データベーススペシャリストとは、データベースに精通し、データベース設計を行う高い固有技術を持つことを示す資格試験です。企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供するデータベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す人に向いている資格と言えます。
また、必ずしも資格試験を指すわけではなく、企業が持つデータを管理し、効率の良いデータベースシステムを構築する情報管理の専門家を指してデータベーススペシャリストと呼びます。
昨今では、顧客情報の取り扱いやサービスの提供など、データベースを使用することが増えているため、どの企業、どのエンジニアにおいてもデータベースの知識やデータ志向を持つことは歓迎されると言えます。
データベーススペシャリストの仕事内容は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
データベースの企画・設計
システム開発において、データベースの企画や設計を担当します。クライアントの要望をヒアリングし、ニーズに合わせて最適のデータベースを企画・設計します。
データベースの管理
データが適切に管理されていなければ必要なデータが取り出せなかったり、有効活用することができません。適切な保存領域を確保したり、チューニングして効率化したり最適化作業を行います。
データベースの保守・運用
データベースへのアクセス権の設定やデータのバックアップなどを行います。また、稼働名中のデータベースのセキュリティ対策を行います。
経済産業省は、情報処理に関する知識や技能を問う目的で、国家試験である「情報処理技術者試験」を管轄しています。12ある試験のうち、データベーススペシャリスト試験はもっとも高度な専門知識を要求する「スキルレベル4」に属し、「高度情報処理技術者試験」に該当する試験です。
データベーススペシャリスト試験は、1994年からスタートした試験です。2001年に「テクニカルエンジニア(データベース)試験」へと改称されましたが、2009年に再度「データベーススペシャリスト試験」の名称に戻され、現在に至ります。
データベースの体系的な知識はもちろん、企業活動を支える膨大なデータ郡を管理し、パフォーマンスの高いデータベースを構築し、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供できる、高い能力が求められます。
データベーススペシャリスト試験は、「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の4つの試験で構成されており、すべてのテストで基準点以上を獲得すると合格となります。
なお、過去2年のうちに応用情報技術者試験に合格している方や、別の高度情報処理技術者試験に合格している方などは、午前Ⅰ試験が免除されます。
試験制度について詳しく知りたい方は、下記のページをご覧ください。
データベーススペシャリスト試験は、高度情報処理技術者試験の一種であり、数ある国家試験の中でも難易度が高めに設定されているのが特徴です。その合格率は、令和3年度が17.1%、令和4年度が17.6%と、おおむね17%程度で推移しています。ただし、合格者数に関する定めはなく、すべての試験で基準点を獲得できれば必ず合格と扱われます。
受験申込方法 | 【個人申込みのみ】原則インターネットでの申込み |
試験日程・試験会場 | 秋期(10月)の第2日曜日に開催。全国62主要都市で実施。 |
受験資格 | 受験資格は無し。誰でも受験が可能。 |
出題形式 | 午前Ⅰ試験 :問題30問(四肢択一)テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系から出題。 午前Ⅱ試験:問題25問(四肢択一)テクノロジ系(セキュリティ)、ストラテジ系から出題。 午後Ⅰ試験 :3問のうち、2問について回答。(記述式) 午後Ⅱ試験:2問のうち、1問について解答。(記述式) |
試験形式 | ペーパー式試験 |
受験料(税込み) | 7,500円 |
試験時間 | 午前Ⅰ試験 9:30~10:20(50分) 午前Ⅱ試験 10:50~11:30(40分) 午後Ⅰ試験 12:30~14:00(90分) 午後Ⅱ試験 14:30~16:30(120分) |
合格基準 | 午前Ⅰ・Ⅱ・午後Ⅰ・Ⅱ試験すべてで、それぞれ100点満点中、60点以上が合格基準。 |
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業界、業種問わず、データベーススペシャリストの資格取得にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
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就職や転職で評価を得やすくなるデータベーススペシャリストは、情報処理技術者に関する資格の中でも取得難易度の高い高度試験の一つです。データベーススペシャリスト試験に合格していれば、データベースに関する体系的な知識を身に付けていることだけでなく、高度なデータベーススキルを保持している人材であることをアピールすることができます。 そのため、就職や転職市場では高い評価を得やすく、自らが望むキャリアパスを描きやすくなるでしょう。 |
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仕事の幅が広がるデータベースエンジニアだけでなく、他のエンジニア職でもデータベーススペシャリストを取得するメリットがあります。近年では、ECサイトや販売管理、WEBアプリケーション、人材管理など、業界・業種を問わず、データベースが活用されています。 そのため、データベーススペシャリスト資格を取得し、高いデータベーススキルを身につけることで、他の業務への造詣が深くなり、より合理的な業務をこなすことが可能となります。 将来的にフルスタックエンジニアを目指している方には、特におすすめであると言えるでしょう。 |
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専門的な資格へ挑戦しやすくなるデータベーススペシャリスト試験は、特定のソフトに特化した試験ではなく、データベースに関する体系的な知識を身に付けることができる試験となります。そのため、試験学習を通して得た知識は、ベンダー系試験に挑戦する際の土台とすることができます。 根幹となる知識を固めることで、特定のソフトに特化した試験に挑戦する際、よりスムーズに学習を進めることができるでしょう。 |