メンタルヘルス・マネジメント®検定試験とは?
※メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は大阪商工会議所の登録商標です。
メンタルヘルス・マネジメント®検定とは、働く人たちの心の健康管理や、ストレスへの対処法について学べる資格です。
昨今、どんな企業でも職場の働く環境を整備することや、働く人たちの心の健康を守ることが重要視されています。メンタルヘルス・マネジメント®検定試験は、人事労務の観点から職場の環境・人を健康的にマネジメントするための知識を得られる検定となっており、働く人すべての人におすすめできる人気の資格です。
受験資格は特に無いため、誰でも挑戦しやすい資格です。専門性別に、3段階のレベルに試験が分かれており、特にⅡ種の「ラインケアコース」とⅢ種「セルフケアコース」の試験は誰でも挑戦しやすい資格となっています。挑戦しやすい理由も一緒に紹介していきます。
3種類のコース内容の違いと受験者数・合格率
Ⅰ種の難易度が最も高く、Ⅲ種が最も合格しやすい難易度となっています。
Ⅲ種(セルフケアコース)
3つのコースの中で一番取得しやすいのがⅢ種のセルフケアコースです。
セルフケアコース、という名前の通り、自分自身のストレスのケアを行えるようになることを目的としています。職種や業種、年齢や職歴問わず、働く人であればすべての人におすすめできるコースです。
Ⅲ種の試験には、自分自身のストレス状況のチェックの方法や、メンタルヘルス不調の対処について学びます。
▼メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅲ種 実受験者数、合格者数、実受験者数に対する過去5年の合格率
回 | 実施日 | 実受験者(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|---|
第31回 | 2021/11/7 | 5,371 | 3,824 | 71.2% |
第32回 | 2022/3/20 | 4,819 | 3,121 | 64.4% |
第33回 | 2022/11/6 | 5,458 | 3,787 | 69.4% |
第34回 | 2023/3/19 | 5,035 | 3,995 | 79.3% |
第35回 | 2023/11/5 | 4,888 | 3,515 | 71.9% |
第36回 | 2024/3/17 | 4,648 | 3,353 | 72.1% |
Ⅱ種(ラインケアコース)
3つのコースの中で、最も受験者数が多いのがⅡ種のラインケアコースです。ラインケアとは、職場に配置されている上司の立場にある人が、その部下のストレスやこころの不調に気を配り、問題があれば対策を施したり、防止を講じたりすることを言います。
部下を持つ管理職の立場の人におすすめなことはもちろんですが、Ⅱ種を学ぶことで上司や会社がどんな対応をしているのか考え方を学ぶこともできるので、一般社員の方も学んで損はない内容となっています。
▼メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅱ種 実受験者数、合格者数、実受験者数に対する合格率
回 | 実施日 | 実受験者(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|---|
第31回 | 2021/11/7 | 10,053 | 4,664 | 46.4% |
第32回 | 2022/3/20 | 11,128 | 7,763 | 69.8% |
第33回 | 2022/11/6 | 10,988 | 6,401 | 58.2% |
第34回 | 2023/3/19 | 11,918 | 6,444 | 54.1% |
第35回 | 2023/11/5 | 11,781 | 6,661 | 56.5% |
第36回 | 2024/3/17 | 12,483 | 9,137 | 73.2% |
Ⅰ種(マスターコース)
3つのコースの中で最も難易度が高いのがⅠ種のマスターコースです。コースの主な対象者は人事労務管理スタッフや、経営幹部となり、社内のメンタルヘルスケアを推進することが目的です。詳しくは後述しますが、Ⅰ種の試験レベルはⅡ種、Ⅲ種と比較して大きく離れており、かなりの難関となります。しかし取得することができれば、企業のメンタルヘルス対策を率先して構築できる知識を持つ証明となります。
▼メンタルヘルス・マネジメント®検定試験Ⅰ種 実受験者数、合格者数、実受験者数に対する合格率 直近5年間
回 | 実施日 | 実受験者(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|---|
第25回 | 2018/11/4 | 1,642 | 332 | 20.2% |
第27回 | 2019/11/3 | 1,620 | 252 | 15.6% |
第29回 | 2020/11/1 | 1,276 | 272 | 21.3% |
第31回 | 2021/11/7 | 1,521 | 301 | 19.8% |
第33回 | 2022/11/6 | 1,628 | 287 | 17.6% |
第35回 | 2023/11/5 | 1,587 | 325 | 20.5% |
他の有名な資格と合格率を比較してみると、国家資格の宅建士が15~17%で、簿記3級がおよそ30~40%の合格率です。合格率だけで難易度を図るとすれば、Ⅰ種は宅建士並みの難しさがあり、Ⅱ種、Ⅲ種は簿記3級よりも合格しやすいといえる程度のレベルとなります。
メンタルヘルス・マネジメント®検定の難易度はどれくらい?
