データベーススペシャリスト試験とネットワークスペシャリスト試験はそれぞれどんな試験?
データベーススペシャリスト試験とネットワークスペシャリスト試験は、それぞれどのような試験なのでしょうか。
まずは、両試験の概要や合格率などについて解説します。
受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
ビッグデータの分析・設計などに役立つデータベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、データベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す人を対象とした試験です。
難易度は、試験実施団体であるIPA(情報処理推進機構)が公表している共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)によると「レベル4」に相当します。
ほかの「高度試験」の試験と同様に、情報処理技術者試験では最高ランクの難易度となっています。
以下は、データベーススペシャリスト試験の合格率をまとめた表です。
平成21年度以降の合格率は例年13〜17%台で推移しており、令和4年度の合格率は17.6%です。
実施年度 | 合格率 |
平成21年度 | 16.1% |
平成22年度 | 15.8% |
平成23年度 | 18.2% |
平成24年度 | 16.1% |
平成25年度 | 16.3% |
平成26年度 | 16.7% |
平成27年度 | 17.6% |
平成28年度 | 17.5% |
平成29年度 | 14.5% |
平成30年度 | 13.9% |
平成31年度 | 14.4% |
令和2年度 | 15.8% |
令和3年度 | 17.1% |
令和4年度 | 17.6% |
令和5年度 | 18.5% |
データベーススペシャリスト試験に限った話ではありませんが、こうした合格率の低さを見るだけでも、情報処理技術者試験・高度区分の難易度が非常に高いことがわかります。
インターネットなど通信技術の知識・スキルをはかるネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークに関する固有技術を活用できるネットワーク管理者やネットワークエンジニアを対象とした試験です。
実際の試験では、主に通信・ネットワーク技術に関する知識やスキルが問われます。
難易度はデータベーススペシャリスト試験と同様に、CCSFが「レベル4」に定めている「高度試験」です。
以下は、ネットワークスペシャリスト試験の合格率をまとめた表です。
平成21年度以降の合格率は例年12〜17%台で推移しており、データベーススペシャリスト試験と同じような水準です。
実施年度 | 合格率 |
平成21年度 | 14.9% |
平成22年度 | 13.6% |
平成23年度 | 14.7% |
平成24年度 | 13.8% |
平成25年度 | 14.3% |
平成26年度 | 13.9% |
平成27年度 | 14.6% |
平成28年度 | 15.4% |
平成29年度 | 13.6% |
平成30年度 | 15.4% |
令和元年度 | 14.4% |
令和3年度 | 12.8% |
令和4年度 | 17.4% |
令和5年度 | 14.3% |
いずれも試験の構成は午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験、午後Ⅰ試験、午後Ⅱ試験となっています。
なお高度試験共通の午前Ⅰ試験は、実施回ごとに出題内容も免除制度もすべて同じです。
データベーススペシャリスト試験とネットワークスペシャリスト試験、どちらが難しい?
ここまでは、データベーススペシャリスト試験とネットワークスペシャリスト試験の概要をご紹介してきました。
それでは、両試験はどちらが難しいのでしょうか。
出題内容や、どちらかを受ける際の選び方について解説します。
難しさに差はなく、出題範囲が専門特化している
データベーススペシャリスト試験とネットワークスペシャリスト試験を比較した場合、「どちらかが簡単で合格しやすい」といったことはありません。
両試験はCCSFレベルや試験構成、試験時間などもまったく同じです。
もちろん出題範囲の得意不得意は人によるため、自分がより得意な領域の試験のほうが合格しやすいでしょう。
専門領域でいうと、データベーススペシャリスト試験ではデータベース言語のSQLやデータベースの正規化など、データベースに特化した問題が出題されます。
ITエンジニアであっても、実務でデータベースを使った経験がなければ専門的な勉強をする必要があるでしょう。
ネットワークスペシャリスト試験では、TCP/IPなど通信の高度な知識が問われます。
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験と比べても、さらにもう一歩踏み込んだ領域の勉強が必要となります。
IT知識、長文読解力に加えて論理パズル的な要素が得意ならデータベーススペシャリスト試験向き
データベーススペシャリスト試験とネットワークスペシャリスト試験は、どちらも午前が小問試験、午後が長文読解を伴う記述式の試験となっています。
特に午後試験においては、高度なIT知識と国語の読解力が合否を左右します。
なお、どちらかというとデータベーススペシャリスト試験は、論理的に考えて理詰めで答えを導き出す問題が多い傾向です。
過去問題を繰り返し解くことでこうしたロジックを理解できれば、読解力よりも理詰めのテクニックを使って解き進めることも可能です。
IT企業での実務経験がない人や、特にデータベースとネットワークのどちらも得意ではない人の場合、どちらの試験から受けるか迷うこともあるでしょう。
文章読解が得意ならネットワークスペシャリスト、ロジックが得意ならデータベーススペシャリストといった選び方をするのもよいかと思います。
春期にネットワークスペシャリスト試験、秋期にデータベーススペシャリスト試験を交互に受験する?
ネットワークスペシャリスト試験は春期、データベーススペシャリスト試験は秋期に実施されます。
そのため、交互に受験をしてダブルライセンスを目指すのもありでしょう。
ここからは、ダブルライセンスのメリットやスムーズな目指し方について解説します。
ダブルライセンスでキャリアアップ・年収アップを狙う
実施時期は、ネットワークスペシャリスト試験は春期、データベーススペシャリスト試験は秋期でどちらも年一回のみとなっています。
どちらの試験も受験に制限などはないため、両試験を春と秋で交互に受験することも可能です。
実際のIT開発や運用の実務において、ネットワークかデータベースのどちらかの知識さえあればよいという場面はほとんどありません。
むしろ、これら両方の技術が必要となる場面のほうが非常に多くあります。
そのためITエンジニアとして勤務している人や、これからITエンジニアになりたい人であれば、いずれは両方の試験を受験して、ダブルライセンスを目指すのもおすすめです。
また合格すると資格奨励金などが支給される企業もあるため、年収アップの手段としても有効です。
もちろん転職や就職の際も、ネットワークとデータベース両方のスキルがある証明となるため、よいアピールになるでしょう。
午前免除制度の活用でスムーズにダブルライセンスを目指す
データベーススペシャリスト試験とネットワークスペシャリスト試験は、午前Ⅰ試験で一度合格基準点に到達すると、以降2年間は高度試験の午前Ⅰ試験の免除が受けられます。
なおこの免除を受けるには、受験申し込みの際に申請をしなければなりません。
一度午前Ⅰ試験で合格基準点をとって免除対象になることができれば、次に別の高度試験を目指す際の負担がかなり軽くなります。
ダブルライセンスを目指す場合は、この免除制度を活用して効率よく試験勉強を進めるのがおすすめです。
まとめ
今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- データベーススペシャリスト試験とネットワークスペシャリスト試験はどちらも高度試験
- 両試験は難易度や試験構成、試験時間なども同じだが、出題範囲の専門性が異なる
- ネットワークスペシャリスト試験は春期、データベーススペシャリスト試験は秋期に開催
- 交互に受験してダブルライセンスを目指すのもおすすめ
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