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マンション管理士とは?仕事内容や試験、勉強法は?

マンション管理士とは、マンションの維持・管理を担う専門職です。

資格試験が難しく希少性の高くてすごい資格というイメージがあるものの、マンション管理士の仕事がどんなものなのかがわからないという方も多いのかもしれません。

この記事では、仕事内容や資格試験、勉強方法、将来性などマンション管理士に関して気になることを解説します。

マンション管理士とは?

マンション管理士とは何か、次の2つのトピックに沿って解説します。

  • 仕事内容
  • 難易度

1つずつ見ていきましょう。

マンション管理士の仕事内容

マンション管理士とはマンションの維持・管理にかかわる専門家で、マンション管理者や管理組合のサポート・コンサルティングが主な仕事です。

たとえば「長期修繕計画の立案」「管理規約の作成や変更」「住民間のトラブル対応」といった業務に携わり、運営支援を行います。

マンション管理士は「マンション管理人」と勘違いされる場合がありますが、両者の役割は異なります。

管理人は清掃や日常的な居住者対応を行う現場スタッフで、一方のマンション管理士は管理組合の運営や意思決定を支援する専門家です。

また、マンション管理士と似ている職種に「管理業務主任者」がありますが、こちらは不動産管理会社側で業務を行う職種で、マンション管理士とは立場が異なります。

マンション管理士は管理組合側で住民の立場に立ってサポートを行う一方、管理業務主任者は管理会社側に立ち、管理組合への重要事項の説明といった業務を遂行します。

難易度の高い国家資格

マンション管理士の例年の合格率は10%前後で、非常に難易度の高い国家資格です。

他の不動産関係の資格と比較しても合格率が低く、取得すると「すごい」と思われる難関試験といえるでしょう。

高難易度の理由には「試験範囲が広い点」が挙げられ、試験ではマンション設備や構造から法令まで、幅広い分野の知識が問われます。

このような難しい資格なのでマンション管理士は合格者が限られており、希少性は高いといえます。

結果として資格保有者の需要は高くなり、専門家としての地位を築きやすいため、努力して取得する価値は十分にある資格だといえるでしょう。

マンション管理士になるには?

マンション管理士になるには、試験に合格して登録を申請する必要があります。「合格」と「登録」の2つのステップに分けて、マンション管理士になる流れを解説します。

マンション管理士試験に合格

マンション管理士になるには、まず年1回実施される国家試験に合格しなければなりません。合格率はおよそ10%前後という非常に難しい試験で、毎年11月の第4日曜日に実施されます。

なお、試験には受験資格が設けられていないため、年齢や学歴、実務経験を問わず誰でもチャレンジできます。

合格するには幅広い知識を身につける必要があり、マンション管理に関する法律やマンション設備、管理組合の運営など多岐にわたる分野を学習しなければなりません。

試験合格に向けて十分な準備期間を設け、計画的に学習を進めることが重要です。

マンション管理士に登録

マンション管理士試験への合格後は、登録機関に申請して登録を受ける必要があります。

合格したらまずは登録申請書と必要書類を準備し、特定記録郵便で「公益財団法人マンション管理センター」に送付しましょう。

マンション管理センターが送付書類を審査して申請を受理すると、登録されて登録証が交付されます。

なお、マンション管理士の登録には、実務経験は不要です。

宅地建物取引士や管理業務主任者といった他の不動産関連の資格は、登録時に実務経験や登録講習の受講が必要ですが、マンション管理士にこのような要件はありません。

試験に合格さえすれば、実務経験や講習受講なしで登録手続きが行えます。

マンション管理士の試験内容とは?合格に必要な勉強時間・方法

マンション管理士試験は難易度が高い試験のため、綿密な学習計画を立ててしっかりと対策をする必要があります。

試験内容や対策の解説を参考に、生活に合った学習計画を立てましょう。

ここからは、合格に必要な勉強時間、試験概要、試験範囲、勉強方法について解説します。

必要な勉強時間

マンション管理士の資格合格に必要な勉強時間は受験者の知識によって異なり、500~700時間程度の学習が必要といわれています。

ただし、不動産業界での実務経験がある方や「宅地建物取引士」や「管理業務主任者」といった資格を取得している方の場合は、勉強時間を短縮できる可能性があります。

不動産関連の資格をもっている方は、すでにある知識や経験を活かして効率的に学習を進められるでしょう。

試験の概要

2024年度(令和6年度)マンション管理士試験の概要は、以下のとおりです。

▼申込期間(郵送申込)
8月1日(木)~8月30日(金)
※申込締切日の当日消印有効

▼申込期間(Web申込)
8月1日(木)10:00~9月30日(月)16:00

▼試験日
11月24日(日)

▼合格発表日
2025年(令和7年)1月7日(火)

▼試験地
札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市、ならびにこれら周辺地域

▼試験形式
4肢択一(2時間)

試験の範囲

想定されるマンション管理士試験の範囲は、以下の分野です。

  • マンション管理に関する法令と実務
  • 管理組合運営の円滑化
  • マンションの建物や附属施設の構造と設備
  • マンション管理の適正化推進に関する法律

