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「こころ」にまつわる資格を紹介!どのメンタル系資格がおすすめ?

「こころ」にまつわる資格を紹介!どのメンタル系資格がおすすめ?

現在は、「こころ」の不調により大きな問題に発展するケースが相次いでいます。従業員のメンタルヘルスを管理・改善していくことは、企業にとって重要な役割のひとつです。一方で、こころのケアは、専門的な知識がなければ簡単ではありません。そのため、企業では「こころ」の問題に取り組む専門家が求められています。こちらでは、「こころ」に関連した資格のなかから、特におすすめの資格をご紹介します。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は、労働環境における従業員の精神面を管理し、不調を未然に防ぐ人材を育成する試験です。「心の健康状態」を意味する「メンタルヘルス」が主な学習領域となります。厚生労働省が発表している「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を受け、大阪商工会議所が実施・運営している民間の資格試験です。

どんな仕事に活かせる?

メンタルヘルスの状態が悪い人が労働環境に1人でもいると、その不調が伝染していき、職場全体の空気が悪くなることがあります。そのため、従業員のメンタルヘルス管理は重要です。メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の合格者が職場に1人でもいれば、その職場のメンタルヘルスを健全に保つために役立ちます。

そのため、チームのマネジメントを行う人がメンタルヘルス・マネジメント®検定の資格を取得していると、現場が働きやすい環境になる、士気が向上するといった効果が期待できるでしょう。マネージャー職や管理職の場合、メンタルヘルス・マネジメント®検定の資格が活きるといえます。

ただし、学習する領域は国家資格などとは異なり、専門的な内容ではありません。そのため、就職で評価されることはあまりありません。あくまで、職場での評価や職場環境改善・維持のため、自発的に取得する資格といえます。

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は、I種(マスターコース)、Ⅱ種(ラインケアコース)、Ⅲ種(セルフケアコース)という3コースに分かれています。

Ⅰ種(マスターコース)は、人事労務管理スタッフや経営幹部を対象としたコースです。合格者は社内におけるメンタルヘルスケアの中心人物として、重要な役割を担います。メンタルヘルスケア対策のため、社外の専門機関と連携を取ることも少なくありません。

Ⅱ種(ラインケアコース)は管理職を対象としています。部門やチームなど、比較的小規模な組織のメンタルヘルスケアを管理するのが合格者の仕事です。メンタルヘルスに関する相談を部下から受けた際にどのように助言するのか、実際にメンタルヘルスの問題により休職し、復職した部下へのサポート方法などを学びます。

Ⅲ種(セルフケアコース)は、一般社員や新入社員を対象としたコースです。自らのメンタルヘルスの状態を管理し、必要に応じて対策できるようになることを目指します。メンタルヘルスの基本情報、ストレスへの対処法などが学習領域です。

このように、メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は役職に応じて、対象コースが分かれています。業界を問わず、一般的な組織形態の企業でオールマイティーに活かせる資格です。

試験形式

メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の試験形式をご紹介します。

コース

問題構成

配点

合格基準

Ⅰ種

マークシート:2時間

論述:1時間

マークシート:100点

論述:50点

合計105点以上

ただし、論述式の得点が25点以上であること

Ⅱ種

マークシート:2時間

マークシート:100点

70点以上

Ⅲ種

マークシート:2時間

マークシート:100点

70点以上

Ⅰ種はマークシート方式と、論述式の両方が課せられます。Ⅱ種、Ⅲ種はマークシートのみです。全体の合計点で合否を判定します。

各コースの出題内容は以下のとおりです。

≪Ⅰ種(マスターコース)≫

  • 企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性
  • メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割
  • ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
  • 人事労務管理スタッフに求められる能力
  • メンタルヘルスケアに関する方針と計画
  • 産業保健スタッフ等の活用による心の健康管理の推進
  • 相談体制の確立
  • 教育研修
  • 職場環境等の改善

≪Ⅱ種(ラインケアコース)≫

  • メンタルヘルスケアの意義と管理監督者の役割
  • ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
  • 職場環境等の評価および改善の方法
  • 個々の労働者への配慮
  • 労働者からの相談への対応 ※話の聴き方、情報提供および助言の方法など
  • 社内外資源との連携
  • 心の健康問題を持つ復職者への支援の方法

≪Ⅲ種(セルフケアコース)≫

  • メンタルヘルスケアの意義
  • ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
  • セルフケアの重要性
  • ストレスへの気づき方
  • ストレスへの対処、軽減の方法

合格率

2023年11月5日実施試験での合格率は以下のとおりです。

Ⅰ種
(2022年11月試験の結果)
Ⅱ種 Ⅲ種
17.6% 56.5% 71.9%

経営層を対象としたⅠ種は大幅に難易度が高いことがわかります。

公認心理師

公認心理師は、福祉、教育、保健医療といった分野において、心理学に関する専門知識を持っていることを証明する資格です。2015年に成立した「公認心理師法」に基づき、国内で初めての心理職の国家資格として生まれました。無資格で名称を名乗ることができない「名称独占資格」であり、民間資格の「心理士」と区別されています。

どんな仕事に活かせる?

