「こころ」に関連した資格のなかでも代表的な存在といえるメンタルヘルス・マネジメント®検定。受験資格がなく、挑戦しやすい資格であることから、受験者が増えています。コスト面や時間的な理由からスクールなどに頼らず、独学で挑戦しようと考えている方も多いでしょう。メンタルヘルス・マネジメント®検定に独学でトライするのは現実的なのでしょうか。また、独学の場合はどういった勉強法があるのでしょうか。こちらでは、メンタルヘルス・マネジメント®検定は独学で受かるのか、独学の場合の勉強法などについてお話しします。本資格試験の受験を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
メンタルヘルス・マネジメント®検定は独学で受かるか
メンタルヘルス・マネジメント®検定は大阪商工会議所が運営する民間のメンタルヘルスに関する資格です。資格取得に向けた取り組みとして、大阪商工会議所が主催している受験対策講座への参加が挙げられます。一方で、メンタルヘルス・マネジメント®検定に独学で受かることは可能なのでしょうか。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は、経営層や人事労務管理スタッフを対象にしたⅠ種(マスターコース)、管理職を対象としたⅡ種(ラインケアコース)、一般社員を対象としたⅢ種(セルフケアコース)の3コースに分かれています。Ⅲ種の合格率は60~80%、Ⅱ種の合格率は40~60%です。対して、Ⅰ種の合格率は10~20%であることから、他のコースと比較して難易度が高い試験であることがわかります。
Ⅱ種、Ⅲ種であれば、独学での合格も現実的に可能といえるでしょう。インターネットで独学での合格に成功した人も、Ⅱ種、Ⅲ種の合格者が大半です。試験形式についても、Ⅰ種がマークシート、論述の問題で構成されているのに対し、Ⅱ種、Ⅲ種はマークシートのみのため、独学の場合はまずⅡ種、Ⅲ種から受験するのがおすすめです。
Ⅰ種については、合格率からもわかるように難関です。そのため、講座などを受講して受験するのが一般的となっています。その分、資格を取得すれば大きな武器になるでしょう。
なお、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験に受験資格はありません。多くのメンタルヘルス系の資格と異なり、心理学系の大学院課程を修了していなくても受験できます。この点からも、コースさえ選べば独学での合格は十分に可能といえます。また、Ⅱ種とⅢ種は同時受験が可能であり、双方を併願して合格を目指す独学者が多くなっています。
独学でメンタルヘルス・マネジメント®検定に挑戦している人が
選んでいる勉強法・教材
独学でメンタルヘルス・マネジメント®検定試験にトライする人には、どんな教材や方法が選ばれているのでしょうか。
代表的な教材は、コースごとに出版されている公式テキストです。試験主催者の大阪商工会議所が公式テキストに即した内容を試験で出題すると明確にアナウンスしています。改訂が行われるため、最新の版を選ぶように注意してください。
また、過去問題集も出版されているため、こちらもそろえていただきたい教材のひとつです。反復して解くことで理解が深まるほか、試験形式に慣れることができます。直前対策としても有効です。こちらも、自分が受験するコースや、最新版の有無に注意して選びましょう。
3コース分のテキストが用意されていますが、独学でスムーズに知識をつけていく場合は、Ⅲ種のテキストから読み進めていくことをおすすめします。Ⅱ種にはⅢ種の内容が、Ⅰ種にはⅡ種、Ⅲ種の内容が内包されています。難易度が低いコースの内容から理解を深めていくほうが効率的です。複数のコースを併願する場合は特に、難易度が低いコースのテキストから着手しましょう。
勉強は可能な限り早く始めるのが理想ですが、遅くとも試験日の2カ月前には始めることを推奨します。この段階では、テキストを読み通し、メンタルヘルスに関する基本的な理解を深めます。専門的な情報や用語が登場しますが、概要さえ理解できれば十分です。わからない知識や用語があれば、後で調べやすいようにノートでまとめておくと効率的です。
試験日1カ月前からは少しずつ、過去問題集に手をつけていきましょう。過去問題集のなかでわからないところがあればテキストで逆引きすると、知識をスムーズにインプットできます。テキスト、問題集の内容を完全に理解するのは難しいため、双方の横断的な利用が重要です。何度も躓いてしまう苦手分野がある場合は、その部分を重点的に勉強しましょう。
