「高度試験」に分類され、合格率約17%という難易度の高いデータベーススペシャリスト試験。
この難関試験に合格するための勉強法を以下の2つのポイントに絞って解説していきます。
データベーススペシャリスト試験に合格するための勉強法の1つめは、まずは自分のIT基礎知識を見極めて対策法を練るということです。
IPA(情報処理推進機構)が定める共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)で「スキルレベル4」に相当し、情報処理技術者試験でも最高ランクの難易度となる高度試験のひとつ、データベーススペシャリスト試験。
その難易度の高さゆえに、初学者がいきなり問題を解こうと思っても手も足も出ないでしょう。
Webで検索すると合格体験記などがいくつか見つかりますが、その多くは元々のスキルが高い人や実務経験者によるもので、短期間の勉強時間で合格できたとか、極端な勉強方法でチャレンジしたりといった、一般的な学習者にとっては参考になりにくい情報も含まれています。
難関試験であるだけに、まずは自分がどのくらい勉強を必要としている状態なのか、あるいはランクを下げた試験から段階的に挑戦するべきなのか、といった判断が不可欠となります。
自分がデータベーススペシャリスト試験に向けてどの程度のスキルレベルにあるのかを判断するために、ためしに「午前I試験」の過去問題を解いてみて目安にするとよいでしょう。
過去題で問われている内容がまったく理解できないようなら、まずはスキルレベルを下げて「応用情報技術者試験(スキルレベル3)」あるいは「基本情報技術者試験(スキルレベル2)」の受験から検討するという選択肢もあります。
参考までに、IPA(情報処理推進機構)が公表している共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)で、各試験とそのレベルを下表で確認しておきましょう。
レベル | 試験名 | |
レベル4(高度試験) | ・データベーススペシャリスト試験
・ITストラテジスト試験 |
|
レベル3 | ・応用情報技術者試験 | |
レベル2 | ・基本情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント試験 |
|
レベル1 | ・ITパスポート試験 |
IT業界での実務経験がない、IT系の資格試験をはじめて受験する、といった初心者の場合、いきなり高度試験のデータベーススペシャリストを受験するのではなく、まずはIT開発側のベーシックな知識・スキルが問われる「基本情報技術者試験(スキルレベル2)」を受けてみるのがおすすめです。
合格後は、そこからさらに「応用情報技術者試験(スキルレベル3)」→「データベーススペシャリスト試験(スキルレベル4)」とステップアップしてもいいですし、自分のIT知識やスキルを見極めたうえで、いきなり「データベーススペシャリスト試験」にチャレンジしてみてもよいでしょう。
未経験でうまくできるかどうか不安という方には、独学ではなくスクールやオンライン講座などの受講が、心強い見方になってくれるはずです。
スタディングでは「基本情報技術者試験」の合格を目指す人のための講座も用意していますので、ぜひご活用ください。
データベーススペシャリスト試験に合格するための勉強法の2つめは、出題範囲の勉強をひととおり終えた後、過去問題を反復して問題演習することです。
いきなりデータベーススペシャリスト試験を受験しても問題ないと判断したら、まずは参考書などを読み込んで出題範囲をひととおり勉強します。
その後は過去問題を使っての問題練習をひたすら反復しましょう。
なぜならば、データベーススペシャリスト試験を含めた情報処理技術者試験では、過去に出題された問題や類似問題が多く出題されるため、過去問題を解くことが得点アップに直結するからです。
特に午前試験の小問では、過去問題を使っての演習が大きな効果を発揮するでしょう。
過去問はIPA(情報処理推進機構)のホームページやインターネット上にも公開されているので、ドンドン活用して効率的に学習を進めていきましょう。
【参考】過去問題 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
過去問演習のコツは「午前I試験」→「午前II試験」→「午後I試験」→「午後II試験」の順に仕上げていくことです。
理由は、高度試験に求められる高いIT知識を問う「午前I試験」と、データベース全般の知識を問う「午前II試験」が十分に解けるレベルに達していなければ、長文読解、記述、事例解析といったハイレベルな午後試験の問題に対応することはできないからです。
「午前I試験」から徐々にステップアップしていくイメージで、試験合格に必要な知識やスキルを徐々に積み上げていきましょう。
ここからは、データベーススペシャリスト試験の4つの科目ごとに、対策方法を解説していきます。
それぞれの詳細を見ていきましょう。
まずは高度試験の共通科目である「午前I試験」の対策で基礎固めをしましょう。
「午前I試験」はIT全般の知識が問われ、高度区分の試験全てで共通問題となっています。
そのため、すべての試験で必要となるIT全般の基礎的・基本的な知識をここで入れておくことが、その後の試験問題を解く上での布石となります。
出題範囲 | テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3分野 |
試験時間 | 9:30~10:20(50分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数 | 30問 |
解答数 | 30問 |
配点 | 100点満点 |
基準点 | 60点 |
免除制度 | あり |
