
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種(マスターコース)の合格は、Ⅱ種やⅢ種より難しいと言われています。
その理由のひとつは、論述問題があることです。
論述問題は、適切なキーワードを用いながら自分の言葉でまとめる力が必要なので、対策に苦戦する方もいるでしょう。
この記事では、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の論述問題の対策や勉強方法をご紹介します。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の論述問題とは?
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種には、「選択問題」と「論述問題」の2種類の試験があります。
論述問題では、メンタルヘルスマネジメントに関する知識を適切に書き出す問題や、実際の職場での判断力や行動力を問う問題が出題されます。
出題内容を理解したうえで、自分の言葉で書き出す力が備わっていないと容易には答えられません。
そもそも、論述問題はどのように解答をすればよいか迷う方もいるのではないでしょうか。
ここでは、「論述試験とは何か」「なぜメンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種に論述問題があるのか」について解説します。
そもそも論述問題とは?
そもそも論述問題は、大学の期末試験で出題されることが多い記述式テストの一種です。
論述問題には以下の流れに沿って、一定の文字数で解答します。
- 結論を書く
- 結論にいたった理由を説明する
- 再び結論を書く
論述問題は一般的に、受験者の思考力や文章力、表現力、独創性などを測定するために出題されます。
論述問題では、出題者の意図を把握して解答に盛り込むべきキーワードを抽出し、それを自分の言葉でまとめる力が必要です。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種に論述問題がある理由
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種に論述問題がある理由は、2つあります。
- 実務を遂行するうえで必要な知識があるかを確認するため
- その知識を応用する力や総合的に判断する力があるかを確認するため
論述試験は、受験者のメンタルヘルス・マネジメント®に関する総合的な能力を評価するうえで、重要な役割を担っています。
メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の概要
メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の論述問題対策方法を知る前に、検定の概要を理解しましょう。
ここからは、メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の概要を解説します。
対象になる人
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の対象になる人は、以下のとおりです。
- 人事労務管理スタッフ
- 経営幹部
人事スタッフとは、従業員の採用や評価などに直接かかわるスタッフです。
一方、労務スタッフは、給与計算や社会保険の手続きなどを行います。
Ⅰ種試験の出題内容は人事労務管理スタッフや経営陣向けですが、受験資格に制限はないため、誰でも受験できます。
検定の目的・目標
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の目的は「社内のメンタルヘルス対策の推進」です。
最終的には、自社の人事戦略・方針を踏まえたうえで、以下のことができる状態を目指します。
- メンタルヘルスケア計画
- 産業保健スタッフや他の専門機関との連携
- 従業員への教育・研修等に関する企画・立案・実施
メンタルヘルスケア計画では、心の健康づくりの方針を立て、組織づくりと中長期目標の設定し、心の健康づくり計画の作成をします。
企業規模でメンタルヘルスケアを行う場合は、産業医や保健医たちとの連携も欠かせません。
企業内で従業員向けの教育や研修を行うことで、従業員自身も自分のメンタルヘルスケアに意識が向くようになります。
これらを実行できるようになるために、メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の試験があるのです。
出題内容・問題構成
メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の問題は、厚生労働省の『労働者の心の健康の保持増進のための指針』を参考にして作られた試験です。
また、2025年4月1日時点で成立している法令にしたがって以下の9つのテーマから出題されます。
- 企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
- メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
- ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
- 人事労務管理スタッフに求められる能力
- メンタルヘルスケアに関する方針と計画
- 産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
- 相談体制の確立
- 教育研修
- 職場環境等の改善
以上のテーマについて、公式テキストの内容を「どれくらい理解しているか」「応用力があるか」を選択問題・論述問題を通じて問われます。
なお、選択問題の解答時間は2時間、論述問題の解答時間は1時間です。
合格基準
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の配点は、選択問題が100点、論述問題が50点です。
選択問題・論述問題の合計得点が105点以上で合格となります。
ただし、論述問題で25点以上獲得しなければなりません。
