データベーススペシャリスト試験の概要とは?
データベーススペシャリスト試験の概要を、次の2つのトピックに沿って解説していきます。
- データベーススペシャリスト試験が対象にする人材と、期待される技術水準
- 試験の具体的な内容は、対象者像だけではわかりにくい
データベーススペシャリスト試験が対象にする人材と、期待される技術水準
データベーススペシャリスト試験が対象にする人材は、データベースの管理や活用、システム構築などを行うエンジニアです。
試験合格者に求められる役割は、高度IT人材として確立した専門分野をもち、データ資源やデータベースの企画や要件定義、開発から保守に至るまで中心的な役割を果たすことです。
期待される技術水準は、データベースの企画から保守に至る全工程を遂行できる高度なスキルと実践力で、最新の動向を理解して目的に合った技術を選択できる能力も必要でしょう。
高品質なデータベースの構築やデータ分析、保管、セキュリティ確保などが実行可能で、データを効果的に活用する能力をもつ人材が、この試験の対象となる人物像といえます。
試験の具体的な内容は、対象者像だけではわかりにくい
データベーススペシャリスト試験の具体的な内容は、前段で触れた対象者像だけではイメージするのが難しいかもしれません。
データベースの構築や保管にはどのような知識が必要なのか、あるいはセキュリティ確保のためにはどのようなリスクや対策を把握すればよいのか、勉強を始める前段階で疑問に思う方も多いでしょう。
このような疑問に答えるのが、データベーススペシャリスト試験の「試験要綱」や「シラバス」です。
試験要綱やシラバスには試験の具体的な出題範囲が載っており、試験合格に必要な知識が体系的に示されています。
高度IT人材に必要な知識とスキルの詳細がわかるので、学習のロードマップとして活用できるはずです。
そもそもシラバスってなんだ?
一般的な教育機関におけるシラバスとは、1年間の授業計画や各回の授業内容、成績評価方法や基準、準備学習の指示などを明らかにした資料を指します。
教育機関に通う学生にとって、履修講義を選択するためのガイドとなるのがシラバスであり、またシラバスは各授業科目の準備学習を進めるための指針となるでしょう。
一方、教育者にとってはシラバスを設計することで授業全体の流れをイメージでき、同時に内容の過不足を見直す機会となるため、シラバス作成によってよりよい授業を実施できます。
情報処理技術者試験において、シラバスは試験に向けた学習目的や到達目標を示した資料であると解釈してよいでしょう。
シラバスには試験の対象者に加え、必要とされる知識と技能が整理されて詳細に記載されているので、試験学習の重要なガイドとして活用できます。
データベーススペシャリスト試験のシラバスは? どこで確認できる?
データベーススペシャリスト試験のシラバスはダウンロードが可能です。
ここからは、確認できる公式サイトとシラバスの利用法を解説します。
- IPAがWebサイト上でシラバスを公開している
- シラバスでデータベーススペシャリスト試験の全体像を俯瞰する
IPAがWebサイト上でシラバスを公開している
データベーススペシャリスト試験をはじめとする情報処理技術者試験のシラバスは、IPAの公式サイト「要綱・シラバスについて」で公開されています。
試験要綱やシラバスはすべてPDFファイルになっており、データベーススペシャリスト試験は「高度試験」「令和6年度秋期試験から」の項目から最新版のダウンロードが可能です。
シラバスでデータベーススペシャリスト試験の全体像を俯瞰する
シラバスを入手したら、内容を確認してデータスペシャリスト試験の全体像を俯瞰しましょう。
シラバスは表形式で構成されており、左の列から次のように項目が並べられています。
- 大項目
- 小項目
- 概要
- 要求される知識
- 要求される技能
一番左の「大項目」には5つの項目があり、「データベースの全体計画」から始まって「要件定義」「分析・設計」「実装・テスト」と続き、最後の項目が「システムの運用・管理」です。
この順序は実際のプロジェクトの流れを反映しており、データベース開発から運用まで、プロジェクトの開発初期段階から実装・運用までを、おおよその時系列に沿って並べられています。
試験勉強の際はこの流れをつかんでおくことが重要で、学習中は定期的にシラバスに目を通し、現在の学習内容が実務上のどの段階にあるのかをイメージするとよいでしょう。
現状の位置を把握すれば、試験範囲の全体像がより鮮明になります。
このような俯瞰したイメージをもっておくことは、午後Ⅱ試験の事例解析の対策としても有効です。
試験要綱はどのように活用すればいい?