過去問題集は反復して解くことで知識が定着します。不明点がなくなった場合も安心せず、何度も繰り返しときましょう。実際の試験を模して、時間などを測定して解くことで、試験形式に慣れることもできます。
直前対策も抜かりなく行いましょう。テキストや問題集を流し読み、抜け落ちがないかの確認が大切です。しっかりと勉強していれば合格に足る知識は身に付いているはずなので、時間をかけずに1問でも多くの問題を確認するよう努めることが大切です。
メンタルヘルス・マネジメント®検定に必要な勉強時間
メンタルヘルス・マネジメント®検定に独学で受験する場合には、どの程度の勉強時間が必要なのでしょうか。
目安となるのが、公式テキストの読了時間です。Ⅰ種の公式テキストは、しっかりと読み解くためには約120時間が必要だと考えられています。1日1時間コンスタントに勉強を続ける場合は、4カ月程度かかることになります。もちろん、独学の効率や適性によっては、さらにハイペースで勉強を進めることも可能です。
独学でⅡ種・Ⅲ種に合格した人のなかでは、2カ月~3カ月程度、1日平均2時間程度勉強していた受験者が多いようです。資格勉強は毎日勉強をして知識を定着させることが大切ですが、それぞれの生活リズムによっては勉強時間の確保が難しい場合もあります。実際に、多くの合格者が平日の勉強不足を休日に補填するなどしているようです。
資格勉強に慣れている方であれば、30~40時間の勉強で合格できるケースがあります。ただし、すべての人がこの勉強時間で合格できるとは限りませんので、注意が必要です。勉強期間が長すぎると先に勉強した内容が抜け落ちていく、反対に短すぎると十分な知識をつけられないといった事態が考えられます。自分に適した勉強時間や勉強期間を検討し、スケジュールを立てて学習することが大切です。
独学のメリット・デメリット
独学にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。代表的なメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
独学のメリットとして、お金がかからないことが挙げられます。必要となるのはほとんどテキストや問題集などの教材のみ。資格用の教材は一般的な書籍と比較すると高めですが、スクールなどの料金と比較すると大幅に安価です。
場所の縛りがない点も大きな魅力です。自宅はもちろんのこと、教材を持ち込めば電車移動中、学校や仕事の休みに時間にも勉強できます。自分の気分に合わせて、集中できる環境を選ぶことも可能です。
また、時間についても縛りはありません。ちょっとした空き時間が見つかり次第、すぐに勉強ができます。就寝前の数時間など、時間を決めて毎日のルーティーンにするのもおすすめです。
さらに、マイペースで勉強できる点もメリットのひとつです。長い期間をかけて勉強していくか、短期間で詰め込んで勉強するかは、学習者自身に委ねられています。平日は無理のない程度に勉強し、休日にじっくりと学習に取り組むといったペース配分も可能です。
デメリット
独学のデメリットとして、モチベーションの維持が難しい点が挙げられます。誰かに勉強するように促されることや、同じ学習者に触発されることがないため、モチベーションがなくなってしまうことも少なくありません。ペースは自分次第のため、動機がなくなった時点で勉強をやめてしまうケースがあります。
また、勉強を管理してくれる人がいないため、習熟度がわかりにくいのも難点です。理解度が不十分であった場合も、安心してしまうことがあります。また、すでに十分理解している部分にこだわって、不必要に時間をかけてしまうことも考えられるでしょう。
そもそも独学では学習方法がわからないという人も少なくないでしょう。特に、初めて資格勉強する人は、どんな学習方法が自分に合っているかわからない場合があります。
独学に向いている人と向いていない人
独学はコストがかからない勉強方法ではありますが、向き不向きがあります。独学に向いて人の場合は、あまり効果が期待できません。そのため、自分に適正があるのか判断したうえで、独学かそれ以外の方法かを決断する必要があります。以下では、独学に向いている人と向いていない人の特徴をご紹介します。
独学に向いている人は?