公認心理師は主に医療・保険、教育、産業・労働、福祉、司法といった分野で活躍しています。

医療現場では、精神疾患の方や、病気・ケガで強いストレスを受けた人のケアをするのが仕事です。保険領域では、家庭のトラブル、薬物依存症などの相談対応を行います。病院や保健所、精神保健福祉センターなどが代表的な勤務先です。

教育現場では、生徒や保護者、教職員からの心理相談に、アドバイスを行います。教育相談員として、自治台の設置の窓口でカウンセリングを行うこともあります。小中高等学校、教育委員会などに就職するケースが一般的です。

産業領域においては、従業員のメンタルヘルスに関する相談を受け付けます。厚生労働者が企業のメンタルヘルスケアを推進している背景から、企業が従業員のケアのために専門家の支援を求めるケースが増えています。一般企業の健康管理部門や、外部EAP機関、ハローワークなどが主な勤務先です。

福祉領域における公認心理師の仕事は、児童や障害者の方、高齢者の方などの支援を行うことです。老人福祉施設、児童福祉施設、障害支援施設などが代表的な就職先となります。

司法領域では、被害者・加害者の心理的ケアを行うのが主な仕事です。家庭裁判所や少年院、刑務所などに、公務員として勤務します。

国家資格という点から信頼感があり、さまざまな現場で求められているのが特徴です。どの現場でも、「こころ」に関するスペシャリストとして、即戦力となることが期待されています。現状では、資格の運営が始まって歴史が浅いことから就職例は多くありませんが、今後は少しずつ活躍の場が増えていく見込みです。

試験形式

公認心理師の試験形式は以下のとおりとなっています。

問題構成

配点

合格基準

マークシート:午前・午後それぞれ120分

150~200問:230点

得点率60%以上

なお、受験資格として、大学の心理学部卒業、そして大学院課程の修了が必要です。それ以外に、心理職において2年以上の実務経験を積んだ場合も受験可能となります。

一般問題と事例問題で構成されていますが、第1回、2回と比較して、第3回では変更点が多く見受けられました。過去問題は公式ホームページで確認できますが、現在は試験形式・内容をもとにした対策が難しくなっています。

合格率

2018~2023年年実施回の合格率は以下のとおりです。

第一回 2018年

79.1%

第二回 2019年

46.4%

第三回 2020年

53.4%

第四回 2021年 58.6%
第五回 2022年 48.3%
第六回 2023年 73.8%

2018年から2019年にかけて、合格率が大きく下がりました。
これは、初回の実施回に現役の臨床心理士の受験が多かったことが理由だと考えられています。

また、2022年から2023年にかけて、合格率が再び大きく上がりました。

まだ始まってからの歴史が浅いことから、合格率が安定していませんが、4~5割が目安といえそうです。

臨床心理士

臨床心理士は、クライアントの要望を受けてメンタルの問題解決を行う、心理学についての専門的な人材です。「臨床心理学」を特化した民間資格として、日本臨床心理士資格認定協会によって1988年より運営されています。「臨床」とは、「現場の」「実践的な」といった意味の言葉です。つまり、医療現場において、患者さんに近い位置で直接診療や診察を行う人材を指します。

どんな仕事に活かせる?

心理検査やカウンセリングなどを適宜行い、クライアントのこころのケアを行うのが、臨床心理士の仕事です。具体的には、「臨床心理査定」「診療心理面接」「診療心理的地域援助」「調査・研究」といった仕事に分けられます。

臨床心理査定とは、心理テスト・観察を通じてクライアントの特徴や抱えている問題を明らかにする仕事です。同時に、適切な援助の方法について検討します。

臨床心理面接は、さまざまな心理学的技法を駆使し、クライアントのこころのサポートを行う仕事です。臨床心理士の仕事のなかで中心的な位置を占めます。

さらに、地域、学校、職場など、コミュニティに属する人々の心の健康のため支援活動を行うのも仕事のひとつです。この活動のなかには、心理的な情報の提言も含まれます。

また、これらの仕事のため、必要に応じて知識を補填するための調査・研究活動を行っていきます。

主な就職先となるのは、医療・保健領域、教育領域です。

病院やクリニックに就職した場合、主に心療内科が現場となります。総合病院で働く場合、内科・外科で横断的に診療を行うことも少なくありません。

教育領域では、主に「スクールカウンセラー」として勤務することになります。幼稚園で働く、「キンダーカウンセラー」や、自治体の教育相談室職員といった職業もあります。これらは、基本的に非常勤職員です。

