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マンション管理士の仕事内容とは?働き方や向いている人は?

不動産関連3大資格のひとつとして注目されている「マンション管理士」ですが、どんな仕事なのか明確なイメージを持っていない方も多いでしょう。

この記事では、マンション管理士の仕事内容について、具体的な業務や働く環境、向いている人などを解説します。

世間で時々なされる「仕事がない」や「役に立たない」といったマイナスの噂が本当なのかどうかも検証します。

すごい?きつい?マンション管理士はどんな仕事?

マンション管理士は、宅地建物取引士(宅建士)や管理業務主任者の資格とともに挙げられる不動産関連の資格です。

その名称からマンション関係の業務を行う人だろうと想像はついても、具体的に何をするのか知らない人も多いかもしれません。

マンション管理士はどんな仕事か、内容や働く環境などについてご紹介します。

マンション管理士の仕事内容

マンション管理士はその名の通り、マンション管理の専門家で、マンション管理適正化法に基づく国家資格です。

マンションの管理組合や購入者である区分所有者の相談を受け、専門的な知識と経験を生かしてアドバイスや指導などのコンサルティング業務を行います。

マンション管理に対する相談対応

管理組合の役員などからの相談に対し、アドバイスを行います。管理組合が行う業務は総会・理事会開催や住民トラブル対応など幅広く、なかには会計処理や管理委託契約など、専門知識を必要とする業務も含まれます。適切な管理に向けて専門家としてサポートをするのが、マンション管理士の日常的な業務です。

管理規約

マンションには、共有部や使用方法、禁止事項、管理組合役員の選定方法など、マンション管理のルールを定めた規約があります。その管理規約の策定や、改定時の内容精査を行います。

大規模修繕計画

マンションの安全を守り、資産価値を保つためには、修繕が欠かせません。管理組合に代わって修繕計画を立てたり、必要な修繕が含まれているかなど計画をチェックしたり、業者選定のサポートなども行います。

マンション管理士が一緒に働く人・働く環境

マンション管理士として働く場合、管理組合の役員や区分所有者の住民を中心に、建設会社の担当者など、さまざまな立場の人と関わる機会があります。

マンション管理士として働く人は、会社員としてマンション管理会社や不動産会社に勤務している方が大多数です。

マンション管理センターが2018年に発表した調査を見ると、独立開業した場合は個人事務所において1人で働くケースが86%と圧倒的に多くなっています。

マンション管理士に向いている人

マンション管理士の担当する業務は、規約・計画策定などのマンション管理関係の書類作成業務から、管理に関する相談全般と幅広くなっています。

では、多様な業務をこなす必要のあるマンション管理士に向いている人はどのようなタイプでしょうか。マンション管理士に向いている人の特徴を3点ご紹介します。

  • 事務作業を地道にできる人
  • 複数の業務を同時並行でこなせる人
  • 交渉や仲裁が得意な人

事務作業を地道にできる人

コンサルティング業務と聞くと華やかなイメージがあるかもしれません。しかし、マンション管理士の業務は地道な調査・確認などデスクワークでの対応も多く、事務作業をコツコツと行える人が向いています。

管理規約や修繕計画の策定、精査などは書類の細かい部分まで確実にチェックしなければならないので、そういう事務作業が苦にならない人、集中力を保ちながら一つひとつ丁寧に進められる人に合っています。

複数の業務を同時並行でこなせる人

マンション管理士は業務内容が多岐にわたります。しかも、1人で複数のマンションを担当することが一般的となっているため、複数の業務を同時並行でこなすことが必要です。

規模や年数、特徴の異なる複数のマンションに対して、それぞれに必要な業務を正確に把握し、スケジュール管理を適切に行いながら同時に業務を進められるような、マルチタスクを得意とする人に合っています。

交渉や仲裁が得意な人

マンション管理士は、マンション関係者や管理会社、建設業者など、業務でさまざまな人と関わります。コミュニケーション上手で人に分かりやすく説明するのが得意な人は、マンション管理士に向いています。

また、マンション住民のトラブル解決も期待されている業務の1つです。規約と照らし合わせて第三者の立場で仲裁するとき、関係者全員が納得できる解決策を導き出せるよう、関係者からしっかり話を聞いて粘り強く落とし所を探す力が求められます。

マンション管理士になるには?