公式サイトでは、シラバスの他に「試験要綱」もダウンロード可能です。
ここからは試験要綱の活用法を、次の項目に沿って解説します。
- 詳細な試験内容を具体的に確認するなら試験要綱で
- 各試験の実施方法・実施時期、免除制度などが試験要綱にまとめられている
詳細な試験内容を具体的に確認するなら試験要綱で
詳細な試験内容を確認したい場合は、「試験要綱」を活用しましょう。
試験要綱は、学習目的や到達目標が掲載されたシラバスとは異なり、より具体的な出題範囲や形式、試験時間などが記載されているものです。
IPAが公開している試験要綱は試験区分ごとに分冊されておらず、データベーススペシャリスト試験を含むすべての情報処理技術者試験の要綱がひとつのPDFデータにまとめられています。
各試験の実施方法・実施時期、免除制度などが試験要綱にまとめられている
試験要綱には、情報処理技術者試験に属する全試験の実施方法や実施時期、免除制度に関する情報などがまとめられています。
掲載されているのは次のような項目で、受験者がよく疑問に思う項目も含めた幅広い情報が記載されています。
- 試験の対象者像
- 試験時間
- 出題形式
- 出題数と解答数
- 採点方式と配点
- 合格基準
- 試験の実施方法
- 試験の実施時期
- 免除制度
- 出題範囲
学習を進める過程でわからない点や不安な点があれば、面倒でも試験要綱に一度は目を通して、内容を確認するとよいでしょう。
試験要綱に記載されている、データベーススペシャリスト試験の出題範囲
ここからは、試験要綱に記載されているデータベーススペシャリスト試験の出題範囲を「午前試験」「午後試験」に分けて紹介します。
- データベーススペシャリスト試験・午前試験の出題範囲
- データベーススペシャリスト試験・午後試験の出題範囲
データベーススペシャリスト試験・午前試験の出題範囲
データベーススペシャリスト試験・午前試験は「午前Ⅰ試験」と「午前Ⅱ試験」に分かれており、出題範囲は次のとおりです。
▼午前Ⅰ試験(共通知識)
分野 | 大分類 |
テクノロジ系 | 基礎理論
コンピュータシステム 技術要素 開発技術 |
マネジメント系 | プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント |
ストラテジ系 | システム戦略
経営戦略 企業と法務 |
午前Ⅰ試験は高度試験共通の問題で、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の全分野から出題されます。
▼午前Ⅱ試験(専門知識)
分野 | 大分類 | 中分類 |
テクノロジ系 | コンピュータシステム | コンピュータ構成要素 |
システム構成要素 | ||
技術要素 | データベース | |
セキュリティ | ||
開発技術 | システム開発技術 | |
ソフトウェア開発管理技術 |
午前Ⅱ試験は「テクノロジ系」の分野のみから出題され、重点的に出題されるのは技術要素の「データベース」と「セキュリティ」です。
午前Ⅰ試験よりも専門的な問題が出題されるため、問題の難易度は高くなります。
データベーススペシャリスト試験・午後試験の出題範囲
データベーススペシャリスト試験・午後試験は「午後Ⅰ試験」と「午後Ⅱ試験」に分かれており、出題範囲は次のとおりです。
概要 | 詳細 |
データベースシステムの企画・要件定義・開発 | データベースシステムの計画
要件定義 概念データモデルの作成 コード設計 物理データベースの設計・構築 データ操作の設計 アクセス性能見積り セキュリティ設計 など |
データベースシステムの運用・保守 | データベースの運用・保守
データ資源管理 パフォーマンス管理 キャパシティ管理 再編成 再構成 バックアップ リカバリ データ移行 セキュリティ管理 など |
データベース技術 | リポジトリ
関係モデル 関係代数 正規化 データベース管理システム SQL 排他制御 データウェアハウス その他の新技術動向 など |
「午後Ⅰ試験」と「午後Ⅱ試験」どちらも共通して、データベースに関する高度かつ広範囲の知識が問われます。
データベーススペシャリスト試験の合格に向けて効率よく勉強するなら「スタディング データベーススペシャリスト講座」がおすすめ
データベーススペシャリスト試験のシラバスや試験要綱の役割と、活用方法を解説しました。
最後に本記事のポイントをおさらいしましょう。
- データスペシャリスト試験のシラバスには、合格に必要な知識が体系的にまとめられている
- 試験要綱には試験の実施方法や時期、出題範囲や試験時間といった詳細が記載されている
- 情報処理技術者試験のシラバスと試験要綱は、IPAのWebサイトでダウンロードできる
- データベーススペシャリスト試験の午前Ⅰ試験はテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の全分野から出題される
- 午前Ⅱ試験はテクノロジ系のみの出題で、データベースとセキュリティが重点的に出題される
- データベーススペシャリスト試験・午後試験はデータベースに関する高度かつ広範囲の知識が問われる
データベーススペシャリスト試験の合格を目指すなら「スタディング データベーススペシャリスト講座」がおすすめです。
スマホを使ってスキマ時間で効率よく学習したい方は、まずは無料お試し講座を体験してみてください。