合計得点の約24%を論述問題が占めているため、論述の対策は必須と言えます。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種「論述問題」の対策
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の論述問題対策について、「試験前」と「試験時」に分けて解説します。
試験前の対策
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験では、厚生労働省の『労働者の心の健康の保持増進のための指針』をもとに、公式テキストの内容を「どれくらい理解しているか」「応用力があるか」が問われます。
よって、試験前には、厚生労働省の『労働者の心の健康の保持増進のための指針』や公式テキストを読み込むことをおすすめします。
公式テキストにある図表やリスト化された箇所も出題されるケースがあるため、細部まで目を通しましょう。
また、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の問題は「2025年4月1日時点で成立している法令に準拠して出題します」と明言されています。
したがって、公式テキスト出版後に改正された法令内容を覚えることは必須です。
論述問題に解答する際は、以下のテクニックが求められることを覚えておきましょう。
- 解答に盛り込むべきキーワードを洗い出せること
- そのキーワードを使い、指定の文字数にまとめられること
書店やネット通販にある過去問題集を活用して過去問を繰り返し解くと、論述の解答のコツをつかめます。
試験時の対策
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の論述問題には、指定されたキーワードを用いて解答する問題があります。
そのため、試験時には、問題文を読解して解答に盛り込むべきキーワードを洗い出しましょう。
文字数が指定されているケースも多いため、問題を解いている途中で「時間が足りない……」という事態に陥らないように、時間配分にも注意してください。
試験当日を想定して、解答にどのくらい時間がかかるかを事前に確認しておくのもおすすめです。
メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種「論述問題」の勉強方法
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種「論述問題」の対策を紹介しました。
ここからは、勉強方法について解説します。
- 公式テキストで勉強する
- 公式のセミナー・講座を受講する
- 通信・オンライン講座を活用する
ひとつずつ確認しましょう。
公式テキストで勉強する
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の論述問題は、公式テキストを使って勉強するのもひとつの手です。
メンタルヘルス・マネジメント®検定では公式テキストの内容を「どれくらい理解しているか」そして「応用力があるか」が問われます。
まずは公式テキストをくり返し読み込み、重要な単語などを記憶に定着させましょう。
続いて、その単語を用いて文章の構成を練り、指定された文字数にまとめる練習をします。
文字数が指定されている問題もあるため、時間内に書き上げられる練習もしておきましょう。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は「2025年4月1日時点で成立している法令に準拠して出題します」と明言しているため、公式テキスト出版後に改正された法令等の確認も重要です。
公式テキスト出版後に改正された法令等は、公式ホームページの「公式テキスト第5版出版後の法令改正等に関するお知らせ」からチェックできるので、目を通しておきましょう。
公式のセミナーや講座を受講する
論述問題の勉強方法として、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験主催の大阪商工会議所が開催している「受験対策講座」を受講する方法もあります。
過去の開催事例を見てみると、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の受験対策講座は、8月下旬〜11月上旬にかけてオンデマンド配信で行われていました。
オンデマンド配信では、自分の都合のよい時間に配信動画を視聴し、学べます。
オンデマンド配信による受験対策講座は全4回の構成で、論述試験対策については以下の内容が盛り込まれています。
- 答案作成練習
- キーワード発想練習
論述対策の内容は、例題を用いて原稿用紙に答案を記入する練習をしたり、例題に対する適切なキーワードを発想して構成を考える練習をしたりするなど充実しています。
ただし、受験対策講座を閲覧できる期間は、8月下旬〜11月上旬と限定的です。
そのため、公式開催の講座は、8月から11月にかけて集中して勉強を進められる人に向いている勉強方法と言えます。
通信・オンライン講座を活用する
メンタルヘルス・マネジメント®︎検定試験Ⅰ種の勉強方法として、通信・オンライン講座を活用する方法もおすすめです。
通信講座は、自宅に郵送されてくる教材を使用し、添削サポートを受けながら学習する方法です。
オンライン講座は、インターネットを介して学習する方法のことを指します。
通信講座やオンライン講座では、場所や時間の制約を受けることなく勉強できるメリットがあります。
通勤時間や職場での休憩時間、家事の合間を縫って勉強することも可能です。
さらにオンライン講座の場合、インターネット環境が整っていれば、スマホを使って手軽に勉強できます。
「仕事が忙しくて勉強の時間を確保できない」という方は、スキマ時間を活用できるオンライン講座がおすすめです。
メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種についてよくある質問
最後に、メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種についてよくある質問に回答します。
- Ⅰ種はⅡ種やⅢ種より難しい?
