なぜデータベーススペシャリスト試験対策に過去問題が有効なのか、その理由を2つの項目で解説していきます。
ちなみに、データベーススペシャリスト試験の過去問題は、IPA(情報処理推進機構)の以下のページから入手することができます。
使用許可や使用料も不要でダウンロードも自由に行えるため、上手に活用しましょう。
【参考】過去問題 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
データベーススペシャリスト試験対策に過去問題が有効である理由の1つめは、情報処理技術者試験では過去問題の流用や類似問題が多く出題されるからです。
データベーススペシャリスト試験に限らず、IPA(情報処理推進機構)の情報処理技術者試験では、全般的に過去問題の流用や類似した出題が多く行われる傾向にあります(特に午前試験など小問形式に多い)。
また、年度ごとに難易度が大きく異なることもありません。
そのため、試験合格のカギは過去問題の対策にかかっているともいえます。
過去に出題された問題は必ず解答できるようにしておき、そのうえで新規問題に対応できる知識を身に付けるのが理想といえます。
先ほどご紹介したIPA(情報処理推進機構)の過去問題だけでなく、参考書やインターネットでも過去問題は公開されているので、自分の生活や学習スタイルに合ったやり方で問題演習を行いましょう。
データベーススペシャリスト試験対策に過去問題が有効である理由の2つめは、解答時間のペース配分を知り、解答用紙に慣れるのにも効果的だからです。
データベーススペシャリスト試験は、午前Iから午後IIまで長時間にわたって試験が行われ、それぞれの試験時間がかなりタイトに設定されています。
また、午後試験(午後I試験、午後II試験)が長文記述式ということもあり、事前に問題の形式に慣れていなければ、時間内にすべての解答を終えることは難しいでしょう。
時間内にすべての解答を終えるには、あらかじめ過去問を解いて解答時間のペースを体感し、時間配分を常に意識して問題を解く必要があります。
また、過去問題で解答用紙の形式にも慣れておけば、本番でも慌てることなく試験に臨めるはずです。
データベーススペシャリスト試験は「午前I」「午前II」「午後I」「午後II」の4つの試験で構成されており、試験ごとに違いがあるため、以下の項目に沿って一つずつ詳しく確認していきましょう。
なお、データベーススペシャリスト試験の合格基準は、4パートそれぞれにおける得点が100点満点中の60点以上となっています。
「午前I試験」は、ITに関する全般的な知識が問われ、高度区分の試験全てで共通問題となっています。
「午前I試験」ではテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3分野に亘って、応用情報技術者試験の午前問題から抽出された30問が出題されます。
出題範囲 | テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の3分野 |
試験時間 | 9:30~10:20(50分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数 | 30問 |
解答数 | 30問 |
配点 | 100点満点 |
基準点 | 60点 |
免除制度 | あり |
また、データベーススペシャリスト試験の「午前I試験」には免除制度があり、以下の3つのいずれかを満たすことで、その後2年間「午前I試験」が免除されます。
「午前II試験」では、データベースなどの専門分野を中心に25問が出題されます。
出題範囲 | コンピュータ構成要素、システム構成要素、データベース、セキュリティ、システム開発技術、ソフトウェア開発管理技術の6分野 |
試験時間 | 10:50~11:30(40分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数 | 25問 |
解答数 | 25問 |
配点 | 100点満点 |
基準点 | 60点 |
免除制度 | なし |
出題範囲は「午前I試験」と重複しますが、出題内容がより高度になるため難易度は高くなります。
特に「データベース」と「セキュリティ」は、出題範囲のなかでも重点分野であり、技術レベルが最も高度なレベル4の設定であるため、レベル3の「午前I試験」と比較すると難易度は格段に上がるといえるでしょう。
「午後I試験」は、データベースの基礎理論と設計を問う記述式問題です。
午前試験と午後試験の大きな違いは、午後試験は出題形式が多肢選択式(四肢択一)ではなく、記述式であるという点です。
出題範囲 | 1.データベースシステムの企画・要件定義・開発に関すること
2.データベースシステムの運用・保守に関すること |