Ⅲ種は簡単
セルフケアコースのⅢ種は合格率も高く、よく知られている常識的な知識が問われることもあるため、簡単な試験といってもよいでしょう。
公式テキストを一読して問題を一通り回す程度で合格レベルを狙えます。
Ⅱ種は細かい箇所の暗記も必要
ラインケアコースのⅡ種は、Ⅲ種ほど簡単とは言えませんが、試験の傾向をつかみ正しい勉強法で準備しておけば、問題なく合格できるレベルの試験です。
ですが、Ⅱ種の試験対策で注意しておきたいのが、法律や制度で定められている細かい数値が試験で問われるパターンがあることです。専門用語やキーワードの意味を理解しておくだけでは十分ではないので、丁寧に学習することを意識してください。
例えば、労働安全衛生法では、「常時使用労働者数が50人以上の場合は、産業医を1人以上選任しなければならない」と規定されています。試験では、「50人」が別の数字に差し変わって正誤を問われたり、義務なのか努力義務なのか、といったことが問われることがあります。こういった問題が出題された場合に備えて、丁寧な学習が必要です。
Ⅲ種・Ⅱ種とⅠ種の間に難易度の壁がある
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の難易度は、Ⅲ種・Ⅱ種とⅠ種の間で大きな違いがあります。その違いは、試験形式によるもので、Ⅲ種・Ⅱ種はどちらの試験もマークシート形式の試験ですが、Ⅰ種はマークシート形式の試験に加え、論述問題が課されます。
コース | 試験形式 |
---|---|
Ⅲ種(セルフケアコース) | マークシート形式のみ |
Ⅱ種(ラインケアコース) | マークシート形式のみ |
Ⅰ種(マスターコース) | マークシート形式+論述問題 |
Ⅰ種はこの論述試験が鬼門となります。記憶や知識があやふやなまま試験に臨んでしまったとしても、選択問題であればなんとかなります。しかし論述試験はそうもいきません。課された問題に対して、適切なキーワードや専門用語、その意味を思い出して解答しなくてはなりません。Ⅰ種の難易度は、正確な知識を確実に記憶しておく必要があるという点で高いと言えます。もちろん論述する必要がありますから、自らの記述力も試される点でも難易度が上がります。
難易度=合格率ではない
ただし、試験の難易度は合格率の数値だけを見てはかることはできません。合格率というのは、あくまでも「受験者数に対する合格者の割合」であるからです。
受験をしている人の状況は様々です。しっかり勉強して試験にのぞんでいる方の他、
・次年度の下見として受験している方
・とりあえず受けてみようという方
・忙しくて勉強時間がなく準備不足の方
・適切な勉強ができないまま受験されている方
など、あまり準備ができていない状況で受験する「本気でない」方も多く受験されています。特にⅠ種を目指そうと思われている方でも、合格率が低いから、といってあきらめる必要はありません。
メンタルヘルス・マネジメント®検定の勉強時間は?
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の勉強時間は、受験するコースによって大きく変わってきます。
Ⅲ種(セルフケアコース)は、最も合格しやすいコースです。勉強時間として10~20時間ほど、1週間程度あれば独学で問題なく合格できます。
Ⅱ種(ラインケアコース)の一般的に合格に必要な勉強時間は30~50時間ほどと言われています。1日1時間程度の学習を1ヶ月続ければ、合格に達するペースです。
注意したいのは、1ヶ月のうちの勉強の仕方です。
人間の脳は、一回記憶しただけではすぐに忘れてしまいます。エビングハウスという学者が行った実験では、一度覚えた内容も1時間後には56%忘れ、1日後に74%忘れてしまった、という結果が出ています。これをエビングハウスの忘却曲線と呼びます。
記憶に定着させるには、完全に忘れる前に、復習をして思い出すことが必要です。
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の勉強だけに限った話ではありませんが、つまり、平日に一切勉強せずに土日にまとめて5時間勉強する日を月に6回とって合計30時間勉強を行った場合と、毎日1時間ずつ勉強をして30時間を積み重ねた場合では、定着の度合いが同じになるとは言えません。
毎日復習をしながら学習を進めることが重要です。
Ⅰ種(マスターコース)の合格に必要な勉強時間は、Ⅱ種を大きく上回り、100~120時間と言われます。Ⅱ種の2~3倍に上ります。
その大きな理由の1つが、論述試験があることです。
Ⅰ種の試験は、制限時間2時間の選択問題と、制限時間1時間の論述問題で構成されています。論述試験では、問題で問われている内容に関するキーワードを自ら思い出し、字数の中におさめる必要があります。そのため、文章を構成する力はもちろんのこと、用語をしっかり理解して覚え、いつでも思い出せるようにしておく必要があります。
もちろん試験範囲も単純にⅡ種よりも広くなりますので、これらの要素が必要勉強時間が多くなっている理由と考えられます。
メンタルヘルス・マネジメント®検定の対策方法は?