- Ⅰ種はどのくらい勉強すればよい?
- 論述問題の解答例はある?
- 合格したら履歴書に書ける?
- Ⅰ種は独学で合格できる?
ひとつずつ見てみましょう。
Ⅰ種はⅡ種やⅢ種より難しい?
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種の難易度は、Ⅱ種やⅢ種より高くなります。
各試験の合格率を比較すると、Ⅰ種の難易度の高さが窺えます。
2024年11月3日(日)に実施された第35回試験を例にあげてみましょう。
▼第35回試験の合格率
コース | 受験者(人) | 実受験者(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
Ⅰ種 | 2,184 | 1,731 | 362 | 20.9 |
Ⅱ種 | 13,065 | 11,802 | 7,141 | 60.5 |
Ⅲ種 | 5,477 | 5,060 | 3,758 | 74.3 |
【出典】メンタルヘルス・マネジメント®検定試験「結果・受験者データ」
合格率は実受験者数の影響を受けるので、一概には言えません。
しかし、Ⅰ種の合格率が20%程度であるのに対し、Ⅱ種やⅢ種の合格率は50%を超えていることから、Ⅰ種に合格するのは難しい傾向にあると考えられます。

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Ⅰ種はどのくらい勉強すればよい?
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種は、120時間ほど勉強すれば一通りの知識を覚えられると言われています。
さらにⅠ種試験には論述問題があるため、キーワードの洗い出しや論述の書き方などを習得するまでの時間も必要でしょう。
合格までに140時間ほどの勉強時間が必要と仮定して、1日に1時間ずつ勉強をした場合、4〜5カ月ほどかかります。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種は、通例として1年に1回(11月)開催されるため、試験日から逆算し、余裕をもって学習計画を立てましょう。
以下の記事では、メンタルヘルス・マネジメント®検定の勉強時間について詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。

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論述問題の解答例はある?
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験では、試験問題の複製および無断転載は禁じられています。
また、公式から解答や解説が出されることはありません。
そのため、論述問題の解答例は、公式テキスト過去問題集・先述の受験対策講座を通じて知ることをおすすめします。
合格したら履歴書に書ける?
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は、大阪商工会議所が主催し、日本商工会議所が後援している公的な資格なので履歴書に書けます。
履歴書には、合格者に送られる合格証に記載されている年月日を記入しましょう。
書き方は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。

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Ⅰ種は独学で合格できる?
メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種は、独学で合格できます。しかし、独学には向き不向きがあり、すべての人におすすめとは言えません。
独学に向いているのは、自分を律し、計画的に勉強を進められる人です。
一方で、独学に不向きなのは、自分に適した勉強方法を確立できない人です。また、なるべく短期間で合格を目指したい人にも独学は向いていないと言えます。
そのような人は、通信講座やオンライン講座の受講を検討してみましょう。
通信やオンライン講座は合格までの適切なカリキュラムが組まれているため、勉強方法に迷いにくいメリットがあります。
また、質問ができる講座であれば不明な点もスムーズに解決でき、一人で悩む必要もありません。
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まとめ
この記事では、メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の論述問題対策や勉強方法を解説しました。
メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の論述問題は、適切なキーワードを用いて、一定の文字数で解答しなければなりません。
検定の内容を理解し、自分の言葉でまとめる力が必要なため、暗記だけでの合格は難しいでしょう。
論述試験の勉強方法には、公式テキストを使う、公式が開催する講座や通信・オンライン講座を受講するなどがあります。
この機会に、ご自身のスタイルにあった勉強方法を見つけ、メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅰ種の合格を目指してみてください。