独学に向いている人の条件として、自分を律してスケジュールに沿って勉強できることが挙げられます。マイペースに学習できるのが独学の魅力ですが、自分の都合や気分に合わないからといって勉強を休んでいると、知識の定着は期待できません。無理をして体調を崩すのは望ましくありませんが、気持ちや都合に関わらず、コンスタントに勉強する時間を確保する強い意志が大切です。
完璧主義ではないこともひとつの条件です。独学の場合、適切なアドバイスをくれる人がいないため、どうしても躓いてしまうことが多くなります。完璧主義の場合、わからない部分を細部まで理解できるようにするために必要以上に時間をかけて勉強してしまうことがあり、非効率です。ある程度、理解があいまいな部分があったとしても、全体の学習を進めていくと理解できるようになっていくケースがあるため、ある程度の疑問点を放置しておける大ざっぱさは独学するうえで必要といえます。
また、マイペースな性格で自由に勉強したいという場合も独学が向いています。自分で自分をコントロールできる場合は、最適な勉強法といえるでしょう。ただし、上述したとおり、良くも悪くも自分ひとりで勉強しなければならないという点は注意が必要です。
独学に向いていない人は?
反面、独学があまり向いていない人の特徴として、受け身体質が挙げられます。独学の場合は、スクールを利用する場合や協力者のサポートを利用する場合とは異なり、どうやって勉強するか自分で決めていかなければなりません。誰も「正解の勉強法」を提示してくれないため、自分で決められない人はその時点で立ち止まってしまうことが考えられます。
同時に、複数の情報に対して目移りしてしまう人もあまり独学に向いているとはいえません。独学をしようと情報を調べると、さまざまな勉強法に関する情報が見つかります。人によっては、すべての勉強が魅力的に映るかもしれません。ひとつの勉強法に決めきれず迷ってしまうことが、「勉強をしない理由」になってしまうケースがあるのです。
また、そもそも資格取得に対してモチベーションが低い場合も独学はおすすめできません。社会において心の問題が取り沙汰されるようになった現在、メンタルヘルス・マネジメント®検定の合格者のニーズは高まっていますが、必要に迫られて受験を決意する人も少なくないでしょう。自分でメンタルについて学びたい思ったわけではなく、仕方なく受験することになったという動機だと、独学がとん挫する可能性があります。
効率を重視しており最短距離で学習したい、学習する過程を楽しめない、資格さえ取れればいい、といった方にも独学は適していないと考えられます。独学で回り道をしたとしても決して無駄ではありませんが、資格取得までの道のりはやはり講座などを利用したほうがはるかにスムーズです。また、仕事で求められるといったような理由で確実に資格を取得したい人にも、独学が向いていません。
独学のデメリットはオンライン講座で解消
上述したとおり、独学はすべての人に適した勉強方法ではありません。しかし、自分に独学が向いていないとわかっていたとしても、スクールや受験対策講座への参加は時間的・経済的な面で難しい場合もあるでしょう。そうした人におすすめなのが、オンライン講座です。
オンライン講座は、その名のとおりインターネットを介して資格取得のための講座が受けられるサポートのことです。インターネットを利用できる環境と接続端末があれば利用できます。現在、さまざまな資格を対象としたオンライン講座が提供されています。動画講座、一問一等形式の問題集など学習方法のバリエーションも多く、希望に応じて選ぶことができます。
インターネットに接続できればPCだけではなく、スマートフォンやタブレットでの受講も可能なため、隙間時間での学習に最適です。サービスによっては学習フローの提案機能や学習スケジュールの管理機能も搭載されているため、独学で自己管理が難しい人にも適しています。また、スクールなどを利用する場合と比較すると、大幅に低コストである点も魅力です。
時間的・経済的な問題からスクールに通うことできない一方で、独学に関しても自信がない場合は、オンライン講座を受講してみましょう。現在、多くの事業者がメンタルヘルス・マネジメント®検定の講座を実施していますので、それぞれのサービスを比較検討してみてください。
現在仕事や学業で「時間がない」「やる気が起きない」「モチベーションが維持できない」などの悩みを抱えている場合は、まずオンライン講座を受講してみてはいかがでしょうか。効率的な学習で、合格への道が開けるはずです。
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メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の勉強法についてご案内しました。Ⅰ種については合格率も低く難関といえますが、Ⅱ種、Ⅲ種については独学での合格例も多く、スクールに通わず合格することも十分可能です。その場合、テキストや過去問題集を利用して学習していくことになりますが、スケジュールをしっかりと立て、勉強時間を確保しなければならない点には注意しましょう。もし、自分で学習を管理することに不安が残る場合は、オンライン講座の利用を積極的に検討してください。現場で環境を良好に保つ活躍をするため、また、これからのストレス社会で自分を守るために、メンタルヘルス・マネジメント®検定の資格取得を目指してください。