独学で合格可能
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験はもちろん独学で対策を行うことが可能です。
独学のメリットは、勉強をする時間や計画に大きな自由度があり、金銭的な負担も少なくなることです。逆にデメリットは、モチベーションの維持を保つことが難しいこと、自分で勉強法を確立する必要があることです。
独学で行う場合は、市販の参考書や問題集で対策を行うこととなります。
独学をする際に意識したいのが、「インプットとアウトプットの配分」です。
資格試験の勉強が続かない人の特徴の1つに、「1から10まですべて覚えるつもりで丁寧にやりすぎてしまう」ことがあります。メンタルヘルス・マネジメント®検定の参考書は、けして“薄い”とは言えないボリュームがありますので、最初からテキストの細かいところまで覚えようとすると、途中で息切れしてしまいます。
ポイントは、「インプットをさっと済ませたら、問題演習でアウトプットを進め、わからなかった箇所を再インプットする」という手順です。インプットとアウトプットの配分は、およそ3:7くらいを目安にしてください。問題を解くときに「あれ、この問題ってなんだっけ?」となり、解説を見て「そうだった!」と理解する瞬間が、もっとも知識を覚える瞬間です。同じ問題集を何度も繰り返しやることで、独学でも十分に対策を行うことができます。
通学講座
メンタルヘルス・マネジメント®検定試験の勉強に、通学講座を活用することもできます。
これらを使うメリットは、勉強をする際の計画や部材がすでに準備されているので、勉強の進め方に迷うことがない点です。また、通学講座であればわからないことがあったときに講師に確認することができます。デメリットは独学よりも金銭的に負担が大きくなること、時間的・場所的制約が発生してしまうことです。
こういった講座を利用する場合は、講座で見て、聞いて習ったことを、しっかり自分のモノにする時間が必要です。Ⅱ種、Ⅰ種の試験で合格するには、知識をある程度定着させておく必要がありますから、講義を聞いただけではもちろん不十分です。自宅や、自習室などの施設がある場合はそれらも利用して、問題を解いて復習する時間を確保することが重要です。
オンライン講座
オンライン講座を使ったメンタルヘルス・マネジメント®検定試験の対策も1つの手段です。
オンライン講座は、時間や場所を選ばずに学習ができ、予備校に比べると費用もおさえられていることが多いため、リーズナブルに受講ができます。
独学で合格することが可能な試験といっても、Ⅱ種の合格率は50%前後です。受験者のうち、2人に1人は合格し、もう1人は不合格になってしまうレベルの試験です。
さらにメンタルヘルス・マネジメント®検定試験のⅡ種は、管理職のポジションを受験層の目安としています。つまり普段から仕事に忙しく、勉強にあまり時間をとっていられない、という状況の方が受験する人には多いでしょう。
その場合はオンライン講座を活用して、いつでもどこでも勉強をできるような環境を作ってしまうことがおすすめです。
スタディングを使った勉強方法
スタディングは、スマートフォンやタブレット、パソコン、ネット環境があればいつでもどこでも学習が可能です。自宅の机が飽きたら、カフェやコワーキングスペースなどへ移動して気分転換を図る、といったノマド学習も難しくありません。心理状態やコンディション、集中力の変化に合わせて時間と場所を選べるスタイルは、学習効率の面でもプラスです。
また、スキマ時間を有効活用できる点も、マルチメディア対応ツールの大きな特徴です。スマートフォンやタブレットがあれば電車の通勤時間中に昨日の復習から重要ポイントの見直し、用語チェック、問題の解答までできます。短期集中型の学習で合格を目指したい多忙な社会人の間では特にスキマ時間を有効活用できるツールが重宝されています。
ぜひ自分の環境や性格に合わせてぴったりの勉強方法を見つけてください。