その後の試験対策へとスムーズに繋げるためにも、「午前I試験」の仕上げを最優先するようにしましょう。
「午前I試験」では合格点に達すると、2年間の免除対象になります。
免除対象となる条件は、以下の3つのいずれかを満たすことです。
免除対象となれば「午前I試験」にかける時間も労力も減り、他の試験対策へ集中できるというメリットが生まれます。
また、試験当日も「午前II試験」から受験すればよくなるため、朝の貴重な50分の時間を最後の振り返りなどに充てることができ、一般の受験者よりもアドバンテージを得られるでしょう。
こうした免除によって試験を優位に進められることも「午前I試験」を優先的に攻略したい理由の一つといえます。
なお、データベーススペシャリスト試験の合格基準は「午前I試験」「午前II試験」「午後I試験」「午後II試験」4つの試験それぞれにおける得点が100点満点中の60点以上です。
一つでも60点を切ると不合格となってしまうので、それぞれの試験対策を怠らないようにしましょう。
「午前II試験」では、午後試験にも向けたデータベース専門分野を理解することに力を入れましょう。
出題範囲 | コンピュータ構成要素、システム構成要素、データベース、セキュリティ、システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術の6分野 |
試験時間 | 10:50~11:30(40分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数 | 25問 |
解答数 | 25問 |
配点 | 100点満点 |
基準点 | 60点 |
免除制度 | なし |
「午前I試験」と出題範囲が重なるところもありますが、内容がより高度になるため難易度は格段に上がります。
ここからがデータベースに特化した出題となるので、参考書などでしっかりと専門的な知識やスキルを習得していくようにしましょう。
記述式の「午後I試験」対策は、実務をイメージしながら学習するとよいでしょう。
出題範囲 | 1.データベースシステムの企画・要件定義・開発に関すること
2.データベースシステムの運用・保守に関すること |
試験時間 | 12:30~14:00(90分) |
出題形式 | 記述式 |
出題数 | 3問 |
解答数 | 2問 |
配点 | 100点満点 |
基準点 | 60点 |
免除制度 | なし |
「午後I試験」では、データベースの全体計画や要件定義をはじめ、設計、テスト、運用、保守といったデータベースの実務に対応するための知識・スキルが問われます。
そのため、たとえ未経験の方であっても、具体的な場面や状況をイメージするようにして勉強すると、理解がより深まるでしょう。
また、過去問題で出題傾向を把握すると同時に、試験要綱やシラバスにも目を通してどんな解答を求められているのかまで把握できていると、制限時間90分の記述式問題を解く際に後ろ盾となるはずです。
【参考】試験要綱・シラバスについて | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
「午後II試験」では、長文の読み込みや時間配分にも気を付けて臨みましょう。
「午後II試験」の特徴は、10ページにもおよぶ問題冊子を読み込んだ上での記述式の解答が求められる「事例解析」と呼ばれる問題です。
「午後I試験」同様の記述問題対策にくわえて、長文読解力や文章能力といった、ITとは直接関係ない領域の言語力についても意識して取り組む必要があります。
出題範囲 | 1.データベースシステムの企画・要件定義・開発に関すること 2.データベースシステムの運用・保守に関すること 3.データベース技術に関すること |
試験時間 | 14:30~16:30(120分) |
出題形式 | 記述式 |
出題数 | 2問 |
解答数 | 1問 |
配点 | 100点満点 |
基準点 | 60点 |
免除制度 | なし |
「午後II試験」の試験時間は120分と、データベーススペシャリスト試験のなかでは最も長い時間がとられていますが、その一方で難易度の高さゆえに時間が足りなくなりがちな試験でもあります。
ポイントは問題文をいきなり最初から読み始めるのではなく、まずは「設問」に目を向けることです。
次に、問題文を読みながら解答に結びつく箇所にアンダーラインや印をつけるなどして答えを導き出していくといった長文読解のテクニックを応用するのがおすすめです。
また、他の科目以上に「時間配分」や「解き方」に注意を向けることも併せて押さえておきましょう。
先述したように、データベーススペシャリスト試験に合格するための勉強法のコツは、とにかく過去問題をひたすら解いて出題パターンを把握しておくことです。
情報処理技術者試験では過去問題と同一、ないしは類似の出題が見られる傾向にあるため、特に小問形式の午前試験を対策するにあたっては、過去問題の反復演習が非常に効果的な学習方法になります。
午後の長文・記述式の問題では、類似の出題がされる傾向は小問のようには高くないものの、問題文の傾向や解答用紙の形式など、本番前に慣れておくべきことは多々あります。
それゆえ、入手できる過去問題は可能な限り何度も何度も繰り返し解いておくことが重要です。
最後に今回のポイントを振り返りましょう。
データベーススペシャリスト試験は、年に1度の国家試験です。
このたった1回の試験で、これまでの努力や習得した知識を表現して合格を勝ち取らなければなりません。
未経験や独学でも合格を目指すことはできますが、「もっと確実に」「より効率的に」合格を目指したいのであれば、資格合格パートナーを謳う「スタディング データベーススペシャリスト講座」を受講してみてはいかがでしょうか?
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