てるために必要な知識を得ていることの明確な証明になるのです。
メンタルヘルスに関する資格は数多くありますが、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は受験資格がありません。誰でも、年齢や経験に関係なく取得できる資格です。
厚生労働省が発表している「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を受け、大阪商工会議所が実施・運営している民間の資格試験で、受験者数も近年増加中です。
2020年3月の試験は新型コロナウイルスの影響で中止となりましたが、2023年11月試験は歴代の中で最も受験者数が多くなりました。Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種の中で最も受験者数の多いのは、Ⅱ種(ラインケアコース)です。
合格率が10~20%ほどの難易度の高い資格試験となれば、勉強をするにも一苦労ですが、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の難易度はさほど高くはありません。
試験の出題範囲となる公式テキストをきちんと参照しながら勉強をすれば、独学でも合格が可能な難易度です。
難易度はコースによって変わりますので、下記で紹介します。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅲ種(セルフケアコース)
セルフケアコースとも呼ばれるメンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅲ種は、もっとも難易度の低い試験です。合格率は例年70~80%と、検定試験のなかでは高い部類に入ります。メンタルヘルスに関する勉強が初めてという方は、取り組みやすいセルフケアコースの受験から始めると良いかもしれません。
セルフケアコースの目的は、メンタルヘルスに関する基礎知識をつけ、自身をケアすることです。試験問題には、セルフケアに関する項目も出題されます。無意識に自信へかかっている負荷への気づき方や対処法、助けの求め方などを確かめられるのが試験のメリットです。ストレス社会のなかで健康的に生き抜くための基本を身につけられるため、学習しておいて損はありません。
問題はすべて選択式で、用意された回答のなかから正しいものや誤っているものを選んで答えます。2時間の試験時間の間に100点満点の問題を解き、70点以上を獲得すれば合格です。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅱ種(ラインケアコース)
ラインケアコースと呼ばれるメンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅱ種では、他者のケアに関する問題が出されます。職場において管理者となり、部下のケアを行う人が身につけておきたい知識が多く見られます。検定試験の勉強で習得した知識を活用すれば、部下への具体的なアドバイスや職場環境改善が実施できるようになるでしょう。
合格率は例年40~50%です。約5割の合格率は、決して低すぎるものではありません。しっかりと試験対策をすれば、十分に合格を狙えます。中間の難易度になるため、セルフケアコースでは物足りず、マスターコースではハードルが高いと感じた人にもおすすめです。
出題形式は、セルフケアコースと同じく選択式です。試験時間2時間の間に、100点満点中70点以上を獲得すれば合格となります。出題範囲はセルフケアコースと重なる部分もありますが、他者へのケアに関する内容や、職場におけるマネジメントについての深い理解が求められます。
基本となる勉強方法は、一般的な検定試験と同様です。出題範囲を確認し、知識の習得に努めることで正答率も上がります。それぞれの方法について、詳しく確認していきましょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験には、メンタルヘルスケアの意義をはじめ、さまざまな内容の問題が出されます。まずはテキストをよく読み、どういった知識が必要とされているのか確かめましょう。いったんすべてを通して読んだうえで、改めて細かい部分を確認しながら読み込むことがおすすめです。
試験範囲が暗記できていても、実際に問題文を読んで回答するのには慣れが必要です。模擬問題や過去問題を解く実践方式の勉強方法で、試験に慣れていきましょう。
人によっては、テキストの暗記より先に問題を解きながら覚えていく方法が向いていることがあります。ご自分の取り組みやすい方法で勉強を進めていきましょう。
各コースとも、試験には2時間~3時間の制限時間が設けられています。時間内にすべての問題を解き終え、見直しまで済ませられるように訓練しておきましょう。模擬問題を解く際に時間を計測し、ご自分がどのくらいのスピードで回答できるか確かめておくのがおすすめです。
試験対策を進めていくと、よく間違えてしまうところや、なかなか覚えられないところがはっきりとわかってくるはずです。内容を整理しながらノートにまとめ、すぐに見返せるようにしてみましょう。ご自分の間違えやすい箇所をすぐに確認できるため、暗記の効率がアップします。
仕事で忙しくて学習時間が取れない方や、参考書で学習を進めることに難しさを感じている方は、オンライン講座での対策も検討してみてください。
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