メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)とは

メンタルヘルス・マネジメント®︎検定Ⅱ種(ラインケアコース)は、管理監督者(管理職)が、自分自身はもとより部下がメンタル不調に陥らないようにするための方法を会得できる資格です。

この記事では、メンタルヘルス・マネジメント®︎検定Ⅱ種の申込方法や勉強方法、職場での活用方法などを解説します。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)とは?

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)は、管理職が職場全体のメンタルヘルス対策を効果的に進められるよう支援する試験です。

自分自身や部下のストレス・精神的な不調に配慮し、なにか問題があった場合は、安全配慮義務に従いながら対応できるようになる目的があります。

メンタルヘルス・マネジメント®︎検定には一般社員向けのⅢ種試験もありますが、いきなりⅡ種(ラインケアコース)にチャレンジしても問題ありません。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の概要

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の概要として、以下の項目を解説します。

  • 申込方法
  • 受験料
  • 日程・試験会場

ひとつずつ確認しましょう。

申込方法

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の申込方法は、個人と団体で異なります。

個人と団体、それぞれの申込方法を確認しましょう。

個人で申し込む場合

個人で申し込む場合は、以下のステップで手続きを行います。

  1. 「申込前の注意事項」を確認のうえ申し込む
  2. 受験料を支払う(クレジットカード決済またはコンビニ店頭決済)
  3. 受験票(ハガキ)を受け取る
  4. 試験を受ける
  5. 試験結果を確認する(WEB成績票照会)

申込前の注意事項」には、受験を申し込む前に確認すべきことがまとめられているので必ず読んでおきましょう。

また、試験結果はインターネットを介し、専用サイトから確認します。

専用サイトのURLは受験票にのみ記載されているので、紛失しないように注意しましょう。

団体で申し込む場合

企業や団体などで10人以上申し込む場合は、まとめて手続きができます。

団体での申込方法は、以下の2パターンです。

公開試験(団体一括申込み)

公開試験の場合、企業の担当者が検定試験センターに電話連絡をすると「団体受験申請書」が送られてくるので、記入して返送します。

その後のステップは、以下のとおりです。

  1. 申請書に基づき、指定の銀行口座に受験料を振り込む
  2. 受験者に受験票(ハガキ)が送られてくる
  3. 試験を受ける
  4. 受験者が試験結果を確認する(WEB成績票照会)
  5. 担当者に成績一覧表が送られてくる

団体特別試験

団体特別試験は、1コースにつき10人以上が対象で、試験の日時や場所を企業や団体が指定できる場合に申し込みができます。

団体特別試験に申し込む場合は、以下のステップで手続きを行いましょう。

  1. 「受験申込みにあたって」を確認のうえ申し込む
  2. 請求書到着後、受験料を指定の銀行口座に振り込む
  3. 必要資材一式(問題や解答用紙など)が送られてくる
  4. 試験を実施する
  5. 解答用紙を返送する
  6. 担当者に成績一覧表が送られてくる

受験申込みにあたって」には、団体特別試験の受験を申し込む前に確認すべきことがまとめられています。

個人で申し込む場合と同じく、必ず目を通しておきましょう。

受験料

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の受験料は、個人および団体で受験する「公開試験」と「団体特別試験」によって異なります。

「公開試験」の受験料は、7,480円(うち消費税:680円)です。

一方で、「団体特別試験」の受験料は、5,980円(うち消費税:543円)に設定されています。

日程・試験会場

メンタルヘルス・マネジメント®︎検定Ⅱ種の試験は、通年で11月と3月の年2回開催されています。

2025年度の第39回・第40回試験は、下記日程で実施されます。申込期間は、個人か団体によって異なるので注意しましょう。

第39回第40回
試験日2025年11月2日(日)2026年3月15日(日)
申し込み期間(個人)2025年9月12日(金)~9月25日(木)2026年1月23日(金)~ 2月5日(木)
申し込み期間(団体)2025年8月25日(月)~ 9月5日(金)2026年1月6日(火)~ 1月16日(金)

試験会場も公開試験と団体特別試験で異なります。

公開試験の場合、申し込む際に以下から受験地を選択でき、会場は受験票にて知らされます。

札幌、仙台、さいたま、千葉、東京、横浜、新潟、浜松、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、高松、福岡
【出典】メンタルヘルス・マネジメント®検定試験「受験要項」

団体特別試験の場合は、日本国内に限り任意に設定可能です。

団体特別試験の対象である企業や団体などが、試験会場を指定できます。

出題内容

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の問題は、以下の7項目の中から出題されます。

  1. メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
  2. ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
  3. 職場環境等の評価および改善の方法
  4. 個々の労働者への配慮
  5. 労働者からの相談への対応 (話の聴き方、情報提供および助言の方法等)
  6. 社内外資源との連携
  7. 心の健康問題をもつ復職者への支援の方法

【出典】メンタルヘルス・マネジメント®検定試験「試験のご紹介」

すべて選択式の問題となっており、解答時間は2時間です。

100点満点のうち、70点以上獲得できれば合格となります。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の合格率

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の平均合格率は、約59%です(2019〜2024年度分)。 