マンション管理士になるためには、まずマンション管理士試験に合格する必要があります。

合格後、指定機関に申請して登録簿への登録を受けることで、マンション管理士を名乗って業務にあたることができるようになります。

登録後は、資格を維持するために5年に1度の法定講習を受講する必要があります。

これらの流れを詳しく見ていきましょう。

マンション管理士試験に合格する

まずはマンション管理士試験に合格しなければ、マンション管理士として活動できません。

マンション管理士試験は合格率7~11%と、難易度の高い資格です。

試験は年に1度、毎年11月の第4日曜日に実施されています。試験時間は2時間で、50問4肢択一形式で行われます。

試験範囲は区分所有法や民法、マンション管理適正化法など、マンション管理に関する法令関係、管理組合の運営や会計などの実務関係、マンションの構造や設備、大規模修繕などを含む建築・設備関係と、多岐にわたります。

そのため、マンション管理士試験合格に必要な勉強時間は500時間ほどとされています。

試験範囲の内容に今まで全く触れたことがないという初学者の場合、さらに100〜200時間ほど必要になるかもしれません。

マンション管理士として登録する

試験合格後は、マンション管理士としての登録が必要です。

登録には実務経験は必要ありません。登録手数料と登録免許税を支払った上で、指定登録機関であるマンション管理センターに申請用紙一式を送付します。

センターで審査後、受理されるとマンション管理士登録簿に登録され、登録証が発行されます。

登録申請に期限は設けられていないため、試験合格者はいつでも申請することができるようになっています。

5年に1度資格を更新する

登録後は5年に1度の講習を受け、資格の更新をすることが義務付けられています。この法定講習を受けなければ免許取消、または一定期間の停止となってしまいます。

講習はインターネットを利用して受講するWEB方式になっていますが、インターネット環境がないなどの理由がある場合は教室での座学形式での受講も可能です。

講習科目には、マンション管理に関する法令・実務関連、管理組合の運営円滑化、建築・設備などがあります。

仕事がない、やめとけは本当?マンション管理士にマイナスのイメージがある理由とは?

マンション管理士を検索すると「仕事がない」「やめとけ」などの声も目につきます。マイナスのイメージに結びついている要因は、次のようなものです。

  • 難易度が高いこと
  • 独占業務がないこと
  • 資格を仕事にの割合
  • 管理業務主任者との比較

1つずつ見ていきましょう。

マンション管理士は難易度が高い資格だから

「やめとけ」と言われる理由としては、マンション管理士の資格が不動産関連の資格のなかで難易度が高いことが挙げられます。

マンション管理士の試験合格率は2019〜2023年度で8.2〜11.5%です。

同じ期間における不動産関連の他資格の合格率と比較すると、宅建が17〜18%、管理業務主任者が19〜24%、賃貸不動産経営管理士が28〜37%なので、マンション管理士が最も合格率が低いことがわかります。

このことが、他の不動産資格の方が良いと思われる原因になっています。

マンション管理士には独占業務がないから

マンション管理士には独占業務がありません。

独占業務とは、その資格を持っている人だけが行うことができる業務で、例えば同じ不動産関連の資格である宅建士であれば、不動産の根幹に関わる重要事項説明が独占業務として認められています。

マンション管理士は資格がないとマンション管理士を名乗ることはできませんが、代わりにマンション管理アドバイザー、コンサルタントなどの肩書きで、マンション管理士と同様の業務を行うことが可能です。

