マンション管理士試験の5問免除制度とは、管理業務主任者試験に合格済みの受験生が得られる特典です。
試験問題50問のうち5問が免除されるため。5問免除と呼ばれています。
難関資格として知られるマンション管理士試験において、5問免除を受けるメリットは大きいでしょう。
この記事では、マンション管理士試験において5問免除の概要や具体的なメリット、条件と注意点について解説します。
マンション管理士試験における5問免除とは?
マンション管理士試験では、一定の条件を満たしている場合に5問免除される制度が用意されています。
まず、免除になる条件やどの問題が免除になるのかなどを解説します。
マンション管理士・管理業務主任者のダブルライセンスで適用になる
マンション管理試験での5問免除は、同じくマンション管理の専門家である管理業務主任者の資格を持っている場合に適用されます。
同様に、マンション管理士の資格を取得済みの方が管理業務主任者試験を受験する場合にも、試験で5問免除が適用になります。
マンション管理士と管理業務主任者は、それぞれの資格で求められる知識に共通点が多く、試験範囲も重なる部分がある試験です。
このため、キャリアアップを考えてダブルライセンスを目指す人も多い傾向にあります。
5問免除を利用しての受験を考える場合、試験の難易度が高いマンション管理士での利用がメリットが大きくなるでしょう。
つまり、先に管理業務主任者の資格を取得し、その翌年以降にマンション管理士試験受験を予定する受験生が多いようです。
「マンション管理適正化法」の5問が免除になる
試験で免除される問題は、マンションが適切に管理されるようにルールが定められた「マンション管理適正化法」に関して出題される5問です。
その5問は正解と同じ扱いになり、試験では残りの45問に解答する形になります。
このマンション管理適正化法の分野に関しては、頻繁に出題されるテーマが決まっていて、暗記での得点源となります。
落とせない問題なので、5問免除適用で正解扱いになるのは大きなメリットといえるでしょう。
一つ注意したいのは、5問免除を受ける場合に試験時間が変わることです。
試験開始が通常より10分遅くなり、解答時間は10分短い110分間になります。
5問免除にメリットはある?免除によって得られることとは?
合格のためには決して落とせない問題が、最初から5問正解扱いになるのは非常に大きなメリットですが、試験で5問免除の適用を受けるメリットはそれだけではありません。
ここでは試験時間や点数のことなど、5問免除で得られるメリットをご紹介します。
5問免除はメリット大!試験時間を有効に使える!
5問免除がとてもメリットが大きいといえる理由の1つとして、試験時間を有効に使えるようになるという点が挙げられます。
先ほど、免除適用で5問が正解扱いになる代わりに、試験時間が10分短くなることに触れました。
問題数が減った分解答時間も減るならば同じではないかと感じるかもしれません。
しかし、1問にかけられる平均時間は、わずかですが5問免除適用の方が長くなります。
また、試験対策の段階でも、マンション管理適正化法を勉強する時間を他の科目の勉強時間に当てて集中的に取り組むことができるため、5問免除は効率的に勉強を進めるうえでは強い味方になるといえます。
一般の受験者よりも低い得点率で合格できる!