合格率が70%台と高い年もあるため、ここでの合格率はあくまで目安としてとらえましょう。

しかし、2人に1人が合格している計算になるため、Ⅱ種試験は計画的に勉強すれば合格できる可能性が高い試験と言えます。

▼Ⅱ種(ラインケアコース)の実受験者数と合格率の推移

実施年月Ⅱ種受験者(人)Ⅱ種実受験者(人)Ⅱ種合格者数(人)Ⅱ種合格率(%)
第9回2010年11月6,0885,6282,71448.2
第10回2011年3月6,8615,1643,13260.7
第11回2011年11月6,4325,9082,37840.3
第12回2012年3月6,7576,0264,10568.1
第13回2012年11月6,4625,8553,18954.5
第14回2013年3月7,5166,6753,75456.2
第15回2013年11月6,2455,6223,08054.8
第16回2014年3月7,8156,8892,41835.1
第17回2014年11月7,8577,0433,92155.7
第18回2015年3月8,8247,7604,12653.2
第19回2015年11月8,5607,6203,71148.7
第20回2016年3月10,5149,1655,00354.6
第21回2016年11月10,7209,6014,73349.3
第22回2017年3月11,0019,6076,52167.9
第23回2017年11月9,5768,4814,33351.1
第24回2018年3月10,8719,4307,23676.7
第25回2018年11月10,1048,9375,81665.1
第26回2019年3月11,66310,2274,98048.7
第27回2019年11月11,0889,9364,30243.3
第29回2020年11月11,29410,3435,84056.5
第30回2021年3月12,11310,6867,28568.2
第31回2021年11月11,04610,0534,66446.4
第32回2022年3月12,66311,1287,76369.8
第33回2022年11月12,17510,9886,40158.2
第34回2023年3月13,34011,9186,44454.1
第35回2023年11月12,97311,7816,66156.5
第36回2024年3月13,93412,4839,13773.2
第37回2024年11月13,06511,8027,14160.5
第38回2025年3月14,36212,7456,98554.8
合計291,919259,501147,773
平均10,0668,9485,09656.9%

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種を取得する3つのメリット

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)を取得するメリットは、3つあります。

  • 自分自身の心のケアができる
  • 職場環境の改善につながる
  • メンタルヘルスの知識を「見える化」できる

ひとつずつ解説します。

自分自身の心のケアができる

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種を取得するひとつ目のメリットは、自分自身の心のケアができることです。

検定を受けることによって、ストレスの原因やマネジメント方法について正しく学べます。

仕事や人間関係などから受けるストレスへの対処法を知っていれば、必要以上に悲観的になったり落ち込んだりしなくて済むため、自分の心の健康を守れるでしょう。

職場環境の改善につながる

2つ目のメリットは、職場環境の改善につながることです。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)は、上司として部下のストレスや精神的な不調に配慮し、なにか問題があった場合は適切に対応できることを目指しています。

部下の精神的な不調に早めに気づければ、休職や退職へと悪化する前に、手立てを講じられるようになるはずです。

ひいては職場環境が改善され、従業員全員が働きやすくなるでしょう。

メンタルヘルスの知識を「見える化」できる

3つ目のメリットは、メンタルヘルスの知識を「見える化」できることです。

検定を受けることで、メンタルヘルスについてどれほど知っているのかを、客観的に把握できます。

また、メンタルヘルスマネジメントができる人材であることを、第三者にアピールすることも可能です。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種の取得により、職場で精神的な不調による問題が発生した際、対処できることの証明になります。

メリットについては、こちらの記事でも解説しています。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種の知識がないと起こり得るリスク2つ

ストレスを抱えたまま仕事を続けていた場合、メンタルヘルスに不調をきたすことがあります。

上司として、部下の不調に早めに気づくことが大切です。

部下のメンタルヘルス不調に気づけず何らかの対策をしなければ、以下のリスクが生じるかもしれません。

  • 部下のモチベーションが低下する恐れがある
  • 休職者・退職者が増える可能性がある

上司として部下の精神的な不調に早期に気づけるように、メンタルヘルス・マネジメント®︎検定Ⅱ種について学び、リスクを回避しましょう。

それぞれ解説します。

部下のモチベーションが低下する恐れがある

精神的な不調は、心だけでなく体にも影響を及ぼします。

思うように眠れなくなったり、食欲がわかなくなったりするかもしれません。

そのような状態が続くと次第に集中力が低下し、仕事上のミスやトラブルにつながる恐れがあります。

メンタルヘルスマネジメントの知識がない上司が、部下の変化に気づかないままでは、部下の仕事へのモチベーションが著しく下がる可能性も否定できません。

休職者・退職者が増える可能性がある

厚生労働省が全国7,842の事業所を対象に行った調査によると、メンタルヘルスの不調によって1ヶ月以上休職した労働者がいた事業所の割合は、10.4%にのぼることがわかりました。(2022年11月1日から2023年10月31日までの1年間)