試験時間 | 12:30~14:00(90分) |
出題形式 | 記述式 |
出題数 | 3問 |
解答数 | 2問 |
配点 | 100点満点 |
基準点 | 60点 |
免除制度 | なし |
「午後I試験」では、3問ある問題の中から2問を選択し、90分以内に解答しなければなりません。
長文で出題されるため、内容を素早く、かつ正確に読み解くことができなければ、制限時間内に解答を終えることは難しいでしょう。
また、設問によっては「具体的に30字以内で答えよ」「その理由を20字以内で具体的に述べよ」などのように解答する文字数が指定されているため、文章の表現力や要約力も求められる難易度の高い試験となります。
「午後II試験」では、データベースの技術面や運用・管理面を含む総合的な問題(事例解析)が2問出題され、そのうち1問を選択して解答します。
出題範囲 | 1.データベースシステムの企画・要件定義・開発に関すること 2.データベースシステムの運用・保守に関すること 3.データベース技術に関すること |
試験時間 | 14:30~16:30(120分) |
出題形式 | 記述式 |
出題数 | 2問 |
解答数 | 1問 |
配点 | 100点満点 |
基準点 | 60点 |
免除制度 | なし |
1問にかける時間が120分=2時間に設定されているため、一見すると十分な時間が与えられているかのように思われるかもしれません。
しかし、10ページ以上にわたる問題文を読み解いて適切な解答を導き出すには、データベースに関する基本的な知識はもちろんのこと、文章の読解力や要約力など一定の国語力が求められます。
したがって、そうした総合的な力を持ち合わせていないと、120分でも時間が足りなくなってしまうでしょう。
ここからは、過去問題を活用したおすすめの勉強方法を2つご紹介します。
一つずつ、詳しく見ていきましょう。
おすすめの勉強方法の1つめは、まずは午前I試験対策から始めるということです。
学習の進め方は、まず高度試験で共通のIT知識全般を問われる「午前I試験」をしっかりと対策し、それからデータベーススペシャリスト試験の固有な出題範囲を押さえていくのがおすすめです。
午前I試験で問われていることが全く理解できない場合には、自分のレベルに応じてまずは基本情報技術者試験、その後、応用情報技術者試験とステップアップした上で、データベーススペシャリスト試験に臨むという長期プランを検討してもよいでしょう。
また、今年はとにかく午前I試験だけは突破すると決めておき、それから2年間の免除期間のうちに再挑戦して合格を目指すというのも一つの手です。
おすすめの勉強方法の2つめは、午後試験の過去問は午前を仕上げてから手をつけるということです。
記述式でより専門的な出題となる午後試験(午後I試験、午後II試験)は、午前I試験、午前II試験で要求される知識を持ち合わせていないことには、そもそも出題される問題文の意図を読み解くことすら困難です。
よって、午前試験の対策をある程度仕上げてから午後試験の対策に臨まないと、問題文を読んで内容を把握するだけでいたずらに時間が過ぎてしまったり、意味もわからないまま過去問題を解くだけで肝心の内容を理解していない状態になってしまったりと、合格には程遠い結果になりかねません。
試験対策は午前試験から始めて基礎や基本となる知識を習得し、それから午後試験に取り組むという順序が重要となります。
12種類ある情報処理技術者試験のなかで、データベーススペシャリスト試験は最高峰に位置付けられる高度試験であり、その難易度は高いといえます。
参考までにそのレベル感を、下表で確認しておきましょう。
レベル | 試験名 | |
レベル4(高度試験) | ・データベーススペシャリスト試験
・ITストラテジスト試験 |
|
レベル3 | ・応用情報技術者試験 | |
レベル2 | ・基本情報技術者試験
・情報セキュリティマネジメント試験 |
|
レベル1 | ・ITパスポート試験 |
先述したように、試験合格のポイントは過去問題の有効活用です。
例年、過去に出された問題がそのまま利用されたり、似たような問題が出される傾向があることから、過去問題を何度も繰り返し解くことで確実に得点は上がってくるはずです。
その際、過去問題を進める順序は必ず午前試験→午後試験にすることを忘れないようにしましょう。
最後に今回のポイントをおさらいしましょう。
データベーススペシャリスト試験は年に1度の国家試験でありながら、学歴や実務経験を問わず誰もが受験できる試験です。
独学で合格を目指すことも不可能ではありませんが、並大抵の努力では合格を勝ち取ることは難しいでしょう。
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