マンション管理士は管理組合やマンション住民への支援が主な業務であるため、資格試験では法令から建物の設備まで、幅広い知識が問われます。

合格を獲得するための勉強方法

独学でマンション管理士の合格を獲得するためには、出題傾向を分析し、重要科目を中心に勉強することが大切です。

頻出分野である区分所有法や標準管理規約、マンション管理適正化法などは重点的にインプットし、問題集や過去問演習でアウトプットを行いましょう。

忙しい日常の中でも十分な勉強時間を確保しつつ、計画通りに学習を進める努力も重要です。

独学のメリットは学習コストを抑えられる点と、自分のペースで勉強できる点です。

一方のデメリットは、わからないことがあってもすぐに質問できる相手がいないことと、適切な学習計画を立てにくいことが挙げられます。

独学で学習を進めていく中で「自分には向いていない」と感じた場合は、通信講座への切り替えを検討するのもよいでしょう。

マンション管理士試験の受験者数・合格者数

マンション管理士試験の近年の受験者数・合格者数・合格率は、次のように推移しています。

年度受験者数合格者数合格率
2014年(平成26年)14,937人1,260人8.4%
2015年(平成27年)14,092人1,158人8.2%
2016年(平成28年)13,737人1,101人8.0%
2017年(平成29年)13,037人1,168人9.0%
2018年(平成30年)12,389人975人7.9%
2019年(令和元年)12,021人991人8.2%
2020年(令和2年)12,198人1,045人8.6%
2021年(令和3年)12,520人1,238人9.9%
2022年(令和4年)12,209人1,402人11.5%
2023年(令和5年)11,158人1,125人10.1%

マンション管理士試験の合格率は、例年約10%前後で推移しており、これは他の不動産系資格と比べてかなり低い数字です。

宅地建物取引士の近年の合格率が15〜17%程度、管理業務主任者が18〜23%程度、賃貸不動産経営管理士が27〜31%程度であることを考えると、マンション管理士の難易度がいかに高いかがわかるでしょう。

「すごい?」「役に立たない?」マンション管理士の本当のところ!

「すごい資格?」「役に立たない?」などといわれるマンション管理士の実態や年収について、次のトピックについて解説します。

  • 独占業務
  • 平均年収
  • 働き方
  • 将来性

1つずつ見ていきましょう。

マンション管理士は名称独占資格で独占業務がない!

マンション管理士は「名称独占資格」であり、独占業務はありません。

「名称独占資格」とは、資格保有者だけが特定の名称を名乗って業務ができるという資格です。マンション管理士以外だと、保育士や中小企業診断士などが名称独占資格として挙げられます。

名称独占資格には法令で定められた独占業務はないため、マンション管理士の資格をもっていない方でも、マンション管理士と同じ業務が行えます。

また、マンション管理組合にはマンション管理士の設置義務がありません。マンション管理士を置く法的義務がないため、設置するかどうかは管理組合の自主的な判断に委ねられています。

このように、マンション管理士には独占業務や設置義務がないため「役に立たない資格」と評価される場合があるのでしょう。

マンション管理士の平均年収は400万円前後!

マンション管理士の平均年収は400万円前後といわれており、難関資格ではあるものの年収はそこまで高くありません。

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、一般的なサラリーマンの平均年収は458万円なので、マンション管理士の平均年収が高水準ではないとわかります。

ただし、マンション管理士の中には年金受給者も多く、あえて業務量を抑えて働いている方も少なくありません。そのため、全体の平均年収が押し下げられているという側面があります。

マンション管理士の平均年収は高くないものの、活躍の場を広げることで、年収を大きく伸ばすことは可能です。

たとえば、宅地建物取引士や二級ボイラー技士といった関連資格を取得すれば、幅広い業務に対応できるようになるでしょう。

実際、業務範囲を広げて年収600万〜800万円程度を確保しているマンション管理士は、珍しくありません。

また、経験と実績を積んで、マンション管理士として独立開業する道もあります。

顧客の獲得や人脈構築には高いハードルがあるものの、複数の資格を活かしつつ独立開業すれば、さらなる年収アップが期待できるでしょう。

マンション管理士はさまざまな働き方ができる仕事!

マンション管理士は多様な働き方ができる職種で、主な働き方には「不動産管理会社への就職」と「独立開業」が挙げられます。

就職して会社員として働くメリットは、安定した収入が得られる点です。組織の一員としてさまざまなプロジェクトに携われるため、幅広い経験を積めるでしょう。

一方、独立開業するメリットは、自身のライフスタイルに合わせた自由な働き方ができる点です。顧客を増やして収入を安定させる必要はありますが、成功すれば高収入を得られる可能性があります。

また、マンション管理士は、定年後のセカンドキャリアとして選ばれることも少なくありません。

長年の社会人経験や実務経験にもとづくマンション管理の知識は業務に役立つため、60代、70代になってもマンション管理士として大いに活躍できるでしょう。

マンション管理士は個人のライフスタイルに合わせて、さまざまな働き方を選択できる仕事といえます。

マンション管理士は将来性がある!

マンション管理士は将来性の高い職業で、その理由は日本のマンション事情と密接に関連しています。

日本国内のマンションストック戸数は年々増加しており、現在、人口の約1割以上がマンションの居住者です。マンションの居住割合は今後も増加すると予想され、それに伴いマンション管理の需要の拡大が見込めます。

さらに、マンション居住者の高齢化が進んでいるため、マンション管理組合の運営は今後難しくなるでしょう。

このような状況を踏まえると、マンションの適切な管理を支援するマンション管理士は、ますます重要になっていくと考えられます。

マンション管理士は社会のニーズに合致した、将来性のある職業といえるでしょう。

まとめ

当記事では、マンション管理士の仕事内容や資格試験の概要、平均年収や将来性などをご紹介しました。

ポイントをおさらいしましょう。

  • マンション管理士は国家資格で、マンションの維持・管理にかかわる専門職である
  • 難易度の高い国家資格で、例年の合格率は10%前後である
  • マンション管理士試験は年1回実施され、法令から建物の設備まで幅広い知識が問われる
  • マンション管理士は名称独占資格で、独占業務はない
  • マンション管理士の平均年収は400万円前後だが、活躍次第で600万〜800万円程度の年収を目指せる
  • 日本のマンション事情を考慮すると、マンション管理士は将来性がある職種といえる

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