いずれの現場でも、「こころ」の問題に取り組むプロとしての活躍が求められます。5年ごとの更新審査が設けられているのも、常にスキルや知識を一定以上に保つためです。

試験形式

臨床心理士の試験は、1次試験と2次試験に分かれています。それぞれの試験形式は以下のとおりです。

・1次試験

問題構成

問題数

合格基準

マークシート:2時間半

論述:1時間半

マークシート:100題

論述:1,001文字以上1,200文字以内

非公開

・2次試験

2次試験では、2名の面接官による「口述面接試験」が行われます。心理学に関する専門的な知識、臨床心理士としての基本的な姿勢、最低限のコミュニケーション能力などを審査するのが目的です。

受験に際しては、臨床心理士指定の大学院課程を修了する必要があります。また、5年ごとの更新審査が必要です。

合格率

合格率は以下のように推移しています。

2019年

63.6

2020年

62.7

2021年 64.2%
2022年 65.4
2023年 64.8

近年は60~65%台の合格率で推移している状況です。

産業カウンセラー

産業カウンセラーは、働く人たちのこころの問題を自らで解決できるように援助する仕事、ならびに、産業カウンセラー試験の合格者です。一般社団法人日本産業カウンセラー協会が民間資格として運営しています。民間の心理学関連資格のなかでも、特に知名度が高いもののひとつです。

産業カウンセラーの上級資格とした、「シニア産業カウンセラー」があります。産業カウンセラーの活動領域に組織開発やコンサルティングを加え、さらに専門性を強めています。

どんな仕事に活かせる?

産業カウンセラーの活動領域は「メンタルヘルス対策の支援」「キャリア形成の支援」「職場における人間関係開発・職場環境改善への支援」の3領域です。

メンタルヘルス対策として、職場全体のストレス管理や個人のストレスケアの援助を行います。近年は、企業において成果主義、リストラの可能性など、労働者にストレスを与える政策も少なくありません。こうした政策により、従業員がこころの健康を害してしまう危険性があります。また、生産性への影響も懸念されます。メンタルヘルスの改善・維持を支援し、こうした問題を回避するよう努めるのが産業カウンセラーの仕事です。

また、働く人々の悩みに対応し、キャリア形成を支援するのも仕事です。労働者がより良い職業を求めて異動することは珍しくなくなりました。産業カウンセラーは、キャリアコンサルタントとして、そうした労働者を支援します。

職場において人間関係育成の援助を行うのも産業カウンセラーの仕事です。企業に大きな問題をもたらす要因として、メンタルヘルスの問題が取り沙汰されるようになりました。産業カウンセラーは企業において、人間関係育成のサポートに取り組み、快適な職場環境構築を目指します。

産業カウンセラーの求人は、現時点ではそれほど多くありません。有資格者の就職先として多いのは、対人業務が多い営業職です。資格試験で合格基準となるコミュニケーション能力が評価されます。また、人材派遣業者の求人も一般的です。

試験形式

産業カウンセラーは学科試験と実技試験に分かれています。それぞれの試験の形式は以下のとおりです。

・学科試験

試験

問題構成

問題数

合格基準

学科試験1

マークシート:90分

40問

6割程度以上

学科試験2

マークシート:60分

20問

学科試験は「産業カウンセリング」「カウンセリングの原理および技法」「パーソナリティー理論」「職場のメンタルヘルス」「事例検討」が出題領域です。学科試験1では基礎的な内容が、学科試験2ではコミュニケーション、対応能力に関する問題が取り扱われます。

・実技試験

内容

合格基準

・試験管との面接

・受験者とのロールプレイング

6割程度以上

実技試験では、「基本的態度」「適切な技法」「自己理解的側面」「社会的貢献」の4能力が審査されます。印象も合否を左右するため、服装や立ち居振る舞い、言葉遣いや発声などへの意識も大切です。

合格率

産業カウンセラーの難易度の指標として、2017、2018、2019年実施回の合格率をご紹介します。

2017年

学科試験

72.9%

実技試験

69.3%

2018年

学科試験

72.0%

実技試験

67.4%

2019年

学科試験

69.4%

実技試験

66.5%

2020年

学科試験

67.5%

実技試験

72.4%

2021年

学科試験

67.8%

実技試験

67.3%

2022年

学科試験

65.0%

実技試験

61.1%

学科試験・実技試験は、ともに65~73%で推移しています。なお、学科試験・実技試験のいずれかに合格した場合は、翌年度、翌々年度の実施回では試験が免除されます。また、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が運営する「産業カウンセラー養成講座」を修了すると、その年の実施回の実技試験が免除されます。

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「こころ」の問題に関連した資格についてご紹介しました。あらゆる現場でストレスによってメンタルヘルスの健康を害する人が増えており、こうした資格を持つ人材のニーズは高まっています。また、自分に降りかかるストレスに対処する力を身に付けるためにも、今回ご紹介したような資格に取り組むことは重要です。仕事を始めると、誰にでもこころの不調は起こりえます。こうした資格に取り組んでおいて損はないでしょう。興味を持てる資格を見つけて、トライしてみてはいかがでしょうか。