5問免除を受けると、一般の受験者よりも低い得点率で合格できることがデータでわかります。
5問免除者は、一般の受験生と比べ、合格基準点が5点下がります。
例えば2023年度(令和5年度)の試験では、一般の受験者の合格基準点が50問中36問だった一方、5問免除者の合格基準点は45問中31問です。
試験年 | 合格基準点 (50問中) | 得点率 | 5問題免除者 (45問中) | 得点率 |
---|---|---|---|---|
2023年度 | 36問 | 72% | 31問 | 69% |
2022年度 | 40問 | 80% | 35問 | 78% |
2021年度 | 38問 | 76% | 33問 | 73% |
例年一般受験層の合格基準点は7〜8割と高めですが、5問免除が適用になるとより少ない得点で合格できることが多くなります。
気になる!5問免除受験生の合格率
5問免除の適用を受けると、実際どれくらい合格率が上がるのでしょうか。
数字が気になりますが、5問免除が適用された受験生の合格率は公表されていないため、一般的な受験と合格率を比較することはできません。
ただ、前述の通り試験時間を有効に使うことができるだけでなく、試験対策時も他の教科に注力することができます。
加えて合格のための得点率も一般的な受験と比べて低く済むことから、5問免除の適用を受けられる場合、難関資格であるマンション管理士合格に非常に有利であることは確かです。
5問免除適用の条件と注意点
マンション管理士試験の5問免除はメリットが大きいですが、適用には管理業務主任者の資格が必要になる以外にも条件があります。
具体的な適用条件と免除を受けるための手続き方法、そして注意点を併せてご紹介します。
マンション管理士試験で5問免除を適用させるための条件
マンション管理士試験で5問免除が適用されるには、管理業務主任者試験に合格していることが条件になります。
合格していれば良く、資格の登録手続きをしているかどうかは問われません。
また、せっかく管理業務主任者試験に合格していても、それをマンション管理士試験の申込時に申請しなければ5問免除は受けられません。
このように、管理業務主任者試験の合格とマンション管理士試験受験時の申請が5問免除適用には必須となります。
5問免除を受けるための手続き
マンション管理士試験で5問免除の適用を受けるためには、試験申込時の段階で手続きが必要となります。
まず前提として、試験を受ける前年度までに、管理業務主任者試験に合格しておかなければなりません。
そして合格後、翌年度以降にマンション管理士試験を受験する際、申込時に5問免除適用を申請します。
具体的には、申込書の試験免除の有無欄に有とチェックを入れ、管理業務主任者試験の合格証書に記された「合格番号」を所定欄に記入します。
合格番号がわからない場合は、管理業務主任者試験の試験機関であるマンション管理業協会に照会することができますが、回答が得られるまでに数日かかることもあるので、余裕を持って問い合わせましょう。
ダブル受験では5問免除が適用にならないので要注意!
同じ年に2つの資格を受験することを「ダブル受験」といいます。
マンション管理士と管理業務主任者試験は、ダブルライセンスを目指して同一年にまとめて受験をする人も少なくありません。
しかし、マンション管理士試験が例年11月、管理業務主任者試験が12月と先にマンション管理士試験が行われます。
このため、マンション管理士試験で5問免除の適用を受けるには、管理業務主任者試験を前年度までに合格していなければなりません。
最短のダブルライセンスを目指して同年受験をする場合は、残念ながら5問免除の適用は受けられないのです。
マンション管理士合格に有利!管理業務主任者とのダブルライセンスを狙おう!
マンション管理士試験合格には、5問免除の適用を受けるのが有利です。
そのため、管理業務主任者とのダブルライセンスを狙うのがおすすめです。
ともにマンション管理の専門家である2つの資格ですが、マンション管理士は住民側でサポートする立場、管理業務主任者は管理会社側の立場という違いがあります。
管理業務主任者には、管理受託契約に関する重要事項説明、重要事項説明書への記名・押印など4つの独占業務があります。
また、マンション管理業を行っている会社は、管理業務主任者の設置義務があるため、必ず一定数の管理業務主任者を確保しなければならないので、就職・転職の際に有利になる資格です。
最終的にマンション管理士を目指すとしても、管理業務主任者の資格は持っておく価値のあるものだといえるでしょう。
まとめ
この記事では、マンション管理士試験を受験する際の5問免除適用について、そのメリットや免除される問題の種類、手続き方法などについて解説しました。
- 「管理業務主任者」を取得している人は、マンション管理士試験でマンション適正化法の5問が免除される
- 試験対策で他の科目に注力できるため効率的。試験時間も有効に使える
- 例年、一般受験と比べ5問免除の方が低い得点率で合格できる
- 同一年度内のダブル受験では5問免除にならないので注意
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