また、そのうち退職した労働者がいた事業所の割合は6.4%でした。

この結果から、職場におけるメンタルヘルス不調の放置は、休職や退職を助長すると考えられます。

上司として、精神的な不調が見受けられる部下のことを見て見ぬふりはせず、適切にサポートすることが大切です。

部下のメンタルケアや職場の環境改善に力を入れたい場合は、メンタルヘルス・マネジメント®︎検定Ⅱ種の取得を検討しましょう。

【参考】厚生労働省『令和5年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況』

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の勉強方法

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の取得に向けて、どのように勉強すればよいのか悩む方もいるのではないでしょうか。

一般的には、以下の3つの勉強方法があります。

  • 独学で勉強する
  • 通信講座を受講する
  • オンライン講座を受講する

それぞれ解説します。

独学で勉強する

ひとつ目は、公式テキストを購入して独学で勉強する方法です。

独学には、コストを抑えられるメリットがあります。

公式テキストやノート、筆記用具さえあれば勉強できるため、後述する通信講座やオンライン講座よりは安く済むでしょう。

また、場所や時間の制約もありません。

公式テキストを持ち込み、職場での休憩時間を利用して勉強することも可能です。

一方で独学は、モチベーションを保ちにくいデメリットもあります。

同じ志をもつ勉強仲間に触発される機会がないので、物足りなさを感じるかもしれません。

モチベーションがなくなった時点で、勉強をやめてしまう恐れもあるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント®検定の独学については、こちらの記事でも解説しています。

通信講座を受講する

2つ目は、通信講座を受講する方法です。

通信講座とは、自宅に教材が届き、自宅で学習する方法のことを指します。

あらかじめ組まれたカリキュラムに沿って、添削サポートを受けながら進められるので、勉強方法を模索せずに済みます。

わからない問題について質問できるところも、通信講座のメリットと言えるでしょう。

通信講座はサポートを受けられる分、テキスト以外の費用がかかることは避けられません。

また、課題の提出期限が決められているケースもあり、独学より自由度は低くなります。

オンライン講座を受講する

3つ目はオンライン講座を受講する方法です。

オンライン講座とは、インターネットを介して学習する方法を指します。

通信講座と同じく、あらかじめ組まれたカリキュラムに沿って進められるので、勉強方法を模索せずに済みます。

場所や時間の制約もなく、インターネット環境が整っていれば、どこにいても受講可能です。

なお、オンライン講座の『スタディング』では、メンタルヘルス・マネジメント®検定講座を無料でお試しいただけます。

短期間で合格するためのルールを解説したセミナーや動画講義、WEBテキストなどを体験できるので、この機会にぜひチェックしてみてください。

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メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の勉強時間

メンタルヘルス・マネジメント®検定の勉強時間は、コースによって異なります。

▼メンタルヘルス・マネジメント®検定の勉強時間(目安)

Ⅰ種120時間
Ⅱ種50時間
Ⅲ種30時間

もっとも難易度が低いと言われているⅢ種(セルフケアコース)の勉強時間は、約30時間です。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の勉強時間は、一般的に30〜50時間と言われています。

1日あたり1〜2時間の勉強時間を確保できれば、約1ヶ月で合格を見込めるでしょう。

各コースの勉強時間については、こちらの記事で詳しく解説しています。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種は役に立つ?職場での活用方法

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)は、職場でも十分に役立つ資格です。

Ⅱ種では、ストレスやメンタルヘルスについての基礎知識だけでなく、部下への配慮や職場環境の改善方法などを学べます。

検定で得た知識があれば、「口数が減った」「昼食を一緒にとらなくなった」などの部下の変化がメンタルヘルスの不調から来るものかもしれないと気づきやすくなります。

また、部下の様子に変化が見られた際は以下のように適切な対応が可能です。

  • プライバシーに配慮しながら個別に話を聞く時間を設ける
  • 労働が過酷なら勤務時間を減らす
  • 自分で対応できない場合は、本人の承諾を得て上司や産業保健スタッフ等に相談する など

メンタルヘルスマネジメントの知識があれば対応スピードが速くなるため、休職者や退職者の低減にもつながるでしょう。

【Q&A】メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種に関するよくある質問

最後に、メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)について、よくある質問に回答します。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種の過去問は入手できる?

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の過去問は、書店や通販サイトで販売されている過去問題集から入手できます。

メンタルヘルス・マネジメント®検定の勉強をはじめた当初から過去問を解いていると、記憶に定着するだけでなく、出題傾向を掴めます。

合格に向けて、最低でも3回は繰り返し解きましょう。

より効率的に暗記するために、解答を先に読んだうえで、問題を解く方法もあります。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)の過去問の活用法については、こちらの記事で解説しています。

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種は国家資格?

メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種は、国家資格ではありません。

大阪商工会議所が主催し、日本商工会議所が後援している民間試験です。

国家資格ではないものの公的な資格であるため、取得後は履歴書に書いてメンタルヘルスについての知識があることをアピールできます。

まとめ

今回は、メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種(ラインケアコース)について解説しました。

Ⅱ種を取得すれば、自分自身の心の健康を守れるだけでなく、部下のメンタルヘルス不調に早めに気づけるようになり、職場環境の改善に役立つでしょう。

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