この点も「他の資格の方が良いのでは?」といわれる一因となっています。

資格を仕事に生かしているマンション管理士が少ないから

マンション管理士を目指すきっかけはさまざまですが、自身がマンション管理組合のメンバーになったことで学んでみたいと考え、資格取得した方も一定数います。

このような資格取得者のなかには、マンション管理士とはまったく異なる仕事をしている方も多いのが実情です。

資格取得者へのアンケートでは、マンション管理士としての活動をしていないと答えた人が76%に上り、本業としている人は5%以下という結果が出ています。

また、マンション管理士として活動していても、仕事としてではなく収入を得ていない人も少なくありません。

ただ、受験のきっかけを見ると「現在・将来の仕事のため」とした人が66%います。

管理会社や不動産関連の業務に生かすために資格を取得した人も多数存在しており、必ずしもマンション管理士が仕事に結びつかないというわけではありません。

求人の多い「管理業務主任者」のほうが就職・転職に有利だから

同じくマンション管理の国家資格である管理業務主任者のほうが就職・転職に有利だというのも、マンション管理士へのマイナスイメージを生み出しています。

2つの試験を比較すると、法令など試験範囲は重なる部分が多くあります。

しかし、管理業務主任者試験ではあくまで管理業務に関する問題が出題され、マンション管理士のような細かい知識は問われません。

合格率はマンション管理士よりも高いため、管理業務主任者のほうが取得しやすい資格だといえます。

にもかかわらず、管理業務主任者には独占業務と設置義務があるため、マンション管理会社への就職・転職には有利に働きます。

ただし、同じマンション管理の専門家でも立場が正反対です。

管理業務主任者は、管理組合から委託を受けた管理会社側の立場で管理をし、マンション管理士は管理組合(住民側)の立場でアドバイスをします。

マンション管理士の将来性

仕事がないなどのマイナスイメージもあるマンション管理士ですが、マンションの数は増加傾向で、それに伴いマンション管理士を必要とする管理組合も増加することが予想されます。

そんなマンション管理士の将来性についてみていきます。

    マンション管理士需要は今後ますます大きくなる

    マンション管理士の需要は今後ますます大きくなることが予想されます。

    国土交通省の発表によると、2023年末時点でのマンションストック総数は704万戸でした。

    その数は右肩上がりで増えているため、老朽化の心配がある築年数の経過したマンションも増加していくと予想されます。

    また、住民の高齢化が進むとマンション管理組合の運営が難しくなるため、専門家によるサポートが必要とされます。

    人口減少で家余りの問題も発生するため、マンションの資産価値を守るためには、修繕なども含めた適切な管理が欠かせません。

    このような理由によって、今後専門家であるマンション管理士の需要が大きくなると考えられます。

    シニアになってからも活躍できる

    マンション管理士は、シニアになってからも活躍できる仕事です。

    特別体力が求められる業務はないため長く働くことが可能で、相談に対するアドバイスや指導など、シニアの豊富な人生経験が生きる場面も多々あるでしょう。

    マンション管理センターが2018年に発表した調査では、マンション管理士として本業または副業で収入を得ている人のうち、60〜79歳が7割を占めていました。

    年金を受給する年齢になっても活動している人が多いことがわかります。

    ただし、未経験者がいきなり仕事を獲得するのは難しいため、シニアになってからのマンション管理士の活動を考えている人は、それまでに管理会社で経験を積むなど何らかの形で実績を作っておきましょう。

    まとめ

    不動産関連の資格で今後需要増が予想されるマンション管理士について、業務内容や資格試験についてのほか、マイナスイメージを持たれる理由などをご紹介しました。

    • マンション管理士は国家資格で、管理組合など住民側の立場でマンション管理をサポートする専門家
    • 他の不動産資格より合格率が低い・独占業務がないことなどからマイナスイメージを持たれることも
    • 築年数の経過したマンションが増加中。適切な管理で資産価値を保つため、今後ますます需要が高まりそう

    マンション管理士は、試験範囲が重なる部分も多い管理業務主任者とダブルライセンスを目指す人がたくさんいる資格です。

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